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本編
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5
とある土曜日の朝。
どうやらベランダで鴉が鳴いているようで、そのけたたましさに目を覚ました。同時に、スマホの着信音が高らかになった。
起き抜けに心臓に悪すぎる。昨日満たされないオナニーを長時間粘って結局満足できずに夜ふかししたからまだ眠いと言うのに。これは、休日出勤した平山部長が共有フォルダに入っているファイルの場所がわからないとかそんなのに決まっている。まずは自分で共有フォルダ内を検索かけてほしい。
嫌々スマホのロック画面を見ると、平山部長ではなかった。
セクスアリス魔導具店の番号だった。
あれ、電話ってどうやって出るんだっけ。あ、やば、間違えて切っちゃった、やばいやばいやばい。当たり前のことがわからなくなっている。
震える指で自分から掛け直す。繋がらなかったらどうしよう。
あ、繋がった。
「あ、あ、おはようございます」
この、あ、あ、ってどうして出てしまうんでしょうね。あまりの自身のスマートでなさに笑ってしまう。
『ナオさん、ですか?』
セイルさんの声だ。脳内で擦り切れるほど再生したセイルさんの。
このひとつき、店には行っていなかったが、セイルさんのことが頭から離れた日はなかった。
アナルワームに関しては自分は被害者の側だと思うけど、あんな痴態を見せておいて、むしろ痴態よりもキスしてくださいのほうが精神的にはアウトだが、まあ一体どの面下げて会えるというのか。それにただの欲情なのか恋なのか、気持ちの整理も全くついていない。たとえ恋だとして、相手はまだよく知らない人で、男だし、悪魔だし、どうしていいのかわからない。恋なら、おそらく、どうにもせずに、心の奥底に沈めた方がいい。
「そうです」
『今から、そちらに行ってもいいですか?』
遠慮がちに、切羽詰まった声音に、すぐに、はい、と言いかけて、ためらう。いや、もう二度と関わらないほうがいい。人生に刺激なんていらないんだよ、平穏こそが一番なんだよ。
「ええと……はい、大丈夫です」
それなのに、ぽろっと大丈夫なんて返事してしまっている。この口が! 口が先走っている!
『ありがとうございます! 少々お待ち下さい!』
そう言って電話が切れた。
やばい、支度しないと!
ろくにセンスもないなりに服を選び、パジャマを脱いで着替えだした。
無地の薄青色のシャツに袖を通し、チノパンに足を突っ込んだそのとき。
ぱっと、突然に。
室内にセイルさんが登場した。
「う、うわああ!!」
「招いてくれたのでそのまま入りましたが玄関からのほうが良かったですかね?」
店長が首をかしげ、ばつが悪そうにはははと笑う。
「い、いや、いいんですけど、着替えの時間は欲しかったですね!」
俺は慌ててズボンを引き上げ、ジッパーを上げボタンを締めた。
ああ、もう、本物の笑顔も声も反則だ。やっぱり本物は違う。心臓がうるさい。心臓がここにあったんだ、と心臓の場所を意識させられる。
「以後気をつけます……」
それから、突っ立ったまま、セイルさんはもじもじしている。それは、俺も同じだけど。
セイルさんといると落ち着かない。好きという単語が次から次へと脳内に湧き出てくる。
快感と恋愛感情がごっちゃになってるのかもしれない。
俺は、この人と、まがりなりにもセックスした。初めてのセックス相手だから入れ込んでしまうやつ? 好きだと思ってしまうやつ? 俺が童貞だから?
男二人でもじもじしているという地獄の沈黙を破ろうと、セイルさんが意を決したように口を開いた。
「……僕たち、その、試してみませんか? その、セックスを」
その提案に、自分はまだ夢のつづきを見ているのかと思った。ぽかーんと口が開いてしまう。
「……あ、あの、すみません、なんと?」
「ええとですね、あの嫌ですか? 僕とその、セックスするのは……お互い相性が悪いと思えばこれきりでいいですし……! そう、ですよね……あのとき、あなたは普通の状態じゃなかったですし……すみません、帰ります!」
早口でまくし立てるだけまくし立て、今にも現れたときと同様、ぱっと消えてしまいそうなセイルさんの腕を掴んだ。一切の脂肪がなく、骨に筋肉だけがついたその腕を。
「ち、違います! 嫌じゃ、ないです……」
まただ。また、理性よりも、口が、手が、先走っている。この人とは関わるべきではないのに。
口も手も、正直者だ。嫌じゃない、どころではない。俺は、この人がたまらなく欲しい。
俺はゲイだったのか、バイだったのか。俺はこの人をまだよく知らない。それに、この人は体の相性がよく継続してセックスできるかどうか知りたいだけなのだ。いや、セフレだっていいだろう、相手悪魔だし、この感情も恋とか愛じゃないかもしれないし。
知らないけど、リア充はセフレってやるがいるのだろう、セックスだけの関係をそんなに難しく考えることはない。
この人とセックスしたいというのはそんなに悪いことか? 自分で自分の人生をつまらないものにしているんじゃないのか?
