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episode.1
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…ヒロコです。
昨夜の記憶が無かとです…。
先日、ひとり虚しく37を迎えました。
更年期とび越して、
もう痴呆の始まりでしょうか?
ヒロコです…
ヒロコです…
ネタ古っ!
はぁ~、歳とりたくないなぁ…
点けっぱなしの部屋の灯り。窓のカーテンからは陽がこぼれていた。
ベットの上に昨夜から放置したであろう自分に呆れ返る。
シワシワのスーツ、ボサボサの髪。
多分、顔はグチャグチャ。
アレね、きっとアレ…
酔って記憶失くしちゃった♪
とか、カワイイやつじゃない。
35過ぎてから突然やってきた、
謎の脳内強制シャットダウン。
昨日は体調悪いのに、会食外せなかったから頑張り過ぎた。
気力体力の限界…
ポンコツ具合が半端ない。
コントロールも効かなくなってきた。
上司を見送りして、からの?
記憶が無い…
どうやって家まで帰ってきたっけ?
「よっこいしょぉ…」
ベットから足を下ろした。
「痛っ…」
「ぎぃえぇぇぇ~!!!」
グニャッとしたの踏んだ!何かいる!
「なんの声だ!?妖怪!?」
妖怪!?
恐怖の余りブルブル身震いして強張る。
ん?
…さっきの悲鳴は、私のオバ声ですけども?
咄嗟の時、全然カワイイ声出ないもん。
「体中痛え…。あ、起きた?」
「(パチクリ)!? だ、誰!?」
「誰って…。記憶ないんスか?」
「…それか、痴呆かもしれなくて
(ポカン)」
え、待って。
私のベットとテーブルの間に、
若い男子が 召喚(✕) されている!
「マジ草…」
と言いつつ、目は笑ってなくて。
クールな表情に黒フチの眼鏡をかければ…
あぁ、雪塩くんか!!
「スノーWebの永井です」
「ですね。ご存知でした…」
ウチの広報でお世話になってる、
デザイン会社の担当さん。
色白で塩顔のツンだけの人って言われてて。
無愛想でとっつきにくい感じ。
若いから余計に苦手なんだけど…
寝起きなの?
むー、てなってる。意外に可愛…
まさか!? ここで一晩寝てたの!?
「え(嘘)! はぇ(もしや)?
えぇ~(やった)!?」
パッパッパ (_ _;) !
胸タッチ、シャツ捲って、ブラ確認!
ノープロブレム!と同時に彼のため息。
「はぁ~。
ヤッてません!サニー生命の関さんっ」
「はいっ。ごめんなさい!」
一瞬で正座。
微塵にもありえない可能性を、疑ってしまいました。
「昨夜の会食後に意識が酩酊状態だった
ので、タクシーで送ったんですよ。
酷く見えたので急変に備えて待機、
とゆう名目で泊まりました」
「承知しました!申し訳ありません!」
深々と三つ指ついてお辞儀する。
「まったく。
ここまで担いできて、全身筋肉痛っスよ。
3階て…何の修行だっての。
変な気おきるワケないでしょう?」
「大変失礼を致しましたっ」
そうねそうね。
こんなバアとは間違いも起きるはずないだろうがっ(意訳)
若い男子が (介抱✕) 介護みたいのさせられて、それはキレるよね。
「いい加減、頭上げてもらえます?
今どき土下座って…。
プライドとかあるっしょ?」
・・・(プチッ)
はぁ~!?
こっちは誠意を見せてんのよっ。
今だからこそ、ハラスメントってぇ。
昔は普通に土下座させられたもんよ!
む・か・し、はね!
否もないのに屈辱的にさぁ。
こんなふかふかしたベットじゃなくて、
硬い床に正座して、
足も心も痛い思いで、、、
私…
でも、今、どこも痛くない。
凄く…丁寧に、
彼が私を扱ってくれたんだとわかる。
思いやりを感じた分、記憶が蘇ってきた…
昨夜ウチとスノーさんの部長を見送って、
永井さんにもお疲れ様したのに。
トイレに戻った私を待っててくれたんだ。
多分、何十分もこもってたと思う。
全部吐いて…頭がガンガンしてて、店員さんと話をした。
アルコール中毒じゃない。
女特有の、もう歳ですから、って。
ふらふらで出て…
そうだ、永井さん居てくれたんだ。
何を会話したのかまでは覚えてないけれど、
私は「大丈夫、大丈夫…」
それしか言えなくて。
結局、気絶したのか、寝落ちなのか。
ちゃんとベットまで運んでくれたんだね。
凄く重たかったろうに。
彼は今風の冷めた感じに見える男子だけど、見た目と違って…
とても情に厚い優しい人だ。
チラッと横目で彼を見た。
「なんスか?」
「怒って…?」
「ないです!」
やっぱり怒ってる!?
