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夜会はまずは女装から
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10日後、私は友人の家でお茶をしていた。
彼女は数少ない友人の一人でデボラ様。侯爵家の次女で妖艶なその容姿から恋多き女性と思われがちだが婚約者のカイル様一筋だ。
そして、二人で話したいというのに何故か同席しているカイル様。彼はデボラと同じく侯爵家の子息。でも、女子会なので男子禁制なのですが。
「へー、デボラ嬢とのデートをキャンセルさせておいてそんなこと言うんだ」
カイル様は見たところ天使のようなかわいらしい少年だけど、その中身はデボラ以外にはほぼほぼ悪魔……。
「マリーゴールド嬢、なにを考えているのかな?」
あっ、その笑顔怖いです。
「ダメよ、マリーゴールドは私の親友なんだから。彼女が困っていたら助けてあげるのが友人でしょ」
「デボラ様ぁ。大好き……」
デボラに抱き着いた私をにらみつけるカイル様。だからカイル様ってば心が狭いんだから。そんなにらまないでください。
「それで、私が団長の妻らしくなるにはどうすればよいかということだけど」
「いまのままでいいんじゃない?」
「今のままのマリーゴールド嬢でいればよいかと思います」
二人とも口をそろえて同じこと言うのね。
「でも、それだといけない気がして、二人に相談したのだけどな」
なにしろ、幼いころからあこがれる団長に少しでも近づきたくて剣術や乗馬の技術を磨くことだけまい進してきたらかな。普通の令嬢とは違うことはわかる。さらに、貴族の妻としてはこのままではいけない気がする。
「それなら、夜会にちゃんと出たら。今まであのお坊ちゃんが夜会を嫌うのをいいことにサボってたでしょ。夜会に出るのは貴族の妻として基本でしょうが」
私はそれを言われて頭を抱える。
何しろ、騎士になることだけを目指していた私だ。髪の毛は男よりも短く刈り揃えているし顔は日焼けしてる。肩も腕も胸もおなかも腿もすべて筋肉で覆われている。この間の茶番のときも騎士服での出席の許可をお願いしたくらいだ。こんな私に似合うドレスなんかあるわけがない。
「覚悟を決めなさい。1か月後に私の誕生パーティがあるでしょ、それには出てくれるわね。さて、マリーに似合うドレスを探しに行かないと」
「それならマダムアンソニーのお店はどうかな?」
「カ イ ル さ ま」
「だってあそこならマリーゴールド嬢に似合う服をしつらえてくれるはずだよ」
「そうか、そうかもね。よし、じゃ、まずはこの後行ってみようかしら」
「えーとー、いまから……」
「1年なんてすぐよ、さっさと行動しなさい。他にもいろいろやらないといけないことがあるんだから!」
相変わらずこうと決めたデボラに反対するのは難しい。
「はい……」
私は素直に頷いた。
◆◆◆
マダムアンソニーのお店は下町に入ったところの紳士服店の二階にあった。表から入るのは紳士服店で裏の階段を昇るとマダムアンソニーのお店の入口がある。
「いらっしゃぁい、あら、かわいい子ね、そうねどんな服がいいかしら、可愛い系? ちょっと小悪魔系?」
デボラがカイル様を後ろにかばうようにして私を前に出す。
「今日、お願いしたいのはこの子よ」
「あら、女性は相手していないのだけど……」
そういいながらマダムアンソニーは私をじろじろと見る。
「ちょっとこちらに来てくださる。そう、背筋を、ああいいわね、この筋肉、なるほど、うちのお店に来たのわかるわ、うふふ、腕が鳴るわぁ。この娘に似合うドレスねぇ、ふふふそうね色は……」
これって受けてくれるってことだろうか?
