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平穏と実家とエトセトラ
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結局、彼は私と一緒に私の実家へ向かうことになってしまった。
当然、あの後母に会わせたい人が居るというと……。
『誰なん? 男か? 男できたんか?』
と何度も五月蝿く聞いてきて私が、うん、と言うと元気な声ではしゃいでいた。
親は完全に私が男が出来ないと高を括っていたので喜んでいたのだが恥ずかしいのだ。
ああ、あの母に彼を会わせるとかマジで嫌なんですけど。
「茜さん。もうすぐ新幹線が発車しますけど、何か飲み物要りますか?」
「あ、ええっと……コーヒーを、下さい」
「分かりました。あ、すみません、コーヒー二つ、お願いします」
車内販売でコーヒーを買って貰いそれを口に付ける。
新幹線の車内放送が始まり発車音が鳴るとゆっくり動き出した。
名古屋に来てから何年たったんだろう。
随分と長くいた感じがするなぁ~。
福岡かぁ……もう忘れてしまったところに感じるなぁ……。
「茜さん。ご両親には僕の事は?」
「あ、はい。言ってあります。連れて行くと」
「そう、ですか。僕はホテルを予約しているので、茜さんはご実家でゆっくりなさってくださいね」
「は……? 涼太さんは家に泊まらないのですか?」
「ええ、一応出張扱いですし。それにいきなり泊まりとかは……緊張してしまって眠れませんので」
本当にこの男はちっちゃい奴だなぁ~。
ああ、どうしよ。
一緒に実家に泊まるとか言っちゃった気がするんだけど……。
「あっ。そうだ。涼太さん。私もそのホテルに泊まれますか?」
「え……シングルなんですけど」
「ツインにしてください」
「……どうしても、ですか?」
「はい。どうしても、です」
「……分かりました。茜さん」
「有難う御座います。涼太さん」
これで私も実家に泊まらずに済むわ……。
若し私だけ一人で泊まったりしたら親に何を聞かされるか分かったもんじゃない。
そう、これは戦略的撤退なのよ、私は逃げているわけではないの。
面倒なことが嫌なだけなの。
「あの、茜さん。ホテルなのですが……一緒の部屋で、いいんですよ、ね?」
「はい。そうですけど……って、ええっ!!」
「はい……? ダメ、でしたか?」
「ダメ……では……涼太さんは、大丈夫なの、ですか?」
「はい。問題ないと思います」
「あ、ははは……そう、ですか。私も、問題ない、ですよ」
「分かりました。なんだか今日の茜さんはおかしいですね」
「え……? 何がおかしいですか?」
「なんとなく、です」
「涼太さんの感覚で人を変人扱いするの止めてください」
「あ、いえ、そんなつもりは……」
そう言いながら彼は頭を掻きながら苦笑いした。
ま、童貞なんだから別に一緒の部屋でも襲われることはないでしょ。
こいつにそんな甲斐性あるわけないわ。
私だって別に男に抱かれるような魅力、無いもん。
へーきよ、へーき。
私はそう心の中で呟きながら新幹線の窓に流れる景色に目を落とした。
ああ、これから福岡に帰るんだよなぁ……なんだか、気が滅入るよぉ……。
当然、あの後母に会わせたい人が居るというと……。
『誰なん? 男か? 男できたんか?』
と何度も五月蝿く聞いてきて私が、うん、と言うと元気な声ではしゃいでいた。
親は完全に私が男が出来ないと高を括っていたので喜んでいたのだが恥ずかしいのだ。
ああ、あの母に彼を会わせるとかマジで嫌なんですけど。
「茜さん。もうすぐ新幹線が発車しますけど、何か飲み物要りますか?」
「あ、ええっと……コーヒーを、下さい」
「分かりました。あ、すみません、コーヒー二つ、お願いします」
車内販売でコーヒーを買って貰いそれを口に付ける。
新幹線の車内放送が始まり発車音が鳴るとゆっくり動き出した。
名古屋に来てから何年たったんだろう。
随分と長くいた感じがするなぁ~。
福岡かぁ……もう忘れてしまったところに感じるなぁ……。
「茜さん。ご両親には僕の事は?」
「あ、はい。言ってあります。連れて行くと」
「そう、ですか。僕はホテルを予約しているので、茜さんはご実家でゆっくりなさってくださいね」
「は……? 涼太さんは家に泊まらないのですか?」
「ええ、一応出張扱いですし。それにいきなり泊まりとかは……緊張してしまって眠れませんので」
本当にこの男はちっちゃい奴だなぁ~。
ああ、どうしよ。
一緒に実家に泊まるとか言っちゃった気がするんだけど……。
「あっ。そうだ。涼太さん。私もそのホテルに泊まれますか?」
「え……シングルなんですけど」
「ツインにしてください」
「……どうしても、ですか?」
「はい。どうしても、です」
「……分かりました。茜さん」
「有難う御座います。涼太さん」
これで私も実家に泊まらずに済むわ……。
若し私だけ一人で泊まったりしたら親に何を聞かされるか分かったもんじゃない。
そう、これは戦略的撤退なのよ、私は逃げているわけではないの。
面倒なことが嫌なだけなの。
「あの、茜さん。ホテルなのですが……一緒の部屋で、いいんですよ、ね?」
「はい。そうですけど……って、ええっ!!」
「はい……? ダメ、でしたか?」
「ダメ……では……涼太さんは、大丈夫なの、ですか?」
「はい。問題ないと思います」
「あ、ははは……そう、ですか。私も、問題ない、ですよ」
「分かりました。なんだか今日の茜さんはおかしいですね」
「え……? 何がおかしいですか?」
「なんとなく、です」
「涼太さんの感覚で人を変人扱いするの止めてください」
「あ、いえ、そんなつもりは……」
そう言いながら彼は頭を掻きながら苦笑いした。
ま、童貞なんだから別に一緒の部屋でも襲われることはないでしょ。
こいつにそんな甲斐性あるわけないわ。
私だって別に男に抱かれるような魅力、無いもん。
へーきよ、へーき。
私はそう心の中で呟きながら新幹線の窓に流れる景色に目を落とした。
ああ、これから福岡に帰るんだよなぁ……なんだか、気が滅入るよぉ……。
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