塩顔が岩塩みたいにゴツゴツなってるっ。
私のせいです、私が悪いから…
あれ?
善意でしてくれた事に謝罪って、、、
違うね?
恩着せがましく見せて… ただの保身だ。
感謝の仕方、間違えた。
「ありがとう!」
「…はい」
「ホントにありがとう!」
「はい」
「凄く嬉しいです。
永井さん、メチャクチャありがとう!」
三つ指ついて…頭下げるんじゃなく。
彼の目を見て、感謝の気持ちをたっぷり込めて届けた。
「…もうわかりましたっ」
永井さんは視線を反らす。
あら?
…ツン、だけではないのでは?
砕けた岩塩は、少しピンク色の可愛らしい横顔を見せた。
歳を重ねるごとに、いつの間にか謝る事
ばっかり上手くなって…
一言目に、すいません!て。
謝罪のポーズも増えて。
ありがとうの大切さ、
忘れかけてたかもしれない。
「あの、とりあえず何かお飲み物を…?」
「あー、よかったらシャワー借りても?
汗だくで。この後、予定あるので…」
「もちろんっ、どうぞどうぞ…
こちらに、、、(ひ~っ!?)」
残暑厳しい折に、
修行並の労働をさせましたから。
急いでお風呂の準備をと、
軽快なステップ踏んだところで、
衝撃のトラップ!
リビングの入口に部屋干ししたままだったやないか~い!
ガバッ ガチャ(蹴り) サーッ
鮭を獲るヒグマの如く、洗濯物ピンチを放り投げ蹴り飛ばす。
これは、私の普段着パンツを…
永井さん、暖簾のように潜ったのでは?
何回!?行ったり来たりしたよね!?
せめてレースだったらぁ、
カーテン替わりになったかもしれないのに…
くっ、1枚189円の激安パンツを~っ!!
悶絶しながら浴室の前に来て作り笑顔で、
「どうぞ、こちらです^^;」
いろいろ考察しなければ、ボロが深傷になる。
い"やぁぁ、、既に重傷かもしれない。
あぁ神様!助けてっ。
☆
「かっ飛ばせ~ ヒ·ロ·コ!逆転ホームラン~
オォ!」
チャリを立ち漕ぎ、キキーッ!
自転車を停めて、そそくさと入店。
いらっしゃいませ~
メンズTシャツ、ボクサーパンツ…
М?L?…М!
靴下も。それから…
鮭の塩焼き、漬け物、おにぎり。よしっ!
「いらっしゃ、」
「なる早で!(食い気味)」
「はい…」
永井さんがシャワーに入ったのを見届けて、超高速メイク直し。
ポットを満たんスイッチオン!
緑茶と即席味噌汁をセット。コンビニへGO!
準備はバッチリして来た。
5分で帰宅。着替えを置いて、
ジャケットとYシャツにファ○リーズ。
そしてレンチンとお湯を注いで、テーブルにホカホカ朝食。…完成!!そして着席。
「シャワーあざした。着替えもって…え?」
「良かったらどうぞ ^^(ゼーハーゼーハー)」
「え?ここ、○屋?」
見立てサイズピッタリのTシャツで、部屋に戻ってきた永井さん。
私の披露したテーブル上のおもてなしに、どっから?いつ?とちょっとキョドり気味だ。
完ぺきでしょ!
スンゴイ迷惑かけたけど、借りを作ったままでいるのは好きじゃない。
借金もローンもあったら身軽でいられないもの。
人との付き合いも同じなの。
貸し借りは早く解消しておきたい。
歳をとったら尚更…
重い物はなるべく持ちたくないの。
作り笑顔で彼を観察。
やっぱり、ヘアセット流すと男って、やたらと幼く見えるのよね。
威勢も無くなるとゆうか、おとなしくなる感じ?
永井さんは箸を持つと手を合わせて、いただきますをして食べ始めた。
フッフッフ、シメシメ…(悪い顔)
では、私も。
あぁ~味噌汁が空きっ腹に染み渡るっ!
