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訓練シリーズ
マッサージクリーム②
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今回は柚木が後輩にイカされて泣いてますので、苦手な方はご注意下さい。
擽り/拘束/痒責/連続絶頂
攻→千隼+由麗 ※千隼視点(由麗は後半から参戦)
受→柚木
◇ ◆
「今日から暫く宜しくお願いします」
既に敷いてもらった布団の上へ、自分で持っていた枕を置き、俺は部屋の主にペコリと頭を下げた。
「うん。宜しくね」
部屋の主である柚木先輩は迷惑がることもなく柔らかい笑みを浮かべると、自分の布団に腰掛けて読書をしていた。
「それにしてもこの時期にクーラーが壊れちゃうのは辛いね」
今回柚木先輩の部屋にお世話になることになったきっかけは、設置されていたクーラーが壊れてしまったから。同部屋の子は他の先輩の部屋で暫く寝泊まりすることになったのだ。
「自分の部屋だと思って寛いでてね。もう寝るなら俺も寝るから言ってね」
「はい。ありがとうございます。まだ平気です」
ちょこんと座って大人しくしていると、ふと目に入ったのは机に置かれた大きな軟膏容器。そういえばこの前篠田さんに「マッサージクリーム」として配ってもらったんだったな。
読書しているので邪魔してはいけないとは思いつつ、特にすることもないのでその容器を手に取り、柚木先輩に近付いた。すると「どうしたの」と優しく声をかけてくれた。
「柚木先輩、今日力仕事で疲れてるでしょ。良かったら本読み終わったらマッサージしましょうか」
「えぇ、いいの?嬉しいけど無理しないでね」
「柚木先輩には色々とお世話になっているので」
「じゃあお言葉に甘えてお願いします。実は腰が痛くてさ…疲れたらすぐやめていいからね」
本を閉じてバサっと上の服を脱ぐと、柚木先輩は自分布団へうつ伏せの状態で寝転んだ。よいしょ、と柚木先輩のお尻あたりに腰掛けた俺は、容器を開けて指にクリームを取った。
これをもらってすぐ、渚とお互いのマッサージをしたのだが、俺達にはまだ早かったのか擽ったいとしかし思えなかった。
ちょっとだけ先輩の擽ったがる姿を見れるのではないかと期待しつつ、ゆっくりと腰にクリームを広げるとすぐに指には温かさが伝う。
(本当、このクリームすごいなぁ)
たっぷりと腰の辺りに塗りたくり、ぐっ、ぐっと親指で指圧すると、「気持ちぃ…」と心地よさそうな声が聞こえた。
俺と渚はこの時点で擽ったくて暴れていたので、やっぱりちゃんと凝っている人には効果があるんだなと思った。
(それにしても腰細いなぁ…背中も綺麗だし)
手を移動させて少し背中をなぞってみると、ピクッと小さく跳ねた先輩の体。
(あ、そういえばこの前も背中弱かったっけ)
悪戯心が芽生え、クリームを追加して肩甲骨をマッサージするフリしてたまになぞってみると、体に力が入ったのが分かった。
それでも普通のマッサージも混ぜ込んでいるので、制止の声は聞こえない。親指で肩甲骨を刺激しながらもう片方の手は背中を擽ってみると、「んんっ」と可愛い吐息が聞こえた。
「柚木先輩、もしかして感じてます?俺、マッサージしてるだけですけど」
「…わざとやってるくせに」
(あ、バレてた)
後ろを向いてこちらを睨んでくる先輩の顔は少しだけ赤くなっていて、とても可愛らしい。
「…この前、背中擽ったいって言ってましたもんね」
「あっ…──ッつ、」
バレてしまったのでマッサージはやめて両手でこちょこちょと背中を擽ると、ぎゅうっと枕を握り締めながら体を捩り出した。
本気で暴れられればすぐに負けるだろうが、俺に怪我させちゃいけないと思ってくれているのか、そこまで激しい暴れ方はしない。
それをいいことに、かけていた体重に更に負荷をかけて擽りやすい背中や脇腹をなぞると、面白い位にビクンと跳ねてくれた。
「先輩、意識変えたら効かなくなったって言ってませんでした?今、すごく反応してる気がしますけど」
「…っ、──~~ッッ!」
口を開いてしまうと声が漏れてしまうからか、枕に顔を埋めて堪えていて、その姿はどこか加虐心を煽ってくる。
「柚木先輩?」
クリームで滑りが良くなった背中を中心にゆっくりとなぞると、バタバタと足が動き出した。
ぷるぷると震える体が可愛くて返事するまで背中を攻め続けると、顔は枕に埋めたまま、手探りで後ろに手を伸ばしてきた。
俺の手を掴んで動きを止めさせようとしてるのが分かったので、逆にガシッと手首を掴んでシーツに押さえつけた。