ごちゃごちゃ考えたって、俺はこの人と寝たいという欲求には逆らえない。正直な口と手に従ったっていいではないか。
目が合う。セイルさんの宝石のような瞳に炎のような煌めきが踊った。
次の瞬間、セイルさんががばりと俺を抱きしめた。ごつごつと骨ばった体が押し付けられ、そのお香のような、でもどこか官能的な匂いを思いっきり吸い込んだ。
「今日、だめですか?」
熱っぽく、セイルさんが耳元でささやく。セイルさんの声が鼓膜を震わせ吐息がかかると、ぞくりと震えが走った。
「アナルワーム持ってきました」
そんな、コンドーム持ってますみたいに言うなよ。
「いや、今日でも、いいですけど……アナルワームは……怖いです」
ちょっと待たせるけど、シャワ浣だってできる。さすがに死ぬかもしれないセックスは望んでない。死と紙一重の快感なんて怖すぎる。
「安心してください。今回から魔力の量は上司に検品してもらってますから」
僕だと大雑把にしか見分けられないんですよね、と申し訳無さそうにセイルさんは付け加えた。
「それに」
耳元で唇が触れるか触れないかで発され、腰にくる声で囁きが鼓膜を震わせた。
「もしまた暴走しても、僕がまた壊してあげますから」
結腸をアナルワームと亀頭にいじめ抜かれた、あの時のあの強烈な快感が一瞬で鮮やかによみがえり、腹の奥から全身にぞくぞくと震えが走った。肌がかっとなり、粟立つ。
壊されるのはアナルワームか、俺か。
「あっ、あっ……」
全身がおののき、膝ががくがくする。中がセイルさんを欲しがってひくひくしだす。スイッチが完全に押されて、期待感だけでどうにかなりそうだ。
今にもくずおれそうな俺を、セイルさんが支えてくれている。
キスしながら、セックスしたかった。
「セイルさん、その、キスしていいですか?」
答えるかわりにセイルさんはキスしてくれた。
ああ、やっばり彼が好きなのかもしれない。キスは気持ちよくて恍惚となる。
うっすら目を開けると、セイルさんの楽しげな琥珀色の瞳と目があった。余裕がないの俺だけだろうか?
尻を揉まれ、勃起した股間が俺のに押し付けられ、余裕のないのが俺だけではないとわかった。
「あうっ」
セイルさんの亀背に腕を回す。セイルさんの全身を確かめたかった。
セイルさんは俺を横抱きでベッドまで運んだ。これはいわゆるお姫様抱っこだ、恥ずかしい。ならんで座り、キスしながら服が脱がされていく。今更ながら、完全にシラフの状態でのセックスともなると肌を見せるのは恥ずかしい。銭湯もプールも脱ぐのに抵抗感を持ったことはないのに。
ベッドに寝かされて、今度はチノパンを脱がされた。セイルさんが来るからと、部屋着ではなくカジュアルなシャツとチノパンを着たけど、着替えているところに現れるわ、すぐに脱がされるわ。着ていたのは実に短い時間であった。
ニットトランクスに手がかけられた。それは心の準備がまだ出来ていない。
「わ、待って!」
「パンツの上からがいいですか?」
セイルさんがくすくす笑う。股間がトランクスの上から揉まれる。
「ふあっ……」
人に触られたことなんてない。それでもすぐに反応し始める。布の上からというのも乙なものだ。
「脱がさないでズラして入れられたい?」
トランクスの裾から長い指が差し入れられて、敏感なところをさわさわと指先がかすめていく。玉と尻の穴の間の皮膚をセイルさんの指先がなぞる。
セイルさんの目がいたずらっぽく光っている。
「はう、やだ、そんなの、あっ……」
口では嫌だと言いながら、それもそんなに悪くない、なんて思うのは俺もオナニー歴が長く各種シチュエーションで楽しんできたからだ。着衣エロのシチュエーションも悪くない。
揉み込まれ、勃起した股間がトランクスの布地を持ち上げる。たまらず腰がへこへこと小さく跳ねる。布地ごと揉まれ、カウパーが布に染み込んでいく。
カウパーで滑りの良くなった布ごと、亀頭が刺激される。
竿はしごかれ、玉はやわやわ転がされる。
「はっ、あっ、せいる、さっ……!!!」
睾丸がきゅうと体のほうに上がる。亀頭も竿も一段と血が集まって痛いほどに屹立し膨張する。
雁を引っ掛けるように布ごと握られ上下にしごかれると、みっともなくブリッジの姿勢に腰が持ち上がる。
「で、でちゃう、あ、脱ぐから、待って! はっ、ああっ、あうっ……!!」
パンツの中に放ってしまった。なんだろう、オナニーでは気にならないのに、人前で失禁してしまったような気分だ。
が、セイルさんは嬉しそうな顔をしていた。そんな顔をされると、複雑な気持ちだ。
