我が家の猫は王様である

ネズミ

　龍のお気に入りの玩具の中に、ネズミの玩具がある。尻尾までの長さを入れても、せいぜい１０センチほどの大きさだ。
　それが一番お気に入りの玩具。

　隠していてもいつの間にか見つけてそれを引っ張り出し、持ってくる。まだ包装も解いていないのに。
　どんだけ鼻が利くんだろうね？！

　ネズミの動きを真似て左右に大きく動かしてみたり、その場で上下に動かしてみたり。
　その動きに合わせて走り回ったり噛み付いたりと、なかなかアグレッシブな動きをしてくれる龍。一緒に遊ぶ（遊ばれてる？）のはとても楽しいけど、私が先に飽きたりすることもあるから大変だのだ。
　それくらいお気に入りの玩具である。

　そんなある日、何かを咥えて自慢げに見せに来た。
　その時に住んでいた家は築４０年を超えた建物で、隙間風はもちろんのこと、隙間からＧやらアリやらが入っていくるわ、ヤモリやヘビがいたりと凄い家だった。屋根裏というか、屋根の隙間にはスズメの巣もあったくらいだ。
　龍が来た当初は、トイレですら年代を感じさせる汲み取り式だったのだ。
　まあ、そんな家だからＧを見つけて狩りをし、自慢げに持ってくるので（もちろん口から離して綺麗にしましたとも）それかと思ったら、何やら細長いものが……。

　よくみると、生きたネズミだった。

　内心真っ青になりながらも仕事で使う軍手が近くにあったのでそれを手に嵌め、龍からネズミを開放し、外へと逃がしてあげた。
　大きさからして、ヒメネズミとよばれる畑にいるネズミだったらしく、顔はハムスターのように可愛かったのを覚えている。
　だけど、可愛い顔をしていてもさすがに野生のネズミはマズイので、すぐに開放した。もちろん龍を褒めたけど、二度とネズミは捕ってくるなと思った。
　その二ヵ月後に同じ騒動があったんだけど、それ以降はナマのネズミを見ることはなかった。……Ｇやらヤモリは咥えてきたが。
　今の家はマンションタイプの団地なので、たまーにＧが出るくらいで、それ以外の害虫は見当たらないのが救いか。
　ただ、自然豊かな場所なので、夏はセミが、秋はコオロギや鈴虫が鳴いて、なかなか風情があるところである。



　今の家に来てから。二階なのでセミがよく来るんだけど、その声を狙ってこの有様（笑）