「先輩、今マッサージしてるんですから暴れないで下さい。邪魔する悪い手はこうします」
持参していたタオルを取り出し、先輩の手首を頭上に持っていって下せないように上手く固定してやると、流石に焦ったのか枕から顔を上げてこちらを睨んできた。
「千隼。そんな事していいと思ってる?」
「だってマッサージしてるのに暴れるんですもん」
「マッサージなんかしてないでしょ!外しなさい」
「やです。ちゃんと俺マッサージしてます」
邪魔な手が居なくなったので、背中をゆっくりとなぞった。
「ひぁ……ッ」
ゆっくりと焦らすように背中をなぞりながら、時折横腹や脇の下に手を移動させると、くねくねと腰を捩り出す。
「…っやめ、なさい!」
焦ったように手をバタつかせて暴れ出すと、全く支障はないのでこちょこちょと擽った。
「ひっ……ぅ」
人差し指で何度か背中から腰を往復すると、滑らせる度に腰が跳ねた。
片手で背中、もう片方の手で横腹を擽ると、ついに我慢出来なくなったようで可愛らしい笑い声が聞こえて来た。
「ひっ、…ぁ、はは!あはっ……やめて、やめっ、これ、マッサージじゃないから!!」
ジタバタ暴れながら叫ぶ声は涙が混ざった可愛い声になっており、それもすごく可愛くてつい意地悪したくなる。
サワサワと指を動かしてみたり少し強めに擽ってみたりと色々と試してみると、どれも効くのか声が段々と大きくなってきた。
「ぁはっ、ぁははははぁ…!外してぇ……!タオル外してっ…だめ、ぁははっ」
暴れる先輩の背中に人差し指を添え、ゆっくりと「やです」と書いてみた。
「ひゃぁっ……んん、」
「今、文字書いてみたんですけど」
「え…?なんて…っ」
「じゃあもっかい書くので当ててみて下さい。間違えたら暫く擽りますね」
「はぁっ? 何言って──あ…っ」
わざと難易度を上げるために、少し早いペースで「柚木せんぱい可愛いです」と書いてみた。最悪当てれたとしても自分のことを可愛いという先輩も見てみたい。
「ちょっ……早い、もっと…ゆっくり書いてよ……っ!」
「はい、アウトです」
「ひゃあああああ!!」
お仕置きとして脇腹をツンツンと突いてみると面白いくらいに跳ねてくれたので、暫く突く攻撃をしながらたまに揉んでみたり背中をサワサワと擽ってみたりと様々な刺激を与えた。
「ぁははははは!! やだぁっ、やだ…!擽ったい!!やめてぇぇっっ」
「さっき文字当てれなかった罰です」
「ひゃははははは!!千隼のばかっ…!!後で、覚えてなよ…っ、もぉっ、やめてっ、ぁはははは!」
「じゃあもう一回書きます。ちゃんと答えて下さいね?」
指を止めて暫く休憩を与えると、先輩は荒い息を吐きながらプルプルと体を震わせていた。後ろから見える耳や首は赤くなっており、やけに色気があった。
少しだけ落ち着いたところで人差し指を背中へくっつけると、それだけでビクンと跳ねた先輩の体は、もうかなり出来上がってきているのが分かる。
『柚木せんぱいの、いちばん、よわいところは?』
一文字ずつゆっくりと書いていくと、先輩も文字を理解しているのが、ぐっと拳を握り締めたのが見えた。
「柚木先輩。──教えて下さい」
「……っ、俺、くすぐられるのは……首とか、脇、とか……背中も最近すごい弱いって気付いた…。あとは首も擽ったい……ほら!ちゃんと答えたから!!タオル外して!」
「折角弱点聞いたのに攻めないなんて、もったいなくないですか?」
「はぁ…?ちょ、やっ、…ああぁっ」
サワサワと後ろから首筋を擽ってみると、面白いくらいに反応を示してくれた。首筋を擽りながら背中をなぞり、その後はこちょこちょと不規則な動きで脇を擽った。
「──ッ、ぁ"あああああ!!ぁはははははは! だめ!ダメだってば!!やめっ、ひゃぁぁぁああ!!」
バタバタと激しく暴れる体を押さえつけて暫く申告してくれた弱点を責め立てると、次第に声が甘いものへ変わってきた。
顔を覗くと、涎を垂らしながら熱い吐息を吐いており、瞳には涙も浮かんでいた。
(──可愛い)
そう思って口を開こうとすると。
「柚木先輩。今度訓練で使用する予定の薬が出来たらしくて、篠田さんから受け取りました。って……えええ?」
ノックと共に入ってきたのはマッサージクリームと同じような軟膏容器を手にした由麗くんだった。
「あっ、由麗ぁ!由麗助けて…っ!千隼が、襲ってくんの!!」
柚木先輩にとって救世主に見えたのか、タオルで固定された腕をバタバタと主張させながら必死に助けを乞うた。
(やばいかな)
正直、柚木先輩が大大大大大大大大大大大大好きな由麗くんを前に、今の状況は宜しくない。
