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3.新たな日常
22二度目の撮影2
しおりを挟む流れ込んでくる澤井の熱を喉を上下させて嚥下する。
慣れ親しんだ行為と、慣れ親しんだ味。
鼻で息をしながら数回に分けて飲み込むと、澤井はまだ硬度のあるそれを口の中に擦り付けた。
舌を出して残滓を舐め取り吸い付くように唇を窄める。
引き抜かれた陰茎に、自らの唾液が糸を引いて光っていた。
「は、はひ、……っ、ひ、はっ、」
「上手に出来て偉いね」
頭を撫でられて、唇の端を指で拭われる。
弛緩している唇を指で破り開かれ、舌がいたずらにくすぐられた。
雪也はただ、閉じられなくなった口で必死に息を吸うことしか出来ない。
「いいこ」
溜まっていく唾液を飲み込みながら指を舐める。
澤井に褒められながら、胸の中にちくちくとしたものが降り積もっていくようだった。
(俺、上手にできた?)
視線を巡らせて松永の姿を探す。
絡み合った視線の先で松永が微笑んだ気がして、生理的でない涙が溢れた。
誰に何をして、いくら褒められようと雪也の心は晴れない。
いつだって雪也が褒められたいのは松永からだ。
「ご褒美、あげなくちゃね」
「ふぁ」
澤井の指が目尻を掠めて、思わず声が漏れた。
するりと澤井が雪也の足の間へと移動する。
松永に褒められる前に、松永のために行動しなくてはならない。
松永が、今の自分に求めていることは。
「……ん、ごほうび……ほし、い」
蕩けた目で澤井を見上げる。
澤井は一瞬目を見開いて、すぐに元に戻った。
「たっぷり気持ちよくしてあげるね」
雪也は松永の前で、松永のために松永以外の男とセックスすることを笑顔で受け入れた。
「あっ」
後孔にまで流れた先走りを澤井の指が掬い上げる。
マッサージするように窄まりをなぞられて、雪也は体を跳ねさせた。
もどかしい感覚に腰が動いてしまう。
澤井はその様子を楽しむように微笑みながらヘッドボードからローションを取り出すと、中身をゆっくりと雪也の陰茎に垂らした。
「ひん……っ」
ぽたりと垂らされた刺激に腰が逃げる。
冷たくはない。温く温められている。
だが、暖かい部屋の中であっても今の雪也には酷く熱く感じられた。
「ふ……っ」
陰茎を伝った液体が、先走りと混ざり合ってゆっくりと狭間を流れていく。
「んっ」
ついに澤井の中指が雪也の後孔を暴いた。
ゆっくりと挿入された指を根元まで飲み込み、内部の柔肉が指に絡み付く。
「ゆっくり広げるよ」
「ひぁ……っ」
何度か指が往復した後、慣れてきたのを見計らって指が増やされる。
三本飲み込む頃には中に継ぎ足されたローションはぐちゃぐちゃと泡立っていた。
掻き回される音が耳を犯して、これから行われることをまざまざと実感させる。
雪也の背は期待に震えた。
「これ、使うね」
澤井が取り出したのは二十センチはある長大なディルドだった。
持ち手を入れると三十センチ弱にもなる紫色の凶器が、あの頃の記憶を掘り起こす。
ぺちぺちとそれで頬を叩かれながら、過去の全てを追い出す。
雪也は松永のために頑張るのだと心の中で繰り返し唱え続けた。
「んむ……」
意を決して口を開きディルドを口に咥える。
澤井は唇を舌で潤して、ゆっくりとその凶器を抜き差しした。
「そう、これからこれが、雪也の中にずぽずぽ入るからご挨拶しようね」
「ぁむ、ん、ちゅ、ふ……っ」
雪也の口を紫色の無機質が出入りする。
唾液を絡めるように側面を舐め上げ、雪也は先程と同じように喉奥までそれを咥え込んだ。
カメラに映るように顔の角度を変えながらしばらく舐め続ける。
程よいところで澤井はその塊をゆっくりと引き抜いた。
最後に一舐めして、おずおずと足を開く。
「い、れ、て……?」
澤井の指で解されたそこが、物欲しげに収縮を繰り返す。
雪也は膝裏を自ら抱え上げ、強請るように澤井を見上げた。
ごくりと喉を鳴らしたのは誰だったのか。
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