暫しの団欒。。。
もう体調大丈夫そうっスね。
お陰様で。時々疲れが溜まってバタンと。
あ~特に病気とかじゃないんですね。
昨日はずっと回復の呪文唱えてて。
ホイミ?
もっと強力なの。
ベホマ?
それ!効かなかったみたいですね。
俺、今、結構回復してます。
お腹減ってましたよね。
こんなまともな朝メシ、久しぶりなんで。
誰かと食べると、より美味しいですよね~。
ナニコレ… 和む。
懐かし~ひっさしぶりな感覚。
プラズマイオン発生してる。
浄化されてるかも?私。
「ところで、関さんて、何歳ですか?」
前言撤回っ!
さり気なく言い放った彼の発言が、空気を一瞬にして濁す。
「いくつに見えますかぁ?」
どや!困るでしょう?
…しまった!私の方こそ肌コンディション
最悪じゃないかっ
「さんじゅう…
いや、どうでもいいんスけど」
「は?」
「もう歳なんで!しか言わないって、
昨日の店員さんが心配してました」
「(ゴフッ)すいません。
後でお詫びに行っておきます」
どんだけ醜態さらしてんの私…
それしか説明できないって(恥)
むせ返した気管を整えながら、昨夜の自分を省みる。
そういえば、そんな状態でどうやって…?
「永井さん、
ウチの住所どこで聞いたんですか?」
「あー、勝手にカバン漁りました。
封筒の宛名見て。鍵もあったので、
送れるだろうと思って」
「封筒… △✕%@#☆!?」
カバンに入れた封筒の存在を思い出すと血の気が引いた。
それって… 肛門科クリニックの!?
まさか、まさかぁ!?
「関さん、もしかして…」
「(ギクッ)!!」
「この前、田舎で法事って休んでたの…
痔の手術でした?」
サーッ。バレた…
お尻だけに、穴があったら入りたい。
お土産まで用意して入念に企てた計画を!
部署にも内緒にしてたのに!会社でコッソリ給付金請求しようと思って~ (T_T)
「ご、内密に願います…(プルプル)」
クッソォォッ。
若僧め、手強いな。
どんどん傷が深くなる気がする。
更に弱みも握られている。
このままじゃ駄目だ、早く何とかしたい。
「永井さん、御礼をしたいのですが
何が宜しいですか?」
「何でもいいですか?」
欲しいのか、やっぱり。
遠慮ってものを知らないな若いもんは!
って、私も自重せねば。
「もちろん^^」
「じゃあ… また泊めてください」
「は?」
「ここ、いい部屋じゃないですか?
ロフトあるし」
彼は上を指差す。
ナニその可愛い上目遣い…
キュン、、、違うっ
「いやいや、何の目的で?」
「ウチ、風呂なしアパートなんですよ」
「え?今どき?昭和なの?」
「まぁ激安なんスけど。で、訳あって通って
るトコに近いんで」
「近いトコって何処?」
「それは…秘密です」
人差し指で口を塞ぐ。
しーっ、て。
…だから可愛いポーズやめて!
雪塩のくせに!
不意打ちでドキッとさせないで。
「で、でも宿泊となると、いろいろ問題が…
ね?」
「何もしませんよ?シャワーとロフト借りる
だけです。問題ないです」
釘を刺した上に、塩をぶち込むなぁ!
こっちに問題大ありなんですっ。
この歳で簡単に「いいよ」なんて言える訳ないでしょう!?
若い時とは違うのよ。
羞恥心でいっぱいだし、
守りたい事もたくさんなの。
自分の事で精一杯なんだから!
「無理無理、ムリムリ…」
首をひたすら横に振り続ける。
私の動揺を見逃さない、かのような鋭い目で彼は言う。
「これは俺の関さんに対する損害賠償請求
です。“ 5泊 ” 保障でお願いします」
「な!5泊も!?」
「妥当だと思いますけど?」
いやいやいや。マズいでしょ!?
諸々バレたらどうするの!?
「ちょ、待って。仕事に支障が出るかも
しれないしっ」
「誰にも言いません。
仕事では普段通りにします」
「それだけじゃなくて!
私にも体裁ってものがあるのよ?」
「決して関さんのプライベートは他言
しません。5回で借りが無しですよ?」
コンニャロ~。
全部見透かした顔しやがってぇ。
口角を少し上げて目を据えた彼の表情は、ドヤッと…すっかり形勢逆転されている。
5回、我慢すればチャラ… えーい!
