恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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ホントの婚約者!?

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「昨日の夜はヤバかった……」
「全く、何してんのよ。あんたたち」
「だって……いきなり抱きつかれたんだもん」
「それくらいで? 同棲してるんでしょ? その先に進まない方が不思議だわ」
「えぇ~だってぇ……部屋も別々だから……」
「そんな調子でよく結婚するとか言えるわね……お子ちゃまかってのっ」


幸恵と約束して今市内某所の居酒屋の個室で昨日の出来事について議論している。
と言っても昨日の彼との突然のハグについて根掘り葉掘り聞かれてその挙句幸恵に弄られているという状態。
リア充だと揶揄されて遊ばれてしまっている。
偶にはいいかな、とそう思いながら彼女の話に乗っかっているところだ。


「それにしてもあんた達って結婚するん?」
「それは……どうかなぁ……」
「茜がはっきりしないのが悪いと思うけど?」
「だって……実感がないって言うか……結婚が何なのかよく分からないって言うか……」
「んなこと言ったって二人同棲してるんでしょ? 結婚生活なんてその延長線上にあるものよ」
「そうかなぁ~……だって私たち未だに敬語でお互い話してるんだよ? それって他人って言う壁があるんじゃないかなって思うんだけど」
「未だにその程度の進捗状況でよくプロポーズしたな、その童貞君」
「私もそこがよく分からないから、保留してるんだけど、さ」
「もう。ズバッと言っちゃえば? 『私を幸せにしてくれるの?』って」
「ええっ!! そ、そんな事……言えないよぉ~……」


そんな会話をしつつお酒の量が増えていく私たち。
久しぶりに友達と一緒にお酒を飲んだので余計楽しく感じてしまった。
すっかり夜の10時を過ぎてしまっていた。
そろそろお開きにしようということになりお店を出て駅に向かって歩き出した。


「んで、どうすんの。茜」
「う~ん……結婚……かぁ~」
「茜には一生無い事だと思ってたけどね」
「私も同じことを思ってた。だってもう26だよ。彼氏いない歴イコール年齢。それに処女って。どんだけいいとこのお嬢様ってのっ」
「まぁ、いいんじゃない。この間ちらっと見たけどさ。イケメンじゃん。それに経済力もある。けどまぁ、性格はちょっと残念かも知れないけど、ね」
「やっぱり、そう思う? そうなんだよねぇ~。あんだけイケメンだったらさ。もうちょっとこうなんていうか女の子の扱いって言うか……それが足りないんだよねぇ~」
「彼氏無しだった茜に言われてるようじゃ、ダメね。はははっ」
「そうだね。ははは」


そうなんだよなぁ~。
イケメンで金持ちってのはいいんだけど、男としての堂々というか、頼りないんだよね。
それがイケないって訳ではないんだけどあの顔で頼りないって……ホントに残念イケメン王子様って感じよね。



駅の改札で幸恵と別れた私はマンションに戻った。
帰りの途中に一度だけ彼にメールをした。
私が送って直ぐに彼からメールが届いた。
その内容を電車内で見た私。

ぷっ。

どんだけ、お子ちゃまなのよ。
この童貞君ってばっ。




* * * * * * * *
 
私のメール。
『今から帰ります。遅くなりました。先に寝ててください』


彼のメール。
『お疲れ様でした。いや、起きて待ってます。早く顔が見たい。話がしたいです。抱きしめたいです』


ぷっ! 可愛いっ!




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