気まずくて目を逸らして居ると、由麗くんは無言で俺の方へやってくると、冷静な口調で言った。
「千隼。よくやった」
「…え?」
「…は?」
俺と柚木先輩の声が重なったが、由麗くんは気にせずに口を開いた。
「わざわざ篠田さんから薬を受け取ったのは、この前のお礼がしたかったからです。千隼、柚木先輩のこと仰向けにして、腕押さえてて。俺足押さえるから」
「ちょ…お礼って何?」
「貞操帯生活のお礼です。元はと言えば俺が悪かったのかもしれませんが、流石にやりすぎなので、お返ししたくなって。それでわざわざ篠田さんから薬を受け取ったんです」
「──っ」
ぐるんと柚木先輩の体を反転させて腕を押さえると、言葉通り由麗くんは柚木先輩の足元へ移動した。
由麗くんの勢いは凄まじく、暴れる前にズルッと下着ごとズボンを脱がすと、一番恥ずかしい場所を曝け出した。
「!?」
マッサージのために上も脱いでくれていたので、現在全裸になってしまった柚木先輩はカァッと一気に顔を赤らめると、必死に暴れ出した。
「由麗!この前はあれで完結したじゃん!何すんの!!」
「だってこんな最高なシチュエーション、もうないでしょうし。まぁ何でこんなことになったかあとで千隼に説明させるけど」
足の間に入り込んだ由麗くんは、柚木先輩のアレを掴むとニヤッと笑った。擽っていただけだが、随分甘い声を出していたし少しは反応しているかと思いきや、先輩の先輩は見るからに柔らかそうだった。
「……っ」
急所を掴まれ、挙句足を閉じることが出来ない先輩は耳まで赤く染めながらプイッと顔を逸らした。
「さっきから触りすぎ。変態。貞操帯つけるなら、さっさとつけなよ」
強がってはいるものの、先輩の声は羞恥と不安で少しだけ震えている気がした。
「貞操帯の購入方法分からなかったんで、つけませんよ。何でわざわざ俺が篠田さんから薬受け取ったと思います?──先輩に試してあげるためです」
「はぁ? 訓練用の薬でしょ? それは流石に──」
「もちろんそんなことしません。篠田さんに余分に下さいって言ったらくれたんですよ」
「篠田ぶっ飛ばすか」
「あとでぶっ飛ばしてあげて下さい」
由麗くんの所為でぶっ飛ばされることが確定した篠田さんを不憫に思いながら、容器を開けて指に拭うと、先輩の股間に塗り始めた。
(媚薬かな?)
様子を見ることしか出来なかったので眺めていると、特に先端にたくさん塗りたくっていた。
「千隼。先輩の乳首に塗ってやって」
パシッと薬が渡されたので、言われた通り人差し指で拭って全く反応していない先輩の乳首へ塗ると、弄るだけで気持ち良かったのか、先輩は小さく体を捩った。
(可愛い)
反応に気分を良くした俺は爪でカリカリと乳首を引っ掻いてやると、我慢出来なかった可愛い声が部屋に響く。
「ぁ、……触んな、ばかぁ」
破壊力のある"バカ"にズキュンとしていると、薬をつけた指が何やら痒くなり始めた。
「千隼。それ、痒くなる薬だからこれで抜き取りな」
「えぇ…早く言ってよ由麗くん…!痒い!」
「俺も痒いんだよ」
「由麗くんは知っててやったんだからいいじゃん!」
すぐに指からクリームを取り除いても、ムズムズとしたような痒みが続いた。
──指だけでこんなに痒いなら。
そう思って先輩をみると、ポロポロ泣きながら体を捩らせて歯を食い縛っていた。
「柚木先輩。覚えてます?前、俺にくっそ痒い薬塗って追い詰めたこと」
「…っ、あぁ、あったね。その仕返しも含んでるんだね。了解」
先輩の答えに、由麗くんは興奮したような──不思議な表情を浮かべながら、ゆっくりと先輩のモノを擽り出した。
「ぅぁ…っ」
「…俺の指も痒いけど、ここに塗られたら辛いでしょ」
ビクンッと激しく跳ねて暴れる先輩の体を押さえて執拗に敏感な場所を撫でる由麗くんの顔は、かなり欲情しているように見える。
(すぐに拭き取ってもまだ痒いのに……)
ポリポリと自分の指を掻きながら眺めていると、柚木先輩はめちゃくちゃ甘い声を出しながら暴れ出したので、宥めるように肌を撫でるとそれにも大袈裟に体が反応した様子。
「やだぁ…っ、痒い、触んないで…っ」
「こうしたらもっと痒くないですか?」
陰茎を握って自身を立たせて、人差し指でクルクルと先端を刺激する由麗くん。痒みを知った俺からしたら、頭がおかしくなってしまう刺激が予想出来、ごくんと唾を飲んだ。
もちろん柚木先輩の体にも大ダメージなようで、激しく腰を浮かせながら必死に逃げようとしてるのが分かる。
「ひゃぁぁぁぁぁあ!! それっ…や"だぁぁぁああ!!」
