家出令嬢が海賊王の嫁!?〜新大陸でパン屋さんになるはずが巻き込まれました〜

香月みまり

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追求

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「前から決まっていたのよね?」

帰路につきながら、不満をぶつければライルは隣を歩きながら小さく「すまない」と呟いた。

航海に出る事自体は彼の立場上あり得る事だし、なんならそちらが本業なわけで一切後ろめたい事などあるわけでも無いのに、なぜ謝るのか?

先程からの彼の気まずそうな様子を見ると、どうやら私に話してくれない事と、この航海に出る事・・・私を留守番に置いていく事は繋がっているらしい事は分かった。

一体なんなのだろうか?

軽くため息をつくと、彼の大きな手がどこかに行ってしまうのを防ぐように私の手を掴んだ。

そしてそのまま指を絡めてくる。

何か言ってくれるのだろうか?
少しの期待を込めて彼を見上げるけれど、その見上げた彼の表情は何かを思い悩んでいるような顔で・・・。

あぁ、これはまだ聞き出さない方がいい話なのだと、なんとなく理解した。

「何か、私に隠したいことがあるのね?」

確認するように問えば、手を握る力がギュッと強くなる。

「すまない」

苦し気にそう言われて・・・私はそれ以上追求するのを諦めて、代わりに

「いつになったら教えてくれる?」と問うた。

私を見下ろす彼が、少しホッとしたように頬を緩めたような気がしたのは気のせいではないだろう。

「この航海から戻ったら、必ず・・・」

そう絞り出した彼の頬に手を伸ばすと、その手に口付けるように唇を寄せた彼が目を閉じた。

「必ず、話すから・・・ごめん」

「うん、待ってるね」

『あんたを守るためなのか・・・、知らない方がいい事もある』

先程のおばあの言葉が蘇ってくる。きっとそういう話なのだろう。
何が起こっているのか・・・もどかしい気持ちはあるけれど、ライルを信じて待つ事にしよう。

そう決めて私はこの件を追求する事をやめる事にした。

後になってみれば、この時もっと追求していれば、あんな事態にはならなかったのかもしれない。
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