出したばかりで呼吸の整わない俺の、べっとりしたトランクスを脱がすと、セイルさんはアナルワームの容器を開けた。
やっぱり、怖い。
とは思うもの、期待もしていた。それに、いざとなればセイルさんが破壊してくれる。
人肌に温まったアナルワー厶が肛門にむけられると、にゅうと伸びてきて、ひくつく穴をつぷりと通り抜けた。
「んっ」
アナルワームは、肉の壁をやんわりと広げながらゆっくりと粘膜を擦って奥へと伸びていった。今のところ、細い棒状のものが入っている感じだ。
直腸がアナルワームを感じようというように緊張と弛緩を繰り返し味わっている。じんわりと腹全体が熱くなる。媚薬の効果かもしれない。
「ナオさん、今ね、アナルワームの先から更に細い触手が伸びてるですよ。細いからわからないですよね? それが、結腸を抜けて、大腸にまで入っていってるんですよ」
「ふっ、あ……やだ、そんな」
「大腸まで犯されて、媚薬が染み出して、お腹全部気持ちいいでしょ?」
そう言われると、そんな気がしてくる。
「セイルさん、怖い」
「僕がそばにいますからね」
セイルさんが、俺の腹を手のひらで撫でる。時折、ぐっと少し押し込む。
「はっ、あっ、なんで……」
気持ちいい。
アナルワームが、ぬぷねぷとゆっくりと腹の中を犯していく。いいところを擦りながらも、あくまでやわやわと。
「今このへんかな? 大腸犯されて気持ちいいですね」
腹を撫でながら、セイルさんは軽いキスを落とした。もっと欲しくて、頭を引き寄せる。
セイルさんが苦笑している。
「駄目、ですか?」
こんな不細工がもっとキスをねだるなんてみっともなかっただろうか。不安でセイルさんをうかがうと、優しく微笑んでくれた。
唇が重なり、今度は深いキスになっていく。
太ももにセイルさんの硬くなったものが当たっている。そこからも気持ちがいいのが広がっていく。
なんでもないようなところが、セイルさんが触れると気持ちいい。これは、悪魔の能力なのだろうか。
アナルワームは、徐々に形状を変え、小さな球のように変化した部位は肛門を抜けたり入ったりを繰り返していた。前立腺に当たる部位は膨らんで圧迫している。最奥は小さく振動しながら結腸を出入りしてほぐしていく。結腸が変な動きをしているのがわかる。アナルワームを食んでいるようだ。
「んっ、ふ、にゃ……ふっ!」
息が徐々に上がってくる。体温も上がっている気がする。
腹を撫でていた手のひらが、俺の体のあちこちに触れていく。
太ももから、鼠径部から、脇腹から、二の腕、鎖骨を通った。俺はおかしいくらい過敏に反応して体をびくつかせた。
今はセイルさんは、首を撫でている。
この大きな手で首を絞められたら死ぬな、と脳裏をよぎる。命を握られている感覚が体を震わせた。言い換えると、俺はこの状況に更に興奮した。
首を大きな手のひらで、長い指で撫でられる。
「んっ、あっ……」
体がどんどん高ぶっていく。
首をひとしきり撫でた手が、今度は胸の真ん中をすうっと撫で下ろした。
それから、手のひらが右の胸全体を包んだ。
「ふっ……や……」
既に尖った乳首が手のひらを押し返す。胸から痺れが体を伝播していく。
手のひらで優しく潰されて転がされる。
もどかしい。
アナルワームがじくじくと中をぐずぐずにしていく。胸と腹が性感を高めあっている。
「セイルさ、ん」
俺の呼びかけをどう思ったか、今度は左の胸を同様にされる。
チクニーも結構好きで、セクスアリス魔導具店の乳首かみかみには大変お世話になった。そんな俺には緩慢な刺激は狂おしい。
「セイルさんっ」
今度は分かっているよとばかりに、ぺろりと舌で舐め上げられてから乳首を口に含まれた。
「いっ、う、はう、んんっ……!! あ、だめ、これ、あっ……!! や、セイル、さん!」
吸われ、舌で弾かれ、軽く歯を立てられる。
あ、この乱杭歯が、ランダムに刺激する感じになるんだ。乳首がひしゃげられてる。乳首の刺激でアナルが締まる。先程からもうずっと軽くイッている。
「気持ちいいですか?」
乳首から顔を持ち上げてセイルさんがにやっと笑う。わかっているくせに、と俺はこくこくとうなずいた。
「セイルさ、も、入れて、むり、早く!!」
セイルさんはアナルワームをずるりと俺の体内から引き出した。
「ふにゃ、は、ひああ!」
もう粘膜が全部過敏な性感帯に成り下がっていた。早く、アナルワームの抜けた穴を塞いでほしい。セイルさんはそれをもとの容器に戻した。さっきまで俺の中にあったものが。表面はぬらぬらしているが、特に汚くは見えなかったが。なんと言えばいいのか。
