恋人と別れるために田舎に移住体験に行ったら元二股相手と再会しました

ゆまは なお

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苦くてあまい思い出4

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 初めて行った松岡の部屋はロフト付きの学生向けワンルームマンションだった。八畳ほどの広さだが物が少なくてそれほど狭くは感じない。
「どうしよう、灯里さん」
 部屋にあがったら、松岡がうろたえきった顔で灯里を見下ろした。
「なんか、俺、すっげーテンパってとんでもないこと言いましたよね。どうしよう……」
 灯里は困惑顔の松岡を見あげると、するりと腕を回して引き寄せて口づけた。
「おれが教えるから。でも嫌なら無理してしなくていいよ。一緒に映画でも見るか?」
「嫌なわけないです。めちゃくちゃしたいです。ただ、その…、何も準備してなくて……」
 松岡がみるみる赤くなり、灯里はそんな彼を心底愛おしいと思った。いいんだろうか、こんな誠実で真面目で純情な奴の初めてが自分で。
 そう思ったけれど、松岡が欲しいのも本音で、ここまできてカッコつけても仕方ないと灯里は正直になることにした。

「よかったよ、やっぱやめるなんて言われなくて。おれのほうが我慢できない」
 松岡に口づけながら軽く押してベッドに座らせた。いつも見下ろされる松岡を見下ろすのは新鮮で、それに気をよくしてもっと深く口づける。音を立てて舌が絡み合うキスを交わしながらシャツを脱がせると、松岡があわてたように手を突っ張った。
「あの、シャワー浴びませんか? 汗かいてるし」
「いいよ、一緒に浴びようか」
 狭いユニットバスで密着してシャワーを浴びた。
 初めて見る松岡の全裸に、灯里は自分でも驚くくらい興奮した。触りあって互いを洗っているうちに松岡の雄はしっかり勃ちあがっていて、灯里は熱い昂りを包みこんで擦りあげた。
 さらに硬く漲っていくのがうれしくて、指の腹で先端の敏感な部分を弄ってやる。

「あ、ちょっと、ダメですって、そんな……っ」
 松岡があわてて止めようとするが、灯里は構わず手淫を続けた。
「イッていいから。ここまでなっててつらいだろ」
「でも、や、灯里さん、ヤバい、うますぎる」
 いくらもたたずに松岡は熱を吐きだし、困り切った表情で灯里を見下ろした。
 大型犬が耳を垂れてしゅんとしているみたいで灯里は微笑む。その笑みを見た松岡が、額に手を当てて低く呻いた。
「ダメだ。灯里さんが想像以上にエロくて、血管キレそう」
「どんな想像してたんだ?」
「えー、そりゃまあ、童貞の夢って言うか……、わかるでしょ」
「まあな。遠慮しなくていいけど?」
「ほんとですか? 俺かなりすけべでエロいんですけど、引かないでくださいね」
「へえ、楽しみだな」
 ベッドにもつれこんだら、松岡はためらいを捨てたらしく積極的に灯里を探ってきた。

 息も奪われそうなほど口づけられて大きな手で体中を愛撫されて、灯里の体が熱を持つ。松岡は灯里の反応を見ながら、あちこちにキスを落とし甘噛みする。
「キスがうまくなったよな」
「灯里さんの指導のおかげでしょ」
 松岡がいつもと違う欲情をにじませた顔で笑う。灯里の耳元に口づけて、そのまま首筋から鎖骨へ。唇がたどったところからぽ、ぽと発熱していく気がする。
 薄く色づいた乳首を吸い上げられると、小さく腫れたそこがつんと尖るのがわかった。じんじんと快感がこみ上げてくる。何度もねぶられて、切なく息が上がる。

「気持ちいい?」
「いいよ、すごく」
 チューブタイプの潤滑剤は灯里の常備品だ。それを出して自分で準備しようとすると、松岡がチューブを取り上げた。
「俺にさせてください」
「え、でも……」
「俺がしてあげたいんです。これ指に塗って入れていいんですよね?」
 楽しげに訊くから、まあいいかと任せることにした。逆の立場なら、灯里だってしてみたいと思うだろう。
 ぬるみをまとった指が周辺を確かめるようにそっと揉みこんできて、ほころぶのを待って灯里の中にゆっくりと差しこまれた。
「あ、すごい。なか、熱い……。痛くないですか?」
「平気、もっとしていいよ」

 何度かやさしく抜き差しされて、ふっとため息をついたタイミングで奥まで入ってくる。
 その拍子にかすめた場所にぞくっと体が反応した。
「あっ、あ……んっ」
「え、ここ? ……ああ、これ? ここがいい?」
 反応する場所を特定するようにそっと指先でそこを押されて、びくっと体が揺れた。
「あっ、ん、あぁ、イイよ。そこ、ゆっくり触って」
 松岡の太い指でじっくりほぐされながら、気持ちよくて灯里は何度も身をよじった。上からじっと見つめられて、その視線にも煽られて熱がどんどん蓄積されていく。
 敏感な中を触られると同時に性器をきゅっと握られて、背筋を快感が走り抜けた。とろとろと先走りが溢れて、びくびくと腰が揺れるのを止められない。

「あ、ああ、かず、さ……、あっ」
 先走りでぬるぬるになったところを丁寧になぞられた。
 一緒に擦り合わせるように腰を揺らされて、体の間からくちゅくちゅと音が聞こえる。
「マジでうれしい。灯里さん、めちゃくちゃかわいい。色っぽい」
「は、あぅ、一颯、もう来いよ」
「入れていい? 平気ですか?」
 松岡の膨張した先端を当てられて、その大きさに灯里の体が期待で震えた。ぬるりという感触とともに熱い塊が押し入ってきて、灯里がふーっと息を吐く。
 最初のところをやり過ごしてしまえば、あとはゆっくり深くまで受け入れていくだけだ。太く硬いものに擦られて、自分の内壁がぴったりと一颯にまとわりつくのがわかる。
「どうしよ、すごく気持ちいい、灯里さん」
 目を開けると一颯が蕩けそうな顔で灯里を見ていた。

「おれも、いい、よ」
「マジで? よかった」
 好きな男に抱かれるのって、こんなにうれしいことだったのか。
 三年もつき合った恋人がいるというのにそんなふうに感じて、灯里はどこか呆然としながら、自分の上で快楽をこらえようと眉をしかめている男を見あげた。
「すいません、そんなに保たない感じ、ヤバい……」
「いいって、好きに動いていいから」
 松岡がくしゃりと顔をゆがめ、次の瞬間にはぐぐっと奥まで突き上げられた。
 がつがつと腰を使う力強い律動に身を任せて、灯里は考えるのをやめて快楽に浸った。
 本人が言った通り、それほど経たずに絶頂を迎えた松岡は俺だけすいませんと謝るころにはもう復活していて、そのままもう一度、今度は灯里も一緒に放埓を迎えた。
 結局、その夜は深夜まで二人で抱き合ったり触りあったりして、灯里も三度も熱を放って疲れ切ってベッドに沈んだ。
 大友とは違うぎこちないやり方で激しくやさしく抱かれて、灯里は眠りに落ちる寸前に、絶対に大友と別れようと決心した。
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