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1章

令嬢 2

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「それで、覇王様」
「ちょっと待って、誰が覇王様ですの?」

「あ、すいません。なんか、デッカイ馬に乗ってる人とダブっちゃって」

「何なんですの?」
 食事の後のお茶を優雅に飲みながら話す。

「俺の所に来た本当の目的は何です?」
「ホホホ、先ほど言ったように私ヒーラーを極めたいのですよ。そう、ヒーラー道を」
「ヒーラー道?え~と、エキスパートになるとかの意味ですか?」
「ま、そうとも言いますわね」
「何か言い方が一々男臭いと言うか、古臭いと言うか……」

「何か言いまして?」
「いいえ、何も」
「ま、いいですわ、それで貴方、二日酔いを治す不思議な魔法を使うと聞いたので確かめにこの街に来たのですわ」

「えっと、一つだけいいですか?キャロラインさんここに来た時確か、”モヒカンで大男の回復師さん”を探してましたよね?」

「ええ、そうね。どこかで、情報が入り混じってしまったようですわ」
「最悪な混じり方です」
「あらあら、まあまあ、照れちゃうわね~~~」
「……ま、いいや、キャロラインさんちょっと待っててくださいね」

「ママさん、みんなの分俺のとこにつけといて良いですから、仕事に戻って下さい」
「はいはい、ご馳走様ねヒデちゃん」
「トラン達、仕事は?」
「今、ゲンが聞きに行ってる。あ、帰って来た」
「ゲン、仕事あったか?」
「うん、掃除と三件と配達二件」
「お、今日は多いな、気を付けて頑張っといで」
「は~い、今日はちょっと遅くなるかも」
「わかった、頑張ってな」
「「「は~い」」」

「貴方のご兄弟ですの?」
「いやいや、孤児院の子供達ですよ。髪や、顔が全然違うでしょ」
「あら、そうなんですの?随分親しいというか、自然な感じがしましたので」
「へ、そうですか?会った時からあんな感じでしたけど?」

「そうなんですの?先ほど私が貴方に勝負を申し込んだときにあの子たちいつでも動けるように構えをとってましたのよ、私が武器を出したりしていたら、きっと切りかかってきたでしょうね」
「え、まさか~?」
「ホホホ、貴方があの子達を守りたいと思うのと同じくらい、きっとあの子たちも貴方を守りたいのですわ」

「む~、ま、まいいか、話しを戻しましょう」
「ホホホ、照れなくてもいいでしょうに」
「照れて無いです。それで、本来プットアウトは毒の浄化を目的に作られた魔法なんです。」

「あら、二日酔いを治すとか何かおかしな魔法だと思いましたら、なるほどそういった事でしたの。でも、私の知る毒消し魔法は毒を受けた直後に魔法を傷口にかけるものですわ。ですので成功率は低いですの。そもそも成功した事無いですけどね私は」

「え、毒が抜けなかったらどうするんですか?」
「毒消し薬を飲んで抜けるまで安静にするんですの」
「ん~、この魔法はさっきも言った通り身体に入り込んだ毒素を浄化させることなので、毒消し薬と同じ役目ですね」

「効果が出るのが早い分便利ですわね」
「はい、そうですね、この魔法覚えてみますか?」
「え?よろしいのかしら?貴方のオリジナル魔法なのではないの?」
「ん~、オリジナルか聞かれると違うかな?覚えるつもりがあるなら教えますよ」

「無償で教えてくださるつもり?」
「あ、無償じゃないですよ、この魔法を覚えたら他の人にもどんどん教えてあげてください」
「は~?貴方何を言ってるのかわかってますの?そんな事をして貴方に何の得がありますの?」
「え、え~と、助かる人が増えるですかね?」
 ジーと俺の目を見てから、隣にいるミラを見る。ミラが何やら頷いている。

「ハァ、なるほど、わかりましたわ」
「え、何が?ミラどういう事?」
「ヒデ兄師匠が、優しいって事」

「え、優しくないよ俺、やりたい事しかやらないしね」
「ホホホ、貴方の人となりはわかりましたわ、私も貴方に弟子入り致しますわ」
「え、弟子入りしなくても教えますよ?」
「少しの間だけですわ」

「え、キャロラインさん弟子入りするんですか?」
「ええ、そうですわ。そうしますと、ミラさんが姉弟子ですわね」 
「え、私、キャロラインさんのお姉さんなの?」
「そうですわ、ミラお姉様」
「え、え、うわ~、スゴ~イお嬢様みたい。お姉様だって」