セイルさんは布地の多い服を勢いよく脱ぎ捨て、俺を組み伏せ、首を傾げ、瞳でもう入れますよと告げた。
見下されて胸が異常に高鳴る。やばい、心臓破裂しそう。
この前も、したにはしたけど、俺にとってはある意味今日が初めてというか。
少しびびりながらもうなずく。
ここひとつき、これを、これだけを望んできたのだから。
俺の膝裏に手を入れて持ち上げると、セイルさんは亀頭を俺の尻の穴に押し当てた。ぐううと圧をかけてこじ開ける。襞が引き伸ばされていくのさえ快感になった。
「は、う」
亀頭がぐっぽり通り抜けると、俺の直腸は歓喜してセイルさんを迎え入れた。肉の壁が激しくうねりだす。
「あ、あ、ひ、や……うっ……」
入ってくる。すごい。固くて熱いものが、もうだめになっている肉の壁をえぐり、途方も無い劇感を生み出した。
「すごい、締め付け……」
セイルさんが呻く。勝手に締めつける浅ましい肉を止めることができない。
ぐぐと腰が進められ、亀頭が奥のどん詰まりをとんと突いた。
「は、にゃ……んっ」
ぐうと奥に押し込んだまま、セイルさんがキスをした。
これ、この前したかったやつだ。
気持ちいい。口もアナルも、セイルさんと繋がっている。口を舌で責められ、アナルはペニスで責められる。
セイルさんの髪に、手を差し入れる。髪の感触と頭の形を確かめた。キスした口から、喘ぎが漏れる。
「む、ぐっ……ふ…!」
ゆっくりと腰を使って、ゆっくりと奥を捏ねられる。
散々アナルワームに捏ねられ解されたそこはすぐに屈服し、更に奥へとセイルさんの侵入を許した。
そこ、本当に駄目になる。
「ん゛ん゛ん゛っ……! んぐ、ん゛っ!!」
キスされたまま、奥の奥をこじ開けられて、結腸の弁を張り出した雁が引っ掛けながら出入りする。ぐぽ、ぐぽ、と音が聞こえる気がする。
もう自分からは絡められなくなった舌を、セイルさんが優しく吸う。舌が、俺の歯列をなぞり、口内を愛撫した。
好き、好き、好き。
ぐぷ、ぬぽ、ぬぷ、ぬぷ、と規則的に奥を突かれる。じゅわあと、何かよくわからないものが溢れ出す。
激しさのない、規則的な律動が、頭と体を狂わせていく。
体ががくがくと痙攣しだす。奥、やばい、奥、おかしくなる。
ぐぷぐぷぐぷと、奥を揺さぶられる。腹がびくびく波打つ。焦点が定まらなくなる。
じゃわあっと、馬鹿になる脳内麻薬がじゃぶじゃぶ溢れだす。
しあわせ。
今、とてもしあわせ。
しあわせできもちよくてセイルさんがすきだ。
頭も体もまだふわふわしている。
こんなに気持ちよくて馬鹿になりそう。セイルさんはどうだったんだろうと見やると、額にキスをしてくれた。
アナルワームは事後処理にも使えるんですよと、セイルさんが再び容器から出した。セイルさんの悪魔じみた、いや悪魔なんだけど、量の精液が何度も注ぎ込まれたぷたぷの俺の中に再びアナルワームを挿入した。
まだひくつくのが収まらないそこに、アナルワームが潜り込んでいく。
「ん……うっ……」
しばらくして、アナルワームをセイルさんが抜き取ると、あれほどじゃぶじゃぶに注がれていた精液はきれいさっぱり消えていた。これは便利かもしれない。精液で腹を下さずに済む。さすが悪魔の道具。
しかし、アナルワームの大きさは変わっていない。魔界の道具に質量保存の法則を求めるのは間違っているだろうか。
セイルさんが、俺のひたいにかかった前髪を横に流してくれ、うっとりするような手付きで髪を撫でてくれた。
「これ便利ですよね、でも、あれ、精液はどこにいったのかな、と思いますよね?」
「はあ、まあ……」
俺が頷くと、セイルさんは最高の笑顔を浮かべた。
「正解は! 我らが上司、蝿の王、ベルゼブブ様の魔界の食卓に転送されるのでした!」
ああ、ぶち壊しだなあ、と思った。悪魔にデリカシーはないのか。
「ちなみに、アナルワームが集めた人糞が、ベルゼブブ様の大好物でございます!」
「………」
ああ、じゃあ、俺のも……。それ以上は考えないようにした。正直そんなこと、知りたくなかった。
それでも、得意げなセイルさんをかわいいと思っている自分がいたし、セイルさんが好き、という文言は変わらず脳内を回り続けていた。
おわり
とある土曜日の朝。
どうやらベランダで鴉が鳴いているようで、そのけたたましさに目を覚ました。同時に、スマホの着信音が高らかになった。
起き抜けに心臓に悪すぎる。昨日満たされないオナニーを長時間粘って結局満足できずに夜ふかししたからまだ眠いと言うのに。これは、休日出勤した平山部長が共有フォルダに入っているファイルの場所がわからないとかそんなのに決まっている。まずは自分で共有フォルダ内を検索かけてほしい。
