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愛憎のナイフと砂袋
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「高嶺の花」とは彼女のことを指すのだろう。
切れ長でぱっちりとした目。
高い鼻。
すらっとした手足。
モデルのような美しさだ。
それでいて人当たりも良く、大学では彼女の周りに男女問わず常に誰かが一緒にいるのを見かける。
こんなに完璧だと、他の女子に妬まれでもしそうなものだけどな。
そんな完璧すぎる彼女に惹かれる男は多く、僕もその1人だ。
ただ正直、彼女に釣り合うような外面は持ち合わせていない。
目は小さくて目つきが悪い
そのくせ鼻は大きい。
口は小さくて、歯並びも悪い。
それでも、彼女に近づく他の男達に負けない魅力はあると思ってる。
これまで他人からは「優しい」と言われることが多かった。
だから、もし僕が彼女と付き合えたら、できるだけ優しく接してあげられると思う。
顔が良くても優しくできなければ意味がないだろう。
それに、僕は絶対に浮気をしない。
1人の人を死ぬまで愛し続ける自信がある。
彼女を好きになったのは、3年生になったばかりの頃だ。
初めて同じ授業、同じクラスになったのだった。
1年生の時から同じ授業を取る機会はあった。
しかし、学年全員が同じ先生に教わるのではなく、入学直後に受けたテストの成績によって3つのクラスに分けられたのだった。
僕は成績が良くなかったので1番下のクラス。
それに対して彼女は1番優秀なクラスに分けられた。
才色兼備とはまさにこのことだろう。
そんな経緯もあり、実際に彼女と話ができるようになったのも3年生が初めてだった。
彼女はいつも、僕に明るく話しかけてくれる。
とても楽しそうに話をする彼女のおかげで、人と話すのが苦手な僕でも晴れやかな気分になる。
こんな良い人、他にいない。
だからこそ、この人には幸せになってほしい。
僕ならそれができる。
想いを伝える機会を探す中、彼女に関する噂を何度か耳にした。
「あの子、医学部の先輩と付き合ってるんだって」
確かに最近、彼女が他の学部の男と一緒にいるところをよく見かける。
ただ、付き合っているなんてあり得ないだろう。
確かにそいつはイケメンだと思うけど、髪を染め、眉毛も剃っていてチャラチャラしている。
きっとそのうち浮気でもしそうな雰囲気だ。
暴力も振るうんじゃないだろうか。
少なくとも彼女が好きになるような男じゃない。
彼女はもっと、内面の良さを見るはずだ。
しかし、他にも言い寄る男はいるはずだ。
僕は近いうちに、想いを伝える決心をした。
「僕と、付き合ってください」
勇気を振り絞り、心の底で秘めた想いを伝えた。
僕は今、彼女の住むアパートの部屋の玄関にいる。
これまで何度か一緒に帰ることがあったから、場所は覚えていた。
「告白するなら邪魔をされないように」と考えた結果、大学よりも彼女の家のほうがいいと考えた。
そしてクリスマスが近くなった今日、実行に移したのだった。
彼女はとても驚いていた。
確か、昔やった恋愛ゲームには「『高嶺の花』すぎて告白する人がいない」キャラがいたっけ。
きっと彼女も告白されるのは初めてなのかもしれない。
それに、女子はサプライズが好きだと聞いた。
サプライズ、かつ初めての告白。
彼女にとってはこの上ない幸せの瞬間だろう。
そして僕にとっては初めての彼女だ。
なんて幸せなのだろうか。
しかし、彼女の返事は予想とは異なっていた。
「ごめんなさい」
・・・・・・は?
「私、貴方のことよく知らないし、ちゃんと話をしたこともないし。家も教えたことないよね。それに、その・・・・・・付き合っている人もいるから」
付き合っている人って、この前一緒にいるところを見かけたあのチャラい男か?
