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愛を告げる理由①
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「リリー?」
「っ・・・」
「そろそろ機嫌なおせって!」
「っ、知らないんだから!」
ツンと私は外方を向いてライルから視線を逸らせる。
その私の視線の先にあるのは広い広い大海原。そして竿の先。
結局あの後、ライル曰く昼食前の軽い運動に付き合わされて(全然軽くも無かったけれど)クタクタになった私は、宣言通り彼お手製の昼食をベッドの上で頂く形となった。
そうして、しばしの休息の後になんだかまたしてもその気になり始めた様子の彼に慌てた私はベッドから重い腰を上げて、宣言通りに釣りに行こうと彼を誘い出して事なきを得た。
一度タガが外れたライルは本当に容赦がない。
とは言え、今日は特にいつもに増してなのは、おそらくロブの事が関わっているのだろう。
いくらロブが私を連れ出す気がないと言って、私も島を出るつもりがない事を宣言していても、やはりどこかでここ数日彼は気が気でなかったらしい。
明らかに安心した様子の上、機嫌がいい。
それは、ベッドの中でも違って・・・どこか余裕がない、私の存在を確かめるような抱き方から、どちらかと言うと私の存在を噛み締めて、反応を楽しむような甘やかすような余裕すらあるように思えた。
そんな彼に振り回されてつつも、やはり私を大切に思ってくれているのは伝わってくるわけで・・・なんだかんだ私も流されっぱなしになってしまうのだ。
だからこそ、ここらで少し引き締めなければ!
あまりにも甘く、互いを求め合う事が日常になりすぎて、色々が疎かになってしまっては困るのだ。
釣りに出なければ、夕食のおかずは減るのだし、畑の世話もしないと食料は貯蔵できない。パンだって在庫を確認して程よいタイミングで焼かなければ主食がなくなる。
もう、黙っていても時間になれば何でも出てくる生活ではないのだ。王子でも令嬢でもない。小さな島に住む、ただの夫婦なのだから。
「リリーが可愛すぎるのがいけないんだぞ」
「っ――!」
ぽつりと彼がこぼした言葉に私は息を飲んで不覚にも顔が火照る。本当にこの男は、時折不意打ちのようにそんな事を言い出すのだから困る。
たしかにそれは、思いを確かめ合う以前にもあったけれど、正直その時は「はいはい、都合がいいものね。」とどこか冷て・・・いやひねくれて受け取っていたからだったのだけれど。
こうして彼の本当の気持ちを知って、愛されている事を日に日に感じる事ができるようになった今。
すごくこそばゆいというか・・・恥ずかしいというか・・・照れ臭い。
そして彼はそんな私の反応もきちんと分かっていて、抗議するように視線を送れば、どこか楽しそうに、戸惑う私を見ているのだ。
「楽しんでるでしょう?」
「いや?俺の嫁は怒っている顔もかわいいなぁって思ってる」
「っ…よくも恥ずかしげもなく、そんな事・・・」
「まぁ、これでも元王子様だからな?」
おどけて肩を竦める彼に、私は冷ややかな視線を向ける。
「あら、王子時代は他のご令嬢達にもそんな甘い言葉をおかけになっていらしたの?」
「はは、そんなわけないさ!変に勘違いさせるのはまずいからな・・・父と母の影響だよ」
そこまで言って、彼は私から視線を外して竿の先を見つめる。
彼の御父上とお母上・・・それは先代の国王陛下と王妃陛下の事で…その方々の末路は私もよく知っている。
「母は公爵家の血筋の家系出身だが、あぁ見えて父とは恋愛結婚だった」
「そう、なの!?」
確かに在位中は仲睦まじいご夫妻であることはよく知れた事だったけれど、そんな事は上辺だけでも取り繕えなくはないだろうし、所詮は政略結婚だと思っていたので、あれは見せかけではなかったのだと、正直驚いた。
私の驚いた反応に彼は自嘲めいた笑みを浮かべる。
「息子の目から見ても、少し弁えて欲しいと思うくらいラブラブでさ。気を抜くと俺らなんてそっちのけで、すぐに二人の世界に入っていたな。」
そこまで話して彼は、竿を持ち上げる。
