12 / 180
双子の七五三 2 玉石
しおりを挟む
そろそろ午前4時になろうかという時、一番最後に参拝していた家族が帰って
行った。式神達も篠辺へ戻り、左京も夕霧も片付けを始めていた。
その時、篠辺の狐と東雲の狼が、それぞれの門前に座り、双子の男女を見下ろしていた。手を繋いだ双子も、東西の門を塞ぐ、神達を見上げていた。
互いの姿を確認したところで、両神社の神主と巫女も駆け付けた。
「狐さんと狼さんは、本当に仲が悪いのですか?」
それぞれの神を真っ直ぐに見据えた双子が、声を揃えて尋ねた。
【真っ当ぶった犬など、好かん。】
〖悪趣味な狐とは、反りが合わぬ。〗
互いに、さらりと罵った。
すると双子は
「仲良くする方法を教えてください。」
と頭を下げた。
話を聞くと、双子の両親が喧嘩をして、離婚を考えている状態で、
双子を一人ずつ引き取る話をしているので、仲直りさせたいという事らしい。
「一般的には、子は夫婦の鎹と言いますが、僕は一緒にいるだけでは、ダメなんだと思います。無理に子供が繋ぎ止めても、ご両親の気持ちが通じていなければ、
以前のような家族には戻れません。」
「私も今、お二人に出来る事があるとすれば、ご両親の気持ちが、整理出来るのを
待つだけだと思いますよ。」
東雲の二人が言い、神主が、双子の兄の前へ右手を差し出した。
妹はちらっと兄の顔を見た後、俯いて首を振った。
「たぶん、もう決まってるの。ダメなんだと思う。…分かっていたけど、一緒に
いたかったの。」
泣き声で話した。
「僕達が双子じゃなかったら…違っていたのかも。」
繋いだ手に力を込めた。
「例え、両親とも、兄妹とも離れて暮らす事になっても、君達、双子なら、きっと
大丈夫ですよ。」
「双子だからこそ、お二人に、距離は出来ませんよ。離れて暮らしても、ご両親で
ある事も変わりません。」
篠辺の巫女に続いて、神主も笑顔で伝えた。そして神主が、双子の妹の前まで来て
座り、右手を差し出した。
双子は、少し驚いた顔をしたが、二人の神主に、謝りながら玉石を返した。
これ以上、外で話すのは寒過ぎるので、室内へ行く事にした。
双子には一度、篠辺門を出て、馬酔木鳥居を潜り、東雲の右京が案内し、再び
勝手口より入って来て貰う事にした。
勝手口には、篠辺の夕霧が待っていてくれた。
行った。式神達も篠辺へ戻り、左京も夕霧も片付けを始めていた。
その時、篠辺の狐と東雲の狼が、それぞれの門前に座り、双子の男女を見下ろしていた。手を繋いだ双子も、東西の門を塞ぐ、神達を見上げていた。
互いの姿を確認したところで、両神社の神主と巫女も駆け付けた。
「狐さんと狼さんは、本当に仲が悪いのですか?」
それぞれの神を真っ直ぐに見据えた双子が、声を揃えて尋ねた。
【真っ当ぶった犬など、好かん。】
〖悪趣味な狐とは、反りが合わぬ。〗
互いに、さらりと罵った。
すると双子は
「仲良くする方法を教えてください。」
と頭を下げた。
話を聞くと、双子の両親が喧嘩をして、離婚を考えている状態で、
双子を一人ずつ引き取る話をしているので、仲直りさせたいという事らしい。
「一般的には、子は夫婦の鎹と言いますが、僕は一緒にいるだけでは、ダメなんだと思います。無理に子供が繋ぎ止めても、ご両親の気持ちが通じていなければ、
以前のような家族には戻れません。」
「私も今、お二人に出来る事があるとすれば、ご両親の気持ちが、整理出来るのを
待つだけだと思いますよ。」
東雲の二人が言い、神主が、双子の兄の前へ右手を差し出した。
妹はちらっと兄の顔を見た後、俯いて首を振った。
「たぶん、もう決まってるの。ダメなんだと思う。…分かっていたけど、一緒に
いたかったの。」
泣き声で話した。
「僕達が双子じゃなかったら…違っていたのかも。」
繋いだ手に力を込めた。
「例え、両親とも、兄妹とも離れて暮らす事になっても、君達、双子なら、きっと
大丈夫ですよ。」
「双子だからこそ、お二人に、距離は出来ませんよ。離れて暮らしても、ご両親で
ある事も変わりません。」
篠辺の巫女に続いて、神主も笑顔で伝えた。そして神主が、双子の妹の前まで来て
座り、右手を差し出した。
双子は、少し驚いた顔をしたが、二人の神主に、謝りながら玉石を返した。
これ以上、外で話すのは寒過ぎるので、室内へ行く事にした。
双子には一度、篠辺門を出て、馬酔木鳥居を潜り、東雲の右京が案内し、再び
勝手口より入って来て貰う事にした。
勝手口には、篠辺の夕霧が待っていてくれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる