一之瀬くんは人気者になりたい【R18版】

オヲノリ

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21.ロリは可愛いとは限らない

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 学校の休み時間に自分の席の近くで霧谷、花岡、春風を含めて数人集まっててその中に仲良くない奴がいて居心地悪く感じる。そいつらが決して悪い訳ではない。
 一之瀬は苦手なタイプの人がいたり人数が多いといつも以上に緊張してしまう。今の状況は前者の方だ。今、気疲れしてるのもあって何とかこの場から離れるタイミングを計っている。

「そーいや、一之瀬って昨日ファミレスにいたよな? 隣にいた可愛い女の子は誰なんだいっ」
「俺達も近く通ってさー、見かけた訳ですよぉ。でさ……だれだれ? 友達?」

「……は?」

 あまり仲良くないクラスメイト二人に突然、話を振られる。そいつらは霧谷関係の友達で騒がしくてパリピっぽくて苦手だ。さっきまで別な話だったのに切り替えが早いなと呆れながらに思った。
 昨日はというと、一緒に過ごした女の子は久しぶりに会った桜井さんしかいない。というか昨日の視線ってお前らだったのかと。

 ぼんやりと考えていたら、『まさか彼女か!?』と真剣な顔で二人に詰め寄られた。彼女ではないが、そんなに一之瀬に彼女がいるのが気に食わないのか。それとも単に好奇心なのか。だが、一之瀬にとってそんなのどちらでもいい。

「どこの高校の子なのかな? その話、もっと詳しく知りたいな」
「お前まで……」

 春風が優しい声で聞きたそうにしている。普段、他の奴には詳細まで聞かないお前まで何でそんなに友人のプライベートを聞きたいのか疑問である。

「一之瀬、それ誰なんだよ!」

 花岡も真顔で詰め寄る。クラスメイト二人と違って圧を感じた。お前、必死過ぎるだろう。

「ダチだ、ダチ」

 一之瀬は面倒臭そうに答える。女子とただ一緒にいただけで、そう繋げたがるかわからない。クラスメイト二人は「何だ、友達かぁ」とか「その女の子紹介してー」とか言われたが、いい子な桜井さんをパリピ野郎に紹介したくない一之瀬は機会があればなと適当に流した。

「本当にただの友達なのか?」
「疑うなよっ。中学の同級だ」

 花岡がまたしつこく真剣に聞いてきた。一之瀬の返しに納得がいかないのか少々不貞腐れ気味だ。霧谷はとーちゃんを信じてやれよぉ、と花岡に声をかけている。

(ここにいても落ち着かねぇな……)

 そろそろもういいかと思い、自分の席から立ち上がり、教室を出て行こうとした。途中、霧谷にどこ行くんだと聞かれた。

「トイレだ」
「……んこか!?」

「小学生かよっ」

 にやにやした霧谷に低レベルな冗談を言われて軽く突っ込んだ。高校生にもなって……んことか……んことか言うなよ。
 そしてこの場を後にした。

***
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