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1章

令嬢 3

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 おばあちゃんの家を出てからおかみさんに話しかける。

「おかみさん、ここら辺で怪我や病気の人いませんか?無料で治療しますので」
「タダで診てくれるのかい?」
「はい、弟子の経験を積ませる為にね、手に負えなければ俺が診ますし」

「お弟子さん?このお嬢さんかい?」

 ミラの頭をなでながら
「この子もですよ」
「あら、エルフかい、なるほどね、わかったよ、ちょっと声かけてくるよ、そこの広場で待っててくれるかい」
「はい、お手間かけます」
「良いんだよそんな事、じゃあ、行ってくるよ」
「はい、お願いします」

「お師匠様、少しよろしくて?」
「はい、何ですか?」
「なぜ銀貨一枚で治療をなさっているのですか?」
「安すぎるって言いたいのかな?」
「そうですわ、なぜそのような安い値段設定をなさったのですか?」
「ふむ、質問を質問で返すのもあれですが、なぜ高くしないといけないのですか?」
「え、教会のヒールは金貨1枚です。それと比べればわかると思うのですが?」
「なるほど、教会と比べてですか。何で教会と比べなければならないのです?」
「なぜって、あら?何故ですの?」

「フフフ、意地悪がすぎましたね、なぜ安いか?答えは簡単儲けるつもりが無いからです」
「なるほど、納得しましたわ」
「あれ?すんなり信じましたね?」
「お師匠様の人となりを考えると、納得してしまいますわ」

「フフ、まいいや、ミラ、ヒールは出来るようになってるでしょ?」
「えっと、何で知ってるの?内緒で練習してたのに」
「フフフ、師匠だからね!なんて、部屋の隅でいつも練習してたでしょう。俺のそばであれだけ、ヒールかけるの見てたんだもんミラなら出来るようになってるさ。なんたって一番弟子だからね!」

 話してる間におかみさんが声をかけた近所の人達が集まって来た。
「おかみさん、ありがとうね、こんにちは、私は冒険者ギルドで診療所を開いてるヒデと言います。調子の悪い人や怪我をしてる人いませんか?今ならタダで弟子の美女二人が診てくれますよ。どうですか?」

「本当にタダでいいのか?後で請求するつもりじゃないのか?」
「しないですよ、するなら、ギルドでやってるなんて言わないですよ。安心してください」
「そうかい、じゃあ頼むぜ、昨日酔ってどこかにぶつけたみたいでよ、腕のとこに青あざが出来ちまってよ」
「はいはい、じゃあ、ミラおいで、いつも、俺がやっているようにやってごらん」
「うん、いくよ、」
 《ヒール》

青あざをじーっと見つめてヒールを唱える。

「お、おお、あざが無くなった、押しても痛くない、ありがとよお嬢ちゃん」
「い、いえ、えっと、お、お大事に」
「ハハハ、おう、ありがとよ」

「凄いぞ、ミラは本当に凄いな」ナデナデ
「クスクス、ありがとう、ヒデ兄師匠」

「今のミラお姉様のヒールはお師匠様のヒールにそっくりですわ」
「え、キャリーちゃんのは違うの?」
「何と言うか。私のヒールはこう、身体全体にいき渡る様にするのですが」

「そうだね、戦闘時とかは傷口に集中してヒールをしている暇はないからね、でも部分的に集中してかけた方が効果が上がるのと魔力量が少なくて済むんだよ」
「なるほど、勉強になりましたわ」
「次、僕、いい?昨日転んじゃって擦りむいたの、膝と腕のとこ」
「おお、痛そうだね、泣かなかったかい?」
「泣かないよ、ちょっとしか」
「そうか、じゃあ、今度は大きいお姉ちゃんに頼もうかな」
「畏まりましたわ」
「ミラが、やったように集中して範囲を狭めてみてください」
「はい、やってみますわ」
 腕の怪我を見ながらヒールを唱える
 続けて膝にもヒールをかける

「うわ~、あったかくて気持ちいい、あ、傷が無くなってるスゴ~イおねえちゃんありがとう」
「どういたしまして、転ばないように気を付けるんですのよ」
「は~い」
「意外とコントロールが難しいですわね」
「ふふ、慣れるとそうでもないですよ」

「あの、私もいいですか?手の指なんです動かすのも痛くなる時があって。私、縫物の直しとかで
生活してるんです。指が動かなくなったら……」

「大丈夫ですよ。ウチの弟子にかかればすぐよくなりますよ」
「本当ですか、お願いします。お願いします」
「診せてもらいますね」
  【診断】

『指の腱鞘に炎症が見られます』
≪了解、ありがと≫

「ミラ、武具やのおやっさんの時の事覚えてる?」
「うん、手首に痛いのが出てた」
「スキルで診てごらん」
「うん、えい、えっと、手の指の所に痛いのが出てる」
「うん、そこに、ヒールを当ててごらん」
「わかった、じー、ヒール、痛いの小さくなったけどまだあるよ」
「うん、もう一回かけてごらん」
「うん、ヒール、今度は無くなったよ」
「そうだね、ゆっくり動かしてみてください」

「はい、あ、痛くないです。前みたいに動く、ありがとうございます。本当にありがとうございました。この仕事が出来なくなったらどうしようかと思ってました」
「フフフ、こちらこそ、ありがとうございます。弟子の治療は大丈夫のはずですが、また痛くなったら冒険者ギルドの診療所に来てくださいね」

「はい、わかりました。お嬢さんありがとうね」

「うん、お大事にね」
「はい、失礼します」
「今のミラお姉様のスキルですの?」
「うん、そうだよ、病気の場所がわかるの」
「それは、便利なスキルですわ」

「は~い、他にいないですか~、今なら無料ですよ~」
「俺も、頼むぜ」
「私もお願い」
「こっちも頼むよ」
 …………


+++++++++++++++++++

「いや~大盛況だったね~」
「流石に疲れましたわ、魔力コントロールの勉強にはなりましたけど」
「う~ん、むにゃむにゃ」

 ミラは最後の方で魔力が切れて眠てしまったのでオンブをしている。
「ミラお姉様の途中で魔力切れで倒れてしまいましたわね。この年であの量は流石はエルフですけど」
「魔力の使い方を覚えればもっと効率よく出来るしね」
「診療所帰ったらフレッシュって魔法教えてあげるよ」
「あら、どんな効果ですの?」
「MPの貯まるの少しだけ早くなるんだ」
「それは、便利そうな魔法ですわね。なぜ、ミラお姉様にかけてあげなかったのですか?」
「限界を知っておいた方がいいでしょう」

「なるほど、スパルタですわね」
「ふふ、一度経験すると限界近い時わかるからね」


「お師匠様、今日集まった皆さん喜んでましたわね」
「ん、そうだね、大半がぶつけたとか擦りむいたとかっだったけどね」
「その中、何人かの方は怪我や病気が治らなかったら如何していただろうと思う人もいましたわ」
「そうだね、俺は、そんな人達を一人でも多く助けたいんだ。手の届く範囲でね」
「ご立派ですわ」
「何言っての、キャリーさんだって今日いっぱい助けたじゃん」
「ホホホ、ありがとうございます。楽しかったですわ。これは、新しい道ですの、楽しみが出来ましたわ」
「ん?なにそれ」



「「「ヒデ兄」」」
「お、お前らも今おわりか?」
「終わったよ」

「ミラちゃん如何したの?」
「魔力の使い過ぎで寝ちゃった。そろそろ起きるだろ?」
「ありゃ、ミラちゃん昨日も魔法の練習してたもんね」
「フフ、ミラは真面目だからな。今から、屋台広場に戻るのも億劫だからギルド前の定食屋に行こぜ」
「「「やったーヒデ兄ゴチになります」」」
「なんですの?それ」
「おごってもらう時に言うんだって」
「ホホホ、まあ、そうなんですの?本当に仲がおよろしいですのね」

「キャロラインさん、ご飯の後、鍛練所で少し相手してくれないですか?」
「あら、良いですわよ、今日は身体を動かしてなかったから、少し動きたかったところですの」
「やったー、いつも同じ相手だったから今日は楽しみ」

 ミラも起きたのでみんなで一緒にご飯を食べました。

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