「しょ、承認しました…」
渋顔決め込む私であった、、、
昨夜の記憶が無かとです…。
先日、ひとり虚しく37を迎えました。
更年期とび越して、
もう痴呆の始まりでしょうか?
ヒロコです…
ヒロコです…
ネタ古っ!
はぁ~、歳とりたくないなぁ…
点けっぱなしの部屋の灯り。窓のカーテンからは陽がこぼれていた。
ベットの上に昨夜から放置したであろう自分に呆れ返る。
シワシワのスーツ、ボサボサの髪。
多分、顔はグチャグチャ。
アレね、きっとアレ…
酔って記憶失くしちゃった♪
とか、カワイイやつじゃない。
35過ぎてから突然やってきた、
謎の脳内強制シャットダウン。
昨日は体調悪いのに、会食外せなかったから頑張り過ぎた。
気力体力の限界…
ポンコツ具合が半端ない。
コントロールも効かなくなってきた。
上司を見送りして、からの?
記憶が無い…
どうやって家まで帰ってきたっけ?
「よっこいしょぉ…」
ベットから足を下ろした。
「痛っ…」
「ぎぃえぇぇぇ~!!!」
グニャッとしたの踏んだ!何かいる!
「なんの声だ!?妖怪!?」
妖怪!?
恐怖の余りブルブル身震いして強張る。
ん?
…さっきの悲鳴は、私のオバ声ですけども?
咄嗟の時、全然カワイイ声出ないもん。
「体中痛え…。あ、起きた?」
「(パチクリ)!? だ、誰!?」
「誰って…。記憶ないんスか?」
「…それか、痴呆かもしれなくて
(ポカン)」
え、待って。
私のベットとテーブルの間に、
若い男子が 召喚(✕) されている!
「マジ草…」
と言いつつ、目は笑ってなくて。
クールな表情に黒フチの眼鏡をかければ…
あぁ、雪塩くんか!!
「スノーWebの永井です」
「ですね。ご存知でした…」
ウチの広報でお世話になってる、
デザイン会社の担当さん。
色白で塩顔のツンだけの人って言われてて。
無愛想でとっつきにくい感じ。
若いから余計に苦手なんだけど…
寝起きなの?
むー、てなってる。意外に可愛…
まさか!? ここで一晩寝てたの!?
「え(嘘)! はぇ(もしや)?
えぇ~(やった)!?」
パッパッパ (_ _;) !
胸タッチ、シャツ捲って、ブラ確認!
ノープロブレム!と同時に彼のため息。
「はぁ~。
ヤッてません!サニー生命の関さんっ」
「はいっ。ごめんなさい!」
一瞬で正座。
微塵にもありえない可能性を、疑ってしまいました。
「昨夜の会食後に意識が酩酊状態だった
ので、タクシーで送ったんですよ。
酷く見えたので急変に備えて待機、
とゆう名目で泊まりました」
「承知しました!申し訳ありません!」
深々と三つ指ついてお辞儀する。
「まったく。
ここまで担いできて、全身筋肉痛っスよ。
3階て…何の修行だっての。
変な気おきるワケないでしょう?」
「大変失礼を致しましたっ」
そうねそうね。
こんなバアとは間違いも起きるはずないだろうがっ(意訳)
若い男子が (介抱✕) 介護みたいのさせられて、それはキレるよね。
「いい加減、頭上げてもらえます?
今どき土下座って…。
プライドとかあるっしょ?」
・・・(プチッ)
はぁ~!?
こっちは誠意を見せてんのよっ。
今だからこそ、ハラスメントってぇ。
昔は普通に土下座させられたもんよ!
む・か・し、はね!
否もないのに屈辱的にさぁ。
こんなふかふかしたベットじゃなくて、
硬い床に正座して、
足も心も痛い思いで、、、
私…
でも、今、どこも痛くない。
凄く…丁寧に、
彼が私を扱ってくれたんだとわかる。
思いやりを感じた分、記憶が蘇ってきた…
昨夜ウチとスノーさんの部長を見送って、
永井さんにもお疲れ様したのに。
トイレに戻った私を待っててくれたんだ。
多分、何十分もこもってたと思う。
全部吐いて…頭がガンガンしてて、店員さんと話をした。
アルコール中毒じゃない。
女特有の、もう歳ですから、って。
ふらふらで出て…
そうだ、永井さん居てくれたんだ。
何を会話したのかまでは覚えてないけれど、
私は「大丈夫、大丈夫…」
それしか言えなくて。
結局、気絶したのか、寝落ちなのか。
ちゃんとベットまで運んでくれたんだね。
凄く重たかったろうに。
彼は今風の冷めた感じに見える男子だけど、見た目と違って…
とても情に厚い優しい人だ。
チラッと横目で彼を見た。
「なんスか?」
「怒って…?」
「ないです!」
やっぱり怒ってる!?
