佐藤君のおませな冒険

59. 西田君の問い

1999年10月13日（水）

今日、佐藤君が帰った後に橘先生に会いに行ったよ。
先生が今週末と来週末は予定が空いているから、二人で日にちを決めて一緒に来なさいって。
僕はいつでもいいから佐藤君の予定に合わせるよ。

実を言うと、僕は3人でのプレイが不安なんだ。微妙なバランスで成り立っている今の関係が壊れてしまわないか心配だ。
前にも3人でしたじゃないかと思うかもしれないけど、あのころとは佐藤君と僕の関係が変わったと思うから。
普通、恋人は一対一の関係でしょ（僕たちの関係は恋人だよね？）。恋人が自分以外の人と性行為をするのは不道徳とされている。
僕は貞操観念がブッ壊れているし、佐藤君が橘先生と絡んでるのを見るのも好きだから大丈夫だけど（異常だよね、ひょっとして引いたかな？？）、本当は三角関係を継続するなんて佐藤君は嫌なんじゃないかな。
僕の嗜好に無理して合わせてくれているんじゃないのかな、と気がかりだ。

僕は佐藤君と先生のことが好きだと思う。でも、ホントを言うと、自分が弱いから依存しているだけなのかもしれないと感じることもある。
今日、先生に会いに行ったのも寂しくて一人になりたくないという身勝手な動機なんだもの。
二人に依存してしまうずるい自分が汚く思えて嫌いだ。僕は君の優しさにずいぶんと甘えてしまっているみたい。たくさん嫌な思いをさせちゃったよね。
僕は先生にも酷いことをした。この際だから言ってしまうと、先生が僕をいらなくなるのが怖くて、自暴自棄で、ハッテン場（見ず知らずの男同士がその場で性行為する場所）でヤリまくった。最低だろ。
しかも、どこかで先生を試す心もあった。先生はどこまでやったら僕を捨てるのか。いや、違うな、もっと言うと、本心では先生が僕を捨てないと確信して、それに甘えて、先生を傷つけたかったのかもしれない。
僕はどうしようもなく不潔で気持ち悪いヤツだ。今後、佐藤君にも先生にしたようなことをしないと言い切る自信が、今はまだない。だから、君は僕といないほうが君のためなのかもしれないよ。
二人に迷惑をかけてしまわない強い人間になりたい。どうしたら、もっとしっかり自分の足で立てるんだろうか。

なんだかまとまりのない文章になってしまったな……でもこれが僕の気持ち。本当は直接伝えたほうがいいに決まっているけど、勇気がなくて、日記に書いた。

とにかく、ちゃんと君の意思を確認したいと思った。それからじゃないと、次に進んじゃダメだと思った。
だから、正直に佐藤君の気持ちを教えてほしい。