「ちょうどね、依頼されていたのがキャンセルになったのよ。期限は? 20日ね、ちょっと苦しいわね。30日じゃだめ? だめなの。そうかぁ、30日が夜会なのね。じゃこういうのはどう? いいかしら? それに既製服の改造になるけどいいかしら」
デボラとマダムアンソニーがどんどん話をつけていく。気がつくと話している人が増えている。どうやらデボラのドレスを作る服屋も呼んできたようだ。
私は当事者なのにほぼ置いてきぼりだったが、今度はみんなが集まり私の採寸を始める。さすがにマダムアンソニーに採寸してもらうわけにはいかないので彼の奥様、ミスターアンソニーに採寸してもらった。
彼女も隣にお店を持っていて令嬢やご夫人の男装の服を作っているそうだ。
これで終わりかと思ったら、服のデザインにあうアクセサリをみつくろいに行く。これも本来はちゃんと作らないといけないのだけど今は時間がない。大体の候補を決めて、あとは夜会近くになったら併せてみることになった。
「ふふふふふふふふ…………」
デボラが気持ち悪い笑い方をしている。
「これでやっと、やっと、マリーの女装姿を見ることができる、できるわぁ」
そういえば、彼女とは長い付き合いだけどすでに出会ったときに私は騎士を目指していたからほぼほぼ騎士服で通してたからなぁ。それにしても、私は女性なんだから女装って言うな。
◆◆◆
デボラの誕生日が近くなりデボラのお屋敷に呼ばれると、ミセスアンソニーを始めとして服飾職人たちが勢ぞろいしていた。
「わぁぁ、似合う、これなら誰にも文句言わせないわ」
私がドレスに袖を通すとデボラが感嘆の声をあげる。デボラと並ぶと彼女のドレスのデザインと私のドレスのデザインがバランスよく調和している。
「これ、いいわぁ。本と素敵。みなさん、ありがとう。これならマリーを男女なんて言わせないわ」
デザイナーも服飾職人もみなやり切ったという表情だった。あとはアクセサリーや髪型などを決めねばならない。いろいろあるなぁ。私は髪を短くしているから、そう思っていたら髪につけるアクセサリもいろいろ考えなければならない。大変だなぁ。負わすころにはすっかりへとへとになってしまった。
◆◆◆
夜会当日は、さすがに団長にエスコートをお願いするわけにはいかないのでいとこのダリウスにエスコートしてもらうことにした。彼は既婚者だけど、奥様が妊娠中なので夜会に出るわけにいかないため快く引き受けてくれた。奥様も彼の背中を叩いて送り出してくれたそうだ。何しろ侯爵家の令嬢の誕生パーティだ。男性にとっても社交の機会だ。
私は地位としては下の方になるのだが、デボラの友人ということで少し遅めに入場した。私が入場すると会場がざわめいた。騎士服ではないドレス姿の私。最初は似合わないのかと心配したが、杞憂のようだ。雰囲気は悪くない。
さらに主役のデボラが入場するとざわめきが大きくなった。侯爵閣下の挨拶が終わり、デボラのあいさつの後、招待客たちの間を廻るデボラが私の横に並んで立つとその狙いがわかったのだろう。その後、私と話そうとする女性たちが聞きたがったのはどちらで作ったのかということだった。事前にデボラから言われていたので、
「デボラ様から紹介いただいたので……」
とごまかした。
久しぶりの夜会で少し疲れた。ダリウスは誰かと話している。私は一人で休憩室に向かおうとした。
「ご容赦ください……」
女性の声がする。見ると休憩室に引っ張り込もうとする中年男性と逃げようとする少女がいた。
「何かありましたか?」
私が声を掛けると中年男性は私をバカにしたような表情で言う。
「いや彼女が体調が悪いようだから休ませようとしているところだ。邪魔をするな」
ほう、王宮で警備をするとこういう輩がたまにいるな。
「なるほど、では私が彼女を引き受けましょう。女同士の方が良いでしょう」
「いやいや、ご令嬢の手を煩わせるわけにもいきませんから」
