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番外その3-ギル編『かっこいいままでいさせて』
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──あっ、すごい! もっと、もっと、奥まで……っ!!
(嘘だろ。なんでこのタイミングなんだ。家でヤれよ)
ギルベルトは顔も名前も知らない二組のカップルを恨んだ。
シュリは目を泳がせながらも何事もないように会話を続行させている。
「そ、それでさー、この間リュカと一緒に新しい尻尾カバーを買いに行ったんだ。今までどの店も大体白とかブチ系のやつしか置いてなかったんだけど、この間初めて真っ黒な尻尾カバーが売ってるのがあって」
「へ、へえ……、随分色んな種類があるんだな。今度見せろよ」
──君のココ、どうなってるんだ? 見せてみてくれ
──見てっ、あっ、私のココっ、すごいことになってる……っ
「……………」
「……………」
「あ、ああ。今度見せる……で、でも俺はあえて白いやつにして、リュカが黒いやつを買ったんだ。交換、しようって……ことにして……それで、ええと……ええと」
いつもだったら食いついて聞くような、シュリの可愛らしい話がもう頭に入ってこなかった。
シュリは目を泳がせるどころかぐるぐると回していて、尻尾を大きく振っている。バシン、バシンと尻尾が床を叩く音が響いていた。
その真っ赤な顔。隣からのセックスの声。酒で溶かされた理性。その全てが、妙な気分にさせた。
子供の頃からもう長いこと我慢していて、限界だった。
「あの、それで。それでな……それで……」
シュリが必死に、話題を捻りだそうとしている。会話が途切れることを恐れているようだ。
ギルベルトは自身が激しく興奮しているのが分かっていた。
シュリもまた、彼に半分流れる猫の血が、動物的本能で危機を感じているのかもしれない。
結局、何も言葉が思いつかなかったのだろう。シュリは気まずさに耐えかねたようにすくっと立ち上がった。
「お、俺、コンラートの様子を見てくる!」
走り出そうとして大きく揺れた尻尾を反射的に掴んだ。
「フギャッ!?」
驚いたのか、手の中でぶわりと尻尾の毛が逆立つ。
「なっ、なんだよ?」
シュリが戸惑った顔でこちらを見る。
兄はシュリに一生消えない傷を彼の無垢な心に残した。
臆病な自分は、キス一つもしたことがない。まるでフェアではない。
自分もこのまま酒のせいにして押し倒したら、シュリは受け入れてくれるのだろうか。
最低な考えが、心の奥からどろりと垂れてくる。
「ギル……?」
ギルベルトは、自分を戸惑いながらもまっすぐに見つめる銀の目から逃れるように視線を落とすと、艶々とした尻尾を見つめた。
一年前、同じように宿で一晩を明かした時、彼の尻尾はボロボロだった。それが今では、とても美しいビロードのような毛並みになっていて、高貴な血筋の猫と誰もが思うような姿になっていた。
あの時、一生この恋が報われなくてもいい、憎まれてもいいと覚悟を決めて、彼に思いを打ち明けた。その決意はどこに行ったのだろう。
自分自身も含め、彼を傷つける全ての者が憎かったのに、またそこに戻るのか。
(なにが〝フェアじゃない〟だ。思いあがるなよ。シュリがジークに抱かれたのは、ジークのことが好きだったからだ)
そう自分に言い聞かせると、ギルベルトはシュリの尻尾から手を離した。
「シュリ」
「?」
「気持ち悪い……」
「!?」
ウッと口を押えると、シュリは慌てて肉球で背中をさすってくれた。
このタイミングで、猛烈な吐き気が来るとは、なんと間が悪いのだろう。もし欲望に負けてシュリを押し倒していたら、悲惨なことになっていた。
「ギル! 大丈夫か?! とにかく、横向きに寝ろ!」
「う……っ」
