恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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平穏と実家とエトセトラ

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初デートの夜、彼が遅くに帰って来た。
自室に居た私はリビングへ向かうと彼が疲れた表情でソファーに座っていた。
私は何も言わずに部屋に戻ろうとした時彼に声を掛けれた。

「茜さん。今日はすみませんでした」


私は振り返って彼の所に行くと隣に座った。


「大丈夫です。問題ないですよ。それより、トラブルって大丈夫だったのですか?」
「あ~、はい。何とかなりました。システムダウンしてしまったのです。エンジニアが居ないとのことで僕が呼ばれたんです。社長って言っても僕も一スタッフに過ぎませんからね」
「大変なのですね。お疲れ……」


私はそう彼に言おうとした時彼が私を抱きしめた。
彼の体が少し震えていた。
私は何が起こっているのか分からず硬直してしまった。

「いきなりすみません。なんだか疲れてしまって」
「いえ。大丈夫です。ちょっとびっくりしたんですけど」
「こうしてると、落ち着きます。茜さん、暖かいです」
「ははは、そう、ですか。よかったです」


私は湯たんぽじゃないぞ。
だけど、男に落ち着くって言われるのも結構萌えるわね……ふふふ。


暫く抱きしめられた私。
彼は落ち着きを取り戻して自室へと戻って行った。

それから数日が過ぎた。



付き合い始めてからの同棲生活。
でも今までと何ら変わらない毎日。
でも変わったと言えば毎日朝と夜自宅で一緒に私が作るご飯を食べることと、彼の下着を洗濯することになれたことくらいだ。



私は相変わらず専業主婦のような生活をしている。
オーナーのコンビニバイト生活を辞めて既に2か月ほど過ぎただろうか。
平日は彼が仕事なので私は家で過ごすことが多くなっていた。
夕方になると彼に貰ったお金で近くのスーパーへ行って買い出しに出掛ける。
夜7時ごろになると彼が帰ってくる時間に合わせて夕飯の支度。


平和な毎日。
彼は私に主婦になってほしくはないので疲れたり嫌になったら家事は業者に任せてもいいとも言ってくれていた。
けど、それって私何もしないプー太郎になってもいいって言う事じゃん?
それだけは絶対に嫌なのよ。


じっとしてたらぶくぶく太っちゃうし、怠け者になっちゃうし、それにふけると思うのよねぇ。
だから敢えて家事を進んでするの。
お料理だって彼と同棲生活を始めてからかなり上達したんだから。
毎日私の作る料理を、美味しい、と言って喜んで食べてくれる彼が好きになってきたんだしね。

今私はすっごく充実してる。
彼がいない時は部屋で閉じこもってネットでBL本を漁って萌えを補充。
実はこっそり通販で同人誌を買っているんだぁ……あ、勿論私の貯金を使ってだけどね。
これだけは彼氏が出来たからって止められない。

彼にもいずれは言わないといけないのかな……私が妄想腐女子だってこと……。
それを知った彼はどう思うんだろう。
別れるって言うかなぁ。
それとも理解してくれるとか?
ああ、あり得ない……それだけ絶対無いわぁ~。
だからこれは絶対見つかったらダメな事。

一生封・印っ!!
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