私の理想の異世界チート

５．異世界にて

顔に当たる日差しとそよ風に、気が付いて目を開ける。

横に寝転がって居たようで、ゆっくりを起き上がり周りを見回す。

『神様 ふかふかの草の上に寝転がしてくれたんだ…
感謝 感謝。
他の異世界モノの話では、空から落ちたりさんざんだもんねー』

望結が 神様に心の中で感謝をしつつ、自分の置かれている状況を把握しようと周りを見回して…

『ここって 魔の森って言ってたよね。
魔の森だけあって 魔物とか… 
 出てこないよね？』

周りは薄暗い森に囲まれ、湖の底が見える程 綺麗な大きな湖があった。

透き通る湖に近付き、顔を覗かせ自分の顔を写してみた…

『やっぱり……
神様 何も言って無かったから、そのまんまの自分だよねー』

湖に写る自分は、見慣れた くたびれた太ったおばさんだった。

『よーし！
願い事で貰ったチート使って、好き放題やっちゃるぞ！』

立ち上がり 湖に背を向けると、森と湖の間にある場所に向けて手をかざす。

『んー
魔法って 定番で想像力だよねー？
えーっと……』

土魔法で１ＬＤＫの庭付きの家を思い浮かべる。

身体から何か出ていったように感じ、うっすらと目を開けると、目の前には 色付の平屋の一軒家が現れた。

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉ！！」

『やれば出来るなんて、ほんとにチート！！
神様 ありがとう！』

今度は 指だけさして 土魔法を使って、家を囲むように 柵を作っていく。

『もしもの為に、バリヤー？結界？を張りたいが、何魔法だろう？』

悩んだ末 水魔法で柵より１㍍程外側から家と柵を包むように結界を張ってみた。

何かに攻撃された時には、対象物に反射の攻撃をする為に、氷魔法で氷の槍が飛び出るイメージで結界に願った。

『何かあったら困るから、ここら辺の防犯はしっかりとだよねー
年の功は伊達じゃないなー』

早速 自分の作った家の中に入ってみる。

玄関を開けて「お邪魔しまーす」
いやいや自分の家だけど。

家の中に入ると、家具などは無いが、想像した通りの１ＬＤＫだ。

玄関で靴を脱ぎ 入ってすぐ左のドアを開けてみる。

想像通りトイレだが、洋式の便器がそこにはあった。

トイレの蓋を開けて 中を覗いて見るが、やはり水洗では無い。

『用を足した後、どうしようか？
深くなってるから、砂でも掛けとくかな。』

トイレを後にして、向かいの扉を開ける。

ココは脱衣場とお風呂だ。
脱衣場は 備え付けの棚 等があるくらいで、ガランとしている。

浴槽に排水口も作って有る。

『水を排水したら何処に行くんだろうか？』

蛇口を捻ってみたが、何も出てこない。

『そりゃそうか。
水道管どっからも引かれてないもんねー』

水魔法で浴槽の３分の１までの水をイメージして水を入れる。
排水ボタンを押し込んでみると、排水されるが 水は何処に行ったのだろう？

脱衣場に出てキョロキョロ。

家の外に出てキョロキョロ。

『？？？
何処にも流れてない…』

水は排水されたが、何処に行ったのか分からなかった。

もしやと トイレに向かう。

トイレに行き 掌に水魔法で水玉を出して、トイレの中に入れてみた。
トイレの中に入れた水は、スッっと消えた。

「うわっ！
めちゃくちゃ意味分かんないけど 画期的！！」