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トラブル続出3
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「ああっ!」
興奮した玲雄の声に、びくっと体が揺れた。
「おった! あそこ!」
「えー! どこ?」
「あそこやって」
「れお、くらくてわからん」
あそこと言われてもどこがどこかもわからない会話に笑いが起きる。
「ほんとだ、いた。あ、こっちにも!」
ようやくみんな見つけたみたいで、口々にきれい、すごい、ほんまにひかるんや、などとうれしげな声で感想が飛び交った。
「富和さん、見えてます?」
松岡兄から話しかけられて、灯里はバクバク心臓が踊るなか、必死で平静を装って答えた。手はまだ松岡に握られたままだ。鼓動が速い。
どうすんだ、これ、早く離せよ。
手を抜こうとしてもぎゅっと握られて無言で拒否された。
「ええ、見えてます。蛍、生まれて初めて見ました」
「ええ、そうなんですか?」
兄嫁が大げさに驚く。
「やっぱり東京にはいませんか?」
「東京も案外広いので、田舎のほうにはいると思いますけど、僕は見たことないですね」
「そうなんですね」
「れおもはじめてー」
「れおははじめてちゃうで。フィンランドで見たやんか」
「あら、フィンランドにも蛍はいるの?」
「おるよ」
「こうたは四かいめー」
「みほは? みほはなんかいめ?」
「灯里さんと初めての蛍見れてうれしいです」
子供たちの声にかき消されて、松岡のささやき声は灯里以外には届かなかった。
バカじゃないのか、子供の付添いだっつーの。
でもその低く抑えた声にぞくっと来て、灯里は唇を噛みしめた。
「手、離せ」
低くつぶやくように言った声が聞こえなかったはずはないのに、松岡は力をゆるめず、愛撫するように指を滑らせた。その動作に、懐かしい記憶を呼び覚まされる。
デートのとき、人目のない場所でこっそり手をつないで、よくそんなふうに撫でられた。そして、ベッドのなかでも。情事後のけだるい時間、よく手を握られたことを思い出す。
はっとして思い出を振り払うように、もう一度手を抜こうとするが、松岡はゆっくり首を横に振った。その手の力強さが、本気だと伝えてくるようで困惑する。
灯里にはもう、松岡と関わる気がないというのに。
しばらく蛍を見て、今度は松岡の実家に向かった。
立派な門がついた古い和式の家は、かなり広そうだった。
玄関で松岡の両親に会い、灯里が布団とおかずのお礼を言うのもそこそこに座敷(としか言いようがない部屋)に通され、宴会のような夕食が始まった。
松岡は目元が母親似で口元の凛々しい感じや体つきは父親似だなと思う。農作業のせいだろう、やはりがっしりした肩をしていた。
照れ屋らしい松岡の祖母は、灯里がおいしかったとおかずの礼を言うといやいやいやと手を振って台所に引っ込んでしまった。
軽く夕食を食べましょうなんて車の中で言っていたが、灯里の感覚からしたら目の前の食卓はほとんど宴会でまったく軽くという状態には思えない。
この家は九人家族で暮らしているからこれが普通なのだろうが、灯里の常識をかるく超える量の料理とにぎやかさだった。どこの歓送迎会に紛れ込んだのかと思うほどだ。
「この後、カブトムシ獲りだからあんまり飲まないでね」
という兄嫁の忠告で松岡兄はビールを控えめに飲んで、予定通り夜の八時にもう一度家を出た。
虫よけを吹きつけて長袖を羽織って、松岡と松岡の兄、灯里と子供四人で歩いて裏の雑木林に向かう。懐中電灯の丸い光を追って子供たちがはしゃぐ中、灯里はなるべく松岡と距離を取ろうと意識する。
さっきは結局、戻ろうかと松岡兄が言いだすまで、手を離してもらえなかったのだ。
明るい場所で顔を合わせた松岡は、さっきのことなどなかったかのように、穏やかに微笑むだけで何も言わない。灯里は問い詰めることもできず、ぎこちなく目をそらしたのだった。
「カブトムシ、おるかなあ」
玲雄はわくわくした顔で隣を歩く松岡の兄に問いかけた。
「昼のうちに蜜を塗っておいたから、いると思うよ」
「みつ? みつをどこにぬったん?」
「カブトムシやクワガタが好きな木があるんだ。クヌギとかコナラって木によく樹液を吸いに来るから、その木に蜜を塗っておいたんだよ」
「すごい。ほんならきっとおるなあ」
興奮して虫かごを振り回す玲雄に、流美はまったく乗り気じゃない様子で、おらんでもいいけどなと突っ込む。