押し問答をしている間に誰かが呼んできたのだろう、侯爵家の家令が来た。
「ベーナ男爵様、フェールム男爵令嬢、エリエール男爵令嬢何かございましたか」
「いっいや、このご令嬢が体調が悪いようで介抱しようと……」
「そうですか、それでしたら我々にお任せください。君、このご令嬢を」
一緒に来た侍女に指示を出しご令嬢を男性から引き離す。
「あ、では、私はこれで……」
逃げようとした方向から団長と侯爵閣下がいらっしゃる。
「ベーナ男爵、あなたはこの間王宮で問題を起こしたばかりでしたよね」
「しっしらん、そんなこと」
団長の詰問にしらを切る中年男性に侯爵閣下がとどめを刺す。
「我が屋敷内でこのような不埒な事をしようとするのは我が家にたいする挑発と考えても良いですな」
「いいいいいや、そそそんなことはまったく」
「連れていけ」
団長が騎士に向かって指示をする。団長と騎士の二人がかりで男爵は連れていかれた。
「いくら騎士でもうら若き女性が一人では危ない。でも、今回はありがとう。それにこんなところで申し訳ないが、娘も大変喜んでいる。あんなにはしゃいでいる娘はひさしぶりだ。これからもよろしくたのむ」
そうおっしゃると気がついたように私の後ろを見る。
「君に災難だったな。どうかこの後も楽しんでくれ」
さっきの令嬢が後ろにいた。
「すっすみません、ありがとうございます」
閣下に向けて頭を下げてお礼を言った後私の方に向かい頭を下げる。
「先ほどはありがとうございました。このご恩は忘れません」
そう言うと侍女に付き添われ去って行った。
「さて、我々も会場に戻ろう。娘が君を探しているといけないからな」
戻ったところでデボラにつかまる。
「聞いたわよ、貴女の雄姿、みたかったわぁ。それにありがとう。我が家の夜会でそんなことさせたらとんでもなかったわ」
「はは、女性らしくなかったかな」
「そんなことないわよ。それにいたいけな少女を救う女騎士、かっこいいわよ。明日からみんなのうわさになるわ」
とりあえず、デボラの様子から見て今回は合格だったのかな。
久しぶりの女装での夜会は無事に終わることができた。
彼女は数少ない友人の一人でデボラ様。侯爵家の次女で妖艶なその容姿から恋多き女性と思われがちだが婚約者のカイル様一筋だ。
そして、二人で話したいというのに何故か同席しているカイル様。彼はデボラと同じく侯爵家の子息。でも、女子会なので男子禁制なのですが。
「へー、デボラ嬢とのデートをキャンセルさせておいてそんなこと言うんだ」
カイル様は見たところ天使のようなかわいらしい少年だけど、その中身はデボラ以外にはほぼほぼ悪魔……。
「マリーゴールド嬢、なにを考えているのかな?」
あっ、その笑顔怖いです。
「ダメよ、マリーゴールドは私の親友なんだから。彼女が困っていたら助けてあげるのが友人でしょ」
「デボラ様ぁ。大好き……」
デボラに抱き着いた私をにらみつけるカイル様。だからカイル様ってば心が狭いんだから。そんなにらまないでください。
「それで、私が団長の妻らしくなるにはどうすればよいかということだけど」
「いまのままでいいんじゃない?」
「今のままのマリーゴールド嬢でいればよいかと思います」
二人とも口をそろえて同じこと言うのね。
「でも、それだといけない気がして、二人に相談したのだけどな」
なにしろ、幼いころからあこがれる団長に少しでも近づきたくて剣術や乗馬の技術を磨くことだけまい進してきたらかな。普通の令嬢とは違うことはわかる。さらに、貴族の妻としてはこのままではいけない気がする。
「それなら、夜会にちゃんと出たら。今まであのお坊ちゃんが夜会を嫌うのをいいことにサボってたでしょ。夜会に出るのは貴族の妻として基本でしょうが」
私はそれを言われて頭を抱える。