初めてに近い先輩の絶叫。それでも由麗くんはやめる様子を見せず、わざと優しい刺激ばかりを送り続けていた。
「あ"ッ、あぅ……っ、ひぁぁ!!やぁぁ!!痒ぃ…っ、だめ、ゆま!ゆまぁぁっ、やめてっ、薬取って…!!」
「だーめ。先輩だって俺のこと散々いじめたじゃん」
「それはっ、訓練…っだったからっ…ぁ、あああ"っ、だめ、待って──!ちょ、ダメ…っ!!出ちゃう!出る!離して…ッ」
「先輩、俺の前ではイクの我慢しますもんね。──けど、これ出さないと効果切れないから、イッた方がいいと思いますけど」
「──~~っ、か、なぃ……」
「ん?」
「イカねぇよバカ!! とっとと離し──っ、ぃああ!?」
荒げた口調の先輩が珍しくて、もっと追い詰めたくなって俺も参戦すると、柚木先輩は目を見開いて俺を見た。
「イカないと痒いままなんですよね?俺も手伝いますね」
さっきたっぷりとクリームを塗った乳首を人差し指で触れるか触れないかの強さで擽ると、柚木先輩は呆気なく欲を吐き出していた。俺が参戦すると思わなかったから、油断していたのかもしれない。
「ひゃぁぁぁあっ、ぁあぁぁっ、」
一度イッてしまえば体は敏感になってしまうのは経験上よく分かる。由麗くんも俺も指の動きを止めずに擽ったくて痒みを増幅させるような刺激を加え続けると、先輩は泣きじゃくりながら俺たち二人に許しを乞い始めた。
「ごめっ、許してっ、今、ッ…触んな、ぃでっ…ぁ、やぁぁぁあ!、イク…っ、ゆま!!離し──ッ、~~」
ビクンビクン、と体を痙攣させると二度目の欲が放たれた。
「…柚木先輩、可愛い…やば…」
変態のような言葉を吐きながら由麗くんは柚木先輩自身を刺激し、もう片方の手でグリグリと下の方を触っていた。
(今擽ったらどうなるんだろう)
乳首から指を離して両方の脇の下に指を添えてこちょこちょと擽ってみると、今までにないくらいに大きく反応してくれた。
「ひゃぁぁはははッッ!? なに、すっ、──ぁ、ああぁやだぁぁぁっ、やはぁぁっ、!!」
「千隼もなかなか鬼畜だな」
「由麗くん程じゃないよ」
脇の窪みを弄ったり、ぷっくり膨らんだ乳首を忘れた頃に弾いたり、首筋を優しくなぞったりしていると、由麗くんは由麗くんで先っぽや裏筋、鼠蹊部等を撫で回しており、先輩は大きな泣き声を響かせながら何度も絶頂していた。
「柚木先輩。好きです」
「やぁぁあははっ、ぁはっ……はぁぁっ、ぁ」
「ずっと、好きです。先輩」
先輩の妖艶な空気に呑まれたのか、由麗くんは頬を染めながら何度も好きだと伝えていて、柚木先輩はそれに応えたいのかモゾモゾと腕を動かした。抵抗している時とは違う気がしたのでタオルを解いてみると、力無くもその腕は由麗くんの首へ回された。
「っ、………」
ぎゅうっと由麗くんにしがみついた先輩は、何か言葉を発しているようだったが俺には届かなくて。
(いいなぁ。抱き締めたいって思える人がすぐそばに居て)
ぼんやりと浮かんだのは、ニコニコ笑う桃瀬の顔で。少しだけ羨ましいと感じながら抱き締め合う二人を眺めていた。
◇ ◆
「おはようございま──っ!?」
「ぎゃははははは!お前何それぇぇぇぇ!!」
たまたま朝食の時間が一緒になり、未南さんと食事をしていると、思いっきり顔が黒焦げになり、髪の毛がアフロになっている篠田さんが入ってきた。
あまりのことに言葉が出ない俺と、そんな篠田さんを見て大爆笑する未南さんの温度差は激しい。
「もう、笑いすぎですよ未南さん。朝から柚木さんが奇襲かけてきたんです!なんかよく分かんない大砲でぶっ飛ばされたんですよ!怖すぎるんですけど!」
何故そんな大砲を持っていたのかは不明だが、確か昨日篠田ぶっ飛ばすと言っていたな。本当に「ぶっ飛ばした」んだ…。
「あの…実は昨日」
ぶっ飛ばされてもピンピンしている篠田さんに昨日のことを打ち明けると。
「はぁぁ? 由麗くんの所為ってこと!? 柚木さんに使うなんて思わないじゃないですか!足りなくなった時用で必要なのかと思ったから余分に渡したのに!」
「ひゃははははははははは!!」
未だに涙を流しながら爆笑する未南さんに対し、むっと頬を膨らませた篠田さんは、未南さんの顎を持ち上げ──俗に言う顎クイをしてキスする寸前まで顔を近付けた。
「──そんなに笑う未南さんにはお仕置きしますよ」
「ぶっ……ぎゃはははははは!」
「なっ…」
「今のお前のそんな格好でカッコつけられても響かねーよばぁかぁぁぁあ!!あははははは!!」
朝っぱらから激しい会話を聞き、俺は桃瀬と近くに居たいから、とか言う理由ではなく純粋に…
(Daisyに移籍しようかな…)
と思ってしまった。
end.