「このまえは、クワガタ三こつかまえたんだ」
「三こも! すげー!」
「こうた、おおくわがたもつかまえたことある」
「うお、かっちょええな!」
同い年の航大と玲雄はすっかり仲良くなっていて、流美は二つ下の美帆と手をつないで歩きながら、うちもいもうとがよかったのにーと不満をこぼしている。
その後ろを松岡と並ばないように気をつけながら灯里が追い、最後を松岡がついてきた。
雑木林沿いの道に出てしばらく歩くと、松岡兄が立ち止まる。
「ほら、そっと見てごらん」
懐中電灯に照らされた丸い光のなかに、黒く丸いものが浮かび上がった。
「うわ! ホンマにおった」
玲雄は小躍りしそうなくらい喜んで、その場で飛び跳ねる。
嬉しいという気持ちが全身からあふれてこぼれそうだ。子供の感情って素直だなと感心する。
「こうたにも見せて」
「よかったなあ、二匹いるな。じゃあ玲雄くん、しっかり掴んでみて」
「うわっ、うごいた」
「大丈夫だよ、しっかり持って」
「すっげー、れおがとった!」
「ああ、よかったな」
自慢げに鼻を膨らませる玲雄に灯里はうなずいてみせる。
玲雄と航大が一匹ずつ捕まえて、大事そうに虫かごに入れた。
流美はこわごわと虫かごをのぞいて、顔をしかめている。フィンランドでは見たことがないと言い、気持ち悪いようだ。
うん、同感だよ。かっこいいなんてこれっぽっちも思えないよな。
「こんな黒い虫のどこがええの?」
「かっこいいやろ」
「みほはだんごむしがいいー」
「ほら、あっちも蜜を塗った木があるから見てみよう」
そこにはクワガタが三匹もいて、玲雄と航大に取らせたあと、松岡が灯里を呼んだ。
「せっかくだから、富和さんも取ってみます?」
などと親切そうな顔をして、とんでもないことを言いだす。
都会っ子をなめんな、そんな虫、触れないっつーの。
冗談じゃないと顔を引きつらせながら、流美のほうに話を振った。きっと流美も触りたがらないと知っているが、その後も考えている。
「いや、せっかくここまで来たから流美ちゃん、どう?」
「いやや、ゆびはさむもん」
「じゃあ、れおくん、どうぞ」
「やったー」
やさしく子供に譲る大人のふりをしているのはバレているのだろう、松岡はいたずらっ子のように笑いをかみ殺している。ふざけんなよ。
興奮した玲雄の声に、びくっと体が揺れた。
「おった! あそこ!」
「えー! どこ?」
「あそこやって」
「れお、くらくてわからん」
あそこと言われてもどこがどこかもわからない会話に笑いが起きる。
「ほんとだ、いた。あ、こっちにも!」
ようやくみんな見つけたみたいで、口々にきれい、すごい、ほんまにひかるんや、などとうれしげな声で感想が飛び交った。
「富和さん、見えてます?」
松岡兄から話しかけられて、灯里はバクバク心臓が踊るなか、必死で平静を装って答えた。手はまだ松岡に握られたままだ。鼓動が速い。
どうすんだ、これ、早く離せよ。
手を抜こうとしてもぎゅっと握られて無言で拒否された。
「ええ、見えてます。蛍、生まれて初めて見ました」
「ええ、そうなんですか?」
兄嫁が大げさに驚く。
「やっぱり東京にはいませんか?」
「東京も案外広いので、田舎のほうにはいると思いますけど、僕は見たことないですね」
「そうなんですね」
「れおもはじめてー」
「れおははじめてちゃうで。フィンランドで見たやんか」
「あら、フィンランドにも蛍はいるの?」
「おるよ」
「こうたは四かいめー」
「みほは? みほはなんかいめ?」
「灯里さんと初めての蛍見れてうれしいです」
子供たちの声にかき消されて、松岡のささやき声は灯里以外には届かなかった。
バカじゃないのか、子供の付添いだっつーの。
でもその低く抑えた声にぞくっと来て、灯里は唇を噛みしめた。
「手、離せ」
低くつぶやくように言った声が聞こえなかったはずはないのに、松岡は力をゆるめず、愛撫するように指を滑らせた。その動作に、懐かしい記憶を呼び覚まされる。
デートのとき、人目のない場所でこっそり手をつないで、よくそんなふうに撫でられた。そして、ベッドのなかでも。情事後のけだるい時間、よく手を握られたことを思い出す。
はっとして思い出を振り払うように、もう一度手を抜こうとするが、松岡はゆっくり首を横に振った。その手の力強さが、本気だと伝えてくるようで困惑する。
灯里にはもう、松岡と関わる気がないというのに。
しばらく蛍を見て、今度は松岡の実家に向かった。