「ッチ!やっぱり喰われたか」
どうやらまたしても、餌を取られたらしい。
「っ・・・」
「そろそろ機嫌なおせって!」
「っ、知らないんだから!」
ツンと私は外方を向いてライルから視線を逸らせる。
その私の視線の先にあるのは広い広い大海原。そして竿の先。
結局あの後、ライル曰く昼食前の軽い運動に付き合わされて(全然軽くも無かったけれど)クタクタになった私は、宣言通り彼お手製の昼食をベッドの上で頂く形となった。
そうして、しばしの休息の後になんだかまたしてもその気になり始めた様子の彼に慌てた私はベッドから重い腰を上げて、宣言通りに釣りに行こうと彼を誘い出して事なきを得た。
一度タガが外れたライルは本当に容赦がない。
とは言え、今日は特にいつもに増してなのは、おそらくロブの事が関わっているのだろう。
いくらロブが私を連れ出す気がないと言って、私も島を出るつもりがない事を宣言していても、やはりどこかでここ数日彼は気が気でなかったらしい。
明らかに安心した様子の上、機嫌がいい。
それは、ベッドの中でも違って・・・どこか余裕がない、私の存在を確かめるような抱き方から、どちらかと言うと私の存在を噛み締めて、反応を楽しむような甘やかすような余裕すらあるように思えた。
そんな彼に振り回されてつつも、やはり私を大切に思ってくれているのは伝わってくるわけで・・・なんだかんだ私も流されっぱなしになってしまうのだ。
だからこそ、ここらで少し引き締めなければ!
あまりにも甘く、互いを求め合う事が日常になりすぎて、色々が疎かになってしまっては困るのだ。
釣りに出なければ、夕食のおかずは減るのだし、畑の世話もしないと食料は貯蔵できない。パンだって在庫を確認して程よいタイミングで焼かなければ主食がなくなる。
もう、黙っていても時間になれば何でも出てくる生活ではないのだ。王子でも令嬢でもない。小さな島に住む、ただの夫婦なのだから。
「リリーが可愛すぎるのがいけないんだぞ」
「っ――!」
ぽつりと彼がこぼした言葉に私は息を飲んで不覚にも顔が火照る。本当にこの男は、時折不意打ちのようにそんな事を言い出すのだから困る。
たしかにそれは、思いを確かめ合う以前にもあったけれど、正直その時は「はいはい、都合がいいものね。」とどこか冷て・・・いやひねくれて受け取っていたからだったのだけれど。
こうして彼の本当の気持ちを知って、愛されている事を日に日に感じる事ができるようになった今。
すごくこそばゆいというか・・・恥ずかしいというか・・・照れ臭い。
そして彼はそんな私の反応もきちんと分かっていて、抗議するように視線を送れば、どこか楽しそうに、戸惑う私を見ているのだ。
「楽しんでるでしょう?」
「いや?俺の嫁は怒っている顔もかわいいなぁって思ってる」
「っ…よくも恥ずかしげもなく、そんな事・・・」
「まぁ、これでも元王子様だからな?」
おどけて肩を竦める彼に、私は冷ややかな視線を向ける。
「あら、王子時代は他のご令嬢達にもそんな甘い言葉をおかけになっていらしたの?」
「はは、そんなわけないさ!変に勘違いさせるのはまずいからな・・・父と母の影響だよ」
そこまで言って、彼は私から視線を外して竿の先を見つめる。
彼の御父上とお母上・・・それは先代の国王陛下と王妃陛下の事で…その方々の末路は私もよく知っている。
「母は公爵家の血筋の家系出身だが、あぁ見えて父とは恋愛結婚だった」
「そう、なの!?」
確かに在位中は仲睦まじいご夫妻であることはよく知れた事だったけれど、そんな事は上辺だけでも取り繕えなくはないだろうし、所詮は政略結婚だと思っていたので、あれは見せかけではなかったのだと、正直驚いた。
私の驚いた反応に彼は自嘲めいた笑みを浮かべる。
「息子の目から見ても、少し弁えて欲しいと思うくらいラブラブでさ。気を抜くと俺らなんてそっちのけで、すぐに二人の世界に入っていたな。」
そこまで話して彼は、竿を持ち上げる。
「ッチ!やっぱり喰われたか」
どうやらまたしても、餌を取られたらしい。
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