恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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大人の階段

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「あの……涼太さん」
「はい。何でしょう。茜さん」
「私たちって、付き合ってるんですよね」
「はい。そうです」
「私たちって、結婚するんですよね」
「はい。そうです」
「私たちって、夫婦になるんですよね」
「茜さん。どうしたんですか。急に」


急じゃねーよ。
お前はどこまで鈍感なんだだよぉ。
全く……このままじゃ堂々巡りじゃん。
こうなったら直球勝負よ……、茜。


「あのですね。私が思う恋人同士ってこういう関係じゃない気がするんです」
「こういう関係?」


ああ、ばかばかばかっ!! 
もっとストレートに言いなさいよぉ~。
相手は鈍感イケメン童貞なんだよ。
何を迷うことがあるの。
でもなぁ~女の方から『エッチしないの』とか言ったら男ってやっぱり引くかな…? 
それに私だってした事ないし。
ああ、何でこんな時に正論で突っ走るもう一人の私が現れてくれないだよーー!!


「ゴホン……ですから。恋人って言うのは色々したいじゃないですか」
「色々……ですか。例えば?」
「った、例えば……色々……です」
「茜さんの言うことが理解出来ません。具体的にどうしたいと?」
「それを私に言わせる気ですか? 涼太さんって変態なんですか? それともわざとぼけてるんですか?」
「いえ、僕は至ってノーマルです。それに分からないからお聞きしているんですが。何か変でしょうか。僕」
「いっ……」


て、手ごわい……と言うかこのイケメン童貞、童貞捨てる気あんの? 
それとも私とエッチしたくないの? 
それか女とはこうして話をしたりデートすれば満足するとでも思っているどっかのおとぎの国の王子様なの? 
ほんとにサイテー……。



「もう、いいです」
「何故です? お話しましょうよ」
「お話って言っても私が言っている意味が分からない以上、これ以上は膨らまないですよ」
「う~ん。困りました。では僕から」
「何かお話しがあるんでしょうか?」
「はい。実は婚姻の件です。親父達が言っていたように式の前に済ませたいなと思っているのですが。茜さんとご両親はどう思っているのでしょうか」
「両親は分かりません。多分喜ぶんじゃないでしょうか。私自身は……まだ実感が無いんです。正直結婚とか、まるで他事のように感じてしまっています」
「それはどうして?」
「どうして……ですから。それはさっき話したことに戻ってしまうんですけど」


ううっ!! 
もうヤダ……こいつマジでおとぎ話の王子様以上のくそったれだよっ。
ちょっとは私の気持ちを汲んでくださぁいっ!!





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