立派な門がついた古い和式の家は、かなり広そうだった。
玄関で松岡の両親に会い、灯里が布団とおかずのお礼を言うのもそこそこに座敷(としか言いようがない部屋)に通され、宴会のような夕食が始まった。
松岡は目元が母親似で口元の凛々しい感じや体つきは父親似だなと思う。農作業のせいだろう、やはりがっしりした肩をしていた。
照れ屋らしい松岡の祖母は、灯里がおいしかったとおかずの礼を言うといやいやいやと手を振って台所に引っ込んでしまった。
軽く夕食を食べましょうなんて車の中で言っていたが、灯里の感覚からしたら目の前の食卓はほとんど宴会でまったく軽くという状態には思えない。
この家は九人家族で暮らしているからこれが普通なのだろうが、灯里の常識をかるく超える量の料理とにぎやかさだった。どこの歓送迎会に紛れ込んだのかと思うほどだ。
「この後、カブトムシ獲りだからあんまり飲まないでね」
という兄嫁の忠告で松岡兄はビールを控えめに飲んで、予定通り夜の八時にもう一度家を出た。
虫よけを吹きつけて長袖を羽織って、松岡と松岡の兄、灯里と子供四人で歩いて裏の雑木林に向かう。懐中電灯の丸い光を追って子供たちがはしゃぐ中、灯里はなるべく松岡と距離を取ろうと意識する。
さっきは結局、戻ろうかと松岡兄が言いだすまで、手を離してもらえなかったのだ。
明るい場所で顔を合わせた松岡は、さっきのことなどなかったかのように、穏やかに微笑むだけで何も言わない。灯里は問い詰めることもできず、ぎこちなく目をそらしたのだった。
「カブトムシ、おるかなあ」
玲雄はわくわくした顔で隣を歩く松岡の兄に問いかけた。
「昼のうちに蜜を塗っておいたから、いると思うよ」
「みつ? みつをどこにぬったん?」
「カブトムシやクワガタが好きな木があるんだ。クヌギとかコナラって木によく樹液を吸いに来るから、その木に蜜を塗っておいたんだよ」
「すごい。ほんならきっとおるなあ」
興奮して虫かごを振り回す玲雄に、流美はまったく乗り気じゃない様子で、おらんでもいいけどなと突っ込む。
「このまえは、クワガタ三こつかまえたんだ」
「三こも! すげー!」
「こうた、おおくわがたもつかまえたことある」
「うお、かっちょええな!」
同い年の航大と玲雄はすっかり仲良くなっていて、流美は二つ下の美帆と手をつないで歩きながら、うちもいもうとがよかったのにーと不満をこぼしている。
その後ろを松岡と並ばないように気をつけながら灯里が追い、最後を松岡がついてきた。
雑木林沿いの道に出てしばらく歩くと、松岡兄が立ち止まる。
「ほら、そっと見てごらん」
懐中電灯に照らされた丸い光のなかに、黒く丸いものが浮かび上がった。
「うわ! ホンマにおった」
玲雄は小躍りしそうなくらい喜んで、その場で飛び跳ねる。
嬉しいという気持ちが全身からあふれてこぼれそうだ。子供の感情って素直だなと感心する。
「こうたにも見せて」
「よかったなあ、二匹いるな。じゃあ玲雄くん、しっかり掴んでみて」
「うわっ、うごいた」
「大丈夫だよ、しっかり持って」
「すっげー、れおがとった!」
「ああ、よかったな」
自慢げに鼻を膨らませる玲雄に灯里はうなずいてみせる。
玲雄と航大が一匹ずつ捕まえて、大事そうに虫かごに入れた。
流美はこわごわと虫かごをのぞいて、顔をしかめている。フィンランドでは見たことがないと言い、気持ち悪いようだ。
うん、同感だよ。かっこいいなんてこれっぽっちも思えないよな。
「こんな黒い虫のどこがええの?」
「かっこいいやろ」
「みほはだんごむしがいいー」
「ほら、あっちも蜜を塗った木があるから見てみよう」
そこにはクワガタが三匹もいて、玲雄と航大に取らせたあと、松岡が灯里を呼んだ。
「せっかくだから、富和さんも取ってみます?」
などと親切そうな顔をして、とんでもないことを言いだす。
都会っ子をなめんな、そんな虫、触れないっつーの。
冗談じゃないと顔を引きつらせながら、流美のほうに話を振った。きっと流美も触りたがらないと知っているが、その後も考えている。
「いや、せっかくここまで来たから流美ちゃん、どう?」
「いやや、ゆびはさむもん」
「じゃあ、れおくん、どうぞ」
「やったー」
やさしく子供に譲る大人のふりをしているのはバレているのだろう、松岡はいたずらっ子のように笑いをかみ殺している。ふざけんなよ。
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