恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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平穏と実家とエトセトラ

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私が心配する必要もなく当たり前に何も起こらなかった。
私が朝起きたら彼はもう既にいなくなっていて手紙が机の上に置いてあった。

『おはようございます。僕は今日一日仕事です。出掛けるのでしたらフロントにカードを渡してください。後お金はここに置いていきます。自由に使ってくださいね。行ってきます。涼太』

「ふぅ~。使ってくださいって言ったって……10万置いていかなくても」

金額も引くが何より私に対する扱いが雑すぎやしませんかね?
私は一応彼女で一応フィアンセで一応女の子なんですけど、ね。
まぁ、今に始まったことじゃないけど……あの人のこういう性格ってホントに残念だわ。

「仕事熱心なのはいいけど、折角一緒の部屋で寝たんだから朝起きたらちゅうくらいしろっての」

そう思いながらジャージ姿の自分を鏡で見つめて、無いわ無い無い、と呟いた。
残念なのは私も同じだった。
男と一緒に泊まっているのにダサい恰好で寝るなんて……そもそも私は実家に泊まるつもりで用意してきたんだもん。
こんなことになるとは思わなかったんだ。

「あ、そうだ。今から買い物行こう。下着とネグリジェ買いに行こう。そしてあいつを誘惑してやるっ」

ホテルを出て繁華街へ向かった私はデパートを目指すことにした。
駅前にあるデパートを見つけると婦人服売り場へ一直線。
まずは下着から選ぶことにした。

下着売り場では目移りするほどの数が販売されている。
普段付けないような黒とか赤とかピンクとか、色取り取りだよ。

「う~ん。どれがいいか……」
「あのぉ~、よろしければお手伝いしますよ?」

店員が私に声を掛けてきた。
よし、この人に選んで貰うことにしようか。

「あの、ちょっと派手な感じのモノが欲しいなぁって」
「そうなのですね。でしたら……」

店員はそう言って私を連れて奥のスペースに案内した。
これなんかどうでしょう、と渡されたのは黒のショーツに黒のブラ。
黒か……私には似合いそうにないな。

「あの、黒はちょっと……」
「そうですか? お似合いだと思いますが。こちらの赤はどうでしょう」

赤かぁ…派手すぎやしない?
なんかがっついている気がするんだけどなぁ。
私が性欲に溢れてるみたいとか変な勘違いされないかな。

「に、似合いますかねぇ~。私、地味なんで」
「お客様ならお似合いだと思いますよ。一度試着なさいますか?」
「ああ…いえ、じゃ、これで」
「カップのサイズは」
「えっと……何だったっけ」

最近全然下着なんか買わないから自分のサイズ忘れてるぅ~。
サイズを確認するということになりブラだけ試着することになってしまった。
店員さんに一緒に試着室へ入って貰い合わせて貰うことに。
同性なんだけど、やっぱり恥ずかしい。
自分のおっぱいを見られるとか、触られるとか、もう変な想像しちゃって乳首が勃ったらやばいよね。
そんなことあり得ない……けどさ。
メジャーでまずはアンダーとトップを計った後何着か同じ柄のブラを試着した。
店員さんが丁寧に脇の肉をカップに収めてくれた所為もあってか自分が思ってたよりもサイズが大きいのばかりチョイスしていた。

「はい。これでどうでしょう。きつくありませんか?」
「あ、大丈夫そう、です。有難う御座います」
「これで問題なければお客様のサイズはこれになりますね」

そう言われて紙切れを渡された。
今後このサイズを買えばいいという粋な計らいなのだろうか。

『D70』

そう書かれた紙切れをそっとカバンにしまった。
後は……寝巻……じゃ無かった、パジャマか。
下着売り場を離れて今度はパジャマ売り場へ足を運ぶ。

「ここか…ルームウェア……へぇ、今はそう言うんだぁ~」

知らない単語を目にして感心する私って相当おばさんだよね。
何もわかってないんだから仕方ないじゃん。
パジャマ何て高校のジャージを使ってるくらい無頓着なんだもん。

「これにしよう」

手っ取り早く手したルームウェアと書かれたパジャマに決めてレジへ持って行った。
赤と白のストライプのパジャマだ。
ルームウェアとか面倒くさい。
パジャマでいいんだよ、私の中では。

予定の物を買ってデパートを出る。
小腹がすいたのでコンビニでパンとコーヒーを買ってホテルに戻ることにした。
さぁ、童貞君。
私の姿を見て驚けよ。
今日の夜は簡単には寝かさないんだから、ねっ!!



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