「吐いてもいいぞ」
シュリは覚悟を決めたようにふさふさした両腕をギルベルトの顔の前に持っていき、受け止めようとしてくれた。
「いや、さすがにそれは大丈夫だ。 ……? シュリ? 何してんだ」
シュリがギルベルトの腹だか肝臓だかの辺りを一定のリズムでポムポムと叩きながら「シイ・シイ・ポムテ」と呟いた。
叩くと言っても、肉球なので全く痛くない。
「具合悪いのを抑えるリューペンのおまじない。小さい頃俺、よくお腹痛くしててレレラから教えてもらったんだ。気休めでも、結構楽になってさ。二日酔いにも聞くかも」
「確かに、なんかよくなってる気がする」
「本当か!? 他に具合悪いとこは?」
「頭も痛え……」
するとシュリは、額の上にも肉球をポテッと乗せてくれた。
(なんだこれ……最高に幸せだ)
シュリはしばらくの間、ギルベルトの額や腹をポムポムと叩いてまじないをかけていたが、ふと不思議そうな顔をして首を傾げた。
「……? なんか入ってる」
グラウプナー像前の広場で、怪しい外国人から買った〝魔法のインク〟だろう。胸ポケットにしまったままだった。
渡す気はなかったが、見つかってしまったのなら隠すのは不自然だ。
ギルベルトはポケットに手を突っ込んで取り出すと、シュリに差し出した。
「綺麗……って、え? 俺にくれるのか?」
随分可愛らしくラッピングしてあるそれに、シュリが目を輝かせた。
「そんなの他に誰に渡すんだよ」
「あ、ありがとう……中、見てもいいか?」
「ああ」
シュリは嬉しそうに中を開けた。
「インク……?」
「お前、いつも手紙に肉球スタンプくれるから……やる」
「あ、ありがとう。でも、これ透明だぞ?」
「魔法のインクなんだ。〝その日の気分〟で色が変わるらしい」
するとシュリはピンッと尻尾を立てて嬉しそうに笑った。
「面白いな! ありがとう。さっそく、帰ったらピグルテで送る」
「……」
シュリの気持ちを、知りたくないけど知りたい。都合の悪い結果が返ってきたら、やっぱりインチキ商品だったと思えばいい。
(嘘だろ。なんでこのタイミングなんだ。家でヤれよ)
ギルベルトは顔も名前も知らない二組のカップルを恨んだ。
シュリは目を泳がせながらも何事もないように会話を続行させている。
「そ、それでさー、この間リュカと一緒に新しい尻尾カバーを買いに行ったんだ。今までどの店も大体白とかブチ系のやつしか置いてなかったんだけど、この間初めて真っ黒な尻尾カバーが売ってるのがあって」
「へ、へえ……、随分色んな種類があるんだな。今度見せろよ」
──君のココ、どうなってるんだ? 見せてみてくれ
──見てっ、あっ、私のココっ、すごいことになってる……っ
「……………」
「……………」
「あ、ああ。今度見せる……で、でも俺はあえて白いやつにして、リュカが黒いやつを買ったんだ。交換、しようって……ことにして……それで、ええと……ええと」
いつもだったら食いついて聞くような、シュリの可愛らしい話がもう頭に入ってこなかった。
シュリは目を泳がせるどころかぐるぐると回していて、尻尾を大きく振っている。バシン、バシンと尻尾が床を叩く音が響いていた。
その真っ赤な顔。隣からのセックスの声。酒で溶かされた理性。その全てが、妙な気分にさせた。
子供の頃からもう長いこと我慢していて、限界だった。
「あの、それで。それでな……それで……」
シュリが必死に、話題を捻りだそうとしている。会話が途切れることを恐れているようだ。
ギルベルトは自身が激しく興奮しているのが分かっていた。
シュリもまた、彼に半分流れる猫の血が、動物的本能で危機を感じているのかもしれない。
結局、何も言葉が思いつかなかったのだろう。シュリは気まずさに耐えかねたようにすくっと立ち上がった。
「お、俺、コンラートの様子を見てくる!」
