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1章

交渉

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 湿布は完成したが生産と販路かの確保をやらないとな~、ポールさんの話しだと1日に作れる量は数回分の小瓶が30~40くらい店売りだけなら十分だろうけど。

 まずは、リサーチかな?ギルドの人達には好評だったけど他はどうだろう?診療所で考え事をしていたらギルマスが湿布余ってないか聞きに来た。

「ヒデ、こないだのまだあるか?」
「湿布?あるよ……ギルマスって商人ギルドに知り合いみたいなのいない?」
「ん?いるけど、この湿布がらみか?」
「うん、どれくらい売れるかちょっと意見聞きたいかなって思ってさ」
「そうだな、間違いなく売れるだろうが商人に訊くのが一番だな。よし、紹介状書いてやるちょっと待ってろ」

 言うが早いか部屋に戻っていった。ヒールの練習をしてるミラに訊いてみた。
「商人ギルド行って来るけど一緒に行く?」
「うん、もちろん行くよ」
「じゃあ、ギルマス戻ってきたら行こう。ゲン達は鍛練中だから邪魔したら悪いしね」
「でも、心配するかもよ?」
「え、平気でしょ、俺と一緒だし大丈夫、大丈夫、あ、ギルマス来た」
「ヒデ兄師匠を心配してるって事わかって無いのかな?」

「これを、ゲイリーって男に渡せばわかるようにしといたぞ」
「おお、ありがとう、早速行ってくるね」
「おう、早く売り出してくれよな」
「フフフ、は~い」


 商人ギルドは商店街の手前にあって何度か前を通た事がある。

「冒険者ギルドより少し小さいかな?」
「うん、小さいね、酒場とかないからかな?」
「なるほど、そうかもね、さあ、入ろうか?」
 
 中に入ると直ぐに案内の人が寄って来た。

「いらっしゃいませ。本日は商人ギルドにどういった用向きですか?」
「はい、ゲイリーさんは居ますでしょうか?」
「ん?ゲイリーですか?ギルマスの?」
「え、ゲイリーさんギルドマスターなんですか?」
 聞いてないよそんなの。

「ゲイリーにどの様な用でしょうか?」
「はい、冒険者ギルドのギルマスから手紙を預かってましてこれがそうです」
 ギルマスから受け取った手紙を渡すと、後ろのサインを見てから。

「そちらの待合室でお待ちください」
「はい、お願いします」

 商人ギルドは交渉の窓口と商品を荷馬車ごと入れられるように大きな扉が付いていた。

「外から見たらこの窓口の所だけかと思ったら、この荷馬車止めるとこもギルドなんだね?」
「凄いね、中に入ったら大きくなったみたい」
「ハハハ、面白い言い方だね」

 あっちこっち見ていると案内の人が入って行ったドアから、さっきの案内の人とやせ型の背の高い男が出て来た。あれって、元々の肌の色じゃないよな~それに動きが緩慢な気がする。

「私がここのギルマスのゲイリーだ、何か売り物があるらしいね」
「俺は冒険者ギルドの診療所で回復師をしている、ヒデといいます。こっちは弟子のミラです。商談の前にいいですか?」

「ん?商談に入る前に何かな?」
「その、黄疸いつからですか?」
「黄疸とは何かな?」
「あ~、身体が調子悪くなったのはいつ頃からですか?」
「ほお、回復師と言うのは嘘じゃないらしいな、部屋に入ってくれ中で話そう」
 ゲイリーさんが出て来た部屋に入ると山になった書類が乗っている机と横に応接間セットが置いてある。

「ゲイリーさん、そこの長椅子に仰向けで寝てください。そうして立ってるのもつらいでしょ?」
「ふ~、お見通しなのかい君には?」
「いえ、似た症状を知ってるだけです。今から診ますのでここに」
「わかったよウスベルからも良い回復師だと書いてあったしね」
 ウスベルって誰だっけ聞いた事が……あ、ギルマスの名前だ完璧に忘れてた。

「では、診ますね」
 【診断】

『肝機能がかなり低下してます』
≪だよな~黄疸出てるくらいだもん、ありがとう≫

「ゲイリーさん、目の白い部分が肌色っぽくなったのはいつです?」
「今朝、妻から言われて気付いたんだ。少し前に風邪をひいて無理をしたせいじゃないかと思っていたのだが違うのか?」

「はい、その風邪が原因なんですが、ゲイリーさんお酒飲みます?」
「ん?酒か、うん、まあたしなむ程度にはな」

 隣で黙って聞いていた案内の人がため息をついてから暴露した。
「ふぅ、ギルマスはご飯抜きにしてもお酒を飲むのが大好きですね」

「やっぱり、お酒控えてくださいね、この病気はほっとくと突然死んじゃうくらい怖い病気なんですよ」
「う、うう、わかった約束する。量を減らすよ」
「約束しましたよ、じゃあ、治療しますね」
 【診断】

