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1章

取引

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 お昼前にヒューイさんとウィルさん、うちの方のゲン達はクエストに出ているので俺とミラとキャリーさんの五人で向かう、工場に着くとたくさんの人が集まっていた。

「おはようヒデさん」
「おはようございますエディさん」
 集団の中からエディさんが出てきてそのまま一緒にいてもらった。


「何か昨日より多くない?」
「ですね、何人かの人が近所の人を誘ってもいいか聞いてましたから少し増えたのでしょう」
「なるほど、じゃあ昨日健康診断受けてない人は集まってもらって、急いで診るから時間を稼いどいてね」

「わかりました。お集まりの皆さんの中で昨日、健康診断を受けてない方はそちらにいる人に診てもらってください。昨日、健康診断を受けた方はもう少しだけお待ちくださいね」

 半数とまでは行かないが結構多くの人数が来る。ミラとキャリーさんで組んでもらって三人でドンドン見ていく。

 特に問題なく合流してヒューイさんの話しとウィルさんの、設備を回りながら仕事の説明をしてからまだ何もない製品の倉庫に集合した。

 その後実際に材料を加工していくのを実践してもらいウィルさんに振り分けをしてもらう。警備希望の人もいたのでその辺はエディさんにお任せしちゃう。

 ある程度作業の分担が出来たら、どの時間に働けるかの話しになる。

 昨日、院長先生に話しをしたら子供を預かるのは無料でもいいと言ってくれたが、これはビジネスなのでお金はきちんと払いますと伝えておいた。

 給金は、日払い、週払いで最初のうちは日払いにしてなるべく週払いにしてもらうように話していくらしい。確かにこの人数毎日は厳しそうだ。

 ヒューイさんも人を探しているそうだが、お金を扱うのでなかなかいい人がいないらしい。ヒューイさんに倒れらたら非常にまずいので、銀のペンダントにランヒールを付呪してヒューイさんとウィルにも渡しておいた。
 もちろん効能を説明してありますよ。渡したとき微妙な顔をされたので急いで説明しました。

 この後何日か練習させて頃合いをみて製品を作っていくそうだ。俺のやる事は今日は無そうだし帰ろうかな?

「ヒューイさん、後お願いねギルドに戻ってるよ」
「はい、お疲れ様何かあったらギルドに人やるね」
「はい、お疲れ様、皆さんお仕事頑張ってくださいね」
「「「「「「はい、お疲れ様です」」」」」」

 みんな凄く真面目に話を聞いて真剣に作業をしている。スラムの人間は不真面目で働かないなんてレッテルを貼られているが安い賃金で働かせてやるみたいな態度で働き手が続くわけがない。

 まあ、レッテル通りの人もいるのだろうけど、今の態度を見ているとそんな感じは全然しない、きっとみんな頑張ってくれるそんな気がしてくる。

「みんな一生懸命やってくれてるね」
「うん、みんな時間が短くても働けるし、子供を預かってくれるって聞いて凄い驚いてたよ」
「そうですわね、子供を抱えた人達が働かなければならなのは大変ですけど、この条件なら働きさえすれば食べていけますもの。この女性の事を考えて作られたシステムは賞賛に値しますわ」
「フフフ、キャリーさんに褒められるのは嬉しいけど、条件が上手く具合に合っただけだよ」
「まったく、素直にありがとうだけでいいのではないですか?お師匠様」

 などと話していたらギルドに着いていた。ギルドに入ると診療所の前に若様とヴァネッサさんと、あと一人上品な服で身なりの良いおじさんが待合室で話しをしていた。

「あ、若様来てたんですか?待たせてしまって、すいません」
「お、帰って来たねヒデ君」
「こんにちは、若様、ヴァネッサさん」
「こんにちは、ヒデ君」
 ヴァネッサさんは目礼して少し頭を下げる。ヴァネッサさんが喋らないのはこの人が外部の人なのかな?

