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平穏と実家とエトセトラ
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「ふー、疲れ、た……」
ホテルの部屋について彼は荷物だけおいてどこかへ行ってしまった。
特に何も用事がないと言っていたのになんなのよ。
やっぱ私1人置いてどっか行くんじゃん。
「しかし、この部屋凄いなぁ~」
大きなベッドが二つ並び、部屋が二つあって更に窓の近くにも椅子が二つ置かれていた。
でもこの部屋で彼と二人きりの夜を過ごすんだよなぁ~。
ま、何もないと思うけどさ……てかそうでないと私困る。
だってだって新しいパンツも買ってないし、地味な色しか持って来てないんだもん。
彼氏が出来るわけがないと高を括っていた私が悪いってことはないわよね?
だって彼氏出来るなんてこと全く考えてなかったんだもん。
「茜さん……? 何をしているんですか?」
急に声を掛けられビックリした顔の私を不思議そうな表情で見つめる彼が目の前に現れた。
「あ、あの、何でも、無いです」
「そうです、か。あの、これから食事にしませんか?」
「そうですね。何処か食べるところあったですかね?」
「ここのホテルの最上階のレストランを予約しました。行きましょう」
「……はぁ? あの、レストランって、この格好で?」
「問題ないと思いますが」
おいおいおいおいっ!!
私今普通のワンピース着てるんですけど!?
レストランって……めちゃくちゃお洒落しないといけないところなんじゃないの?
こう、何て言うの、ど、ドレスとか、さっ!
恥かきたくないぃ~……でも素敵なドレスなんか持ってない…えーん、えーん、私って本当についてないよぉ~。
「行きましょ。ほら」
「……!?」
彼は私の手を優しく握ると恋人繋ぎに変えて部屋を後にした。
結構強引な所があるんだな、と思いながら口角が上に上がってしまうのが分かるくらいにやけているんだろうなと自分の顔の事を気にしてしまう。
ホテル最上階のレストランに到着し、彼はそのまま店内へ進む。
手を繋がれたままの私はそのままついてくことになってしまった。
「ささ、ここです。どうぞ座って下さい」
「有難う御座います」
私は彼にお礼を言って席に着いた。
彼は予め店に料理も注文していたらしく私たちが座ると同時に料理が運ばれてきた。
フランス料理のフルコースだった。
とても美味しい料理を堪能した私と彼。
ワインも久々に飲んだ気がする。
ちょっと顔が赤くなって頬が熱いのが自分でも分かる。
しっかり食事を楽しんで私たちはそのまま部屋に戻ることにした。
部屋に設置されていたバスルームを私が先に使わせて貰い、彼がその後に使った。
「やっと、落ち着いたぁ~。それにしても食事美味しかった……」
「それは良かったです。茜さんに喜んでもらえて」
独り言を聞かれちゃったっ!!
彼が私の知らない間に後ろに立ってタオルで頭を拭きながら声を掛けてきた。
「あ、有難う御座いました。美味しかったです」
「ああ、いえ。僕も楽しかったですよ。茜さん」
「それより、その恰好でうろつかないでください。涼太さん」
「あ、すみません。下着だけ持って行ってしまいカバンにスエットを置いてしまってて」
「そうですか。早く着てください。醜いです。涼太さん」
あはは、と彼が苦笑いしながらカバンの中からスエットを取り出して着た。
なんかデリカシーないのよねぇ~彼って。
それもこれも童貞が原因なのかしら。
ああ、今日はどうせ何も起こらないんだもんなぁ~。
ああ、こういうこと言うと変なフラグ立っちゃうんじゃないの!?
だ、大丈夫よね?
そんな、私だって、男に慣れてないから襲われたらやばいよぉ。
ああ~、マジで私に襲ってきたらダメなんだから、ねっ!!
ホテルの部屋について彼は荷物だけおいてどこかへ行ってしまった。
特に何も用事がないと言っていたのになんなのよ。
やっぱ私1人置いてどっか行くんじゃん。
「しかし、この部屋凄いなぁ~」
大きなベッドが二つ並び、部屋が二つあって更に窓の近くにも椅子が二つ置かれていた。
でもこの部屋で彼と二人きりの夜を過ごすんだよなぁ~。
ま、何もないと思うけどさ……てかそうでないと私困る。
だってだって新しいパンツも買ってないし、地味な色しか持って来てないんだもん。
彼氏が出来るわけがないと高を括っていた私が悪いってことはないわよね?
だって彼氏出来るなんてこと全く考えてなかったんだもん。
「茜さん……? 何をしているんですか?」
急に声を掛けられビックリした顔の私を不思議そうな表情で見つめる彼が目の前に現れた。
「あ、あの、何でも、無いです」
「そうです、か。あの、これから食事にしませんか?」
「そうですね。何処か食べるところあったですかね?」
「ここのホテルの最上階のレストランを予約しました。行きましょう」
「……はぁ? あの、レストランって、この格好で?」
「問題ないと思いますが」
おいおいおいおいっ!!
私今普通のワンピース着てるんですけど!?
レストランって……めちゃくちゃお洒落しないといけないところなんじゃないの?
こう、何て言うの、ど、ドレスとか、さっ!
恥かきたくないぃ~……でも素敵なドレスなんか持ってない…えーん、えーん、私って本当についてないよぉ~。
「行きましょ。ほら」
「……!?」
彼は私の手を優しく握ると恋人繋ぎに変えて部屋を後にした。
結構強引な所があるんだな、と思いながら口角が上に上がってしまうのが分かるくらいにやけているんだろうなと自分の顔の事を気にしてしまう。
ホテル最上階のレストランに到着し、彼はそのまま店内へ進む。
手を繋がれたままの私はそのままついてくことになってしまった。
「ささ、ここです。どうぞ座って下さい」
「有難う御座います」
私は彼にお礼を言って席に着いた。
彼は予め店に料理も注文していたらしく私たちが座ると同時に料理が運ばれてきた。
フランス料理のフルコースだった。
とても美味しい料理を堪能した私と彼。
ワインも久々に飲んだ気がする。
ちょっと顔が赤くなって頬が熱いのが自分でも分かる。
しっかり食事を楽しんで私たちはそのまま部屋に戻ることにした。
部屋に設置されていたバスルームを私が先に使わせて貰い、彼がその後に使った。
「やっと、落ち着いたぁ~。それにしても食事美味しかった……」
「それは良かったです。茜さんに喜んでもらえて」
独り言を聞かれちゃったっ!!
彼が私の知らない間に後ろに立ってタオルで頭を拭きながら声を掛けてきた。
「あ、有難う御座いました。美味しかったです」
「ああ、いえ。僕も楽しかったですよ。茜さん」
「それより、その恰好でうろつかないでください。涼太さん」
「あ、すみません。下着だけ持って行ってしまいカバンにスエットを置いてしまってて」
「そうですか。早く着てください。醜いです。涼太さん」
あはは、と彼が苦笑いしながらカバンの中からスエットを取り出して着た。
なんかデリカシーないのよねぇ~彼って。
それもこれも童貞が原因なのかしら。
ああ、今日はどうせ何も起こらないんだもんなぁ~。
ああ、こういうこと言うと変なフラグ立っちゃうんじゃないの!?
だ、大丈夫よね?
そんな、私だって、男に慣れてないから襲われたらやばいよぉ。
ああ~、マジで私に襲ってきたらダメなんだから、ねっ!!
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