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『小説家になろう』を使ってみた感想
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『小説家になろう』
【良いと感じる点】
・言わずと知れた大手小説投稿サイト。ユーザー数が多いため、単純なPVは一番稼げると思います。
・常時なにかしらのコンテストを行っており、重複可能なケースも多いため、「がっつり出版社に応募するほどじゃないけどあわよくば」と思っている方は気軽に応募しやすいです。
特に「ネット小説大賞(通称:ネトコン)」は知名度が高く、複数の出版社が参加されるため、「数撃てば当たる」戦法の方と相性が良いでしょう。
ただし、最近では「なろう内での重複禁止」「重複は可能だが優先権あり(これはほぼ書かれているが、強調度合いによる)」など参加条件が変更されたコンテストもあります。毎回きちんと要項を確認しましょう。
・他サイトの基準となっているのか、なろう記法で作成した小説は、そのままコピペしてもルビなどが反映されるケースが多いです。
(少なくともカクヨム、アルファポリス、エブリスタでは使用可能なことを確認。Pixivでも一括置き換え可能。)
・ガイドラインや規約、マニュアルが丁寧です。かなり嚙み砕いた説明もあります。幅広い年齢層のご意見を受け付けてきた風格が見られます。
・2024年4月、機能改修により、予約投稿が10分単位で行えるようになりました。
以前は予約が一時間おきだったため、予約作品は一斉に投稿されTOPページの更新から押し流されるという事象がありましたが、これがなくなりました。
TOPの更新頻度は変わらず10分くらいのようですので、手動投稿との差がさほどなくなりました。
公式では『「小説家になろう」のトップページは通常5分ごと、「小説を読もう!」のトップページは通常15分ごとに更新』です。(ヘルプページより引用)
ただ実際にリロードしてみると、なろうトップ10分では?という気がしました。通信環境によるかもしれません。
・作品情報を下書き保存しておけるようになりました。
長編作品も、情報など打ち込んでからエピソードを足せるようになっています。
・シリーズの並び替えはドラッグ&ドロップで移動できます。作品が多くなっても安心。
【ちょっと気になる点】
・投稿済み話数の並び替えができない、章を予め設定できない、など痒いところに手が届かないです。
機能面重視の方には物足りないかもしれません。
特に「作品を非公開にできない」のは、公募を検討している勢には大きな問題だと思います。
リニューアルされましたが「そこじゃない」感も大きく、引き続き機能面は頑張ってほしいです。
・評価やブクマがついても通知がなく、一覧で確認できる画面もないので、作品数が多くなると手作業で一つずつ詳細を確認しないと増減が把握できません。
DB使えば見れますが外部サイトですし……。
底辺作家にはたった一人の1ぽちが大変力になるので、ここは結構気になるポイントです。
他サイトではだいたい一覧で確認できます。
・作品数が膨大なため、書籍化作品など「面白さが保証」されている作品に人が集まります。
・既に人気の作品がランキングに常駐しており、新規がランキングに載ることはなかなか難しいです。
ランキングが細分化されたことで、以前よりは狙いやすくなりましたが、依然として傾向はさほど変化ありません。
短編がより強くなったような気もします。
・文芸は全体から見れば弱めですが、比較的少ないPtでもランキングに載れるため、文学好きに見てもらえる確率は高いです。特に「純文学」は、そういう意味では狙い目ですが……。
ヘイトを避けるため具体的な言及は控えますが、「カテエラでは?」と思われるものもままあります。
ジャンルは自認であり、サイト側で対策をしていないことにユーザーは何も言えませんので、気になる方は「ステキブンゲイ」など文芸専門サイトに投稿しましょう。
以前はネトコンでも文芸作品が取られたような記載がありましたが、ネトコン11の時点で要求ジャンルが青春もの・お仕事ものくらいになり、ネトコン12では現代ものの要求がほぼなくなりました。
(各出版社の求める作品を参照)
なろうに文芸を載せる旨みは「比較的PVが望める」くらいだと思っておきましょう。
文芸で結果を求めるとむしろ病むでしょう。
・大半のコンテストでは「Pt足切り」されると思って臨んだ方が良いでしょう。
通常公募では下読みさんが読んで落とす→編集さんが読む、の流れが一般的なようですが、web小説においては事情が違いそうです。
