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1章

side 若様 中編

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前編の次は後編だとは誰も言っていない。
すいません。収まりきらなかったので中編です。
次で収まるかな~_(_^_)_

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 コンコン
 兄上の部屋のドアをノックすると中からすぐに返事が来た。

「お、待っていたよ。入ってくれ」
 部屋付きのメイドに飲み物を入れてもらって。紅茶を飲みながら話を続ける。

「それで、話しってなんだい?」
「まずは、確認です兄上のご結婚相手なんですが」

「ブッ、ゲホッゲホッお、おま、お前何言ってるんだよ」
「だって、もう、同盟の為の政略結婚とかしないで済みそうじゃないですか?」

「それはそうだけど」
「そうすると、国内からでも考えられるわけじゃないですか?」
「……おまえ、何が言いたいんだ」
「兄上が……兄さんが学生の時から気になってるあの子とかでもいいわけだし」
「お、お前何で知ってるんだよ。変な探り入れてないだろうな?」
「ハハハ、いやいや、偶然見ちゃったんだよ下町のカフェでデートしてるの」
「ク~、いつだ?あのときか?たまたま友達と一緒だっただけかもしれないぞ」
「兄さんの嬉しそうな顔見たらだれでもわかるよ」
「どこまで知ってる?」
「えっと、サイモン・ライオール子爵の一人娘ってとこまでかな」
「そうか」

「しかし、鬼のサイモンの娘ってどうなの?」
「剣さばきが美しいとか思ったのが最初で、それからよく話すようになって……」
「いやいや、ノロケ話とかいいから、結婚とか考えてるんでしょ?」
「うん、そうなんだけどさ、サイモン・ライオール子爵は、娘のデイジーが生まれた時に奥さんを亡くしていて以来、再婚せずに父一人、娘一人でやって来たんだよ」

「ふ~ん、で?娘は嫁に出さんって事?」
「いやいや、そうじゃなくて……デイジーが、公爵家辺りの家に養女として入ってからの結婚は嫌だと。嫁ぐのならサイモン・ライオールの娘として嫁ぎたいと言っていてな」

「なるほど、流石に第一王子のお嫁さんが子爵じゃまずいもんね」

「ま、俺的には関係ないけど、周りがうるさいのと蔑まれたりしたら嫌だからね」
「そうか、うんじゃあやっぱりここでつかちゃおうかな、切り札」
「何だよ、切り札って?」
「うん、デイジー嬢が公爵辺りに養女になるなら他で切ろうかと思ったけど」
「何だよ、ハッキリ言えよ」
「フフフ、兄さんデイジー嬢と結婚出来るよ」

「なに、本当か?養女にならずにいい方法があるのか?教えろ早く教えるんだ」
「兄さん、落ち着いて、落ち着いて、デイジー嬢は聖女になってもらおう」
「ん?何言ってるんだ?わかるように言ってくれよ」
「はいはい、さっき話してたヒデ君から魔法を教えてもらったんだよ」
「は?魔法を教わった?何の魔法だ?」

「えっと、かけた方が早いかな」《洗浄》
「お、おお、ハハなんだこれ、ハハハくすぐったいな」
「この魔法ね、身体に着いた目に見えないバイ菌を退治してくれるんだ」
「バイ菌ってなんだよ」
「身体に入ると病気の原因になるんだって」
「それを、さっきのシュワシュワで退治してるのか」
「しかもこの魔法洋服の汚れ落としとか、臭いも消してくれたり出来るんだよ」
「凄いな、これ、生活魔法だろ?」
「お、流石魔法理論の研究者さん」
「茶化すな、単純だが凄い効果だな」

「だろう?この魔法をデイジー嬢が発見したことにすればどうなると思う?」
「な、何だと?この魔法はそのヒデ君とかが見つけた魔法なんだろ?」
「うん、その通りだよ」
「では、ヒデ君が発表するのではないのか?」
「いや、それがねこの魔法を早く広めたいから僕に託してくれたんだよ。もちろん、政治の道具にしても良いと許可も貰ってるよ」

「は?そのヒデ君はスタンプ伯爵の話しを知らないのか?」
「それは、僕から話したよ」
「では、何が目的なんだ?」
「だから、この魔法を早く広める事なんだってさ、その為に僕を利用してるんだって」
「いやいや、おかしいだろ?何の利益も無いじゃんか」
「兄さん、じゃんかって、まあまあ、そういう人なんだよ、でね、やり方をそっくりそのままマネしちゃおうかと思ってね」

「マネ?」
「そう、魔法を発見したデイジー嬢が利益や権利を全て王家に献上するんだよ。それを、大々的に発表すると聖女様の出来上がり。どう?」

「シナリオとしては完璧だが、デイジーが了承してくれるかな~」
「そこは、兄さん頑張ってよ、結婚できるかどうかの瀬戸際だよ」
「フム~ま、こんなチャンスあり得ないんだし何とかものにしないとな」

「そうだよ、サイモン・ライオール子爵って軍の大佐だろ?あのデブがそんな弱点見逃すはずないからね。先手を打っておこうよ」

「その事もあったか。うん明日にでも会いに行ってくるよ」
「おお、事実プロポーズだね、頑張って」
「お前、緊張させるような事言うなよ」
「ハハハ、じゃあ、お休み」
「ああ、ありがとう、本当にここ数日間の悩みが全て解消されそうだよ」

