猫又と俺の願いを縫う不思議な工房

ありぽん

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42話 ピヨ太、ピヨ助、ピヨ吉の俺たちの時代が来たぜ!!1

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『ピヨ太、みんな集まったぞ』

『分かった! ピヨ吉の方は?』

『こっちはあと少し。準備で遅れてる』

『準備は大事だもんね。でももうすぐ来るんでしょう?』

『うん、連絡きた』

『じゃあ、もう少し待ってよう』

『ピヨ太、これ集めて来てくれたやつだってさ』

『わぁ、こんなに!! みんなありがとう!! これは後でしっかり晴翔に渡さないと』

『そういえば晴翔の方はどうしたんだ?』

『忙しい、忙しいって言ってたよ。何しろ何個も作っておかないといけないからね。それに生地も、もしかしたら足りないかもしれないって、大きな町の方へ買い物に行ったよ』

『シロタマは?』

『一緒に行ったよ。結城も一緒にね。使う食材の確認だって。ついでに帰りに、ペットカフェ? って所に寄ってくるって言ってたけど』

『ペットカフェ? 何だそれ?』

『犬や猫が入れる、ご飯を食べられるお店みたい。『居酒屋あやかし』の動物バージョン?』

『何だよ、忙しいとか言いながら、そんな楽しそうな所に寄ってくるのか?』

『だよね。まったく、大切な日がもうすぐだっていうのに』

『今度、俺たちも連れて行ってくれないかな?』

『ピヨ太! みんな来た!!』

『あっ!! 本当だ!! ピヨ助、みんなにそろそろ、話し合いを始めるって言っておいて』

『分かった!!』

『ぴぴぴっ、ぴぴっ!?』

『あ、大丈夫だよ。遅れたのは気にしないで。それよりも、みんな準備で忙しいのに、集まってくれてありがとう』

『ピピピッ、ピピッ!!』

『ありがとう!! わぁ、こっちもいっぱい!! 助かるよ!!』

『ぴぴぴっぴ、ぴぴっぴ、ぴぴー』

『え? 見せて!! わぁぁぁ!! ねぇ、ピヨ助、ピヨ吉、見て見て!!』

『え!? こんなにもあるのか!? この前、根応のぬいぐるみサイズのを見て驚いたけど、まさかこれまであるなんて!!』

『これは何?』

『こっちも、とってもサラサラで、いろいろな色にいろいろなデザインだね。どうやって使うのかな?』

『ピピピ、ピピピ、ピピ』

『へぇ、そうなんだ。面白そう!! 今回のにちょうど良いね!! 持って来てくれてありがとう!! よし、それじゃあ、個別の話しは後にして、先に全体の話しを始めよう!!』

『『おー!』』

『『『ピッピピィー!!』』』



      ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆



「あとはこれを買って……」

「晴翔、どうだ?」

 商品を選んでいると、結城さんが俺たちの所へやって来た。

「あっ、もう終わったんですか?」

「ああ、何とか全部注文できたよ。そっちは?」

「すみません。あと少しかかりそうです」

 時計を見ると、買い物を始めてからかなりの時間がたっていた。ただ、それでもまだまだ選ぶものはたくさんある。結城さんには申し訳ないけど、もう少し待っていてもらわないと。

「大丈夫だ。しっかりと選ぶんだぞ。間違って本番に間に合わなかったり、本番で子供たちが楽しめなかったら、そっちの方が問題だからな。俺はそっちもベンチで座って待ってるから」

「はい!」

 結城さんと別れ、またすぐに商品を選び出す。

『晴翔、これはどうだ?』

「あっ、確かに良いかもな。よし。それも買っていこう。こっちも良いな」

『む、これも良いな。と、そうだ、言うのを忘れる所だった。実はな、今回の件。楽しそうだから手を貸したい、と言っているあやかしがいるんだ』

「そうなのか? 俺の知らないあやかしか?」

『ああ。いつも隣の街へ行ったり、少しだけ離れた街に行ったり。この街からやたら遠くまで行かないが。同じ場所にいるのが苦手てで、フラフラしているあやかしがいるんだ。そいつが今回の話しを聞いて、昨日俺の所に来た』

「分かった。俺から会いに行った方が良いか?」

『いや、家にくると言っていたからな。明日にでもやつに会って、来て良いと伝えておく』

「どんなあやかしなんだ?」

『まぁ、あ会えばどんなあやかしか、すぐに分かるだろう。今回はかなりの戦力になると思うぞ。楽しそうなことがあると、何でも首を突っ込み。それで自分が楽しみすぎて、人間にあやかしだとバレそうになったことが、何度かあったな』

「え? それ大丈夫なのか?」

 その様子だと本番も来る感じだろう? 俺、本番はそっちのことまで気にしてる暇ななんて、絶対にないぞ? というか、シロタマと話す時間さえないかもしれないのに。

『ああ、その辺は俺たちが見てるから大丈夫だ』

「なら良いけど、気をつけろよ」

『分かっている。おっ、晴翔。これも良さそうだぞ!』

「お、確かに」

 さて、どんどん商品を選ばないと。今日中に注文を済ませないと、あの日までに間に合わないからな。
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