恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ！！

2人の過去と未来

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飛行機に乗ること数時間、目的地ハワイに到着した。
空港には沢山の旅行客でごった返している。
彼は私の手をぎゅっと繋ぎ笑顔でホテルに向かう為タクシーに乗り込んだ。
初めての海外旅行……のはずが見る人見る人日本人観光客。
現地の人たちも見受けられるがなんだか味気ない感じがした。


「ハワイって日本人観光客が多いんですね」


タクシーの中、私は彼にそう言うと彼も同じ事を考えていたらしく苦笑いしながら頷いた。
空港からホテルまで車で一時間もかからず到着するとロビーでチェックインを済ませボーイに部屋まで案内された。


「わぁ～、凄い眺め。綺麗な海ですね、涼太さん」
「本当ですね。流石眺めのいい場所を予約した甲斐がありましたよ」


私が喜んでいることが嬉しいのか彼の声が弾んで聞こえた。
今日から3日間此処で寝起きして沢山思い出を作るんだ。
そう思うとなんだか心がウキウキしてきた。
お部屋も凄く立派でベッドも大きいのが二つ並んでいる。
私はベッドに座るとずっしりとお尻が沈んだ。


「ベッドも寝心地よさそうですよ」
「本当ですね。包み込まれる感覚ですね」


そう言いながら二人で笑った。
お部屋に荷物を置いて早速町へ出かけることに。
見たこともない料理や大勢の人達が歩いている。
私は彼とはぐれないようにぎゅっと手を握ると彼も握り返してきた。
日本人観光客が多いのもあって日本食のお店が目立つ。
機内で色々食べてしまった所為もあってお腹は空いていない。
見るだけでも楽しい、そう思って歩いていた。


「あれ……？　清水さん？」


2人で歩いていると後ろから声がした。
私と彼が振り向くと気立てのよさそうな女性が1人立っていた。
彼の顔を見ると笑顔で会釈した。
彼の事を知っている……知人？　それともお友達？　
彼に限って女性の友達が居るとは考えられない。
となると会社関係の知り合いなのだろうか。


「あ、林さん。どうしてこんな場所に？」


林……あ、そう言えば家に電話をしてきた女性の名前も林と名乗っていた。
この人があの林と言う人物か。
彼は不思議そうな表情で林と名乗る女性を見ている。
すると女性が私に気付いたのか会釈した。


「ご旅行中ですか？　突然すみません、声を掛けてしまって」
「いえ。そうれはそうとここへは仕事関係ですか？」


私は黙ったまま彼女を見つめ、彼は彼女にそう訊ねた。
彼女は笑いながら仕事でここに来たことを告げた。


「僕は…あ、そうそう。僕の妻の茜さんと言います。茜さん、こちら僕の会社の元担当だった林さん。飛行機の中で話していた人です」


そんな事知ってるよ。
とても綺麗な女性じゃない。
私なんかよりずっと彼とお似合いだわ。

「涼太さん。行きましょうよ」

嫉妬だった。
私は私が知らない女性に彼を取られるんじゃないかという風に思ってしまい彼の手をぎゅっと強く握った。
彼は私の顔を見て申し訳なさそうな表情をして彼女に挨拶をして別れた。
嫌な自分が出てしまった、と後悔してその後彼とどこでどう過ごしていたのか覚えもなく日も暮れてしまいホテルに戻ることにした。

「茜さん。大丈夫ですか？　あまり楽しそうじゃない気が」
「ああ、大丈夫です。それよりお腹空きません？　歩きすぎたのかな。私お腹が空いちゃいました」

私の心の黒い部分を隠そうと不自然な笑顔を彼に向ける。
彼は多分気づいていないだろう、私の嫉妬なんて……。
ホテルのレストランで食事する気になれず今日はルームサービスをしてもらうよう彼にお願いした。