34 / 100
平穏と実家とエトセトラ
34
しおりを挟む
今週の金曜日が終わり彼はリビングのソファに座りながらテレビを観ていた。
私も彼もお風呂を済ませて私は自室でパソコンと睨めっこ。
何故かというと、この間実家の母から連絡が来て一度戻ってくるように言われてしまったのだ。
当然彼にはこのことを言わないといけない。
でもその前に新幹線の予約などを済ませてお金も払わないと彼が気を使って私にお金を渡しかねない。
「……よし。これで予約と送金完了っと……さて、行くか……」
静かにパソコンの画面を閉じて椅子から立ち上がると部屋のドアノブに手を掛けた。
ゆっくりドアを開けて彼の居る所へ向かう。
「あの、涼太さん。お話が、あります」
彼が私の方に目をやると不思議な表情で見つめる。
私は彼の横にちょこんと座って俯いたまま話を始めた。
「あの、ですね。実は、この間、母から連絡があったのです。それで一度福岡に戻って来いって。ですから来週の月曜日に3日間家を空けます。それだけ、です」
「そうなのですか。それは急ですね。う~ん……あ、そうだ。僕も一緒に行って良いですか? 一度ご挨拶をしないといけませし。」
「え……? で、でも平日、ですよ?」
「来週であれば問題ないです。丁度福岡のお客様と会いに行けますし。仕事の一環として。出張扱いにすれば問題ないです」
そういう意味で言ったんじゃねーよ。
なんで一緒についてくるんだよ。
空気読めよ、空気を……。
「そう、なんですね……ははは」
「茜さん? いいですか? 僕もついて行って」
嫌だ……とは言えないでしょーよ。
もう……あ、そうしたらあれ訊いてやるっ!!
「分かりました。だけど条件があります」
「また、ですか?」
「はい。また、です」
「何でしょうか、今度の条件とは」
ふふふ、童貞め……今度こそお前の偽りの仮面を剥がしてやるんだから……。
「私のこと、どう思ってますか?」
「え……? どう、とは?」
「どう、は、どう、と言うことです。どうなんですか?」
彼は私の質問の意味が分かっていないのか、顎に手を当てて黙り込んでしまった。
頭いいんでしょーに。それくらい分かりなさいよっ!!
何んで分かんないのよ。
分かるでしょーよ。
マジで分かんない、んなことないわよね?
あり得ない……、童貞だからってこれくらいの事ちゃんと理解してよねっ!
「あの、もしかして『好きかどうか』と言うことですか?」
「……そう、なりますね……」
「好きです」
「はい……?」
「いえ、だから、好きです。茜さん」
「即答ですね。涼太さん」
「勿論です。愛してます。茜さん」
「薄っぺらく聞こえます。涼太さん」
「事実です。茜さん」
「分かりました。涼太さん」
この糞童貞めぇぇぇえ、なんなんだぁぁぁぁぁ!
こいつの思考回路、どうなってやがるんだぁぁぁ!
マジいかれてる……マジ最低……でも……嬉しい……ぽっ……。
って私完全にこいつに惚れこんでんじゃんっ!
心臓バクバクいってるし、顔は熱いし、口元が自然と緩みまくるしぃぃ!
何だか悔しい。
何だか犯されてるみたいに感じちゃってる。
なんだ、これ?
私はどうしてこうなっちゃった??
私も彼もお風呂を済ませて私は自室でパソコンと睨めっこ。
何故かというと、この間実家の母から連絡が来て一度戻ってくるように言われてしまったのだ。
当然彼にはこのことを言わないといけない。
でもその前に新幹線の予約などを済ませてお金も払わないと彼が気を使って私にお金を渡しかねない。
「……よし。これで予約と送金完了っと……さて、行くか……」
静かにパソコンの画面を閉じて椅子から立ち上がると部屋のドアノブに手を掛けた。
ゆっくりドアを開けて彼の居る所へ向かう。
「あの、涼太さん。お話が、あります」
彼が私の方に目をやると不思議な表情で見つめる。
私は彼の横にちょこんと座って俯いたまま話を始めた。
「あの、ですね。実は、この間、母から連絡があったのです。それで一度福岡に戻って来いって。ですから来週の月曜日に3日間家を空けます。それだけ、です」
「そうなのですか。それは急ですね。う~ん……あ、そうだ。僕も一緒に行って良いですか? 一度ご挨拶をしないといけませし。」
「え……? で、でも平日、ですよ?」
「来週であれば問題ないです。丁度福岡のお客様と会いに行けますし。仕事の一環として。出張扱いにすれば問題ないです」
そういう意味で言ったんじゃねーよ。
なんで一緒についてくるんだよ。
空気読めよ、空気を……。
「そう、なんですね……ははは」
「茜さん? いいですか? 僕もついて行って」
嫌だ……とは言えないでしょーよ。
もう……あ、そうしたらあれ訊いてやるっ!!
「分かりました。だけど条件があります」
「また、ですか?」
「はい。また、です」
「何でしょうか、今度の条件とは」
ふふふ、童貞め……今度こそお前の偽りの仮面を剥がしてやるんだから……。
「私のこと、どう思ってますか?」
「え……? どう、とは?」
「どう、は、どう、と言うことです。どうなんですか?」
彼は私の質問の意味が分かっていないのか、顎に手を当てて黙り込んでしまった。
頭いいんでしょーに。それくらい分かりなさいよっ!!
何んで分かんないのよ。
分かるでしょーよ。
マジで分かんない、んなことないわよね?
あり得ない……、童貞だからってこれくらいの事ちゃんと理解してよねっ!
「あの、もしかして『好きかどうか』と言うことですか?」
「……そう、なりますね……」
「好きです」
「はい……?」
「いえ、だから、好きです。茜さん」
「即答ですね。涼太さん」
「勿論です。愛してます。茜さん」
「薄っぺらく聞こえます。涼太さん」
「事実です。茜さん」
「分かりました。涼太さん」
この糞童貞めぇぇぇえ、なんなんだぁぁぁぁぁ!
こいつの思考回路、どうなってやがるんだぁぁぁ!
マジいかれてる……マジ最低……でも……嬉しい……ぽっ……。
って私完全にこいつに惚れこんでんじゃんっ!
心臓バクバクいってるし、顔は熱いし、口元が自然と緩みまくるしぃぃ!
何だか悔しい。
何だか犯されてるみたいに感じちゃってる。
なんだ、これ?
私はどうしてこうなっちゃった??
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない
あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。
タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。
図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。
実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。
同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる