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166.こんな僕…
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「これで終りだね。
死にたければ抵抗すればいいよ。」
エドはテレシアの後ろから、また何処からか取り出した剣を首に宛てた。
テレシアはガックリとその場で項垂れへたり込んだ…
エドはそのテレシアを押さえ、腕を後ろ手に捻り上げて拘束した。
「ミユ カーテンの留め紐を取って来てくれるかな?」
「う…うん!」
望結は窓へと走り、カーテンの留め紐を外して、エドへ持って行き手渡した。
受け取った留め紐で、拘束していたテレシアの腕を、縛り上げ手を離す…
エドは部屋の外の騎士へ、応援を呼んで来る様に伝えた。
ものの数分で、5人の騎士達がやって来たので、テレシアを引き渡し、エドが地下牢へ入れておくようにと伝えた。
エドと望結は気付かない……
涙はミユの薬で止めていたのに…
どうやってさっきの魅了の力を使ったのかを……
俯いて連れて行かれるテレシアが、口角を上げニタリッっと笑っていた事を……………
望結はチラリッとアドを見上げる……
90年前 自分が心を閉ざしたキッカケはどうあれ、テレシアの掌の上で遊ばれていた事実に落ち込んで居るようだ……
望結は応接セットの長いソファーの端に腰掛け、ポンポンっと太ももを叩いてエドを誘った。
「エド…… ココに おいで。」
エドは吸い寄せられる様に、望結の太ももに頭を乗せ、腹側に顔を向けると、望結の腰に腕を回し抱き締める。
望結は慈しむ様に、エドの頭の天辺から首筋に掛けて、ゆっくりゆっくり撫でてやる…
どのくらいそうして居ただろうか……
エドがポツリ ポツリと話し始めた。
「ミユ…前に話したと思うけれど……
竜人族はほぼ全員が番を見つけられるんだって…
僕は…成人の18歳から500歳 まで世界中を旅した。
それでも番を得られなくて……
家族に頼み込んで、900歳までは 待って貰ってたって……
それでも見つから無かった時に、僕は半身を得られない竜人なんだって、僕は僕を諦めた……
900歳からは、僕の子を産んでくれる者を探したけれど……
さっき言ってた様に、初めて会った時には好意を寄せてくれた女性達が、2度・3度目に会えば、僕を嫌悪するんだ…
憎んで居る様な目を向けられた事も1度や2度ではない…
何人がそうやって僕を見たのかは、もう 覚えていないけれど……
着実に僕の心の柔らかい場所は 抉られ削られていく…
その頃には表情を崩す事も、人を思いやる心も無くしていた……
そこまでくると…
人に嫌悪され 憎まれる僕は、家族にでさえ疎まれ 嫌われてて居ると思い込んだ。
傷つくのは心があるからだと思って、そこで僕は心を捨てた…
僕には何もない…
ただあるのは、王子の役目と騎士団長の仕事だけ。
仕事をしてる時には、何も考えずに過ごせた。
ただ役割をこなせば良かったから。
こんな弱い馬鹿みたいな僕を……
話を聞いて…ミユは嫌いになった?!
やっぱり こんな僕は、ミユの番に相応しくないっ?!!!」
死にたければ抵抗すればいいよ。」
エドはテレシアの後ろから、また何処からか取り出した剣を首に宛てた。
テレシアはガックリとその場で項垂れへたり込んだ…
エドはそのテレシアを押さえ、腕を後ろ手に捻り上げて拘束した。
「ミユ カーテンの留め紐を取って来てくれるかな?」
「う…うん!」
望結は窓へと走り、カーテンの留め紐を外して、エドへ持って行き手渡した。
受け取った留め紐で、拘束していたテレシアの腕を、縛り上げ手を離す…
エドは部屋の外の騎士へ、応援を呼んで来る様に伝えた。
ものの数分で、5人の騎士達がやって来たので、テレシアを引き渡し、エドが地下牢へ入れておくようにと伝えた。
エドと望結は気付かない……
涙はミユの薬で止めていたのに…
どうやってさっきの魅了の力を使ったのかを……
俯いて連れて行かれるテレシアが、口角を上げニタリッっと笑っていた事を……………
望結はチラリッとアドを見上げる……
90年前 自分が心を閉ざしたキッカケはどうあれ、テレシアの掌の上で遊ばれていた事実に落ち込んで居るようだ……
望結は応接セットの長いソファーの端に腰掛け、ポンポンっと太ももを叩いてエドを誘った。
「エド…… ココに おいで。」
エドは吸い寄せられる様に、望結の太ももに頭を乗せ、腹側に顔を向けると、望結の腰に腕を回し抱き締める。
望結は慈しむ様に、エドの頭の天辺から首筋に掛けて、ゆっくりゆっくり撫でてやる…
どのくらいそうして居ただろうか……
エドがポツリ ポツリと話し始めた。
「ミユ…前に話したと思うけれど……
竜人族はほぼ全員が番を見つけられるんだって…
僕は…成人の18歳から500歳 まで世界中を旅した。
それでも番を得られなくて……
家族に頼み込んで、900歳までは 待って貰ってたって……
それでも見つから無かった時に、僕は半身を得られない竜人なんだって、僕は僕を諦めた……
900歳からは、僕の子を産んでくれる者を探したけれど……
さっき言ってた様に、初めて会った時には好意を寄せてくれた女性達が、2度・3度目に会えば、僕を嫌悪するんだ…
憎んで居る様な目を向けられた事も1度や2度ではない…
何人がそうやって僕を見たのかは、もう 覚えていないけれど……
着実に僕の心の柔らかい場所は 抉られ削られていく…
その頃には表情を崩す事も、人を思いやる心も無くしていた……
そこまでくると…
人に嫌悪され 憎まれる僕は、家族にでさえ疎まれ 嫌われてて居ると思い込んだ。
傷つくのは心があるからだと思って、そこで僕は心を捨てた…
僕には何もない…
ただあるのは、王子の役目と騎士団長の仕事だけ。
仕事をしてる時には、何も考えずに過ごせた。
ただ役割をこなせば良かったから。
こんな弱い馬鹿みたいな僕を……
話を聞いて…ミユは嫌いになった?!
やっぱり こんな僕は、ミユの番に相応しくないっ?!!!」
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