恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ！！

出会い

6

「三橋さん、息子と結婚する意志があるんですか？」

直球だぁ……どうしよ……。
私は隣に座る彼の顔をチラ見した。
彼は私の目をじっと見つめて、お願いします、と懇願しているように見えた。


「……そうです」
「少し間があった気がするのですが……」
「親父、そういう事言わないでくれ。俺と彼女は本気なんだ」
「涼太……あなたがそこまでいうのも珍しいわよねぇ。それだけ三橋さんがいいの？」
「勿論だよ、お袋。もういいだろ？　俺たちこれから出掛けるんだよ」
「そう、急かさんでもいいだろ。それにこうなった以上、涼太と三橋さんには婚約者同士として一緒に暮らしてほしいだ」


「「えぇーっ！！」」


何で私がこの人と同棲しないといけないのっ！
何ちゅう親だよ、ったくもぉ～。
息子の事全く信用してないって感じじゃん。


「それはまだ無理だ。三橋さんには三橋さんの生活があるんだし」
「何を言っている。将来結婚するんだ。一緒に生活するべきだ」
「いや、それは……」
「なんだ、涼太。出来ない理由でもあるのか？　お前たちは本当に結婚する気があるのか？」
「お父さん……何もそこまで……」
「母さんは黙ってなさい」
「……はい」
「どうなんだ？　涼太っ」



オーナーの押しの強さに参る彼は渋々同棲することを宣言してしまった。
私は黙ったまま頭の中が真っ白になっていた。



「どうするんですか！？　あんなこと言ってしまって」
「すみません……でも断ると疑われてしまうから……」
「あのですね、私、同棲なんか出来ませんよ？」
「そんな……僕だって嫌ですよ。女性と暮らすなんてこと……」
「嫌なら同棲なんてしなければいいじゃないですか」
「しかし、僕と三橋さんが同棲していないことがバレたら……それに、三橋さんバイトやめさせられちゃったじゃないですか。これからどうするんですか？」
「いや……どうするって言われても……」



そう、どうすればいいんだろう。
オーナーが同棲するんだから私は家事に専念するように言われバイトは来なくていいと言われてしまったのだ。
嘘がバレると私にまでとばっちりが来ると思って何も言わなかったのだが、明日からどうすればいいのか全く考えていなかった。