「ヒデ君、こちらは僕らの身の回りの商品を扱ってる商人なんだよ」
「ハハハ、初めましてヒデさんお噂は色々聞いてますよ。私はケネスと申します。ちいさな商いをさせてもらってます」

 俺は笑顔を作ってケネスさんの目をそらさないで見る。これは営業時代に会った事があるぞ、成功をした自信と力を持った人だ。多分この人に嘘のは効かないな、何かそれに属するスキルがあるかもしれない。

 しかし、小さなって王族御用達の商いが小さいって?こっちを探ってるのか?それとも形式美的な挨拶なのか?こっちのルールがわからん、わからん時は取りあえずスルーだ。それより若様と情報の共有してるのか探ってみるか。

「いや~、お恥ずかしいですね噂になってるなど、どんな噂ですか?」
「これは、本当に面白い方だ。こっちを探り出した」
「ケネス、ヒデ君は基本冒険者なんだから商人じゃないよ?」
「ハハ、そうなのですか?では、スカウトして私の弟子になってもらいたいですね」
「え、本気かい?ケネスが弟子を取るなんて初めて聞いたよ。でも約束違反だよ」

「そうですね、私も初めて言いましたよ。申し訳ない。つい、口から出てしまいました。ワハハハ」
 先ほどの作り笑いとは違う顔で楽しそうに笑っている。
 
「ヒデ君そんなに構えないで大丈夫だよ。ケネスは子供の頃から知ってるし、ちゃんと話してあるから」
「大丈夫ですよ、ヒデさん貴方に手出ししないって条件でここに連れて来てもらったのですから」

「そうなんですか?最初の威圧は凄かったですけど……」
「それは癖のようなものですよ、人となりを見るには慣れたやり方がわかりやすいですからね」
 まあ、何がどうなったって商人としては、かなわない人なのは間違いない。

「でね、ヒデ君ケネスにこないだの湿布薬見つかっちゃって仕入れ先を教えて欲しいって言われてね。まあ、悪い話じゃないし連れて来たんだよ」


「なるほど、どうですプロの目から見てどれくらい売れますかね?」
「フム、生産量にのよりますが初回にそれなりの数をまければ市場を握れますからね。薬の配合はわかりずらいですから。マネされるまでに時間が稼げますし、湿布薬ならうちのブランドみたいな感じになれば次からは面白いように売れますよ。」

「ん~、これから時間あります?工場に案内するのと、取引担当の人に会ってほしいんですけど」
「おお、それは願っても無いことだ是非お願いします」
「若様は一緒に行く?」
「もちろん行くよ、楽しみにしてたし」

 戻ってきたのに、またすぐに工場に向かって歩き出す。道中、湿布薬の話しをしながらあるいていて、贈答用の話しをした時ケネスさんが凄くのって来た。
 話してたらあっという間に工場に着いて、まだ中で仕事してるみたいなのでヒューイさんの所に向かった。

「あれ?ヒデさん戻って来たの?」
「うん、ちょっとこちらの方が湿布薬に興味を持たれまして、話しを聞きたいそうなので」

「私はエル商会のケネスです」
「ヒールファクトリーのヒューイです。ってエル商会ってまさか王都のですか?いや、そうだよね?エル商会って一つしかないはずだし?」

「ハハハ、多分そのエル商会ですよ。会頭しているケネスです」
「そ、そうですか、すいません、ちょっと失礼して、ヒデさんちょっと」
 俺の腕を掴むと急いで少し離れた所に連れて来て小声で話す。

「ちょっとヒデさんあんな大物どこで見つけて来たの?」
「えっと、そんなに凄いの?」
「商人ギルドにいてその商会を知らない人はまずいないってくらい有名だよ」
「あ、やっぱりそうなんだ」
「何のんきな事言ってるのさ、下手したらうち乗っ取られちゃうよ」
「大丈夫だよ、ヒューイさんがいるんだから」
「のんきだなヒデさんは」

 交渉の場に戻って話しをを横で来ている。さっきの貴族向けの贈答品をエル商会で引き受けさせて欲しいと話しをしている。簡単に言うと贈答用の木箱やビンなどを任せて欲しいので、薬だけ収めて欲しいそうだ。

 売単価を聞いたら入れ物によって値段を変えるらしい。ケネス氏曰く貴族の方は見栄が一番なので自分の気に入った入れ物から選ばせると値段が釣り上げやすいそうだ。ただうちのマークと名前は入れてもらう事は約束した。

 一樽の納品額が設定していた金額よりかなり高い提示金額だがヒューイさんが頑張ってさらに少しだけ上げた。まあ、運送もエル商会が受け持ってくれるので破格の値段だろう。

ただ、生産のノルマが課せられた。と言っても今のシステムなら素材さえ切れなければ問題ない。

 商談が終わってから生産の方を見てもらう為に工場を案内した。まだ、練習をしている人も多くいる、みんな頑張ってるなあ。

 ケネスさんが説明を聞きながら細分化の話しは質問を幾つもするくらい真剣に訊いていた。

 最後にノルマ以外に生産出来ればそれも買い取ると話していた。


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