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夏
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しおりを挟む「ねえ、理人くん」
「はい……」
いつもは俺が押し倒されるので、朱鳥さんを見下ろしているのは新鮮で緊張する。
「日焼けした?」
「えっ……」
朱鳥さんに会えた喜びで、日焼けしていたことをすっかり忘れていた。改めて見るとやはり昨日とはまったく色が違う。
「あ、そうですね。一日外にいたので……」
「日焼けした理人くんって、新鮮だね」
俺の頬に両手を伸ばし、包み込むように優しく撫でる。その手のひらが心地よく、さらに疲労や緊張感から解放されたこともあって、少しだけ眠くなってきた。
「ただ、一つ気になることがあるんだけど」
「何ですか?」
眠くてぼうっとしていても、朱鳥さんの声はきちんと耳に届いている。返事をすると、頬を撫でていた手がゆっくりと下に降りていった。その手の動きに合わせて視線を下に向けると、いだすらっ子みたいな笑みを浮かべた朱鳥さんと目が合った。
「ここ、どうなってるの?」
ズボンのウエストの部分を下に引っ張られそうになり、慌てて朱鳥さんの手を掴む。
「ちょっ……」
「水着履いてたところは焼けてないよね?」
「そう、です……! だから見ないっ……で……!」
プールのロッカールームで着替えるとき、自分でもやってしまったと思った。太陽光で肌を焼く場合、当然ながら衣服を着ている部分は焼くことができない。つまり水着を履いていた腰から下、膝から上まではまったく焼けていないのだ。
こういうときに限ってウエストがゴムになっているジョガーパンツを履いているせいで、俺が力を緩めればすぐに脱がされてしまう。必死でウエストを引っ張り上げようとするが、当然ながら朱鳥さんの方が力が強い。
「理人くん」
「……っ!」
「見せて?」
ウエストを引っ張っていた朱鳥さんの左手が、俺の頬を撫で親指が口に入り込んだ瞬間、手の力を緩めてしまった。
「あっ……」
親指で舌をいじられている間に下着ごとズボンをずらされた。腰より少し上のあたりにちょうど日焼けの境目がある。朱鳥さんはその境目を愛おしそうに右手の指先でなぞっていく。
「こうしてみると、結構日焼けしてるね」
「んっ……」
「腹筋もくっきり見えてるし」
腹筋を撫でながらTシャツを軽く捲り上げられる。その間も朱鳥さんの親指が口の中で動いていて、まったく抵抗できない。
「あぁっ、ん……!」
「理人くん、前よりちょっと筋肉ついた?」
話しながらようやく朱鳥さんが顔を上げる。ポロポロと涙が溢れて朱鳥さんの左手を濡らしていく。
「可愛い」
あ、やばい。
普段より低い声で「可愛い」と言うときは、スイッチが入ったときだ。朱鳥さんは上体を起こすと俺の口から指を抜く代わりに、Tシャツの裾を咥えさせた。露わになっている俺の性器を優しく握ると、そのまま上下に手を動かしながら首筋にキスをする。
「んっ……んんっ!!」
シャツを咥えているせいで声を上げることができない。声を上げられない代わりに穴が開きそうなほど強くシャツを噛む。口の端から涎が垂れる。
足に力が入らなくなり、上体を倒してソファの肘掛けに頭を乗せる。それに合わせて朱鳥さんが俺の上に覆い被さる。
きれいに締められたネイビーのネクタイの先がだらりと垂れる。スーツ姿の朱鳥さんに性器を握られているという事実に頭がおかしくなりそうだ。だがこのままイけば、確実にネクタイやシャツを汚してしまう。
「気持ちいい?」
「んっ……!」
「よかった。じゃあ、もっと気持ちよくなろうね?」
朱鳥さんの手の動きが早くなる。下から快楽が湧き上がってきて、すべてを吐き出したい欲求に駆られる。
先を指先でいじられ、胸の突起をがりっと噛めれる。こうなるともう朱鳥さんのネクタイだとか、シャツを着ているとか、そんなことは頭から抜け落ちていて、ただただ欲を出すことでいっぱいだった。
「ん゛っ……あっ、出、る……!」
思わずシャツから口を離してしまった。その瞬間、性器から白濁が散った。どろっと腹部や胸元のあたりに飛び、朱鳥さんの手やネクタイ、シャツを汚す。
「はあっ……はぁっ……!」
「理人くん、可愛い。いっぱい出たね」
朱鳥さんが俺の腹部についたそれを舌で舐めとる。真っ赤な舌に白い液体が溶けていく。ネイビーのネクタイにも同じものがついていて、思わず目を逸らす。
それでも朱鳥さんは何も気にしていないのか、そのまま俺を抱き上げて浴室に連れて行った。
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