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第2章 ファック・パペットの憂鬱

17: サド気質

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 ゑ梨花は自分を興奮させる為に、さらにサド気質を演じる。
 ゑ梨花は身体をずらせて男の下肢にしなだれかかり、男のそそりたったペニスを頬張れる姿勢になった。
 目と鼻の先に、湯気をたてているような昂奮状態の赤黒い先端がある。
 オスの臭いが濃く漂ってきて、鼻を衝く。
 これは、この男を悦ばせるフェラチオではない。

 ゑ梨花自身が、いやリクが楽しむ為の口淫の愛撫なのだ。
 血管の浮き出た怒張したモノを握っているのは、ほっそりとした白い指で、きれいな長楕円形に整えられた爪は、輝くクリムゾンレッドのマニキュアが塗られている。
 自分が見てさえ、男の手指とは信じられない。
 ゑ梨花は、その光景にうっとりとなった。

 そして、唇を開いて舌を伸ばし、黒紫に光る先端の表面を舐めてみる。
 すると、「ああ」と、男の情けない喘ぎが洩れた。
 バカな奴、女装した男にフェラチオされているとも知らずに。
 ゑ梨花は、ぱっくりと自分の口中に、男のペニスを納めた。
 松茸状の形状を口腔で味わうとき、朦朧となるほどの恍惚に見舞われる。
 こればかりは、相手がどんな男であっても同じだ。
 指尻ゑ梨花は男の勃起したペニスが心底好きなのだ。
 それが何を意味するのか、心理的な分析は出来ているが、だからと言って、そんな分析が何の役にたつ。
 理性なんて、糞喰らえ!だった。

 ゑ梨花は、口舌による淫らな遊びに夢中になっていった。
 いったん男のペニスを口から出し、唾液にまみれてヌラヌラ光る先端を眺めていると、やはり、たまらなくなってくる。
 男の肉の軸に、くっきりと残っている自分のルージュの赤い輪が生々しい。
 こんなつまらない男の持ちモノであっても、はちきれんばかりに膨張しているその様子を、間近で眺めると息苦しくなって来る。
 これは自分の倒錯の本性なのか?それともリクの魔法が呼び起こしたものか?

 ゑ梨花は、ペニスの裏にある筋舐めに移った。
 血管の青筋がビキビキと浮かび、発熱し怒張しているシャフトに口唇を這わせてゆく。
 ハーモニカを吹くようにして唇をすべらせ、傘が開いた根本の裏くびれのウィークスポットに舌を強く摺りつけて、特に念入りに攻めてやる。
 そうやって、ハーモニカと呼ばれるフェラで舌を何往復もさせていると、男の尿道口から最初の汁が溢れてくる。
 このブルースハープの泣くような官能的な音色が、リクに届いているだろうか?

 ゑ梨花は、その粘っこい液を、舐めとって味わってみる。
 嘔吐感が伴う、けれど、これは単なるホモ性交を超えた、超アブノーマルな淫欲を満たすためだ。
 さらに、ゑ梨花は、男の太腿の間に顔を突っ込むようにして、玉袋を舐めはじめた。
 むっ、と汚臭が鼻腔に流れこんでくる。
 垢と汗と尿の入り混じった臭いだ。
 男のブタ顔を思い浮かべると、さらに不快感がつのり、逆にゑ梨花に発現した捻れた快感が沸騰してくる。
 男は時折、うう、とか、ああ、とか呻いて、ゑ梨花の濃く淫らなフェラチオに喜悦している。
 けれどこの口による奉仕は、決してこの男を悦ばせるためにやっているのではない。
 こんな奉仕の形で、男を愛して、男に悦んでもらうなんて、笑えてくる。
 ゑ梨花は自分自身が男だからよく判っている。
 何かに打ち込んでいない時の男には、そんな奉仕に値する程の値打ちなど、金輪際ない。
 相手への愛などない、報酬目的とか、あくまでもバーターの対象だ。
 そうでないなら、あくまでもエゴイズム、自分の歪みきった性癖の血を満足させる為だ。
 あるいは、悪魔に処女の生け贄を捧げるように、リクにこの倒錯を捧げるためだ。

 ゑ梨花は、男に半身を起こさせてベッドの枕板にもたれさせ、男の両脚をM字に開かせた。
 そしてゑ梨花は、男の脚の間にぺたんと座り込んだ。
 この格好でフェラチオしてやると、男からは自分の顔面がよく見える。
 艶やかな髪の美少女、この男は、気は強いが若くてとびきりの街娼を買ったと信じているのだから、そういった街娼になりきってやるのだ。

「ほら、生尺してるところをよく見とくのよ」と言って、ゑ梨花は男のペニスを握り、頬にふりかかる髪を手でうしろに梳き流して、舌の表面でペニスの先端の裏側を摺り上げてやる。
 もちろん、自分の涎を垂らしそうなほど淫らに呆けたバカ面をさらしながら。
 キレキレの特上美女の顔が、時にはヒョットコ面になり、淫乱に惚けて歪んでいるのだ、男にとってこれ以上の刺激はないだろう。

 この程度の男を騙して惑わすのは簡単だ。
 だいたい、コートを着たままなのを、未だに不審にすら思っていないのだから、赤子の手をひねるようなものだ。
 女と遊び慣れた男なら、自分の正体をもう嗅ぎつけられているだろう。
 ペニスの先端の裏だけでなく、裏筋を何度も下から上に舐め上げ、その間、もう一方の手の指先でホーデンをくすぐるようにして刺激してやる。
 そうして、男がゑ梨花の口元を注視しているのを確認してから、先端に舌を這わせる。
 チュパチャプスへのレロレロ舐めだ。
 ウーパールーパーの口みたいな鈴口を丹念に責め、ガマンのトロトロ液を啜りながら猥淫にねぶりまわすエリカの赤い口唇を、男に見せつけてやるのだ。

 コートの下では、ゑ梨花のペニスがもう痛いほどに勃起している。
 さっきまで、この男の肉根をアナルで喰わえこんでいた余韻が残っていて、ゑ梨花の快楽曲線は上昇し続けている。
 次は、ぱっくりとチュパチャプスを口中に咥えこみ、吸引と舌でその甘さをこそげ落とす。
 舌の表と裏を使っての回転と、擦り上げ、チュパチャプスはどんどん溶けていく。
 ゑ梨花も男だから、どこをどのように責めればいいのか熟知している。
 ペニスを咥えたままで、顔を前後に動かす。
 女が男に奉仕しているように見えるが、全く逆だ。

 ゑ梨花が主導権を握っている。
 それはいつもの事だ、例えゑ梨花が首輪をつけていてさえも。
 膣穴の代わりに、温かく濡れた口腔で吸って絞めて、、、。
 ドバッ、と爆ぜた。
 男のザーメンの噴射は、ゑ梨花の咽喉の奥を直撃し、さらに口で搾ってやると、次々と濃粘なスペルマが溢れ出て来た。

 リク!これでも、まだ足りないの?


 
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