まさか本当に付き合っているとは思わなかった。
「いやほら、月曜日と金曜日に同じ授業を取ってるじゃないか。いつも話しかけてくれて、嬉しいんだよ。それに僕と話すときは楽しそうに笑っているじゃないか。付き合ってる人って、あのチャラチャラしたやつ? あんなやつと付き合ってるの? やめたほうがいいよ。ああいうやつが、結婚したら奥さんに暴力を振るったり浮気したりするんだから。それに対して僕は周りから『優しい』ってよく言われるし、君を絶対幸せにできる。遊びじゃなくて、ちゃんと結婚も考えてる。考え直してくれないかな」
緊張と混乱でいつも以上に早口になっているのがわかる。
それでも、僕の想いはちゃんと伝わったはずだ。
だから絶対良い返事をもらえる。
大丈夫。
しかし、それに対して彼女が口にした言葉は、僕をとても驚かせた。
「・・・・・・気持ち悪い」
怒鳴られたわけではない。
かといって泣き叫ばれたわけでもない。
ただぽつりと、吐息が漏れたかのような小さな声で口から出ただけ。
それだけなのに、僕の中で新たに湧き出た感情を抑えていた心中の堤防は決壊した。
僕の「優しさ」なんて、簡単に吹き飛んだ。
「やめて!」
私が漏らしてしまった言葉を聞いた彼は表情がこわばり、すぐに鬼のような形相に変わった。
そして私の髪を掴み、恨み言を吐く。
「お前もかよ・・・・・・」
「痛い、やめて!」
彼は怒りにまかせて私の髪を掴んだまま揺さぶり、恨みを吐き出し続ける。
「うるせえ・・・・・・うるせえうるせえ、うるせえんだよ!てめえも他の馬鹿な女と同じかよクソが!」
「落ち着いて。今日のことは誰にも言わないから、もうこれ以上は」
本心だった。
とにかく、私はすぐにこの人生で一番と言える恐怖の出来事を終わらせたかった。
しかし、私の想いは彼に届かなかった。
「何が落ち着けだよおい!お前のせいだ!お前が俺を傷つけたからこうなってるんだろ!」
「うっ・・・・・・」
髪を掴まれたまま床に倒され、馬乗りになった彼が私の顔を殴る。
「死ね、死ねよブスが!」
「やめて・・・・・・やめて・・・・・・」
彼は何度も、私の顔を殴り続けた。
鼻から熱い液体が溢れ出ているのがわかる。
顔が、身体が熱い。
とても痛い。
何度も殴られた所為で、次第に頭がぼーっとしてくる。
そして彼の視線がふと、キッチンへ向いた。
まずい。
たしか、包丁を出したままだ。
もし本当に私を殺すつもりだったらどうしよう。
意識が遠のく中、おぼろげながらも不安を抱いた。
そして、その不安は的中してしまった。
彼は早足でキッチンに向かい、置いてあった包丁を手に取り、再び私のところへ戻ってくる。
逃げようにも身体がいうことを聞かない。
「地獄に落ちろよクズが」
彼は再び、横たわる私に跨がり包丁を振り上げる。
殺される。
そう思った。
「嫌だ嫌だ、お願いだから・・・・・・。なんでもするから命は、命だけは・・・・・・」
声を振り絞り、必死で命乞いをした。
まだ死にたくない。
「自業自得だろうが!死ね!地獄に落ちろ!」
ダメだ、殺されちゃう。
死にたくない死にたくない。
意識が朦朧とする中、私は力を振り絞り必死に叫んだ。
「嫌だ嫌だ嫌だ。誰か助けて!和美、和美!助けて!」
「部屋で住人が死んでいる」と通報を受け、現場に急行した。
刑事として働いてきて長い年月が経っているものの、ここまでひどい現場はそう多くなかったはずだ。
被害者の服は血で真っ赤に染まっている。
傷口もパッと見ただけでは正確な数がわからないものの、10、いや20箇所はあるかもしれない。
顔にも複数痣がある。
犯人は被害者に、相当な恨みを持っていたのだろう。
床に敷かれたラグは彼女の血でほとんど真っ赤に染まっていた。
元は白のラグだったようだ。
微かに白い部分が残っているのでどうにか判断できた。
