案山子の物語〜全茨城県民が泣いた実際の物語〜

これは案山子の物語。
 どこから来たのかわからない、どこへゆくのかわからない。
 ただ、案山子はいつもそこにいて、自分では何も決められず、大切な物をいくつもなくし、大事な人を何人も泣かせ、それでも案山子は生きていた。
「僕には考える脳みそがないから、一人では何も決められない。僕には脳みそがないから、周りの皆からバカにされても仕方ないんだ」
 案山子は表情なくそう言った。
 諦めたわけではなく、信じていたわけではなく、静かに自分に言い聞かせるように、噛み砕いて自分に教えてあげるように、もの覚えの悪い子供に言い聞かせるように、案山子は知っているから、この話を誰にしても信じてはもらえないし、この体験を楽しげに話してしまったら嘘つき呼ばわりされることも、それがどんなに辛いことかも、寂しいことかも、案山子は今までの人生で全てわかっていたんだ。
だから
「いらないんだこんなもの」
 彼は脳みそを取り出した。
 それでは始めよう。
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