≪サポートお願いね≫
『了解しました。麻酔をかけた後ヒールをお願いします』
≪わかった≫
『麻酔完了です。ヒールをお願いします』
 肝機能前のように元気になれ~健康な肝臓になれ~。
 《ヒール》
 身体がほんのり光り出す。

「うん、顔色も良くなってきたねもう大丈夫ですよ」
「おお、何だこの久しく忘れていた全身にみなぎるようなこの感じ、力が湧いて来たぞ」
「それが健康な時の身体ですよ、お酒控えてその健康を維持してくださいね?」
「ハハハ、約束するぞ」

 案内の人が俺に訊いて来た。
「それで、治療費は銀貨一枚ですか?」
「あれ、知ってるんですか?俺の事」
「いえ、噂を聞きましてね、銀貨一枚で怪我や病気を治す回復師がいると」
「おお、流石は商人ですね耳が早い、じゃあ持って来た物が何かわかります?」
「流石にそこまではわからないですね」
「フフ、ゲイリーさんはわかるでしょ、手紙には書いてあると思いますがこれです」

 細長いテーブルに小瓶を出す。
「これが、肩こりに効く薬ですか?」
「ウスベルさんは何と書いてました?」
「とにかく凄いから使ってみろと」

 相変わらず大雑把だな~
「……そうですか、えっと、使い方は簡単で適度に切った布に塗って貼り付けるだけです。ゲイリーさん貼ってみますか?」
「肩こりの悩みはずっとあったからね是非頼むよ」
「はい、いきますよ、最初ちょっとだけヒヤッとしますからね」
「うむ、わかった。はう、たしかにヒヤッときたが、おお、何か効きそうな感じだよ」
「どうです、これいくらなら買います?」

「ほほ~、こちらを試してるのかな?」
 目つきが急に商売人の目になっている。
「この小瓶で多くて五回分くらいかな?フムフム、私がこれを売るなら大銀貨一枚で売りますね」
「ええ、高い、売れますかその値段で?」
「生産量が低い分、薬は高価になってしまいますからね」
 う~ん、やっぱり生産量がネックだよな

「一日に300くらい出来るとしたらどう?」
「ん、300出来るのでした銀貨一〇枚ですかね、ただこの値段はこの街の値段です。行商人が他に売りに行った場合もう少し上がってしまうでしょうね」

 そりゃそうか、運送の難度考えたら上がって当然か……
「ヒデ様、三〇〇生産出来るのですか?」

「う~ん、この街に工場を建てようかと思ってます」
「ほほ~、場所とかお決まりで?」
「ん~、出来ればスラムの近くで建てたいのですけど」

「……あまりお勧め出来ませんが、何か理由でもあるのですか?」
「そうですね、スラムから脱出は難しいじゃないですか?ならその辺の環境ごと変えようと思ってね、あそこら辺って、元冒険者とか冒険者の奥さんとかがいっぱいいるんですよ。そういう人達を雇っていくために近い方がいいなって」

「なるほど、安い賃金で数を多く雇うという事ですか?」
「違いますよ?さっき言ったじゃないですか環境を変えるって、いっぱい働いて儲けてもらってあそこらへんの環境が良くなれば変わっていくかなって、なので、安くて工場の広さがある所ないですか?」

街の地図を広げて指を差して説明をしてくれた。
「ここに以前、材木工場を営業していた土地が建物付きであるのですが……」
「ん?何か不味いの?狭いとか?」
「いえ、材木を扱っていたくらいなので広さは十分あります。ただあそこら辺の土地はほぼブルース様の土地でして、ここだけうちの土地なんですよ」

「ブルースさんか、ここで関わって来るか~スラムだし何所かで会うかなっとか思ってたけどいきなりか~」
「ブルース様とお知り合いですか?」

「会った事があるくらいですけどね、う~ん、まあいいか訊きたい事は、訊けたので今日のとこは一度帰りますね」
「はい、ヒデ様の担当はギルマスである私が担当しますので何かあったら私の方に連絡をください」
「よろしくお願いします」

 ギルドを出てポールさんの家を目指して歩き始める。

 場所は良いんだけどな~何とかならんかな~。

 この後ポールさんのとこ行って生産に必要な技能とか専門知識が必要ならそういった人も雇わなきゃいけないしな~やる事たくさんあって何所からやればいいのやらわからん。

 考え事しながら歩いていたから前から歩いて来た人が声をかけられるまで気付かなかった。

「そうだ、ヒデ君だよね?」

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