「凶器はこの包丁で間違いないようです」
現場検証を進める鑑識に告げられる。
「おそらく料理をしているところに犯人が自宅を訪れ、被害者との間で何らかのトラブルになった。夕食のためと思われる食材がキッチンにありました。玄関にも被害者のものと思われる髪の毛がかなり落ちてましたから、犯人に頭を捕まれたか髪を引っ張られて引きずられたか。ただ、被害者とは別人のものと思われる髪の毛も採取されました。顔にも複数痣がありますが、死因は失血死でしょう。30箇所近く刺されてます。血液の量も明らかに多い。まあ、司法解剖の結果次第ですが」
鑑識の小沢の話から自分の推測通りのようだと考えているところに、後輩の舟木が声をかけてきた。
「先輩、こちら第一発見者である大家の朝浦五郎さんと、恋人の前山和美さんです」
舟木の後ろには白髪交じりだが背筋の伸びた初老の男性と、顔が整った、今時の好青年という雰囲気の若い男性が立っていた。
被害者以外の髪の毛が落ちていたと小沢に見せてもらったが、2人のものではなさそうだ。
さて、第一発見者、ましてや、片や恋人という特別な関係性でショックは相当なものだと思うが、立場上まず聞かなくてはならないことがある。
彼らの心情にできるだけ気を遣いながら、発見時の状況を聞き取ろうと口を開く。
ところが先に、恋人の前山という男性が口を開く。
「刑事さん、俺知ってること何でも全部話すんで、できるだけ早く犯人を捕まえてください。彼女、本当に俺だけじゃなくみんなから愛されてて、それなのにこんな死に方迎えるなんて、俺犯人を許せないんですよ!」
両手の拳を強く握り、視線は睨むという表現が思い浮かぶほどこちらにまっすぐ、そして強く向けられている。
きっと彼は、心の底から被害者を愛していたのだろう。
「お気持ちはわかりました。それでは、発見時の詳しい状況をお伺いできますか。犯人逮捕のため、是非力を貸してください」
切れ長でぱっちりとした目。
高い鼻。
すらっとした手足。
モデルのような美しさだ。
それでいて人当たりも良く、大学では彼女の周りに男女問わず常に誰かが一緒にいるのを見かける。
こんなに完璧だと、他の女子に妬まれでもしそうなものだけどな。
そんな完璧すぎる彼女に惹かれる男は多く、僕もその1人だ。
ただ正直、彼女に釣り合うような外面は持ち合わせていない。
目は小さくて目つきが悪い
そのくせ鼻は大きい。
口は小さくて、歯並びも悪い。
それでも、彼女に近づく他の男達に負けない魅力はあると思ってる。
これまで他人からは「優しい」と言われることが多かった。
だから、もし僕が彼女と付き合えたら、できるだけ優しく接してあげられると思う。
顔が良くても優しくできなければ意味がないだろう。
それに、僕は絶対に浮気をしない。
1人の人を死ぬまで愛し続ける自信がある。
彼女を好きになったのは、3年生になったばかりの頃だ。
初めて同じ授業、同じクラスになったのだった。
1年生の時から同じ授業を取る機会はあった。
しかし、学年全員が同じ先生に教わるのではなく、入学直後に受けたテストの成績によって3つのクラスに分けられたのだった。
僕は成績が良くなかったので1番下のクラス。
それに対して彼女は1番優秀なクラスに分けられた。
才色兼備とはまさにこのことだろう。
そんな経緯もあり、実際に彼女と話ができるようになったのも3年生が初めてだった。
彼女はいつも、僕に明るく話しかけてくれる。
とても楽しそうに話をする彼女のおかげで、人と話すのが苦手な僕でも晴れやかな気分になる。
こんな良い人、他にいない。
だからこそ、この人には幸せになってほしい。
僕ならそれができる。
想いを伝える機会を探す中、彼女に関する噂を何度か耳にした。
「あの子、医学部の先輩と付き合ってるんだって」