嫌々スマホのロック画面を見ると、平山部長ではなかった。
セクスアリス魔導具店の番号だった。
あれ、電話ってどうやって出るんだっけ。あ、やば、間違えて切っちゃった、やばいやばいやばい。当たり前のことがわからなくなっている。
震える指で自分から掛け直す。繋がらなかったらどうしよう。
あ、繋がった。
「あ、あ、おはようございます」
この、あ、あ、ってどうして出てしまうんでしょうね。あまりの自身のスマートでなさに笑ってしまう。
『ナオさん、ですか?』
セイルさんの声だ。脳内で擦り切れるほど再生したセイルさんの。
このひとつき、店には行っていなかったが、セイルさんのことが頭から離れた日はなかった。
アナルワームに関しては自分は被害者の側だと思うけど、あんな痴態を見せておいて、むしろ痴態よりもキスしてくださいのほうが精神的にはアウトだが、まあ一体どの面下げて会えるというのか。それにただの欲情なのか恋なのか、気持ちの整理も全くついていない。たとえ恋だとして、相手はまだよく知らない人で、男だし、悪魔だし、どうしていいのかわからない。恋なら、おそらく、どうにもせずに、心の奥底に沈めた方がいい。
「そうです」
『今から、そちらに行ってもいいですか?』
遠慮がちに、切羽詰まった声音に、すぐに、はい、と言いかけて、ためらう。いや、もう二度と関わらないほうがいい。人生に刺激なんていらないんだよ、平穏こそが一番なんだよ。
「ええと……はい、大丈夫です」
それなのに、ぽろっと大丈夫なんて返事してしまっている。この口が! 口が先走っている!
『ありがとうございます! 少々お待ち下さい!』
そう言って電話が切れた。
やばい、支度しないと!
ろくにセンスもないなりに服を選び、パジャマを脱いで着替えだした。
無地の薄青色のシャツに袖を通し、チノパンに足を突っ込んだそのとき。
ぱっと、突然に。
室内にセイルさんが登場した。
「う、うわああ!!」
「招いてくれたのでそのまま入りましたが玄関からのほうが良かったですかね?」
店長が首をかしげ、ばつが悪そうにはははと笑う。
「い、いや、いいんですけど、着替えの時間は欲しかったですね!」
俺は慌ててズボンを引き上げ、ジッパーを上げボタンを締めた。
ああ、もう、本物の笑顔も声も反則だ。やっぱり本物は違う。心臓がうるさい。心臓がここにあったんだ、と心臓の場所を意識させられる。
「以後気をつけます……」
それから、突っ立ったまま、セイルさんはもじもじしている。それは、俺も同じだけど。
セイルさんといると落ち着かない。好きという単語が次から次へと脳内に湧き出てくる。
快感と恋愛感情がごっちゃになってるのかもしれない。
俺は、この人と、まがりなりにもセックスした。初めてのセックス相手だから入れ込んでしまうやつ? 好きだと思ってしまうやつ? 俺が童貞だから?
男二人でもじもじしているという地獄の沈黙を破ろうと、セイルさんが意を決したように口を開いた。
「……僕たち、その、試してみませんか? その、セックスを」
その提案に、自分はまだ夢のつづきを見ているのかと思った。ぽかーんと口が開いてしまう。
「……あ、あの、すみません、なんと?」
「ええとですね、あの嫌ですか? 僕とその、セックスするのは……お互い相性が悪いと思えばこれきりでいいですし……! そう、ですよね……あのとき、あなたは普通の状態じゃなかったですし……すみません、帰ります!」
早口でまくし立てるだけまくし立て、今にも現れたときと同様、ぱっと消えてしまいそうなセイルさんの腕を掴んだ。一切の脂肪がなく、骨に筋肉だけがついたその腕を。
「ち、違います! 嫌じゃ、ないです……」
まただ。また、理性よりも、口が、手が、先走っている。この人とは関わるべきではないのに。
口も手も、正直者だ。嫌じゃない、どころではない。俺は、この人がたまらなく欲しい。
俺はゲイだったのか、バイだったのか。俺はこの人をまだよく知らない。それに、この人は体の相性がよく継続してセックスできるかどうか知りたいだけなのだ。いや、セフレだっていいだろう、相手悪魔だし、この感情も恋とか愛じゃないかもしれないし。
知らないけど、リア充はセフレってやるがいるのだろう、セックスだけの関係をそんなに難しく考えることはない。
この人とセックスしたいというのはそんなに悪いことか? 自分で自分の人生をつまらないものにしているんじゃないのか?
