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第16話 兄弟の行方※
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夏の日差しがバルコニーの白に反射してどの季節よりも朝が眩しい。クーラーの唸るような低音に紛れて灯の寝息が聞こえる。布団から起き上がり時計を確認すると朝5時。連日の激務にもかかわらず昨日も灯に無理をさせてしまった。灯を起こさないようにそっと布団を出ようと前に体重をかけたら、急に腕を掴まれる。
「夜……どこいくの……?」
振り返ると、灯の胸に目が止まった。昨日僕が強く吸いすぎて内出血している箇所がある。そこに手を伸ばしそっと撫でる。
「ごめん……ここ……」
灯は不思議そうに自分の胸を見た後、笑って枕に頭を沈めた。
「キスマークっていうんだよ、つけてもらえて嬉しいよ……」
灯が手を引っ張り僕を抱いた。灯は僕の弟であり恋人でもある。恋人になってから5年、一緒に家を出てから4年が経とうとしているのに、灯の仕事が早く終わった日にはこうやって無理をさせてしまう。
「夜……今、俺が疲れてるのに、とか考えてるでしょ?」
僕は灯の胸の中で小さく首を振る。
「じゃあなんで勝手にベッド抜け出そうとしたの?」
僕は押し黙って灯の胸の内出血を撫でた。
灯は僕と恋人になってから、憑物が取れたように自分の人生に前向きになった。芸術系の大学入学を決め、現在玩具の企画から生産までを担う小さな会社で働いている。
「仕事忙しい?」
そこそこ人数のいる会社とは違い、上流から下流工程に至るまで裁量があるため、やりがいはあるが体力を必要とする仕事だった。
「もっと夜とこうしてたいから今日もはやく帰ってくる」
一方の僕はそこそこの規模の会社のバックオフィスという職種柄、時間の融通が利き、灯より遅い日などなかった。
「無理しないでね……」
灯は連れ子同士の親の再婚によって弟になった。灯は随分昔から兄である僕を好きでいてくれたらしい。僕にどれだけ心を傾けていたのかは恋人になった以降の灯の変貌でよくわかった。それまで髪を染めたりピアスをあけたり、素行の悪さもさることながら、大学すら決め兼ねていた状態から一転、進路を自分で切り開き、大学で夢を見つけ、今は玩具作りという仕事に情熱を傾けている。それは僕と付き合うことで僕から開放されたかのようだった。
「灯が好きすぎて、すごい嫌なこと考えちゃうんだ」
自分の暴走する思考から本音がポロッとはみ出してしまった。灯はキスをした後、きつく抱いて、僕の首筋を吸う。こんなに部屋が明るいのに我慢ができず息を漏らしてしまう。
「そんなこと考えられないくらい……俺がどれだけ好きか、今日も体に教え込まないとね……」
「灯が好きなの、わかってくれてる?」
「わからないから今日の夜また教えて」
「灯が好き……灯が好きなの……」
灯が僕の腰を引き寄せて、下半身が触れる。僕のも灯のも熱く脈打っていた。
「今から教えてあげられるよ。朝しても、夜も泣くまで許さないよ」
「時間が……ないよ……」
灯は僕を抱えながら起き上がる。そのまま手を引かれ風呂まで連れて行かれた。風呂場に入るなり灯が肩を柔らかく噛む。そのまま僕が立っていられないほど首や背中を舐めまわされ、乳首を指で弄ばれる。僕の弱いところを知り尽くす灯は容赦なく僕を攻めて、膝がガクガクと震えても腰を掴んで離さなかった。耳を後ろから舐められ、僕が声を漏らすと灯はそのまま耳元に絶望を落とす。
「夜、お風呂場響くから声我慢して」
そう言うと僕をクルッとひっくり返し、灯は僕に口を唇で塞いだ。声を出すなと言いながら、舌で僕の口をこじ開けるから、我慢していた声が端から漏れ出してしまう。声を出さないことに集中しているのに、いつの間に持っていたのか潤滑剤を肛門に塗りたくられ、焦らすように入り口付近を撫で回す。その悪辣な指遣いに息苦しくなり、唇を逃れ上体を仰け反らせてしまう。風呂の冷たい壁に背中がついたら、それを追うように乳首を吸う。何度されてもその快感に慣れることはできず、前がビクビクと反応しているのが自分でもわかる。それを灯は下半身で感じたのかゆっくりと屈み、鈴口を舐めた。
灯が僕の陰茎を咥え込んだその時に、前触れなく後ろに指が挿入される。前と後ろの快感に思わず歪んだ声を出してしまう。灯はそんなことも気にせず指と口を止めない。
「も……もう……」
僕の降参に灯は顔を上げ、そして立ち上がった。灯は僕を無言でひっくり返して、その拍子に壁についた僕の手を上から握った。
次の瞬間、焼かれた杭のような陰茎が腹の中を突き上げる。挿入される時間の短さで快感が凝縮され、頭の先まで感覚が突き抜ける。
「夜、俺のどんなになってるかわかる?」
「あ……熱い……ああっ、熱い……」
僕が言い終わる前にまた突き上げられ、声にならない声をあげてしまう。
「夜は自分の方が好きだとか思ってる?」
その問いにそうだ、と答えたいのに、灯は答える余裕をくれない。何度も突き上げられる快感に嬌声以外の声を出せない。灯は何度も突き上げながら言う。