ネット小説大賞の総評において、以下の記載がありました
『正直なところ、13,000作品を超える応募作品を編集者様が1人ですべて読むことは難しいです。』(引用:https://www.cg-con.com/special/advice/10th/)
つまり、下読みなどの段階を飛ばし、たった一人で担当している出版社が結構あるということです。盲点でした。バイトさん雇ってると思ってました。
そうなれば当然全作品など読めません。Pt足切り、人気のあるジャンルで絞る、タイトルしか見ないといったことは仕方のない事です。
特に複数出版社参加のコンテストでは、レーベルの色があるでしょうから、「絞り込み」はあって当然です。
狙った出版社に引っかかるタイトル・あらすじ・タグになっていれば、もしかしたらPtを度外視する編集さんはいるかもしれません。
小説の面白さで勝負したいなら一般公募へ、web小説の土壌で探すからには「web上でウケるものを探している」と割り切った方が良さそうです。
逆に言えば、一次すら通らなかったからといって、「私の小説くそつまらんのか……」と落ち込む必要はないでしょう。そもそも読まれてない可能性の方が大です。
・「連載が終了してから(もしくは区切りのタイミングで)評価しよう」と考える読者が多いため、長編作品ほど終わるまでPtが入らず、モチベーションが下がります。また「追いかけるのは面倒だから終わってから読もう」勢も結構いるようです。拙作もブクマの割にPtは全然入らず、完結ブーストで一気に加速する形でした。
これを防ぐには序盤でインパクトを与える「ざまぁ」「追放」「婚約破棄」などが強く、結果早い段階でランキングに載れるので安定して継続できます。
起承転結を重視し、クライマックスに焦点を当てているタイプの作品は終わるまでPtを獲得するのは難しいかもしれません。
だからと言って慌てて完結させる場合の注意点として、完結済み小説としてTOPに載れるのは初回のみです。
【傾向と所感】
・悪役令嬢が強い。(偏見)
・入門としてまず最初にweb小説を書き始めるのに良い投稿サイトだと思います。
基本的なルールも学べます。
人気ジャンルはありますが、そうでないジャンルでもある程度のPVが見込めます。
・多様なジャンル、多様な人がいます。SNSと同じく対処しましょう。
何故か評価を入れない人ほど誹謗中傷とまでは言えない微妙な感想を残していく率が高いような気がしています。
・まず閲覧されるためにランキングに載ることが目標になります。
それを狙ってやるのはかなり難しいため、数々の攻略法や考察が展開されています。
私の最高記録は
「異世界から来た聖女サマが何故かモブおっさん兵士の俺にご執心なんだが」
https://ncode.syosetu.com/n9534hr/
ジャンル日間8位になりましたが、PVが桁違いでした。
中身の良し悪しの前にまず閲覧されないことにはどうにもならないのがweb小説。
Ptシステムを採用している投稿サイトにおいて、いかにランキングが重要か思い知りました。
ちなみに他サイトでは数で言うと最初全然ふるいませんでしたが、後にPixivで人気が出てブクマ3000を超えました。またこの創作論内にはありませんが、ノベマ!さんに掲載したところ、「今読みたい作品」の特集に選出いただきました。
やはりテンプレは王道。
【攻略法を実践してみるとどうなるか】
色々調べてみた結果、攻略を意識して投稿してみたのが
「七日間の入れ替わり令嬢 ~ワガママ美女の代わりにお見合いします~」
https://ncode.syosetu.com/n4741ht/
(初回掲載時、2022年時点での情報で実施)
①投稿を毎日朝晩2回する(この方法使用者は予約投稿が多いので実験のため今回は予約。ベストは多分朝昼晩3回だが分量の関係で2回)
②1話ごとに話を作る(長文を文字数で区切らず、1話ごとにまとまる話にする)
③人気のキーワードをタイトルに使用する(今回は「令嬢」)
④最初から完結ブーストを狙う(Ptや感想に左右されないよう、全て書き上げておく)
一つずつ振り返ります。
①これは手動投稿するべきでした。予約投稿しているのは、おそらく既に固定読者をある程度獲得している作者ですね。
「新連載」みたいな枠がないので、予約投稿だと更新小説と同様押し流されてしまい、開始したことが気づかれません。
初日PV17で完全に初動の失敗です。
一日複数回手法は、時間帯別の読者の獲得、固定読者の獲得、週間ユニークユーザーを増やす目的で行われるため、初動に失敗すると以降毎日投稿しても効果のほどは不明です。