ごちゃごちゃ考えたって、俺はこの人と寝たいという欲求には逆らえない。正直な口と手に従ったっていいではないか。
目が合う。セイルさんの宝石のような瞳に炎のような煌めきが踊った。
次の瞬間、セイルさんががばりと俺を抱きしめた。ごつごつと骨ばった体が押し付けられ、そのお香のような、でもどこか官能的な匂いを思いっきり吸い込んだ。
「今日、だめですか?」
熱っぽく、セイルさんが耳元でささやく。セイルさんの声が鼓膜を震わせ吐息がかかると、ぞくりと震えが走った。
「アナルワーム持ってきました」
そんな、コンドーム持ってますみたいに言うなよ。
「いや、今日でも、いいですけど……アナルワームは……怖いです」
ちょっと待たせるけど、シャワ浣だってできる。さすがに死ぬかもしれないセックスは望んでない。死と紙一重の快感なんて怖すぎる。
「安心してください。今回から魔力の量は上司に検品してもらってますから」
僕だと大雑把にしか見分けられないんですよね、と申し訳無さそうにセイルさんは付け加えた。
「それに」
耳元で唇が触れるか触れないかで発され、腰にくる声で囁きが鼓膜を震わせた。
「もしまた暴走しても、僕がまた壊してあげますから」
結腸をアナルワームと亀頭にいじめ抜かれた、あの時のあの強烈な快感が一瞬で鮮やかによみがえり、腹の奥から全身にぞくぞくと震えが走った。肌がかっとなり、粟立つ。
壊されるのはアナルワームか、俺か。
「あっ、あっ……」
全身がおののき、膝ががくがくする。中がセイルさんを欲しがってひくひくしだす。スイッチが完全に押されて、期待感だけでどうにかなりそうだ。
今にもくずおれそうな俺を、セイルさんが支えてくれている。
キスしながら、セックスしたかった。
「セイルさん、その、キスしていいですか?」
答えるかわりにセイルさんはキスしてくれた。
ああ、やっばり彼が好きなのかもしれない。キスは気持ちよくて恍惚となる。
うっすら目を開けると、セイルさんの楽しげな琥珀色の瞳と目があった。余裕がないの俺だけだろうか?
尻を揉まれ、勃起した股間が俺のに押し付けられ、余裕のないのが俺だけではないとわかった。
「あうっ」
セイルさんの亀背に腕を回す。セイルさんの全身を確かめたかった。
セイルさんは俺を横抱きでベッドまで運んだ。これはいわゆるお姫様抱っこだ、恥ずかしい。ならんで座り、キスしながら服が脱がされていく。今更ながら、完全にシラフの状態でのセックスともなると肌を見せるのは恥ずかしい。銭湯もプールも脱ぐのに抵抗感を持ったことはないのに。
ベッドに寝かされて、今度はチノパンを脱がされた。セイルさんが来るからと、部屋着ではなくカジュアルなシャツとチノパンを着たけど、着替えているところに現れるわ、すぐに脱がされるわ。着ていたのは実に短い時間であった。
ニットトランクスに手がかけられた。それは心の準備がまだ出来ていない。
「わ、待って!」
「パンツの上からがいいですか?」
セイルさんがくすくす笑う。股間がトランクスの上から揉まれる。
「ふあっ……」
人に触られたことなんてない。それでもすぐに反応し始める。布の上からというのも乙なものだ。
「脱がさないでズラして入れられたい?」
トランクスの裾から長い指が差し入れられて、敏感なところをさわさわと指先がかすめていく。玉と尻の穴の間の皮膚をセイルさんの指先がなぞる。
セイルさんの目がいたずらっぽく光っている。
「はう、やだ、そんなの、あっ……」
口では嫌だと言いながら、それもそんなに悪くない、なんて思うのは俺もオナニー歴が長く各種シチュエーションで楽しんできたからだ。着衣エロのシチュエーションも悪くない。
揉み込まれ、勃起した股間がトランクスの布地を持ち上げる。たまらず腰がへこへこと小さく跳ねる。布地ごと揉まれ、カウパーが布に染み込んでいく。
カウパーで滑りの良くなった布ごと、亀頭が刺激される。
竿はしごかれ、玉はやわやわ転がされる。
「はっ、あっ、せいる、さっ……!!!」
睾丸がきゅうと体のほうに上がる。亀頭も竿も一段と血が集まって痛いほどに屹立し膨張する。
雁を引っ掛けるように布ごと握られ上下にしごかれると、みっともなくブリッジの姿勢に腰が持ち上がる。
「で、でちゃう、あ、脱ぐから、待って! はっ、ああっ、あうっ……!!」
パンツの中に放ってしまった。なんだろう、オナニーでは気にならないのに、人前で失禁してしまったような気分だ。