確かに最近、彼女が他の学部の男と一緒にいるところをよく見かける。
ただ、付き合っているなんてあり得ないだろう。
確かにそいつはイケメンだと思うけど、髪を染め、眉毛も剃っていてチャラチャラしている。
きっとそのうち浮気でもしそうな雰囲気だ。
暴力も振るうんじゃないだろうか。
少なくとも彼女が好きになるような男じゃない。
彼女はもっと、内面の良さを見るはずだ。
しかし、他にも言い寄る男はいるはずだ。
僕は近いうちに、想いを伝える決心をした。
「僕と、付き合ってください」
勇気を振り絞り、心の底で秘めた想いを伝えた。
僕は今、彼女の住むアパートの部屋の玄関にいる。
これまで何度か一緒に帰ることがあったから、場所は覚えていた。
「告白するなら邪魔をされないように」と考えた結果、大学よりも彼女の家のほうがいいと考えた。
そしてクリスマスが近くなった今日、実行に移したのだった。
彼女はとても驚いていた。
確か、昔やった恋愛ゲームには「『高嶺の花』すぎて告白する人がいない」キャラがいたっけ。
きっと彼女も告白されるのは初めてなのかもしれない。
それに、女子はサプライズが好きだと聞いた。
サプライズ、かつ初めての告白。
彼女にとってはこの上ない幸せの瞬間だろう。
そして僕にとっては初めての彼女だ。
なんて幸せなのだろうか。
しかし、彼女の返事は予想とは異なっていた。
「ごめんなさい」
・・・・・・は?
「私、貴方のことよく知らないし、ちゃんと話をしたこともないし。家も教えたことないよね。それに、その・・・・・・付き合っている人もいるから」
付き合っている人って、この前一緒にいるところを見かけたあのチャラい男か?
まさか本当に付き合っているとは思わなかった。
「いやほら、月曜日と金曜日に同じ授業を取ってるじゃないか。いつも話しかけてくれて、嬉しいんだよ。それに僕と話すときは楽しそうに笑っているじゃないか。付き合ってる人って、あのチャラチャラしたやつ? あんなやつと付き合ってるの? やめたほうがいいよ。ああいうやつが、結婚したら奥さんに暴力を振るったり浮気したりするんだから。それに対して僕は周りから『優しい』ってよく言われるし、君を絶対幸せにできる。遊びじゃなくて、ちゃんと結婚も考えてる。考え直してくれないかな」
緊張と混乱でいつも以上に早口になっているのがわかる。
それでも、僕の想いはちゃんと伝わったはずだ。
だから絶対良い返事をもらえる。
大丈夫。
しかし、それに対して彼女が口にした言葉は、僕をとても驚かせた。
「・・・・・・気持ち悪い」
怒鳴られたわけではない。
かといって泣き叫ばれたわけでもない。
ただぽつりと、吐息が漏れたかのような小さな声で口から出ただけ。
それだけなのに、僕の中で新たに湧き出た感情を抑えていた心中の堤防は決壊した。
僕の「優しさ」なんて、簡単に吹き飛んだ。
「やめて!」
私が漏らしてしまった言葉を聞いた彼は表情がこわばり、すぐに鬼のような形相に変わった。
そして私の髪を掴み、恨み言を吐く。
「お前もかよ・・・・・・」
「痛い、やめて!」
彼は怒りにまかせて私の髪を掴んだまま揺さぶり、恨みを吐き出し続ける。
「うるせえ・・・・・・うるせえうるせえ、うるせえんだよ!てめえも他の馬鹿な女と同じかよクソが!」
「落ち着いて。今日のことは誰にも言わないから、もうこれ以上は」
本心だった。
とにかく、私はすぐにこの人生で一番と言える恐怖の出来事を終わらせたかった。
しかし、私の想いは彼に届かなかった。
「何が落ち着けだよおい!お前のせいだ!お前が俺を傷つけたからこうなってるんだろ!」
「うっ・・・・・・」
髪を掴まれたまま床に倒され、馬乗りになった彼が私の顔を殴る。
「死ね、死ねよブスが!」
