恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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ホントの婚約者!?

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彼の誘導するまま私は結婚式場の受付の前に立って彼がカウンター越しに男の人と話をしているのを黙って聞いていた。



「今から衣装合わせしましょう。茜さん」
「急過ぎて意味がわかりません。涼太さん」
「え……? ですから衣装合わせ」
「え……じゃないです。いきなりこんなところまで連れて来て。何を着ろとでも?」
「すみません。ドレスの試着を、と思いまして」
「急に!? それに今日仕事はどうしたんですか?」
「あ、それは問題ないです。午後から休暇を取りました」
「違います。朝から部下の人から連絡が来て大変だったみたいですよ。どこかに行くならちゃんと言ってからじゃないと皆さん心配するじゃないですか」
「ごもっともです。以後気を付けます」
「で、衣装を合わせればいいと」
「お願いします」
「はい。分かりました」



私の返事に彼が満面の笑みで返す。
そういう笑顔は可愛いっつーのっ。
怒るに怒れない……イケメン男はこれだから、全く、もー。


式場の女性アドバイザーの人と一緒に衣装の選択をして3,4着試着した。
どうして結婚式のドレスってなんでこうめんどいのかしら。
お腹回りは細いし、胸元ぱっかりしたのばっかりだし……。
恥ずかしいじゃない。

私それ程スタイルいいわけじゃないから浮くんですけど。
着替える度に彼の前に立ってくるりと一回転。
私のドレス姿を見て彼がにっこりしながら感想を私に言う。
そうこうしているうちに時間が過ぎどれにするかを決める作業に。
……ってちょっと待ってよ。
ここで式挙げるってこと?


「あの、涼太さん。ここで結婚式……するんですか?」
「はい。そうです。ここ親父達が持ってきたパンフレットの場所です。今朝決めました」


おい、おい、おい、そう言う事なら私も内覧させろよっ! 
私だってずっと気になってたのにぃ~!! 
何で自分ばっかりどんどん決めちゃうの!?
全く何考えてるのよっ!


「……ちょっといいですか。涼太さん」
「はい。茜さん」


私はアドバイザーの人に待つようお願いして彼の腕を掴んでドリンクコーナーへ向かった。
二人きりで色々話がしたい。
と言うか文句が言いたい。
私だって、私だってぇ~!!



「あの、茜さん。ここは?」
「ドリンクコーナー」
「それは看板に書いてあるのでわかります」
「なら質問しないでください」
「どうしちゃったんですか。茜さん」
「どうしたもこうしたもないです。何で私に何も言わずに全部一人で決めちゃうんですか。涼太さん」
「え……? それは自分で決めた方が良いのかなって思っていたので」
「私も式のプランの確認や内覧したかったです」
「あ、それなら問題ないです。これが終わったら一緒に内覧しましょう。僕も見てないんです。実は」


そういう問題じゃねーよ。
マジで何も分かってなんだからっ!
ホントに残念イケメン童貞王子様なんだから……もう……。


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