塩顔が岩塩みたいにゴツゴツなってるっ。
私のせいです、私が悪いから…
あれ?
善意でしてくれた事に謝罪って、、、
違うね?
恩着せがましく見せて… ただの保身だ。
感謝の仕方、間違えた。
「ありがとう!」
「…はい」
「ホントにありがとう!」
「はい」
「凄く嬉しいです。
永井さん、メチャクチャありがとう!」
三つ指ついて…頭下げるんじゃなく。
彼の目を見て、感謝の気持ちをたっぷり込めて届けた。
「…もうわかりましたっ」
永井さんは視線を反らす。
あら?
…ツン、だけではないのでは?
砕けた岩塩は、少しピンク色の可愛らしい横顔を見せた。
歳を重ねるごとに、いつの間にか謝る事
ばっかり上手くなって…
一言目に、すいません!て。
謝罪のポーズも増えて。
ありがとうの大切さ、
忘れかけてたかもしれない。
「あの、とりあえず何かお飲み物を…?」
「あー、よかったらシャワー借りても?
汗だくで。この後、予定あるので…」
「もちろんっ、どうぞどうぞ…
こちらに、、、(ひ~っ!?)」
残暑厳しい折に、
修行並の労働をさせましたから。
急いでお風呂の準備をと、
軽快なステップ踏んだところで、
衝撃のトラップ!
リビングの入口に部屋干ししたままだったやないか~い!
ガバッ ガチャ(蹴り) サーッ
鮭を獲るヒグマの如く、洗濯物ピンチを放り投げ蹴り飛ばす。
これは、私の普段着パンツを…
永井さん、暖簾のように潜ったのでは?
何回!?行ったり来たりしたよね!?
せめてレースだったらぁ、
カーテン替わりになったかもしれないのに…
くっ、1枚189円の激安パンツを~っ!!
悶絶しながら浴室の前に来て作り笑顔で、
「どうぞ、こちらです^^;」
いろいろ考察しなければ、ボロが深傷になる。
い"やぁぁ、、既に重傷かもしれない。
あぁ神様!助けてっ。
☆
「かっ飛ばせ~ ヒ·ロ·コ!逆転ホームラン~
オォ!」
チャリを立ち漕ぎ、キキーッ!
自転車を停めて、そそくさと入店。
いらっしゃいませ~
メンズTシャツ、ボクサーパンツ…
М?L?…М!
靴下も。それから…
鮭の塩焼き、漬け物、おにぎり。よしっ!
「いらっしゃ、」
「なる早で!(食い気味)」
「はい…」
永井さんがシャワーに入ったのを見届けて、超高速メイク直し。
ポットを満たんスイッチオン!
緑茶と即席味噌汁をセット。コンビニへGO!
準備はバッチリして来た。
5分で帰宅。着替えを置いて、
ジャケットとYシャツにファ○リーズ。
そしてレンチンとお湯を注いで、テーブルにホカホカ朝食。…完成!!そして着席。
「シャワーあざした。着替えもって…え?」
「良かったらどうぞ ^^(ゼーハーゼーハー)」
「え?ここ、○屋?」
見立てサイズピッタリのTシャツで、部屋に戻ってきた永井さん。
私の披露したテーブル上のおもてなしに、どっから?いつ?とちょっとキョドり気味だ。
完ぺきでしょ!
スンゴイ迷惑かけたけど、借りを作ったままでいるのは好きじゃない。
借金もローンもあったら身軽でいられないもの。
人との付き合いも同じなの。
貸し借りは早く解消しておきたい。
歳をとったら尚更…
重い物はなるべく持ちたくないの。
作り笑顔で彼を観察。
やっぱり、ヘアセット流すと男って、やたらと幼く見えるのよね。
威勢も無くなるとゆうか、おとなしくなる感じ?
永井さんは箸を持つと手を合わせて、いただきますをして食べ始めた。
フッフッフ、シメシメ…(悪い顔)
では、私も。
あぁ~味噌汁が空きっ腹に染み渡るっ!