「やめて・・・・・・やめて・・・・・・」
彼は何度も、私の顔を殴り続けた。
鼻から熱い液体が溢れ出ているのがわかる。
顔が、身体が熱い。
とても痛い。
何度も殴られた所為で、次第に頭がぼーっとしてくる。
そして彼の視線がふと、キッチンへ向いた。
まずい。
たしか、包丁を出したままだ。
もし本当に私を殺すつもりだったらどうしよう。
意識が遠のく中、おぼろげながらも不安を抱いた。
そして、その不安は的中してしまった。
彼は早足でキッチンに向かい、置いてあった包丁を手に取り、再び私のところへ戻ってくる。
逃げようにも身体がいうことを聞かない。
「地獄に落ちろよクズが」
彼は再び、横たわる私に跨がり包丁を振り上げる。
殺される。
そう思った。
「嫌だ嫌だ、お願いだから・・・・・・。なんでもするから命は、命だけは・・・・・・」
声を振り絞り、必死で命乞いをした。
まだ死にたくない。
「自業自得だろうが!死ね!地獄に落ちろ!」
ダメだ、殺されちゃう。
死にたくない死にたくない。
意識が朦朧とする中、私は力を振り絞り必死に叫んだ。
「嫌だ嫌だ嫌だ。誰か助けて!和美、和美!助けて!」
「部屋で住人が死んでいる」と通報を受け、現場に急行した。
刑事として働いてきて長い年月が経っているものの、ここまでひどい現場はそう多くなかったはずだ。
被害者の服は血で真っ赤に染まっている。
傷口もパッと見ただけでは正確な数がわからないものの、10、いや20箇所はあるかもしれない。
顔にも複数痣がある。
犯人は被害者に、相当な恨みを持っていたのだろう。
床に敷かれたラグは彼女の血でほとんど真っ赤に染まっていた。
元は白のラグだったようだ。
微かに白い部分が残っているのでどうにか判断できた。
「凶器はこの包丁で間違いないようです」
現場検証を進める鑑識に告げられる。
「おそらく料理をしているところに犯人が自宅を訪れ、被害者との間で何らかのトラブルになった。夕食のためと思われる食材がキッチンにありました。玄関にも被害者のものと思われる髪の毛がかなり落ちてましたから、犯人に頭を捕まれたか髪を引っ張られて引きずられたか。ただ、被害者とは別人のものと思われる髪の毛も採取されました。顔にも複数痣がありますが、死因は失血死でしょう。30箇所近く刺されてます。血液の量も明らかに多い。まあ、司法解剖の結果次第ですが」
鑑識の小沢の話から自分の推測通りのようだと考えているところに、後輩の舟木が声をかけてきた。
「先輩、こちら第一発見者である大家の朝浦五郎さんと、恋人の前山和美さんです」
舟木の後ろには白髪交じりだが背筋の伸びた初老の男性と、顔が整った、今時の好青年という雰囲気の若い男性が立っていた。
被害者以外の髪の毛が落ちていたと小沢に見せてもらったが、2人のものではなさそうだ。
さて、第一発見者、ましてや、片や恋人という特別な関係性でショックは相当なものだと思うが、立場上まず聞かなくてはならないことがある。
彼らの心情にできるだけ気を遣いながら、発見時の状況を聞き取ろうと口を開く。
ところが先に、恋人の前山という男性が口を開く。
「刑事さん、俺知ってること何でも全部話すんで、できるだけ早く犯人を捕まえてください。彼女、本当に俺だけじゃなくみんなから愛されてて、それなのにこんな死に方迎えるなんて、俺犯人を許せないんですよ!」
両手の拳を強く握り、視線は睨むという表現が思い浮かぶほどこちらにまっすぐ、そして強く向けられている。
きっと彼は、心の底から被害者を愛していたのだろう。
「お気持ちはわかりました。それでは、発見時の詳しい状況をお伺いできますか。犯人逮捕のため、是非力を貸してください」
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