「夜以外にこんな風にならない、夜をこんな風にさせるのは俺だけ。違う?」
もう後何回か突かれたら、性液を吐き出してしまいそうだ。その余裕のなさで答えに窮していると灯は急に僕の前の根元をきつく掴んだ。
「夜がわかるまでいかせないよ」
「夜……どこいくの……?」
振り返ると、灯の胸に目が止まった。昨日僕が強く吸いすぎて内出血している箇所がある。そこに手を伸ばしそっと撫でる。
「ごめん……ここ……」
灯は不思議そうに自分の胸を見た後、笑って枕に頭を沈めた。
「キスマークっていうんだよ、つけてもらえて嬉しいよ……」
灯が手を引っ張り僕を抱いた。灯は僕の弟であり恋人でもある。恋人になってから5年、一緒に家を出てから4年が経とうとしているのに、灯の仕事が早く終わった日にはこうやって無理をさせてしまう。
「夜……今、俺が疲れてるのに、とか考えてるでしょ?」
僕は灯の胸の中で小さく首を振る。
「じゃあなんで勝手にベッド抜け出そうとしたの?」
僕は押し黙って灯の胸の内出血を撫でた。
灯は僕と恋人になってから、憑物が取れたように自分の人生に前向きになった。芸術系の大学入学を決め、現在玩具の企画から生産までを担う小さな会社で働いている。
「仕事忙しい?」
そこそこ人数のいる会社とは違い、上流から下流工程に至るまで裁量があるため、やりがいはあるが体力を必要とする仕事だった。
「もっと夜とこうしてたいから今日もはやく帰ってくる」
一方の僕はそこそこの規模の会社のバックオフィスという職種柄、時間の融通が利き、灯より遅い日などなかった。
「無理しないでね……」
灯は連れ子同士の親の再婚によって弟になった。灯は随分昔から兄である僕を好きでいてくれたらしい。僕にどれだけ心を傾けていたのかは恋人になった以降の灯の変貌でよくわかった。それまで髪を染めたりピアスをあけたり、素行の悪さもさることながら、大学すら決め兼ねていた状態から一転、進路を自分で切り開き、大学で夢を見つけ、今は玩具作りという仕事に情熱を傾けている。それは僕と付き合うことで僕から開放されたかのようだった。
「灯が好きすぎて、すごい嫌なこと考えちゃうんだ」
自分の暴走する思考から本音がポロッとはみ出してしまった。灯はキスをした後、きつく抱いて、僕の首筋を吸う。こんなに部屋が明るいのに我慢ができず息を漏らしてしまう。
「そんなこと考えられないくらい……俺がどれだけ好きか、今日も体に教え込まないとね……」
「灯が好きなの、わかってくれてる?」
「わからないから今日の夜また教えて」
「灯が好き……灯が好きなの……」
灯が僕の腰を引き寄せて、下半身が触れる。僕のも灯のも熱く脈打っていた。
「今から教えてあげられるよ。朝しても、夜も泣くまで許さないよ」
「時間が……ないよ……」
灯は僕を抱えながら起き上がる。そのまま手を引かれ風呂まで連れて行かれた。風呂場に入るなり灯が肩を柔らかく噛む。そのまま僕が立っていられないほど首や背中を舐めまわされ、乳首を指で弄ばれる。僕の弱いところを知り尽くす灯は容赦なく僕を攻めて、膝がガクガクと震えても腰を掴んで離さなかった。耳を後ろから舐められ、僕が声を漏らすと灯はそのまま耳元に絶望を落とす。
「夜、お風呂場響くから声我慢して」
そう言うと僕をクルッとひっくり返し、灯は僕に口を唇で塞いだ。声を出すなと言いながら、舌で僕の口をこじ開けるから、我慢していた声が端から漏れ出してしまう。声を出さないことに集中しているのに、いつの間に持っていたのか潤滑剤を肛門に塗りたくられ、焦らすように入り口付近を撫で回す。その悪辣な指遣いに息苦しくなり、唇を逃れ上体を仰け反らせてしまう。風呂の冷たい壁に背中がついたら、それを追うように乳首を吸う。何度されてもその快感に慣れることはできず、前がビクビクと反応しているのが自分でもわかる。それを灯は下半身で感じたのかゆっくりと屈み、鈴口を舐めた。
灯が僕の陰茎を咥え込んだその時に、前触れなく後ろに指が挿入される。前と後ろの快感に思わず歪んだ声を出してしまう。灯はそんなことも気にせず指と口を止めない。
「も……もう……」
僕の降参に灯は顔を上げ、そして立ち上がった。灯は僕を無言でひっくり返して、その拍子に壁についた僕の手を上から握った。
次の瞬間、焼かれた杭のような陰茎が腹の中を突き上げる。挿入される時間の短さで快感が凝縮され、頭の先まで感覚が突き抜ける。
「夜、俺のどんなになってるかわかる?」
「あ……熱い……ああっ、熱い……」
僕が言い終わる前にまた突き上げられ、声にならない声をあげてしまう。
「夜は自分の方が好きだとか思ってる?」
その問いにそうだ、と答えたいのに、灯は答える余裕をくれない。何度も突き上げられる快感に嬌声以外の声を出せない。灯は何度も突き上げながら言う。
「夜以外にこんな風にならない、夜をこんな風にさせるのは俺だけ。違う?」
もう後何回か突かれたら、性液を吐き出してしまいそうだ。その余裕のなさで答えに窮していると灯は急に僕の前の根元をきつく掴んだ。
「夜がわかるまでいかせないよ」
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