ちなみに週間ユニークユーザーは何に必要かと言うと、「小説Pickup!」に載るための条件になります。
ただここに載るには長編の場合「10万文字以上」という条件が加わります。
10万文字ブーストの由来かもしれません。
今回の作品は10万文字未満のため、週間ユニークユーザーに関しては元々あまり関係なかったです。
②これは良かった気がしています。
一話ごとに入り、引きがあると把握しやすいです。
ただ私の場合、それで一話が長くなりました。なのでスマホ読者がつかず。
3000文字以内で毎回一段落させるとなると、話の展開をかなり早めねばならず、繊細な描写をする人には向きません。
漫画で言う4コマのスピード感が求められると思います。
しかしここは、実際にweb担当の編集者も必要な技術とインタビューで答えていたので、追及したい部分です。
④これはやっといて本当に良かった。
完結するまで評価0、ブクマ2件のみでした。ちなみに同時掲載していたカクヨムも評価0、コメント0。
多分最後まで作ってなかったら心折れてました。番外投稿なかったと思います。
完結ブーストで翌日には100Ptを越え、カクヨムでも素敵なレビューをいただいて持ち直しましたが、なかなかメンタル危なかったです。
完結ブーストは発動しましたが、Pt爆上がりまではいきませんでした。現時点で300Pt以上。
結論として、攻略法はいくら学んでもなかなか実践は難しいです。
また、自分の作風をどこまで合わせていけるか、もあると思います。
例えば私は「令嬢」を採用しましたが、「悪役令嬢」にしていたら結果は違ったかもしれません。
しかし私は悪役令嬢が苦手なので、書きたいと思えませんでした。
Ptという観点から見れば失敗かもしれませんが、思うように書き上げた作品だったからか、この話は刺さる人にしっかり刺さった作品となり、出来という意味では結構満足です。
流行からしっかり研究し、ごりごりの商業狙いなら話は別かもしれませんが、「書きたいものを書く」層はweb対策として最低限のレイアウトや投稿時間あたりを押さえておけば、ある程度の評価は得られる気がします。
完全に余談になりますが、Ptは伸びなかったものの、「七日間の入れ替わり令嬢 ~ワガママ美女の代わりにお見合いします~」はネトコン11で一次審査を通過しました。
二次で落ちているので「だから何」ではありますが、自由に書いた作品よりも研究した作品の方がやはり目に留まる、という結果になったとも思います。
更にランキング研究を重ねた「婚約破棄ですって? 受けて立ちますわ!」は6000Pt以上獲得し、コミカライズまで持っていけました。
相当な根気が必要なのと、レーベル研究と違いランキング研究はあくまで「現時点でなろうでPtが入る」ことのみに特化するため、研究分析が好きな人以外にはあまり推奨しません。
そうは言ってもPtシステム。
気になる点にも記載しましたが、この完結ブーストで明らかになったように、マジで完結するまでは打てど響かず。
最初から「一切の評価を気にしない」と決めて大長編を書き始めるなら何も問題ないですが、読者の反応を見て進退を決めようと考えるタイプにはこれは非常に難しいですね……。
この実験を行った背景には、一度完結させた初めての長編をどうするか、の悩みがありました。
「私の海賊さん。~異世界で海賊を拾ったら私のものになりました~」
https://ncode.syosetu.com/n0893hg/
私はこの作品がweb連載初めてだったので、とりあえず評価は気にせず好きに書いて完結を目標にしておりました。
ただ評価を気にしないというのは、内容に関してウケそうなネタを入れるとか、好かれそうなキャラを登場させるとか、そういう方向転換はしないという意味で、進退については自分なりに基準を設けていました。そうでないと永久に続けられるので……。
そして手探りで進めていった結果、10万文字(単行本一冊の目安とされる。前述の10万文字ブースト都市伝説も)を越えても全く読者反応が無かったため、小話や伏線回収は捨てて、なるべく本筋だけを追うように決めました。
しかし畳み始めた段になって初めて感想が付き「読者……いたんか……」となりました。
ブクマは「とりあえずつけといて後で気が向いたら読もう」勢が結構いるのを知っているので、そんなに読者数目安にはしていません。
勿論少しでも気にかけていただいただけで嬉しいです! あくまで数字基準の話です。
いざ読者いたのかと思ったところで既に畳み始めているので、そのまま一回畳みました。