 何日かしたある日、兄上が申し訳なさそうに部屋に入って来た。

「スマン、1度だけヒデ君に会えないだろうか?」
「ああ~、やっぱりデイジー嬢がらみ?」
「う、そうだけど、何だよやっぱりって」
「いや、鬼のサイモンの娘が簡単に折れるとは思わなかったからね」
「うう、スマン、その気の強いとこも魅力なんだが……」
「はいはい、わかったよ、ヒデ君に都合のいい日聞いて会えるようにするよ」
「頼む、出来れば俺も一緒に行くぞ」

 ヒデ君とデイジー嬢の会う日取りを決めた当日、兄上は仕事でどうしても抜け出せなくなったので欠席。

「兄上は、残念でしたね、姉上とお呼びした方がいいですか?」
「第二王子、まだ早いです」
「ハハハ、わかりました。デイジー嬢と呼びますね。後、向こうでは私は若様でお願いしますね」
「はい、わかりました」

 いつもの二人の護衛と合わせて四人でいつもの診療所にテレポートする。

「いらしゃいませ、若様、そちらの女性がお話の?」
「こんにちは、ヒデ君、うん、そうだよ彼女がデイジー嬢だ」
「お初にお目にかかります。私デイジー・ライオールと申します」
「俺は、ここで回復師をしています。ヒデと言います」

「私、回りくどいのは苦手でして如何しても訊きたかった事から。なぜ、貴方が魔法発見の発表をしないのですか?ここにいる若様のお力があれば貴方が見つけたと発表しても、同じように広まるのではないですか?」

「そうですね、ただ、その後何所を歩いていても注目されちゃいますし、回復師の仕事にも支障きたしちゃいますよ」

「えっと、働か無くてもらなくてもお金は入ってきますよね?」
「あ、なるほど。でもこれ、俺の趣味だから」
「回復師のお仕事が趣味なんですか?」
「そうですよ、だから、あの魔法の効果を早く広めて病気を減らしたいんですよ。でも、有名になったら回復師の仕事が出来ないでしょ。なので、めんどくさい後処理を貴方に押し付けてるんですよ」

「はい?あれ?そうじゃなくて、なんか、色々考えていた事がちょっと混乱しちゃって」

「ハハハ、難しく考えすぎですよ。病気を減らしたいが騒がれるのが嫌。だから俺は貴方を利用した。貴方は、政治的地位を手に入れる。が、何所行っても騒がれる。あれ?貴方の方が損してません?俺の方が病気が減って騒がれないの二つ、貴方は政治的地位を手に入れるだけですね」

「え?え?あれ?そうなんですか?私この魔法をいただいていいのですか?」
「はい、むしろ、お願いします」
「あの、わ、私、でん、あの人と結婚出来るの?だって、あまりにも地位が違いすぎて、国の問題とか、本当に結婚出来るんですか?養女になるのは嫌とか言って向こうが諦めてくれればいいと、そうすれば、私も諦められると思っていて、あの」 

「えっと、難しい事わからないですが、旦那さん信じてついて行けば大丈夫です。貴方が悩んだように旦那さんも同じように悩んでいるはずですよ。お二人でよく話し合ってください」
「え、あの人も悩んでいたのでしょうか?」

「うん、兄さん凄く悩んでたよ、本気で変わってくれないか僕に聞いて来た事あったしね。でも、お家騒動が起きちゃうだろうから出来ないのもわかってるんだけど。後、駆け落ちとかも考えていたみたいよ真面目すぎて出来なかったみたいだけど」
「貴方の事を本気で愛しているんですね、お幸せになってくださいね」

「ウフ、ウフフ、そうなんですよ、あの人たら、最近へい、あの人のお父様が、ご病気になってからお顔がこう、グッと引き締まった感じもしますし、頼もしくなってきてまして、でもでも、物凄く優しいんです、それからそれから……」

ム、ヒデ君がこっちを見てアイコンタクトをしてきた”タスケテ”かフムフム、よし。”オチャガオイシイカライマムリ”

「もうちょっとマシな理由にしてくれ~~~」
「なんで、伝わってるんだよ?」
「え、何となくわかったから」 

 デイジー嬢、とヴァネッサ、ダニエル、ミラ君がキョトンとした顔でこっちを見てる。

「ゴホン、デイジー嬢も納得出来たみたいだし、帰ろうかね」
「ヒデさんこのご恩決して忘れません。ヒデさんから魔法を託されたんですから師匠と弟子の関係ですね。そして、師匠の思想を広め病気を減らす事に力を入れたいと思います」

「フフフ、最近、なんだか弟子が増えるね。難しく考えないで病気減ればいいなあ、くらいでいいですよ、頑張り過ぎちゃうと疲れちゃいますからね」
「はい、お言葉胸に刻んでおきます」

「ヒデ君いつも済まないね」
「フフフ、それは、言わない約束です」
「え、そんな約束したっけ?」
「俺の故郷のお決まりのセリフです。俺と若の仲じゃないですか気にしないでくださいよ」
「嬉しい事言ってくれるね~、またくるよ」
「はい、待ってます」 
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