何しろ、騎士になることだけを目指していた私だ。髪の毛は男よりも短く刈り揃えているし顔は日焼けしてる。肩も腕も胸もおなかも腿もすべて筋肉で覆われている。この間の茶番のときも騎士服での出席の許可をお願いしたくらいだ。こんな私に似合うドレスなんかあるわけがない。
「覚悟を決めなさい。1か月後に私の誕生パーティがあるでしょ、それには出てくれるわね。さて、マリーに似合うドレスを探しに行かないと」
「それならマダムアンソニーのお店はどうかな?」
「カ イ ル さ ま」
「だってあそこならマリーゴールド嬢に似合う服をしつらえてくれるはずだよ」
「そうか、そうかもね。よし、じゃ、まずはこの後行ってみようかしら」
「えーとー、いまから……」
「1年なんてすぐよ、さっさと行動しなさい。他にもいろいろやらないといけないことがあるんだから!」
相変わらずこうと決めたデボラに反対するのは難しい。
「はい……」
私は素直に頷いた。
◆◆◆
マダムアンソニーのお店は下町に入ったところの紳士服店の二階にあった。表から入るのは紳士服店で裏の階段を昇るとマダムアンソニーのお店の入口がある。
「いらっしゃぁい、あら、かわいい子ね、そうねどんな服がいいかしら、可愛い系? ちょっと小悪魔系?」
デボラがカイル様を後ろにかばうようにして私を前に出す。
「今日、お願いしたいのはこの子よ」
「あら、女性は相手していないのだけど……」
そういいながらマダムアンソニーは私をじろじろと見る。
「ちょっとこちらに来てくださる。そう、背筋を、ああいいわね、この筋肉、なるほど、うちのお店に来たのわかるわ、うふふ、腕が鳴るわぁ。この娘に似合うドレスねぇ、ふふふそうね色は……」
これって受けてくれるってことだろうか?
「ちょうどね、依頼されていたのがキャンセルになったのよ。期限は? 20日ね、ちょっと苦しいわね。30日じゃだめ? だめなの。そうかぁ、30日が夜会なのね。じゃこういうのはどう? いいかしら? それに既製服の改造になるけどいいかしら」
デボラとマダムアンソニーがどんどん話をつけていく。気がつくと話している人が増えている。どうやらデボラのドレスを作る服屋も呼んできたようだ。
私は当事者なのにほぼ置いてきぼりだったが、今度はみんなが集まり私の採寸を始める。さすがにマダムアンソニーに採寸してもらうわけにはいかないので彼の奥様、ミスターアンソニーに採寸してもらった。
彼女も隣にお店を持っていて令嬢やご夫人の男装の服を作っているそうだ。
これで終わりかと思ったら、服のデザインにあうアクセサリをみつくろいに行く。これも本来はちゃんと作らないといけないのだけど今は時間がない。大体の候補を決めて、あとは夜会近くになったら併せてみることになった。
「ふふふふふふふふ…………」
デボラが気持ち悪い笑い方をしている。
「これでやっと、やっと、マリーの女装姿を見ることができる、できるわぁ」
そういえば、彼女とは長い付き合いだけどすでに出会ったときに私は騎士を目指していたからほぼほぼ騎士服で通してたからなぁ。それにしても、私は女性なんだから女装って言うな。
◆◆◆
デボラの誕生日が近くなりデボラのお屋敷に呼ばれると、ミセスアンソニーを始めとして服飾職人たちが勢ぞろいしていた。
「わぁぁ、似合う、これなら誰にも文句言わせないわ」
私がドレスに袖を通すとデボラが感嘆の声をあげる。デボラと並ぶと彼女のドレスのデザインと私のドレスのデザインがバランスよく調和している。
「これ、いいわぁ。本と素敵。みなさん、ありがとう。これならマリーを男女なんて言わせないわ」
デザイナーも服飾職人もみなやり切ったという表情だった。あとはアクセサリーや髪型などを決めねばならない。いろいろあるなぁ。私は髪を短くしているから、そう思っていたら髪につけるアクセサリもいろいろ考えなければならない。大変だなぁ。負わすころにはすっかりへとへとになってしまった。
◆◆◆
