私の理想の異世界チート

ety

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168.わだかまり

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「いえっ!!
母上のせいではないんですっ!!

僕が…僕が……っ!

誰にも相談せず  疑わずに、自分の殻に閉じ籠もってしまったから……

自己否定して何も見ようとしなかったから………」

エドが悲痛な面持ちで 答える。

「フェイ……貴方の変化には、家族の皆が気付いては居たのよ…

でも、番を…自身の半身を得られなかった事に、落ち込んでいる為だと、皆が思い込んでしまって居たのね……

だからフェイに、考える時間を与えてあげようと、皆で決めたの……

でも…暫くしてもフェイは元に戻るどころか、わたくし達 家族を避ける様になってしまっていて……
会っても笑わず怒らず、わたくし達に無関心で……

どうする事も出来ず、年月だけが過ぎ去るだけで、 ずっと手を拱いていたの……


だからっ!だから…ミユちゃん!!
貴女のおかげで、わたくし達の大切な息子がっ……
笑って 怒って 泣く いっぱいの感情を表す息子が戻って来てくれたわっ…!!

わたくし達を元の家族に戻してくれてっ…!
本当に…!本当にっ!
ありがとう…! 感謝しているわっ!!!」

王妃様は 美しいご尊顔を涙に濡らし、泣き崩れ 両手で顔を覆って肩を小刻みに揺らす……

エドと2人で、王妃様を間に挟んで背中を擦る。


暫くすると……
バタバタと遠くから誰かが、走って来る足音が聞こえたかと思えば……

サロンの入口には、肩で息をする国王陛下が立っていた。


「メルっ!! どうしたのじゃっ?!!
お前が大泣きし、心があの様に乱れ 感情が爆発するなぞ……っ?!」

陛下がサロンの入口から、こちらに一直線に駆けて来て、王妃様の前に膝を付き下から顔を見上げる。

王妃様は顔を覆っていた両手を下ろし……
エメラルドグリーンの涙の残る瞳で、陛下の目をジッと見つめた。

「……っ…だから…泣いてたの…」

だから…とは…??!
っと思って王妃様と陛下を交互に見て居れば……


陛下がグリンッっとこちらを向いて…

ガシッっと私の両手を持ち上げて掴まれ!!
私の両手を捧げ持ち、ご自分の額に当てた。

「ひぇっ!
へ…陛下…?!! な…なにを?……」

「ミユ殿っ!
そなたのおかげかっ!

そなたのっ…おかげでっ!
儂らの……
エドラフェイルクとのわだかまりが解けたのかっ!!

感謝する!ほんにっ…!
そなたには心よりの感謝をっ!」

私の両手の向こう側で、陛下の身体が小刻みに揺れる……

少しこちらから垣間見える、陛下の頬には……
一筋の透明な涙の跡が見えた……


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