走り出そうとして大きく揺れた尻尾を反射的に掴んだ。
「フギャッ!?」
驚いたのか、手の中でぶわりと尻尾の毛が逆立つ。
「なっ、なんだよ?」
シュリが戸惑った顔でこちらを見る。
兄はシュリに一生消えない傷を彼の無垢な心に残した。
臆病な自分は、キス一つもしたことがない。まるでフェアではない。
自分もこのまま酒のせいにして押し倒したら、シュリは受け入れてくれるのだろうか。
最低な考えが、心の奥からどろりと垂れてくる。
「ギル……?」
ギルベルトは、自分を戸惑いながらもまっすぐに見つめる銀の目から逃れるように視線を落とすと、艶々とした尻尾を見つめた。
一年前、同じように宿で一晩を明かした時、彼の尻尾はボロボロだった。それが今では、とても美しいビロードのような毛並みになっていて、高貴な血筋の猫と誰もが思うような姿になっていた。
あの時、一生この恋が報われなくてもいい、憎まれてもいいと覚悟を決めて、彼に思いを打ち明けた。その決意はどこに行ったのだろう。
自分自身も含め、彼を傷つける全ての者が憎かったのに、またそこに戻るのか。
(なにが〝フェアじゃない〟だ。思いあがるなよ。シュリがジークに抱かれたのは、ジークのことが好きだったからだ)
そう自分に言い聞かせると、ギルベルトはシュリの尻尾から手を離した。
「シュリ」
「?」
「気持ち悪い……」
「!?」
ウッと口を押えると、シュリは慌てて肉球で背中をさすってくれた。
このタイミングで、猛烈な吐き気が来るとは、なんと間が悪いのだろう。もし欲望に負けてシュリを押し倒していたら、悲惨なことになっていた。
「ギル! 大丈夫か?! とにかく、横向きに寝ろ!」
「う……っ」
「吐いてもいいぞ」
シュリは覚悟を決めたようにふさふさした両腕をギルベルトの顔の前に持っていき、受け止めようとしてくれた。
「いや、さすがにそれは大丈夫だ。 ……? シュリ? 何してんだ」
シュリがギルベルトの腹だか肝臓だかの辺りを一定のリズムでポムポムと叩きながら「シイ・シイ・ポムテ」と呟いた。
叩くと言っても、肉球なので全く痛くない。
「具合悪いのを抑えるリューペンのおまじない。小さい頃俺、よくお腹痛くしててレレラから教えてもらったんだ。気休めでも、結構楽になってさ。二日酔いにも聞くかも」
「確かに、なんかよくなってる気がする」
「本当か!? 他に具合悪いとこは?」
「頭も痛え……」
するとシュリは、額の上にも肉球をポテッと乗せてくれた。
(なんだこれ……最高に幸せだ)
シュリはしばらくの間、ギルベルトの額や腹をポムポムと叩いてまじないをかけていたが、ふと不思議そうな顔をして首を傾げた。
「……? なんか入ってる」
グラウプナー像前の広場で、怪しい外国人から買った〝魔法のインク〟だろう。胸ポケットにしまったままだった。
渡す気はなかったが、見つかってしまったのなら隠すのは不自然だ。
ギルベルトはポケットに手を突っ込んで取り出すと、シュリに差し出した。
「綺麗……って、え? 俺にくれるのか?」
随分可愛らしくラッピングしてあるそれに、シュリが目を輝かせた。
「そんなの他に誰に渡すんだよ」
「あ、ありがとう……中、見てもいいか?」
「ああ」
シュリは嬉しそうに中を開けた。
「インク……?」
「お前、いつも手紙に肉球スタンプくれるから……やる」
「あ、ありがとう。でも、これ透明だぞ?」
「魔法のインクなんだ。〝その日の気分〟で色が変わるらしい」
するとシュリはピンッと尻尾を立てて嬉しそうに笑った。
「面白いな! ありがとう。さっそく、帰ったらピグルテで送る」
「……」
シュリの気持ちを、知りたくないけど知りたい。都合の悪い結果が返ってきたら、やっぱりインチキ商品だったと思えばいい。
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