暫しの団欒。。。
もう体調大丈夫そうっスね。
お陰様で。時々疲れが溜まってバタンと。
あ~特に病気とかじゃないんですね。
昨日はずっと回復の呪文唱えてて。
ホイミ?
もっと強力なの。
ベホマ?
それ!効かなかったみたいですね。
俺、今、結構回復してます。
お腹減ってましたよね。
こんなまともな朝メシ、久しぶりなんで。
誰かと食べると、より美味しいですよね~。
ナニコレ… 和む。
懐かし~ひっさしぶりな感覚。
プラズマイオン発生してる。
浄化されてるかも?私。
「ところで、関さんて、何歳ですか?」
前言撤回っ!
さり気なく言い放った彼の発言が、空気を一瞬にして濁す。
「いくつに見えますかぁ?」
どや!困るでしょう?
…しまった!私の方こそ肌コンディション
最悪じゃないかっ
「さんじゅう…
いや、どうでもいいんスけど」
「は?」
「もう歳なんで!しか言わないって、
昨日の店員さんが心配してました」
「(ゴフッ)すいません。
後でお詫びに行っておきます」
どんだけ醜態さらしてんの私…
それしか説明できないって(恥)
むせ返した気管を整えながら、昨夜の自分を省みる。
そういえば、そんな状態でどうやって…?
「永井さん、
ウチの住所どこで聞いたんですか?」
「あー、勝手にカバン漁りました。
封筒の宛名見て。鍵もあったので、
送れるだろうと思って」
「封筒… △✕%@#☆!?」
カバンに入れた封筒の存在を思い出すと血の気が引いた。
それって… 肛門科クリニックの!?
まさか、まさかぁ!?
「関さん、もしかして…」
「(ギクッ)!!」
「この前、田舎で法事って休んでたの…
痔の手術でした?」
サーッ。バレた…
お尻だけに、穴があったら入りたい。
お土産まで用意して入念に企てた計画を!
部署にも内緒にしてたのに!会社でコッソリ給付金請求しようと思って~ (T_T)
「ご、内密に願います…(プルプル)」
クッソォォッ。
若僧め、手強いな。
どんどん傷が深くなる気がする。
更に弱みも握られている。
このままじゃ駄目だ、早く何とかしたい。
「永井さん、御礼をしたいのですが
何が宜しいですか?」
「何でもいいですか?」
欲しいのか、やっぱり。
遠慮ってものを知らないな若いもんは!
って、私も自重せねば。
「もちろん^^」
「じゃあ… また泊めてください」
「は?」
「ここ、いい部屋じゃないですか?
ロフトあるし」
彼は上を指差す。
ナニその可愛い上目遣い…
キュン、、、違うっ
「いやいや、何の目的で?」
「ウチ、風呂なしアパートなんですよ」
「え?今どき?昭和なの?」
「まぁ激安なんスけど。で、訳あって通って
るトコに近いんで」
「近いトコって何処?」
「それは…秘密です」
人差し指で口を塞ぐ。
しーっ、て。
…だから可愛いポーズやめて!
雪塩のくせに!
不意打ちでドキッとさせないで。
「で、でも宿泊となると、いろいろ問題が…
ね?」
「何もしませんよ?シャワーとロフト借りる
だけです。問題ないです」
釘を刺した上に、塩をぶち込むなぁ!
こっちに問題大ありなんですっ。
この歳で簡単に「いいよ」なんて言える訳ないでしょう!?
若い時とは違うのよ。
羞恥心でいっぱいだし、
守りたい事もたくさんなの。
自分の事で精一杯なんだから!
「無理無理、ムリムリ…」
首をひたすら横に振り続ける。
私の動揺を見逃さない、かのような鋭い目で彼は言う。
「これは俺の関さんに対する損害賠償請求
です。“ 5泊 ” 保障でお願いします」
「な!5泊も!?」
「妥当だと思いますけど?」
いやいやいや。マズいでしょ!?
諸々バレたらどうするの!?
「ちょ、待って。仕事に支障が出るかも
しれないしっ」
「誰にも言いません。
仕事では普段通りにします」
「それだけじゃなくて!
私にも体裁ってものがあるのよ?」
「決して関さんのプライベートは他言
しません。5回で借りが無しですよ?」
コンニャロ~。
全部見透かした顔しやがってぇ。
口角を少し上げて目を据えた彼の表情は、ドヤッと…すっかり形勢逆転されている。
5回、我慢すればチャラ… えーい!
「しょ、承認しました…」
渋顔決め込む私であった、、、
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離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
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