擽り/拘束/痒責/連続絶頂
攻→千隼+由麗 ※千隼視点(由麗は後半から参戦)
受→柚木
◇ ◆
「今日から暫く宜しくお願いします」
既に敷いてもらった布団の上へ、自分で持っていた枕を置き、俺は部屋の主にペコリと頭を下げた。
「うん。宜しくね」
部屋の主である柚木先輩は迷惑がることもなく柔らかい笑みを浮かべると、自分の布団に腰掛けて読書をしていた。
「それにしてもこの時期にクーラーが壊れちゃうのは辛いね」
今回柚木先輩の部屋にお世話になることになったきっかけは、設置されていたクーラーが壊れてしまったから。同部屋の子は他の先輩の部屋で暫く寝泊まりすることになったのだ。
「自分の部屋だと思って寛いでてね。もう寝るなら俺も寝るから言ってね」
「はい。ありがとうございます。まだ平気です」
ちょこんと座って大人しくしていると、ふと目に入ったのは机に置かれた大きな軟膏容器。そういえばこの前篠田さんに「マッサージクリーム」として配ってもらったんだったな。
読書しているので邪魔してはいけないとは思いつつ、特にすることもないのでその容器を手に取り、柚木先輩に近付いた。すると「どうしたの」と優しく声をかけてくれた。
「柚木先輩、今日力仕事で疲れてるでしょ。良かったら本読み終わったらマッサージしましょうか」
「えぇ、いいの?嬉しいけど無理しないでね」
「柚木先輩には色々とお世話になっているので」
「じゃあお言葉に甘えてお願いします。実は腰が痛くてさ…疲れたらすぐやめていいからね」
本を閉じてバサっと上の服を脱ぐと、柚木先輩は自分布団へうつ伏せの状態で寝転んだ。よいしょ、と柚木先輩のお尻あたりに腰掛けた俺は、容器を開けて指にクリームを取った。
これをもらってすぐ、渚とお互いのマッサージをしたのだが、俺達にはまだ早かったのか擽ったいとしかし思えなかった。
ちょっとだけ先輩の擽ったがる姿を見れるのではないかと期待しつつ、ゆっくりと腰にクリームを広げるとすぐに指には温かさが伝う。
(本当、このクリームすごいなぁ)
たっぷりと腰の辺りに塗りたくり、ぐっ、ぐっと親指で指圧すると、「気持ちぃ…」と心地よさそうな声が聞こえた。
俺と渚はこの時点で擽ったくて暴れていたので、やっぱりちゃんと凝っている人には効果があるんだなと思った。
(それにしても腰細いなぁ…背中も綺麗だし)
手を移動させて少し背中をなぞってみると、ピクッと小さく跳ねた先輩の体。
(あ、そういえばこの前も背中弱かったっけ)
悪戯心が芽生え、クリームを追加して肩甲骨をマッサージするフリしてたまになぞってみると、体に力が入ったのが分かった。
それでも普通のマッサージも混ぜ込んでいるので、制止の声は聞こえない。親指で肩甲骨を刺激しながらもう片方の手は背中を擽ってみると、「んんっ」と可愛い吐息が聞こえた。
「柚木先輩、もしかして感じてます?俺、マッサージしてるだけですけど」
「…わざとやってるくせに」
(あ、バレてた)
後ろを向いてこちらを睨んでくる先輩の顔は少しだけ赤くなっていて、とても可愛らしい。
「…この前、背中擽ったいって言ってましたもんね」
「あっ…──ッつ、」
バレてしまったのでマッサージはやめて両手でこちょこちょと背中を擽ると、ぎゅうっと枕を握り締めながら体を捩り出した。
本気で暴れられればすぐに負けるだろうが、俺に怪我させちゃいけないと思ってくれているのか、そこまで激しい暴れ方はしない。
それをいいことに、かけていた体重に更に負荷をかけて擽りやすい背中や脇腹をなぞると、面白い位にビクンと跳ねてくれた。
「先輩、意識変えたら効かなくなったって言ってませんでした?今、すごく反応してる気がしますけど」
「…っ、──~~ッッ!」
口を開いてしまうと声が漏れてしまうからか、枕に顔を埋めて堪えていて、その姿はどこか加虐心を煽ってくる。
「柚木先輩?」
クリームで滑りが良くなった背中を中心にゆっくりとなぞると、バタバタと足が動き出した。
ぷるぷると震える体が可愛くて返事するまで背中を攻め続けると、顔は枕に埋めたまま、手探りで後ろに手を伸ばしてきた。
俺の手を掴んで動きを止めさせようとしてるのが分かったので、逆にガシッと手首を掴んでシーツに押さえつけた。
「先輩、今マッサージしてるんですから暴れないで下さい。邪魔する悪い手はこうします」
持参していたタオルを取り出し、先輩の手首を頭上に持っていって下せないように上手く固定してやると、流石に焦ったのか枕から顔を上げてこちらを睨んできた。
