文藝街綺譚

無機物の眠り。去りゆく『物』の命。

── あの人へ書いた折り鶴の手紙は、窓の外へ飛び出し何処かへ消えてしまった。赤い折り紙の、角を丁寧に合わせて折ったそれは、首を折ったその瞬間、ばさばさと大きな音を立てて手のひらから逃げ出した。

文藝街(ぶんげいまち)と呼ばれる、人口およそ十五万人ほどのその地において、静物、という言葉は従来とは異なる意味を持っていた。この街で造られた無機物は、時折意思を持ち、生きているように動き出す。まるでくるみ割り人形のように。
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