恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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大人の階段

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「はぁ~、恥ずかしかったぁ~。涼太さん降ろしてくれればいいのに、ホントにKYなんだから…」
「僕がKYってどういう意味でしょう」
「はっ! あ、い、いや~。何でしょ~」


そうだった……今一緒の部屋で寝てるんだった。
べ、ベッドは別だけど疲れがたまってた所為かお風呂にも入れずシャワーのみだった所為もあってかめちゃくちゃ気が抜けていた。
夜10時過ぎ。
私たちは同じ部屋で寝ていた。


ち・な・み・に、ベッドは別です。
ここ大事なところだから二回言っとくわね。


「今日は大変でした。僕は内心ひやひやものでした。茜さんが居なくなった後質問攻めに遭いまして。本当にどう答えたらいいのやら。参りました」


そっか。
私が居ない間彼が1人で対応してくれてたんだっけ。
私はほぼグロッキー状態だったから覚えてないや。
少し可哀そうだったかな。
労いの言葉でもかけてやろうかな。


「大変でしたね。お疲れ様でした」
「はい。根掘り葉掘り聞かれてしまって。最初の出会いは、とか。どう答えていいのやら参りました」
「因みにどんな出会いにしたんですか?」
「ああ、それは……道でぶつかったのが切欠と答えました」
「ぶつかったところは間違いないですね」
「嘘はあまり好ましくないかと。本当の事を言ったら驚くでしょうし」
「それは、そうですね。ふふふ」


何だか体の重さが消えていくような感覚になってきた。
彼と夜に普通の会話をすることは今までなかった気がする。
彼も緊張していたのか今日はいつもより饒舌だ。
こういう時間も夫婦になったら必要なのかな。
ってまだ早いっての、私の馬鹿ばかぁ~


「茜さん。少しそちらに行ってもいいですか」
「え……。どうして、ですか?」
「あ、いえ、顔が見たいなって……思ったんです」
「そ、それだけだったら……」
「それ以外に何かすることがあるのでしょうか」


っこの童貞が……。
私が地雷踏んじゃってるじゃん。
なんて答える? 
どう誤魔化す? 
私が痴女みたいに思わるのは嫌っ。


「茜さん?」
「わっ!! 顔近っ」
「あ、すみません。お返事が無かったのでつい……」
「ついって……」
「すみません。でもこうして顔を見てお話した方がいいような気がするんです」
「それは……そうですか。私は恥ずかしいですけど」
「僕は恥ずかしくありませんよ。茜さんは可愛らしい素敵な女性ですから」


持ち上げられてるぅ~。
私持ち上げられちゃってるぅ~。
何こんなんでドキドキしちゃってんのよ、私っ。
だから幸恵にも『ちょろい女』とかいわれちゃってんじゃんっ!
ちょ、ちょろくなんてないだからねっ。

しっかしもう、何このイケメン童貞君はっ。
お姉さんの事揶揄ってんの? 
それても……マジでそう思ってくれてるとか……有り得ねーー。
私実は腐女子ですってここで宣言しちゃうよ? 
そしたらめちゃ引くかな~、絶対引くな……この童貞君は……。

そんなこと、言わないけど、ね。
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