「千隼。そんな事していいと思ってる?」
「だってマッサージしてるのに暴れるんですもん」
「マッサージなんかしてないでしょ!外しなさい」
「やです。ちゃんと俺マッサージしてます」
邪魔な手が居なくなったので、背中をゆっくりとなぞった。
「ひぁ……ッ」
ゆっくりと焦らすように背中をなぞりながら、時折横腹や脇の下に手を移動させると、くねくねと腰を捩り出す。
「…っやめ、なさい!」
焦ったように手をバタつかせて暴れ出すと、全く支障はないのでこちょこちょと擽った。
「ひっ……ぅ」
人差し指で何度か背中から腰を往復すると、滑らせる度に腰が跳ねた。
片手で背中、もう片方の手で横腹を擽ると、ついに我慢出来なくなったようで可愛らしい笑い声が聞こえて来た。
「ひっ、…ぁ、はは!あはっ……やめて、やめっ、これ、マッサージじゃないから!!」
ジタバタ暴れながら叫ぶ声は涙が混ざった可愛い声になっており、それもすごく可愛くてつい意地悪したくなる。
サワサワと指を動かしてみたり少し強めに擽ってみたりと色々と試してみると、どれも効くのか声が段々と大きくなってきた。
「ぁはっ、ぁははははぁ…!外してぇ……!タオル外してっ…だめ、ぁははっ」
暴れる先輩の背中に人差し指を添え、ゆっくりと「やです」と書いてみた。
「ひゃぁっ……んん、」
「今、文字書いてみたんですけど」
「え…?なんて…っ」
「じゃあもっかい書くので当ててみて下さい。間違えたら暫く擽りますね」
「はぁっ? 何言って──あ…っ」
わざと難易度を上げるために、少し早いペースで「柚木せんぱい可愛いです」と書いてみた。最悪当てれたとしても自分のことを可愛いという先輩も見てみたい。
「ちょっ……早い、もっと…ゆっくり書いてよ……っ!」
「はい、アウトです」
「ひゃあああああ!!」
お仕置きとして脇腹をツンツンと突いてみると面白いくらいに跳ねてくれたので、暫く突く攻撃をしながらたまに揉んでみたり背中をサワサワと擽ってみたりと様々な刺激を与えた。
「ぁははははは!! やだぁっ、やだ…!擽ったい!!やめてぇぇっっ」
「さっき文字当てれなかった罰です」
「ひゃははははは!!千隼のばかっ…!!後で、覚えてなよ…っ、もぉっ、やめてっ、ぁはははは!」
「じゃあもう一回書きます。ちゃんと答えて下さいね?」
指を止めて暫く休憩を与えると、先輩は荒い息を吐きながらプルプルと体を震わせていた。後ろから見える耳や首は赤くなっており、やけに色気があった。
少しだけ落ち着いたところで人差し指を背中へくっつけると、それだけでビクンと跳ねた先輩の体は、もうかなり出来上がってきているのが分かる。
『柚木せんぱいの、いちばん、よわいところは?』
一文字ずつゆっくりと書いていくと、先輩も文字を理解しているのが、ぐっと拳を握り締めたのが見えた。
「柚木先輩。──教えて下さい」
「……っ、俺、くすぐられるのは……首とか、脇、とか……背中も最近すごい弱いって気付いた…。あとは首も擽ったい……ほら!ちゃんと答えたから!!タオル外して!」
「折角弱点聞いたのに攻めないなんて、もったいなくないですか?」
「はぁ…?ちょ、やっ、…ああぁっ」
サワサワと後ろから首筋を擽ってみると、面白いくらいに反応を示してくれた。首筋を擽りながら背中をなぞり、その後はこちょこちょと不規則な動きで脇を擽った。
「──ッ、ぁ"あああああ!!ぁはははははは! だめ!ダメだってば!!やめっ、ひゃぁぁぁああ!!」
バタバタと激しく暴れる体を押さえつけて暫く申告してくれた弱点を責め立てると、次第に声が甘いものへ変わってきた。
顔を覗くと、涎を垂らしながら熱い吐息を吐いており、瞳には涙も浮かんでいた。
(──可愛い)
そう思って口を開こうとすると。
「柚木先輩。今度訓練で使用する予定の薬が出来たらしくて、篠田さんから受け取りました。って……えええ?」
ノックと共に入ってきたのはマッサージクリームと同じような軟膏容器を手にした由麗くんだった。
「あっ、由麗ぁ!由麗助けて…っ!千隼が、襲ってくんの!!」
柚木先輩にとって救世主に見えたのか、タオルで固定された腕をバタバタと主張させながら必死に助けを乞うた。
(やばいかな)
正直、柚木先輩が大大大大大大大大大大大大好きな由麗くんを前に、今の状況は宜しくない。
気まずくて目を逸らして居ると、由麗くんは無言で俺の方へやってくると、冷静な口調で言った。
「千隼。よくやった」
「…え?」
「…は?」
俺と柚木先輩の声が重なったが、由麗くんは気にせずに口を開いた。