夜会当日は、さすがに団長にエスコートをお願いするわけにはいかないのでいとこのダリウスにエスコートしてもらうことにした。彼は既婚者だけど、奥様が妊娠中なので夜会に出るわけにいかないため快く引き受けてくれた。奥様も彼の背中を叩いて送り出してくれたそうだ。何しろ侯爵家の令嬢の誕生パーティだ。男性にとっても社交の機会だ。
私は地位としては下の方になるのだが、デボラの友人ということで少し遅めに入場した。私が入場すると会場がざわめいた。騎士服ではないドレス姿の私。最初は似合わないのかと心配したが、杞憂のようだ。雰囲気は悪くない。
さらに主役のデボラが入場するとざわめきが大きくなった。侯爵閣下の挨拶が終わり、デボラのあいさつの後、招待客たちの間を廻るデボラが私の横に並んで立つとその狙いがわかったのだろう。その後、私と話そうとする女性たちが聞きたがったのはどちらで作ったのかということだった。事前にデボラから言われていたので、
「デボラ様から紹介いただいたので……」
とごまかした。
久しぶりの夜会で少し疲れた。ダリウスは誰かと話している。私は一人で休憩室に向かおうとした。
「ご容赦ください……」
女性の声がする。見ると休憩室に引っ張り込もうとする中年男性と逃げようとする少女がいた。
「何かありましたか?」
私が声を掛けると中年男性は私をバカにしたような表情で言う。
「いや彼女が体調が悪いようだから休ませようとしているところだ。邪魔をするな」
ほう、王宮で警備をするとこういう輩がたまにいるな。
「なるほど、では私が彼女を引き受けましょう。女同士の方が良いでしょう」
「いやいや、ご令嬢の手を煩わせるわけにもいきませんから」
押し問答をしている間に誰かが呼んできたのだろう、侯爵家の家令が来た。
「ベーナ男爵様、フェールム男爵令嬢、エリエール男爵令嬢何かございましたか」
「いっいや、このご令嬢が体調が悪いようで介抱しようと……」
「そうですか、それでしたら我々にお任せください。君、このご令嬢を」
一緒に来た侍女に指示を出しご令嬢を男性から引き離す。
「あ、では、私はこれで……」
逃げようとした方向から団長と侯爵閣下がいらっしゃる。
「ベーナ男爵、あなたはこの間王宮で問題を起こしたばかりでしたよね」
「しっしらん、そんなこと」
団長の詰問にしらを切る中年男性に侯爵閣下がとどめを刺す。
「我が屋敷内でこのような不埒な事をしようとするのは我が家にたいする挑発と考えても良いですな」
「いいいいいや、そそそんなことはまったく」
「連れていけ」
団長が騎士に向かって指示をする。団長と騎士の二人がかりで男爵は連れていかれた。
「いくら騎士でもうら若き女性が一人では危ない。でも、今回はありがとう。それにこんなところで申し訳ないが、娘も大変喜んでいる。あんなにはしゃいでいる娘はひさしぶりだ。これからもよろしくたのむ」
そうおっしゃると気がついたように私の後ろを見る。
「君に災難だったな。どうかこの後も楽しんでくれ」
さっきの令嬢が後ろにいた。
「すっすみません、ありがとうございます」
閣下に向けて頭を下げてお礼を言った後私の方に向かい頭を下げる。
「先ほどはありがとうございました。このご恩は忘れません」
そう言うと侍女に付き添われ去って行った。
「さて、我々も会場に戻ろう。娘が君を探しているといけないからな」
戻ったところでデボラにつかまる。
「聞いたわよ、貴女の雄姿、みたかったわぁ。それにありがとう。我が家の夜会でそんなことさせたらとんでもなかったわ」
「はは、女性らしくなかったかな」
「そんなことないわよ。それにいたいけな少女を救う女騎士、かっこいいわよ。明日からみんなのうわさになるわ」
とりあえず、デボラの様子から見て今回は合格だったのかな。
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