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VOL:09 類は友を呼ぶ
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アリッサの家、ヘロド男爵家には約束をした日ではないのに令嬢たちが連日詰めかける騒ぎになっていた。
子爵家の夜会を皮切りに、シャロットをあてにした約束を次々に取り付けていたのだが採用試験や夜会だけでなく、デートの日に着ていく服がないなど本来なら親しい友人でもないアリッサに頼むような事でもない願いにも対応をしていたからである。
ヘロド男爵夫人や、兄の婚約者も手頃な服を提示するも「服だけじゃない」と皆が口を揃える。
その日の化粧で会ったり、髪のセット、中には馬車まで貸してもらえることになっていたと言い出す者までいてとても対応しきれない。
「アリッサ!あんた、なんて約束をしてしまっているの!」
「だって…会場に馬車で乗りつけたらカッコいいじゃない」
「だからって!馬車なんか何処にあるっていうの!」
「パルプ家‥‥」
アリッサは「幼いころからライバルだった子が先に結婚する」と涙ながらに訴えてきた女性に「じゃぁ、鼻をあかしてやれば?」と提案した。
女性は身分としては平民だったが、狙っていた男性が自分ではなくライバル視していた女性を選び、結婚する事になった事に腹を立てていた。
『貴女の方が良かったんじゃないか?って思ってくれるわ』
『じゃ、離縁もありってことですか?』
『そりゃ男だって綺麗に着飾って貸馬車のようなボロ馬車でもない馬車で乗りつけて来る女の方が良いに決まってるわ』
なんなら寄せ集めの中から一番豪華に見えるドレスを身に纏う花嫁よりも1ランクも2ランクも上質なドレスでやって来る貴女の方が会場の視線を独り占め!とまで言われたら女性の心はアリッサの言葉に傾いた。
結婚式は2日後なのに一向に連絡も来ないし、その日初めてのドレスがもしパツパツだったりぶかぶかだったら不格好この上ない。打ち合わせもない事に不安を覚えていた時に子爵家の夜会に頼んでいたドレスは結局貸してもらえなかったか話を聞いた。
その次は貴族の家に雇ってもらう試験に着ていくドレスではない服も頼んでいたのに当日になっても連絡がなくドタキャン。慌てて貸衣裳屋で事なきを得たがその後も連絡はなく梨の礫。
慌ててやってきたらアリッサは部屋に引き籠もって右往左往して対応しているのはアリッサの母親と兄の婚約者。馬車までは貸せないと言われて「どういう事だ」と捲し立てた。
強気に出たのはやっぱり馬車まで無料で貸してもらうのは気が引けるとアリッサに金銭を渡していたからでもある。その金額では貸馬車は手配できない金額だったけれどアリッサは金を受け取っていたのだ。
次第にアリッサの評判は前が良かっただけに最悪な程に落ち込んだ。
同時に母親や、兄の婚約者も「なんとかしないと」と謝罪をしつつ奔走したことで家ぐるみだとも言われヘロド男爵家の評判も連動して落ちておく。
アリッサお姉様と慕われた頃は、破落戸を見れば距離を取って「こっちを見ませんように」と遠巻きにする子ばかりだったけれど、類は友を呼ぶ。
アリッサの周りにはお世辞にも良いとは言えない連中がたむろするようになった。
「このままじゃ共倒れだ」
ヘロド男爵夫妻はアリッサを受け入れてくれそうな修道院に問い合わせをしたが、教会で離縁をされた際に子爵家と交わした契約の場が問題でどこも引き受けてはくれない。
途方にくれたのだった。
★~★
次は20時10分です(*^_^*)
美味しい晩御飯、食べてくださいね♡
子爵家の夜会を皮切りに、シャロットをあてにした約束を次々に取り付けていたのだが採用試験や夜会だけでなく、デートの日に着ていく服がないなど本来なら親しい友人でもないアリッサに頼むような事でもない願いにも対応をしていたからである。
ヘロド男爵夫人や、兄の婚約者も手頃な服を提示するも「服だけじゃない」と皆が口を揃える。
その日の化粧で会ったり、髪のセット、中には馬車まで貸してもらえることになっていたと言い出す者までいてとても対応しきれない。
「アリッサ!あんた、なんて約束をしてしまっているの!」
「だって…会場に馬車で乗りつけたらカッコいいじゃない」
「だからって!馬車なんか何処にあるっていうの!」
「パルプ家‥‥」
アリッサは「幼いころからライバルだった子が先に結婚する」と涙ながらに訴えてきた女性に「じゃぁ、鼻をあかしてやれば?」と提案した。
女性は身分としては平民だったが、狙っていた男性が自分ではなくライバル視していた女性を選び、結婚する事になった事に腹を立てていた。
『貴女の方が良かったんじゃないか?って思ってくれるわ』
『じゃ、離縁もありってことですか?』
『そりゃ男だって綺麗に着飾って貸馬車のようなボロ馬車でもない馬車で乗りつけて来る女の方が良いに決まってるわ』
なんなら寄せ集めの中から一番豪華に見えるドレスを身に纏う花嫁よりも1ランクも2ランクも上質なドレスでやって来る貴女の方が会場の視線を独り占め!とまで言われたら女性の心はアリッサの言葉に傾いた。
結婚式は2日後なのに一向に連絡も来ないし、その日初めてのドレスがもしパツパツだったりぶかぶかだったら不格好この上ない。打ち合わせもない事に不安を覚えていた時に子爵家の夜会に頼んでいたドレスは結局貸してもらえなかったか話を聞いた。
その次は貴族の家に雇ってもらう試験に着ていくドレスではない服も頼んでいたのに当日になっても連絡がなくドタキャン。慌てて貸衣裳屋で事なきを得たがその後も連絡はなく梨の礫。
慌ててやってきたらアリッサは部屋に引き籠もって右往左往して対応しているのはアリッサの母親と兄の婚約者。馬車までは貸せないと言われて「どういう事だ」と捲し立てた。
強気に出たのはやっぱり馬車まで無料で貸してもらうのは気が引けるとアリッサに金銭を渡していたからでもある。その金額では貸馬車は手配できない金額だったけれどアリッサは金を受け取っていたのだ。
次第にアリッサの評判は前が良かっただけに最悪な程に落ち込んだ。
同時に母親や、兄の婚約者も「なんとかしないと」と謝罪をしつつ奔走したことで家ぐるみだとも言われヘロド男爵家の評判も連動して落ちておく。
アリッサお姉様と慕われた頃は、破落戸を見れば距離を取って「こっちを見ませんように」と遠巻きにする子ばかりだったけれど、類は友を呼ぶ。
アリッサの周りにはお世辞にも良いとは言えない連中がたむろするようになった。
「このままじゃ共倒れだ」
ヘロド男爵夫妻はアリッサを受け入れてくれそうな修道院に問い合わせをしたが、教会で離縁をされた際に子爵家と交わした契約の場が問題でどこも引き受けてはくれない。
途方にくれたのだった。
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次は20時10分です(*^_^*)
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