が、セイルさんは嬉しそうな顔をしていた。そんな顔をされると、複雑な気持ちだ。
出したばかりで呼吸の整わない俺の、べっとりしたトランクスを脱がすと、セイルさんはアナルワームの容器を開けた。
やっぱり、怖い。
とは思うもの、期待もしていた。それに、いざとなればセイルさんが破壊してくれる。
人肌に温まったアナルワー厶が肛門にむけられると、にゅうと伸びてきて、ひくつく穴をつぷりと通り抜けた。
「んっ」
アナルワームは、肉の壁をやんわりと広げながらゆっくりと粘膜を擦って奥へと伸びていった。今のところ、細い棒状のものが入っている感じだ。
直腸がアナルワームを感じようというように緊張と弛緩を繰り返し味わっている。じんわりと腹全体が熱くなる。媚薬の効果かもしれない。
「ナオさん、今ね、アナルワームの先から更に細い触手が伸びてるですよ。細いからわからないですよね? それが、結腸を抜けて、大腸にまで入っていってるんですよ」
「ふっ、あ……やだ、そんな」
「大腸まで犯されて、媚薬が染み出して、お腹全部気持ちいいでしょ?」
そう言われると、そんな気がしてくる。
「セイルさん、怖い」
「僕がそばにいますからね」
セイルさんが、俺の腹を手のひらで撫でる。時折、ぐっと少し押し込む。
「はっ、あっ、なんで……」
気持ちいい。
アナルワームが、ぬぷねぷとゆっくりと腹の中を犯していく。いいところを擦りながらも、あくまでやわやわと。
「今このへんかな? 大腸犯されて気持ちいいですね」
腹を撫でながら、セイルさんは軽いキスを落とした。もっと欲しくて、頭を引き寄せる。
セイルさんが苦笑している。
「駄目、ですか?」
こんな不細工がもっとキスをねだるなんてみっともなかっただろうか。不安でセイルさんをうかがうと、優しく微笑んでくれた。
唇が重なり、今度は深いキスになっていく。
太ももにセイルさんの硬くなったものが当たっている。そこからも気持ちがいいのが広がっていく。
なんでもないようなところが、セイルさんが触れると気持ちいい。これは、悪魔の能力なのだろうか。
アナルワームは、徐々に形状を変え、小さな球のように変化した部位は肛門を抜けたり入ったりを繰り返していた。前立腺に当たる部位は膨らんで圧迫している。最奥は小さく振動しながら結腸を出入りしてほぐしていく。結腸が変な動きをしているのがわかる。アナルワームを食んでいるようだ。
「んっ、ふ、にゃ……ふっ!」
息が徐々に上がってくる。体温も上がっている気がする。
腹を撫でていた手のひらが、俺の体のあちこちに触れていく。
太ももから、鼠径部から、脇腹から、二の腕、鎖骨を通った。俺はおかしいくらい過敏に反応して体をびくつかせた。
今はセイルさんは、首を撫でている。
この大きな手で首を絞められたら死ぬな、と脳裏をよぎる。命を握られている感覚が体を震わせた。言い換えると、俺はこの状況に更に興奮した。
首を大きな手のひらで、長い指で撫でられる。
「んっ、あっ……」
体がどんどん高ぶっていく。
首をひとしきり撫でた手が、今度は胸の真ん中をすうっと撫で下ろした。
それから、手のひらが右の胸全体を包んだ。
「ふっ……や……」
既に尖った乳首が手のひらを押し返す。胸から痺れが体を伝播していく。
手のひらで優しく潰されて転がされる。
もどかしい。
アナルワームがじくじくと中をぐずぐずにしていく。胸と腹が性感を高めあっている。
「セイルさ、ん」
俺の呼びかけをどう思ったか、今度は左の胸を同様にされる。
チクニーも結構好きで、セクスアリス魔導具店の乳首かみかみには大変お世話になった。そんな俺には緩慢な刺激は狂おしい。
「セイルさんっ」
今度は分かっているよとばかりに、ぺろりと舌で舐め上げられてから乳首を口に含まれた。
「いっ、う、はう、んんっ……!! あ、だめ、これ、あっ……!! や、セイル、さん!」
吸われ、舌で弾かれ、軽く歯を立てられる。
あ、この乱杭歯が、ランダムに刺激する感じになるんだ。乳首がひしゃげられてる。乳首の刺激でアナルが締まる。先程からもうずっと軽くイッている。
「気持ちいいですか?」
乳首から顔を持ち上げてセイルさんがにやっと笑う。わかっているくせに、と俺はこくこくとうなずいた。
「セイルさ、も、入れて、むり、早く!!」
セイルさんはアナルワームをずるりと俺の体内から引き出した。
「ふにゃ、は、ひああ!」