「ホホホ、私のことは、キャリーとお呼びください。ミラお姉様」
「う、うん、キャリーちゃん」
「新鮮で良いですわね」

 で、ミラにした説明ですぐ使えるようになりました。

「俺、これから、お布団取りに商店街行くけど一緒に行く?」
「私はもちろん、ついていくよ」
「では私もお姉様と一緒にいきますわ。この街に着いたばっかりで良く知らないですから少し見たいですわ」

 商店街に行く事をママさんに伝えると、いってらっしゃいっと両手で投げキッスをしてきたので飛んできたハートを全て叩き落としておいた。

「キャロラインさん今日着いたの?」
「お師匠様もキャリーとお呼びください」
「う、じゃあ、キャリーさんで」
「はい、着いたばかりですわ」
「荷物は?」
「アイテム袋に入っておりますの」
「あ、なるほどだから、手ぶらなのか」
「旅をするなら便利ですから」
 キャリーさんが 突然、止まって振り返る。

「ん?如何したの?」
「いいえ、何か視線を感じたものですので」
「え、なんだろ?」
「気のせいですわね。行きましょう」
 何気ない話をしながら歩いていたらすぐに着いた。

「あそこの店です。フフ、布団楽しみだな」

「こんにちは」
「いらっしゃい、あら、ヒデさんじゃない、布団出来てるよ」
 カウンターの下から出してくれた。

「おお、シックでいいね!カッコイイ」 
「アリソンさんはお礼言いたいんだけど」
「あの子今いないんだよ」
「ありゃ、じゃあ、伝えといてもらえる?」
「わかったよ、それでねヒデさんちょっと時間あるかい?」
「うん、大丈夫だよ」
「隣のおばあちゃんなんだけど足が痛くて寝込んじゃってるんだよ、観てやってくれないかい?」
「え、それは、大変だおかみさんすぐに案内してください」
「あんたならそう言ってくれると思ってたよ、こっちだよ」
「二人とも待ってる?」
「私は行くよ」
「私もお供いたしますわ」
「うん、じゃあ行こう」
 
 おかみさんが裏のドアから入って大きな声で奥に話しかける。
「おばあちゃん、あたしだよ、足の具合は如何だい?」
「なんだい、お隣さんかい、痛くてしょうがないよ年は取りたくないね」

「こないだ、うちの娘の足を治してくれた回復師さんが来てくれたから診てもらうといいよ」

「こんにちは、おばあちゃん、どっちの足?」

「こっちの足だよ、動かさなくても痛くなってきてさ」
「そう、辛かったね、今診るね」
 【診断】

『右足の膝が炎症を起こしていて、軟骨と骨に損傷が見られます。』
≪了解、ありがとう≫

「おばあちゃん、膝のとこが炎症起こしてて、膝の骨が少し削られちゃって痛くなってるんだ」
「難しい事はわかんねえけど、治るんかね?」
「大丈夫、治るよ、今治すね」
 
 膝の炎症おさまれ~、破損した骨治れ~
 《ヒール》右足の膝がほんのり光り出す

「おばあちゃん、痛くない?ゆっくり動かしてみて」
「温かくなって痛みが無くなった感じだよ、痛くないよありがとね」

「良かったね、今日はゆっくり休んでね」

「身体が動くんだから仕事するよ」
「言うと思ったよ、無理しないでね」
「ありがとうね、治療費を払わなきゃね」
「今日じゃなくてもいいよ、昨日休んだりしてるでしょ」
「カカカ、大丈夫だよ、少しくらいは蓄えはあるよ」

「本当、じゃあ、銀貨一枚ね」
「は?安いけど間違えじゃないのかい?」
「うん、ウチは最初から銀貨一枚だよ」
「そうなのかい?何か悪いねはいよ、銀貨一枚ね」
「はい、お大事に、また、痛くなったら呼んでね」

「ありがとね、若い時の爺さんにそっくりでいい男だね」
「え、本当?俺いい男?じゃあ、おばあちゃんみたいな美人さんと結婚できるかな?」
「カカカッ、そりゃ無理だよあたしほどのいい女はそうそういないからね」
「そうか、そりゃ残念だよ」

「カカカ、面白い男だね、またおいで」
「うん、また来るね」
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