そして完結ブーストが発動した結果、放置した伏線を指摘されることにもなり、書いとけば良かったかな~と後悔も少々。
これは結局コンテストに出す時に全面改稿して、満足いく形に直しました。
web連載は自分一人でやっていますので、テコ入れや打ち切りの判断も自分でしていかねばならず。
商業誌なら「打ち切り……アンケ人気なかったんか……」と思ってもらえるかもしれませんが、webであまりに伸びなくて自主的に畳んだ場合「作者飽きたんか?」と思われても仕方ない部分がまた。なんとも。
よく商業の人もTwitterで「感想ください!」「(企画で)投票お願いします!」ってやってるし、読者の様子を見ながら進退を考えるって普通だと思うのですが、なろうはそのへん厳しいらしく。
「評価nPtいったら番外書く」とか「感想貰えたら続く」みたいの、評価強要としてBANされるらしいですね。怖ひ。
しかしそうなると、うかつに弱音を吐くわけにもいかず(「nPt以下だしもう終わろ!」みたいなの)、SOSも出せないまま作者はひっそり作品を畳むことに……。
アプリ漫画とか、継続危ないって言い始めてから応援されるケースありますが、web小説でやったらやっぱりBANなんでしょうか。BAN基準は検証してる方がいるので別途そちらをお読みください。
作者都合だけで物を言えば、評価は終わった段階ではなく、商業でも短編扱いされる1万文字~3万文字くらいまで読んで尚続きが読みたいと思ったら、一度評価入れてあげてほしいですね~。
オチがつまらなかったら後から変更できますし。(なろうの評価は上書き制。)
このあたり「なろうは短編が強くなった」と言われる要因かもしれません。すぐ評価入る=ランキングに載るので。
長編どうするかに話を戻して、実験を行った結果「とりあえず話を完結させれば読む人がいる」ということだけははっきりしたので、この作品については気長に満足いくところまでは続きを書いて、続編まで完結させました。
評価数は少な目ながら、各所で熱心なファンがついてくれる作品となり、なかなか愛されたのではないかと自画自賛。
エタらせるくらいなら打ち切りでもいいので一回完結させれば、ある程度は読まれます(多分)ので、筆を折りそうな気分の方は一回、一回完結させましょ!!
【良いと感じる点】
・言わずと知れた大手小説投稿サイト。ユーザー数が多いため、単純なPVは一番稼げると思います。
・常時なにかしらのコンテストを行っており、重複可能なケースも多いため、「がっつり出版社に応募するほどじゃないけどあわよくば」と思っている方は気軽に応募しやすいです。
特に「ネット小説大賞(通称:ネトコン)」は知名度が高く、複数の出版社が参加されるため、「数撃てば当たる」戦法の方と相性が良いでしょう。
ただし、最近では「なろう内での重複禁止」「重複は可能だが優先権あり(これはほぼ書かれているが、強調度合いによる)」など参加条件が変更されたコンテストもあります。毎回きちんと要項を確認しましょう。
・他サイトの基準となっているのか、なろう記法で作成した小説は、そのままコピペしてもルビなどが反映されるケースが多いです。
(少なくともカクヨム、アルファポリス、エブリスタでは使用可能なことを確認。Pixivでも一括置き換え可能。)
・ガイドラインや規約、マニュアルが丁寧です。かなり嚙み砕いた説明もあります。幅広い年齢層のご意見を受け付けてきた風格が見られます。
・2024年4月、機能改修により、予約投稿が10分単位で行えるようになりました。
以前は予約が一時間おきだったため、予約作品は一斉に投稿されTOPページの更新から押し流されるという事象がありましたが、これがなくなりました。
TOPの更新頻度は変わらず10分くらいのようですので、手動投稿との差がさほどなくなりました。
公式では『「小説家になろう」のトップページは通常5分ごと、「小説を読もう!」のトップページは通常15分ごとに更新』です。(ヘルプページより引用)
ただ実際にリロードしてみると、なろうトップ10分では?という気がしました。通信環境によるかもしれません。
・作品情報を下書き保存しておけるようになりました。
長編作品も、情報など打ち込んでからエピソードを足せるようになっています。
・シリーズの並び替えはドラッグ&ドロップで移動できます。作品が多くなっても安心。
【ちょっと気になる点】
・投稿済み話数の並び替えができない、章を予め設定できない、など痒いところに手が届かないです。
機能面重視の方には物足りないかもしれません。
特に「作品を非公開にできない」のは、公募を検討している勢には大きな問題だと思います。