「わざわざ篠田さんから薬を受け取ったのは、この前のお礼がしたかったからです。千隼、柚木先輩のこと仰向けにして、腕押さえてて。俺足押さえるから」
「ちょ…お礼って何?」
「貞操帯生活のお礼です。元はと言えば俺が悪かったのかもしれませんが、流石にやりすぎなので、お返ししたくなって。それでわざわざ篠田さんから薬を受け取ったんです」
「──っ」
ぐるんと柚木先輩の体を反転させて腕を押さえると、言葉通り由麗くんは柚木先輩の足元へ移動した。
由麗くんの勢いは凄まじく、暴れる前にズルッと下着ごとズボンを脱がすと、一番恥ずかしい場所を曝け出した。
「!?」
マッサージのために上も脱いでくれていたので、現在全裸になってしまった柚木先輩はカァッと一気に顔を赤らめると、必死に暴れ出した。
「由麗!この前はあれで完結したじゃん!何すんの!!」
「だってこんな最高なシチュエーション、もうないでしょうし。まぁ何でこんなことになったかあとで千隼に説明させるけど」
足の間に入り込んだ由麗くんは、柚木先輩のアレを掴むとニヤッと笑った。擽っていただけだが、随分甘い声を出していたし少しは反応しているかと思いきや、先輩の先輩は見るからに柔らかそうだった。
「……っ」
急所を掴まれ、挙句足を閉じることが出来ない先輩は耳まで赤く染めながらプイッと顔を逸らした。
「さっきから触りすぎ。変態。貞操帯つけるなら、さっさとつけなよ」
強がってはいるものの、先輩の声は羞恥と不安で少しだけ震えている気がした。
「貞操帯の購入方法分からなかったんで、つけませんよ。何でわざわざ俺が篠田さんから薬受け取ったと思います?──先輩に試してあげるためです」
「はぁ? 訓練用の薬でしょ? それは流石に──」
「もちろんそんなことしません。篠田さんに余分に下さいって言ったらくれたんですよ」
「篠田ぶっ飛ばすか」
「あとでぶっ飛ばしてあげて下さい」
由麗くんの所為でぶっ飛ばされることが確定した篠田さんを不憫に思いながら、容器を開けて指に拭うと、先輩の股間に塗り始めた。
(媚薬かな?)
様子を見ることしか出来なかったので眺めていると、特に先端にたくさん塗りたくっていた。
「千隼。先輩の乳首に塗ってやって」
パシッと薬が渡されたので、言われた通り人差し指で拭って全く反応していない先輩の乳首へ塗ると、弄るだけで気持ち良かったのか、先輩は小さく体を捩った。
(可愛い)
反応に気分を良くした俺は爪でカリカリと乳首を引っ掻いてやると、我慢出来なかった可愛い声が部屋に響く。
「ぁ、……触んな、ばかぁ」
破壊力のある"バカ"にズキュンとしていると、薬をつけた指が何やら痒くなり始めた。
「千隼。それ、痒くなる薬だからこれで抜き取りな」
「えぇ…早く言ってよ由麗くん…!痒い!」
「俺も痒いんだよ」
「由麗くんは知っててやったんだからいいじゃん!」
すぐに指からクリームを取り除いても、ムズムズとしたような痒みが続いた。
──指だけでこんなに痒いなら。
そう思って先輩をみると、ポロポロ泣きながら体を捩らせて歯を食い縛っていた。
「柚木先輩。覚えてます?前、俺にくっそ痒い薬塗って追い詰めたこと」
「…っ、あぁ、あったね。その仕返しも含んでるんだね。了解」
先輩の答えに、由麗くんは興奮したような──不思議な表情を浮かべながら、ゆっくりと先輩のモノを擽り出した。
「ぅぁ…っ」
「…俺の指も痒いけど、ここに塗られたら辛いでしょ」
ビクンッと激しく跳ねて暴れる先輩の体を押さえて執拗に敏感な場所を撫でる由麗くんの顔は、かなり欲情しているように見える。
(すぐに拭き取ってもまだ痒いのに……)
ポリポリと自分の指を掻きながら眺めていると、柚木先輩はめちゃくちゃ甘い声を出しながら暴れ出したので、宥めるように肌を撫でるとそれにも大袈裟に体が反応した様子。
「やだぁ…っ、痒い、触んないで…っ」
「こうしたらもっと痒くないですか?」
陰茎を握って自身を立たせて、人差し指でクルクルと先端を刺激する由麗くん。痒みを知った俺からしたら、頭がおかしくなってしまう刺激が予想出来、ごくんと唾を飲んだ。
もちろん柚木先輩の体にも大ダメージなようで、激しく腰を浮かせながら必死に逃げようとしてるのが分かる。
「ひゃぁぁぁぁぁあ!! それっ…や"だぁぁぁああ!!」
初めてに近い先輩の絶叫。それでも由麗くんはやめる様子を見せず、わざと優しい刺激ばかりを送り続けていた。
「あ"ッ、あぅ……っ、ひぁぁ!!やぁぁ!!痒ぃ…っ、だめ、ゆま!ゆまぁぁっ、やめてっ、薬取って…!!」
