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61話 ぽよっと落とした宝物2
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『どこいったぽよ? 早くしないと、そろそろ出発ぽよ。離れてもどこにいるか分かるから大丈夫だけど、行くのが大変になるぽよ』
「……」
『『……』』
『どこぽよ? ボタンどこいっちゃったぽよ』
「……え? 可愛い」
『なんだと? あれが可愛い? 俺の方が全然可愛いだろう!』
『ちがう。シロタマより、ぼくのほうがかわい! あのあやかちは……すこちだけかわいい』
「なんだよ、2人して、あのふわふわ感に、あの姿、可愛いネコじゃないか。って、そうだよな、話しながら2本足で歩くネコが、普通のネコのわけないよな。あれ、あやかしか?」
『ああ、間違いなくな』
『しゅこちかわい、あやかち』
路地裏にいたのは、ネコみたいなあやかしで。どんな姿かというと、大きさは手のひらサイズ。ふんわりもふもふとした毛で、色は淡いミルク色。
瞳はうるうるとしていて、ビー玉みたいに綺麗で。耳も手足も短く、2本足でぽてぽてと歩いている。その様子がとっても可愛いんだ。
そんなネコっぽいあやかしは、首から首掛けカバンをかけていて、ずっと下を向いて何か一生懸命に探しており。俺たちがこれだけ騒がしく見ているのに、まったく気づく様子がなかった。
「うん、あの歩き方、やっぱり可愛い。今度、ああいうぬいぐるみを作ってみるかな。ふわふわもふもふは、なかなか作らないから」
『だから俺の方が、断然可愛いだろう。よし、そのぬいぐるみを作る時は、俺がモデルになってやる。小学生の頃に作ってくれたぬいぐるみは別として、お前も腕を上げたからな。より俺の毛並みを忠実に再現した俺を作れ』
『だかりゃ、ぼくのほが、だんじぇんかわい! ボクもふわふわもふもふ、だからぼくちゅくりゅ』
『何を言っている。ちゃんとよく見てみろ。どう……』
「ああ、もう、良いじゃないか。可愛いものを可愛って言ったって。それよりもだ」
『それよりもだと!? 大事なことだぞ。大体晴翔がおかしなことを言うから……』
「はいはい、それよりもだよ。あの子、何か探してるみたいだけど。シロタマから見て、あの子は危険なあやかし? 大丈夫そうなら、何を探しているのか聞いて、一緒に探してあげようと思うんだけど」
『……フンッ、放っておけば良いものを。はぁ、だが、お前は言い出したら聞かないからな。別に悪意は感じない。それにあの気配、悪い奴じゃないだろう。俺としては探し物より、最後の商店街回りをしたいが』
「また連れてきてやるからさ、とりあえず声をかけてみよう。案外すぐに解決するかもしれないし」
ということで、俺たちはネコっぽいあやかしに声をかけてみる事に。突然人間が声をかけると驚くかもしれないから、最初はシロタマに声をかけてもらう事にしたよ。
ブツブツ言いながら、ネコっぽいあやかしに近づいていくシロタマ。それでもネコっぽいあやかしは気づいていない。そこまで真剣に探すなんて、一体何を探しているんだ?
『おい』
『ないぽよ。どこぽよ』
『おい!』
『今探し物中ぽよ。ないぽよ、ないぽよ』
『おい!!』
『ん?』
『はぁ、やっとこっちを見たか』
『ん? あやかしぽよ? 初めましてぽよ。ボクに何か用ぽよ? でもボクは今、探し中だから、お話しできないぽよ』
『それはお前の様子を見れば分かる。だがな、面倒な事に俺の家族が、お前に興味を持ってな。お前を心配して、何を探しているか知らないが、一緒に探すか? なんて言い出したんだ』
『本当ぽよ!? ありがとうぽよ!!』
『待て待て。はぁ、まずは話しを聞いてからだ』
『うんぽよ!!』
『よし、今から俺の家族を呼ぶ。ああ、先に言っておくが、俺の家族は人間だ。もしも人間とは話したくないというのなら、このまま俺れが話しを聞くが?』
『家族、人間ぽよ? ボクと同じぽよ!』
『ん? そうなのか? まぁ、それも後で聞くとして、じゃあ呼んでも良いな』
『うんぽよ!!』
『晴翔、氷菓丸! 来て良いぞ!!』
隠れていたけど、話しは聞いていたから、すぐに2人の元へ行く。そうしてネコっぽいあやかしの前に立てば、やっぱりぬいぐるみみたいで、とっても可愛かった。
俺はできるだけしゃがむみ、目線を近づけ。そして氷菓丸はカバンからぴょんと飛び出すと、ネコっぽいあやかしにさらに近づき、周りをくるくる周り、クンクン匂いを嗅ぐ。
「初めまして。俺は晴翔って言うんだ。君は? 名前はある? この猫又はシロタマっていう名前があるんだけど」
『名前はないぽよ。でも昔一緒にいたあやかしが、ボクのこと紛羽っていうあやかしだって言ってたぽよ』
『なるほど、紛羽か』
「シロタマ、知ってるのか?」
『確か……』
紛羽は、落とし物を届けるあやかしらしい。人やあやかし、動物たちが落とし物をしたとき、その落とし物に持ち主の大切な想いや思い出が宿っていれば。その落とし主がどんなに遠く離れていても、紛羽が必ず届けてくれるという。とても優しいあやかしのようだ。
ただ、拾える大きさは、500円玉を4枚四角に並べたサイズくらいまでらしく。小さい物限定で届けてくれるようだ。
「そうか、優しいあやかしなんだな。じゃあ、今探しているのも、誰かの落とし物ってことか? でもだったら、無理に落とし物を探さなくても良いんだぞ?」