リニューアルされましたが「そこじゃない」感も大きく、引き続き機能面は頑張ってほしいです。
・評価やブクマがついても通知がなく、一覧で確認できる画面もないので、作品数が多くなると手作業で一つずつ詳細を確認しないと増減が把握できません。
DB使えば見れますが外部サイトですし……。
底辺作家にはたった一人の1ぽちが大変力になるので、ここは結構気になるポイントです。
他サイトではだいたい一覧で確認できます。
・作品数が膨大なため、書籍化作品など「面白さが保証」されている作品に人が集まります。
・既に人気の作品がランキングに常駐しており、新規がランキングに載ることはなかなか難しいです。
ランキングが細分化されたことで、以前よりは狙いやすくなりましたが、依然として傾向はさほど変化ありません。
短編がより強くなったような気もします。
・文芸は全体から見れば弱めですが、比較的少ないPtでもランキングに載れるため、文学好きに見てもらえる確率は高いです。特に「純文学」は、そういう意味では狙い目ですが……。
ヘイトを避けるため具体的な言及は控えますが、「カテエラでは?」と思われるものもままあります。
ジャンルは自認であり、サイト側で対策をしていないことにユーザーは何も言えませんので、気になる方は「ステキブンゲイ」など文芸専門サイトに投稿しましょう。
以前はネトコンでも文芸作品が取られたような記載がありましたが、ネトコン11の時点で要求ジャンルが青春もの・お仕事ものくらいになり、ネトコン12では現代ものの要求がほぼなくなりました。
(各出版社の求める作品を参照)
なろうに文芸を載せる旨みは「比較的PVが望める」くらいだと思っておきましょう。
文芸で結果を求めるとむしろ病むでしょう。
・大半のコンテストでは「Pt足切り」されると思って臨んだ方が良いでしょう。
通常公募では下読みさんが読んで落とす→編集さんが読む、の流れが一般的なようですが、web小説においては事情が違いそうです。
ネット小説大賞の総評において、以下の記載がありました
『正直なところ、13,000作品を超える応募作品を編集者様が1人ですべて読むことは難しいです。』(引用:https://www.cg-con.com/special/advice/10th/)
つまり、下読みなどの段階を飛ばし、たった一人で担当している出版社が結構あるということです。盲点でした。バイトさん雇ってると思ってました。
そうなれば当然全作品など読めません。Pt足切り、人気のあるジャンルで絞る、タイトルしか見ないといったことは仕方のない事です。
特に複数出版社参加のコンテストでは、レーベルの色があるでしょうから、「絞り込み」はあって当然です。
狙った出版社に引っかかるタイトル・あらすじ・タグになっていれば、もしかしたらPtを度外視する編集さんはいるかもしれません。
小説の面白さで勝負したいなら一般公募へ、web小説の土壌で探すからには「web上でウケるものを探している」と割り切った方が良さそうです。
逆に言えば、一次すら通らなかったからといって、「私の小説くそつまらんのか……」と落ち込む必要はないでしょう。そもそも読まれてない可能性の方が大です。
・「連載が終了してから(もしくは区切りのタイミングで)評価しよう」と考える読者が多いため、長編作品ほど終わるまでPtが入らず、モチベーションが下がります。また「追いかけるのは面倒だから終わってから読もう」勢も結構いるようです。拙作もブクマの割にPtは全然入らず、完結ブーストで一気に加速する形でした。
これを防ぐには序盤でインパクトを与える「ざまぁ」「追放」「婚約破棄」などが強く、結果早い段階でランキングに載れるので安定して継続できます。
起承転結を重視し、クライマックスに焦点を当てているタイプの作品は終わるまでPtを獲得するのは難しいかもしれません。
だからと言って慌てて完結させる場合の注意点として、完結済み小説としてTOPに載れるのは初回のみです。
【傾向と所感】
・悪役令嬢が強い。(偏見)
・入門としてまず最初にweb小説を書き始めるのに良い投稿サイトだと思います。
基本的なルールも学べます。
人気ジャンルはありますが、そうでないジャンルでもある程度のPVが見込めます。
・多様なジャンル、多様な人がいます。SNSと同じく対処しましょう。
何故か評価を入れない人ほど誹謗中傷とまでは言えない微妙な感想を残していく率が高いような気がしています。
・まず閲覧されるためにランキングに載ることが目標になります。
それを狙ってやるのはかなり難しいため、数々の攻略法や考察が展開されています。