もう粘膜が全部過敏な性感帯に成り下がっていた。早く、アナルワームの抜けた穴を塞いでほしい。セイルさんはそれをもとの容器に戻した。さっきまで俺の中にあったものが。表面はぬらぬらしているが、特に汚くは見えなかったが。なんと言えばいいのか。
セイルさんは布地の多い服を勢いよく脱ぎ捨て、俺を組み伏せ、首を傾げ、瞳でもう入れますよと告げた。
見下されて胸が異常に高鳴る。やばい、心臓破裂しそう。
この前も、したにはしたけど、俺にとってはある意味今日が初めてというか。
少しびびりながらもうなずく。
ここひとつき、これを、これだけを望んできたのだから。
俺の膝裏に手を入れて持ち上げると、セイルさんは亀頭を俺の尻の穴に押し当てた。ぐううと圧をかけてこじ開ける。襞が引き伸ばされていくのさえ快感になった。
「は、う」
亀頭がぐっぽり通り抜けると、俺の直腸は歓喜してセイルさんを迎え入れた。肉の壁が激しくうねりだす。
「あ、あ、ひ、や……うっ……」
入ってくる。すごい。固くて熱いものが、もうだめになっている肉の壁をえぐり、途方も無い劇感を生み出した。
「すごい、締め付け……」
セイルさんが呻く。勝手に締めつける浅ましい肉を止めることができない。
ぐぐと腰が進められ、亀頭が奥のどん詰まりをとんと突いた。
「は、にゃ……んっ」
ぐうと奥に押し込んだまま、セイルさんがキスをした。
これ、この前したかったやつだ。
気持ちいい。口もアナルも、セイルさんと繋がっている。口を舌で責められ、アナルはペニスで責められる。
セイルさんの髪に、手を差し入れる。髪の感触と頭の形を確かめた。キスした口から、喘ぎが漏れる。
「む、ぐっ……ふ…!」
ゆっくりと腰を使って、ゆっくりと奥を捏ねられる。
散々アナルワームに捏ねられ解されたそこはすぐに屈服し、更に奥へとセイルさんの侵入を許した。
そこ、本当に駄目になる。
「ん゛ん゛ん゛っ……! んぐ、ん゛っ!!」
キスされたまま、奥の奥をこじ開けられて、結腸の弁を張り出した雁が引っ掛けながら出入りする。ぐぽ、ぐぽ、と音が聞こえる気がする。
もう自分からは絡められなくなった舌を、セイルさんが優しく吸う。舌が、俺の歯列をなぞり、口内を愛撫した。
好き、好き、好き。
ぐぷ、ぬぽ、ぬぷ、ぬぷ、と規則的に奥を突かれる。じゅわあと、何かよくわからないものが溢れ出す。
激しさのない、規則的な律動が、頭と体を狂わせていく。
体ががくがくと痙攣しだす。奥、やばい、奥、おかしくなる。
ぐぷぐぷぐぷと、奥を揺さぶられる。腹がびくびく波打つ。焦点が定まらなくなる。
じゃわあっと、馬鹿になる脳内麻薬がじゃぶじゃぶ溢れだす。
しあわせ。
今、とてもしあわせ。
しあわせできもちよくてセイルさんがすきだ。
頭も体もまだふわふわしている。
こんなに気持ちよくて馬鹿になりそう。セイルさんはどうだったんだろうと見やると、額にキスをしてくれた。
アナルワームは事後処理にも使えるんですよと、セイルさんが再び容器から出した。セイルさんの悪魔じみた、いや悪魔なんだけど、量の精液が何度も注ぎ込まれたぷたぷの俺の中に再びアナルワームを挿入した。
まだひくつくのが収まらないそこに、アナルワームが潜り込んでいく。
「ん……うっ……」
しばらくして、アナルワームをセイルさんが抜き取ると、あれほどじゃぶじゃぶに注がれていた精液はきれいさっぱり消えていた。これは便利かもしれない。精液で腹を下さずに済む。さすが悪魔の道具。
しかし、アナルワームの大きさは変わっていない。魔界の道具に質量保存の法則を求めるのは間違っているだろうか。
セイルさんが、俺のひたいにかかった前髪を横に流してくれ、うっとりするような手付きで髪を撫でてくれた。
「これ便利ですよね、でも、あれ、精液はどこにいったのかな、と思いますよね?」
「はあ、まあ……」
俺が頷くと、セイルさんは最高の笑顔を浮かべた。
「正解は! 我らが上司、蝿の王、ベルゼブブ様の魔界の食卓に転送されるのでした!」
ああ、ぶち壊しだなあ、と思った。悪魔にデリカシーはないのか。
「ちなみに、アナルワームが集めた人糞が、ベルゼブブ様の大好物でございます!」
「………」
ああ、じゃあ、俺のも……。それ以上は考えないようにした。正直そんなこと、知りたくなかった。
それでも、得意げなセイルさんをかわいいと思っている自分がいたし、セイルさんが好き、という文言は変わらず脳内を回り続けていた。
おわり
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