『違うぽよ。今探してるのは。自分の落とし物ぽよ』
「え? 自分の?」
『そう、自分の落とし物ぽよ』
「……」
『『……』』
『どこぽよ? ボタンどこいっちゃったぽよ』
「……え? 可愛い」
『なんだと? あれが可愛い? 俺の方が全然可愛いだろう!』
『ちがう。シロタマより、ぼくのほうがかわい! あのあやかちは……すこちだけかわいい』
「なんだよ、2人して、あのふわふわ感に、あの姿、可愛いネコじゃないか。って、そうだよな、話しながら2本足で歩くネコが、普通のネコのわけないよな。あれ、あやかしか?」
『ああ、間違いなくな』
『しゅこちかわい、あやかち』
路地裏にいたのは、ネコみたいなあやかしで。どんな姿かというと、大きさは手のひらサイズ。ふんわりもふもふとした毛で、色は淡いミルク色。
瞳はうるうるとしていて、ビー玉みたいに綺麗で。耳も手足も短く、2本足でぽてぽてと歩いている。その様子がとっても可愛いんだ。
そんなネコっぽいあやかしは、首から首掛けカバンをかけていて、ずっと下を向いて何か一生懸命に探しており。俺たちがこれだけ騒がしく見ているのに、まったく気づく様子がなかった。
「うん、あの歩き方、やっぱり可愛い。今度、ああいうぬいぐるみを作ってみるかな。ふわふわもふもふは、なかなか作らないから」
『だから俺の方が、断然可愛いだろう。よし、そのぬいぐるみを作る時は、俺がモデルになってやる。小学生の頃に作ってくれたぬいぐるみは別として、お前も腕を上げたからな。より俺の毛並みを忠実に再現した俺を作れ』
『だかりゃ、ぼくのほが、だんじぇんかわい! ボクもふわふわもふもふ、だからぼくちゅくりゅ』
『何を言っている。ちゃんとよく見てみろ。どう……』
「ああ、もう、良いじゃないか。可愛いものを可愛って言ったって。それよりもだ」
『それよりもだと!? 大事なことだぞ。大体晴翔がおかしなことを言うから……』
「はいはい、それよりもだよ。あの子、何か探してるみたいだけど。シロタマから見て、あの子は危険なあやかし? 大丈夫そうなら、何を探しているのか聞いて、一緒に探してあげようと思うんだけど」
『……フンッ、放っておけば良いものを。はぁ、だが、お前は言い出したら聞かないからな。別に悪意は感じない。それにあの気配、悪い奴じゃないだろう。俺としては探し物より、最後の商店街回りをしたいが』
「また連れてきてやるからさ、とりあえず声をかけてみよう。案外すぐに解決するかもしれないし」
ということで、俺たちはネコっぽいあやかしに声をかけてみる事に。突然人間が声をかけると驚くかもしれないから、最初はシロタマに声をかけてもらう事にしたよ。
ブツブツ言いながら、ネコっぽいあやかしに近づいていくシロタマ。それでもネコっぽいあやかしは気づいていない。そこまで真剣に探すなんて、一体何を探しているんだ?
『おい』
『ないぽよ。どこぽよ』
『おい!』
『今探し物中ぽよ。ないぽよ、ないぽよ』
『おい!!』
『ん?』
『はぁ、やっとこっちを見たか』
『ん? あやかしぽよ? 初めましてぽよ。ボクに何か用ぽよ? でもボクは今、探し中だから、お話しできないぽよ』
『それはお前の様子を見れば分かる。だがな、面倒な事に俺の家族が、お前に興味を持ってな。お前を心配して、何を探しているか知らないが、一緒に探すか? なんて言い出したんだ』
『本当ぽよ!? ありがとうぽよ!!』
『待て待て。はぁ、まずは話しを聞いてからだ』
『うんぽよ!!』
『よし、今から俺の家族を呼ぶ。ああ、先に言っておくが、俺の家族は人間だ。もしも人間とは話したくないというのなら、このまま俺れが話しを聞くが?』
『家族、人間ぽよ? ボクと同じぽよ!』
『ん? そうなのか? まぁ、それも後で聞くとして、じゃあ呼んでも良いな』
『うんぽよ!!』
『晴翔、氷菓丸! 来て良いぞ!!』
隠れていたけど、話しは聞いていたから、すぐに2人の元へ行く。そうしてネコっぽいあやかしの前に立てば、やっぱりぬいぐるみみたいで、とっても可愛かった。
俺はできるだけしゃがむみ、目線を近づけ。そして氷菓丸はカバンからぴょんと飛び出すと、ネコっぽいあやかしにさらに近づき、周りをくるくる周り、クンクン匂いを嗅ぐ。
「初めまして。俺は晴翔って言うんだ。君は? 名前はある? この猫又はシロタマっていう名前があるんだけど」
『名前はないぽよ。でも昔一緒にいたあやかしが、ボクのこと紛羽っていうあやかしだって言ってたぽよ』
『なるほど、紛羽か』
「シロタマ、知ってるのか?」
『確か……』
紛羽は、落とし物を届けるあやかしらしい。人やあやかし、動物たちが落とし物をしたとき、その落とし物に持ち主の大切な想いや思い出が宿っていれば。その落とし主がどんなに遠く離れていても、紛羽が必ず届けてくれるという。とても優しいあやかしのようだ。
ただ、拾える大きさは、500円玉を4枚四角に並べたサイズくらいまでらしく。小さい物限定で届けてくれるようだ。
「そうか、優しいあやかしなんだな。じゃあ、今探しているのも、誰かの落とし物ってことか? でもだったら、無理に落とし物を探さなくても良いんだぞ?」
『違うぽよ。今探してるのは。自分の落とし物ぽよ』
「え? 自分の?」
『そう、自分の落とし物ぽよ』
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