私の最高記録は
「異世界から来た聖女サマが何故かモブおっさん兵士の俺にご執心なんだが」
https://ncode.syosetu.com/n9534hr/
ジャンル日間8位になりましたが、PVが桁違いでした。
中身の良し悪しの前にまず閲覧されないことにはどうにもならないのがweb小説。
Ptシステムを採用している投稿サイトにおいて、いかにランキングが重要か思い知りました。
ちなみに他サイトでは数で言うと最初全然ふるいませんでしたが、後にPixivで人気が出てブクマ3000を超えました。またこの創作論内にはありませんが、ノベマ!さんに掲載したところ、「今読みたい作品」の特集に選出いただきました。
やはりテンプレは王道。
【攻略法を実践してみるとどうなるか】
色々調べてみた結果、攻略を意識して投稿してみたのが
「七日間の入れ替わり令嬢 ~ワガママ美女の代わりにお見合いします~」
https://ncode.syosetu.com/n4741ht/
(初回掲載時、2022年時点での情報で実施)
①投稿を毎日朝晩2回する(この方法使用者は予約投稿が多いので実験のため今回は予約。ベストは多分朝昼晩3回だが分量の関係で2回)
②1話ごとに話を作る(長文を文字数で区切らず、1話ごとにまとまる話にする)
③人気のキーワードをタイトルに使用する(今回は「令嬢」)
④最初から完結ブーストを狙う(Ptや感想に左右されないよう、全て書き上げておく)
一つずつ振り返ります。
①これは手動投稿するべきでした。予約投稿しているのは、おそらく既に固定読者をある程度獲得している作者ですね。
「新連載」みたいな枠がないので、予約投稿だと更新小説と同様押し流されてしまい、開始したことが気づかれません。
初日PV17で完全に初動の失敗です。
一日複数回手法は、時間帯別の読者の獲得、固定読者の獲得、週間ユニークユーザーを増やす目的で行われるため、初動に失敗すると以降毎日投稿しても効果のほどは不明です。
ちなみに週間ユニークユーザーは何に必要かと言うと、「小説Pickup!」に載るための条件になります。
ただここに載るには長編の場合「10万文字以上」という条件が加わります。
10万文字ブーストの由来かもしれません。
今回の作品は10万文字未満のため、週間ユニークユーザーに関しては元々あまり関係なかったです。
②これは良かった気がしています。
一話ごとに入り、引きがあると把握しやすいです。
ただ私の場合、それで一話が長くなりました。なのでスマホ読者がつかず。
3000文字以内で毎回一段落させるとなると、話の展開をかなり早めねばならず、繊細な描写をする人には向きません。
漫画で言う4コマのスピード感が求められると思います。
しかしここは、実際にweb担当の編集者も必要な技術とインタビューで答えていたので、追及したい部分です。
④これはやっといて本当に良かった。
完結するまで評価0、ブクマ2件のみでした。ちなみに同時掲載していたカクヨムも評価0、コメント0。
多分最後まで作ってなかったら心折れてました。番外投稿なかったと思います。
完結ブーストで翌日には100Ptを越え、カクヨムでも素敵なレビューをいただいて持ち直しましたが、なかなかメンタル危なかったです。
完結ブーストは発動しましたが、Pt爆上がりまではいきませんでした。現時点で300Pt以上。
結論として、攻略法はいくら学んでもなかなか実践は難しいです。
また、自分の作風をどこまで合わせていけるか、もあると思います。
例えば私は「令嬢」を採用しましたが、「悪役令嬢」にしていたら結果は違ったかもしれません。
しかし私は悪役令嬢が苦手なので、書きたいと思えませんでした。
Ptという観点から見れば失敗かもしれませんが、思うように書き上げた作品だったからか、この話は刺さる人にしっかり刺さった作品となり、出来という意味では結構満足です。
流行からしっかり研究し、ごりごりの商業狙いなら話は別かもしれませんが、「書きたいものを書く」層はweb対策として最低限のレイアウトや投稿時間あたりを押さえておけば、ある程度の評価は得られる気がします。
完全に余談になりますが、Ptは伸びなかったものの、「七日間の入れ替わり令嬢 ~ワガママ美女の代わりにお見合いします~」はネトコン11で一次審査を通過しました。
二次で落ちているので「だから何」ではありますが、自由に書いた作品よりも研究した作品の方がやはり目に留まる、という結果になったとも思います。
更にランキング研究を重ねた「婚約破棄ですって? 受けて立ちますわ!」は6000Pt以上獲得し、コミカライズまで持っていけました。
