現代のモフかわあやかしVS 異世界の強面魔獣の大激突!!

ありぽん

文字の大きさ
4 / 17

4話 賑やかな家族と、あやかしと家族になるには 1

しおりを挟む
『優希、お帰りなんだな!!』

『おかえりなの!!』

『クンクン、この匂いはどら焼きなんだな!!』

「ただいま、はいこれお土産。ちゃんと全員分あるから、喧嘩するんじゃないぞ。それと夕飯前だから、どら焼きをみんなで半分こだ。後はデザートや明日のおやつにとっておけ」

『『『わあぁぁぁ!!』』』

 みんなが和菓子の入っている紙袋を持って走って行く。俺は靴を脱ぎ、先に洗面所へ行って手を洗ってからダイニングへ行った。そうしてキッチンでご飯を作ってくれている母さんに声をかける。

「母さん、ただいま」

「お帰りなさい。今日はどうだった? 怪我はいなかった?」

「大丈夫だよ。予定よりも早く終わったし。ただユキが突っ込んで飛ばされて、ちょっとぐったりしてるから、カーピに治してもらうよ」

「そう? それならまだもう少しご飯ができるまで時間があるから、今のうちに治してもらいなさい。それと勝三さんから電話があったわ」

「ああ、いつもみたいに、たくさんお土産を貰ったよ」

「いつも貰ってばかりで、今度何かお礼を持っていかないと。来週にでもデパートに行って……」

 何かブツブツ言っている母さんに。母さんの買い物長いんだよなぁ。目的以外の物に時間を使いすぎるんだよ。買い物、父さんとだけ行ってくれないかな? いや、みんなも絶対に行きたいって言うだろうしなぁ。

 なんて思いながら俺は、ユキを治療してもらうために、どら焼きを頬張っているカーピを呼んだ。

「カーピ!」

『もぐもぐ、なぁにぃ?』

「悪いんだけど温泉を出してくれるか? ええと、この桶に頼む。ユキを治療したいんだ」

 俺は近くに置いてあった桶を持ってきて床に置く。これは小さい子たちようの、お風呂用桶で、家のいろいろな場所に、3つほど置いてある。

『ああ、飛ばされたんでしょうぉ? もぐもぐ、すぐに出すねぇ』

 そうカーピは言い、片手にどら焼きを持ったまま、桶の中に温泉を出してくれた。

『いいよぉ。ユキ用にぬるくしといたぁ。もぐもぐ』

「ありがとう」

 俺はそっとおけの中にユキを入れてやる。

『あぁぁぁ~……、しみるのねぇ』

「しみるのねぇって、父さんの真似するなよ。じじくさい」

『優希、ユキくんどら焼き食べる』

「まずはしっかり治療しろ。ちゃんとどら焼きはとっておいてやるから」

『うえぇぇぇ~い』

 そう言いながら、俺が用意してやった、ユキ用の小さなタオルを頭に乗せる。そしてまたうえぇぇぇ~いと言い。だからお前はおやじか!

 俺はユキを桶に残し、みんなの所へ。どら焼きを半分ずつと言っておいたけど、それ以上食べてるといけないからな。と、思って行ってみれば、やっぱり他のどら焼きを食べようとしていたり、他の和菓子も食べようとしていたりで、ゴウカたちに怒られているところだった。

『お前たち優希に言われただろう。それ以上は食べるな』

『まったく油断の隙もない』

『ああ~、僕の和菓子が~』

『ちょっと、やっぱりそっちのどら焼きの方が大きかったんじゃない? それ、よこしなさいよ!』

『ちゃんと半分にしただろう!!』

『喧嘩はやめなさい!』

「おい、約束しただろう! 半分以上食べたやつは、デザートも明日のおやつもなしだぞ!」

『でも優希、ハルは私より、大きいどら焼きを食べたのよ!!』

『だからちゃんと半分にしたって言っただろう!!』

『あっ!? ぶつかるなんだな!? あんこ落ちたなんだな!?』

『これはぼくのぷー!!』

『今のうちに……』

「だから、大人しく、どら焼きを半分だけ食べろって!!」

『お前たち、言うことを聞かんと、本当に全て取り上げるぞ』

『それだけじゃありませんよ。お菓子の部屋に置いてあるお菓子も全て、取り上げますよ』

 お菓子の部屋とは、みんなのお菓子がおいてある部屋で、戦闘の後にお菓子をくれる人たちがいて、そのお菓子を保存してあるんだ。

 ゴウカたちの言葉に、クルルたちはサッと座り直し、大人しくどら焼きの続きを食べ始める。



      ***************************



お読みいただきありがとうございます。ありぽんです。
1話が長くなってしまったため、2つに分けさせていただきました。
今後も1つの話が長いものは、このように前後編に分けてお届けします。
よろしくお願いいたします。
最後21時に更新予定です。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

渡り鳥転生〜過労死した俺、神様の計らいで渡り鳥に転生し、ハイスペックな翼で悠々自適に異世界を眺めることにした〜

☆ほしい
ファンタジー
「鳥になりたいなぁ……」そんな一言を最後に、ブラック企業で過労死した俺、鳥井 翼(とりい つばさ)。次に目覚めた時、俺は本当に鳥になっていた。それも、季節ごとに大陸を渡る「渡り鳥」として、剣と魔法の異世界に。 神様がくれたお詫びの力は、戦闘力ゼロの代わりに【千里眼】や【魔力感知】といった観察特化のチートスキル。小さな鳥の俺にできることは何もない。だから、何もしない。 ただ、風に乗り、空を舞い、眼下に広がる人間たちのドラマを眺めるだけ。 頑張るパン職人の少女、辺境を守る実直な騎士、恋に悩むお姫様。彼らの人生に干渉はしない。ただ、彼らが紡ぐささやかで温かい物語を、最高の特等席から見届ける。 これは、そんな自由気ままな異世界遊覧飛行の記録。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

処理中です...