「だーめ。先輩だって俺のこと散々いじめたじゃん」
「それはっ、訓練…っだったからっ…ぁ、あああ"っ、だめ、待って──!ちょ、ダメ…っ!!出ちゃう!出る!離して…ッ」
「先輩、俺の前ではイクの我慢しますもんね。──けど、これ出さないと効果切れないから、イッた方がいいと思いますけど」
「──~~っ、か、なぃ……」
「ん?」
「イカねぇよバカ!! とっとと離し──っ、ぃああ!?」
荒げた口調の先輩が珍しくて、もっと追い詰めたくなって俺も参戦すると、柚木先輩は目を見開いて俺を見た。
「イカないと痒いままなんですよね?俺も手伝いますね」
さっきたっぷりとクリームを塗った乳首を人差し指で触れるか触れないかの強さで擽ると、柚木先輩は呆気なく欲を吐き出していた。俺が参戦すると思わなかったから、油断していたのかもしれない。
「ひゃぁぁぁあっ、ぁあぁぁっ、」
一度イッてしまえば体は敏感になってしまうのは経験上よく分かる。由麗くんも俺も指の動きを止めずに擽ったくて痒みを増幅させるような刺激を加え続けると、先輩は泣きじゃくりながら俺たち二人に許しを乞い始めた。
「ごめっ、許してっ、今、ッ…触んな、ぃでっ…ぁ、やぁぁぁあ!、イク…っ、ゆま!!離し──ッ、~~」
ビクンビクン、と体を痙攣させると二度目の欲が放たれた。
「…柚木先輩、可愛い…やば…」
変態のような言葉を吐きながら由麗くんは柚木先輩自身を刺激し、もう片方の手でグリグリと下の方を触っていた。
(今擽ったらどうなるんだろう)
乳首から指を離して両方の脇の下に指を添えてこちょこちょと擽ってみると、今までにないくらいに大きく反応してくれた。
「ひゃぁぁはははッッ!? なに、すっ、──ぁ、ああぁやだぁぁぁっ、やはぁぁっ、!!」
「千隼もなかなか鬼畜だな」
「由麗くん程じゃないよ」
脇の窪みを弄ったり、ぷっくり膨らんだ乳首を忘れた頃に弾いたり、首筋を優しくなぞったりしていると、由麗くんは由麗くんで先っぽや裏筋、鼠蹊部等を撫で回しており、先輩は大きな泣き声を響かせながら何度も絶頂していた。
「柚木先輩。好きです」
「やぁぁあははっ、ぁはっ……はぁぁっ、ぁ」
「ずっと、好きです。先輩」
先輩の妖艶な空気に呑まれたのか、由麗くんは頬を染めながら何度も好きだと伝えていて、柚木先輩はそれに応えたいのかモゾモゾと腕を動かした。抵抗している時とは違う気がしたのでタオルを解いてみると、力無くもその腕は由麗くんの首へ回された。
「っ、………」
ぎゅうっと由麗くんにしがみついた先輩は、何か言葉を発しているようだったが俺には届かなくて。
(いいなぁ。抱き締めたいって思える人がすぐそばに居て)
ぼんやりと浮かんだのは、ニコニコ笑う桃瀬の顔で。少しだけ羨ましいと感じながら抱き締め合う二人を眺めていた。
◇ ◆
「おはようございま──っ!?」
「ぎゃははははは!お前何それぇぇぇぇ!!」
たまたま朝食の時間が一緒になり、未南さんと食事をしていると、思いっきり顔が黒焦げになり、髪の毛がアフロになっている篠田さんが入ってきた。
あまりのことに言葉が出ない俺と、そんな篠田さんを見て大爆笑する未南さんの温度差は激しい。
「もう、笑いすぎですよ未南さん。朝から柚木さんが奇襲かけてきたんです!なんかよく分かんない大砲でぶっ飛ばされたんですよ!怖すぎるんですけど!」
何故そんな大砲を持っていたのかは不明だが、確か昨日篠田ぶっ飛ばすと言っていたな。本当に「ぶっ飛ばした」んだ…。
「あの…実は昨日」
ぶっ飛ばされてもピンピンしている篠田さんに昨日のことを打ち明けると。
「はぁぁ? 由麗くんの所為ってこと!? 柚木さんに使うなんて思わないじゃないですか!足りなくなった時用で必要なのかと思ったから余分に渡したのに!」
「ひゃははははははははは!!」
未だに涙を流しながら爆笑する未南さんに対し、むっと頬を膨らませた篠田さんは、未南さんの顎を持ち上げ──俗に言う顎クイをしてキスする寸前まで顔を近付けた。
「──そんなに笑う未南さんにはお仕置きしますよ」
「ぶっ……ぎゃはははははは!」
「なっ…」
「今のお前のそんな格好でカッコつけられても響かねーよばぁかぁぁぁあ!!あははははは!!」
朝っぱらから激しい会話を聞き、俺は桃瀬と近くに居たいから、とか言う理由ではなく純粋に…
(Daisyに移籍しようかな…)
と思ってしまった。
end.
40
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