相当な根気が必要なのと、レーベル研究と違いランキング研究はあくまで「現時点でなろうでPtが入る」ことのみに特化するため、研究分析が好きな人以外にはあまり推奨しません。
そうは言ってもPtシステム。
気になる点にも記載しましたが、この完結ブーストで明らかになったように、マジで完結するまでは打てど響かず。
最初から「一切の評価を気にしない」と決めて大長編を書き始めるなら何も問題ないですが、読者の反応を見て進退を決めようと考えるタイプにはこれは非常に難しいですね……。
この実験を行った背景には、一度完結させた初めての長編をどうするか、の悩みがありました。
「私の海賊さん。~異世界で海賊を拾ったら私のものになりました~」
https://ncode.syosetu.com/n0893hg/
私はこの作品がweb連載初めてだったので、とりあえず評価は気にせず好きに書いて完結を目標にしておりました。
ただ評価を気にしないというのは、内容に関してウケそうなネタを入れるとか、好かれそうなキャラを登場させるとか、そういう方向転換はしないという意味で、進退については自分なりに基準を設けていました。そうでないと永久に続けられるので……。
そして手探りで進めていった結果、10万文字(単行本一冊の目安とされる。前述の10万文字ブースト都市伝説も)を越えても全く読者反応が無かったため、小話や伏線回収は捨てて、なるべく本筋だけを追うように決めました。
しかし畳み始めた段になって初めて感想が付き「読者……いたんか……」となりました。
ブクマは「とりあえずつけといて後で気が向いたら読もう」勢が結構いるのを知っているので、そんなに読者数目安にはしていません。
勿論少しでも気にかけていただいただけで嬉しいです! あくまで数字基準の話です。
いざ読者いたのかと思ったところで既に畳み始めているので、そのまま一回畳みました。
そして完結ブーストが発動した結果、放置した伏線を指摘されることにもなり、書いとけば良かったかな~と後悔も少々。
これは結局コンテストに出す時に全面改稿して、満足いく形に直しました。
web連載は自分一人でやっていますので、テコ入れや打ち切りの判断も自分でしていかねばならず。
商業誌なら「打ち切り……アンケ人気なかったんか……」と思ってもらえるかもしれませんが、webであまりに伸びなくて自主的に畳んだ場合「作者飽きたんか?」と思われても仕方ない部分がまた。なんとも。
よく商業の人もTwitterで「感想ください!」「(企画で)投票お願いします!」ってやってるし、読者の様子を見ながら進退を考えるって普通だと思うのですが、なろうはそのへん厳しいらしく。
「評価nPtいったら番外書く」とか「感想貰えたら続く」みたいの、評価強要としてBANされるらしいですね。怖ひ。
しかしそうなると、うかつに弱音を吐くわけにもいかず(「nPt以下だしもう終わろ!」みたいなの)、SOSも出せないまま作者はひっそり作品を畳むことに……。
アプリ漫画とか、継続危ないって言い始めてから応援されるケースありますが、web小説でやったらやっぱりBANなんでしょうか。BAN基準は検証してる方がいるので別途そちらをお読みください。
作者都合だけで物を言えば、評価は終わった段階ではなく、商業でも短編扱いされる1万文字~3万文字くらいまで読んで尚続きが読みたいと思ったら、一度評価入れてあげてほしいですね~。
オチがつまらなかったら後から変更できますし。(なろうの評価は上書き制。)
このあたり「なろうは短編が強くなった」と言われる要因かもしれません。すぐ評価入る=ランキングに載るので。
長編どうするかに話を戻して、実験を行った結果「とりあえず話を完結させれば読む人がいる」ということだけははっきりしたので、この作品については気長に満足いくところまでは続きを書いて、続編まで完結させました。
評価数は少な目ながら、各所で熱心なファンがついてくれる作品となり、なかなか愛されたのではないかと自画自賛。
エタらせるくらいなら打ち切りでもいいので一回完結させれば、ある程度は読まれます(多分)ので、筆を折りそうな気分の方は一回、一回完結させましょ!!
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何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
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