デビルな社長と密着24時

七福 さゆり

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1巻

1-3

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「ヒール履いてるから、それを引くと……身長は百六十センチってところか?」
「は、はぁ……そうです」
「体重とスリーサイズは?」
「はっ!? そんなの教えるわけないじゃないですかっ! いきなりなんなんですかっ……!」

 この人、さっきから意味不明なんだけど!

「お前に折り入って、頼みたいことがある」
「は?」

 なに、それ……というか、知り合ったばかりの人にそんなこと言い出すなんて、どう考えても怪しいんだけど……!

「嫌です!」

 石を投げられたら反射的にけるように、私は間髪かんはつれずに断った。

「まあ、突然言われたら、そうなるよな。どうしたら聞いてくれる? 金か? いくらなら考えてくれる?」

 お金……!
 キュンとしたけど、いやいやいや! と首を左右に振った。

「確かに私のお財布は薄っぺらいですし、お金がもっとあったらいいな~! 宝くじ当たんないかな~? とか常々考えてますけど、見ず知らずの人にお金をたかるなんて真似まねしません! どんな条件でも聞きませんよっ!」
「……ふぅん? どんな条件でも?」

 ジッと見つめられると、変な汗が出てくる。
 み、見ないでよ~……っ! ただでさえパニックなのに、余計パニックになる……!
 頭が真っ白になって、口が勝手に動く。

「ど、どんな条件でもですよっ! コスプレが趣味だって会社の人にバラされたとしても、私は絶対、絶対言うことなんて……っ」

 ――あ、なんか私、余計なこと言ってない……っ!?

「ふーん。じゃあ、バラすか」
「はぁ……っ!? え……ちょっ……」
「バラされても、言うこと聞くつもりはないんだろ? じゃあ、バラす」
「や、やめてくださいよっ! なんのために、そんな……」
「腹いせ?」
「はぁあああ!?」

 な、なんなの、この人……っ!

「バラされたくなかったら、今夜八時にまるうちのハレスホテルのバーで待ち合わせな」
「……は?」
「だからバラされたくなかったら、そこに来いって言ってんだよ」
「はぁ!? お、おどすつもりですか!?」
「夜景と美味うまい酒が自慢のバーだ。ああ、そんな店に行ったことないから、緊張するか? じゃあ、お前でも気後きおくれしないような庶民的な店での待ち合わせに変更するか」
「ばっ……馬鹿にしないでくださいよっ! 行ったことありますしっ!」

 いや、行ったことないけど! そこはほら、認めたら負けになるっていうか、なんていうか……!

「じゃ、問題ないな。……ああ、一人で来いよ。じゃないとバラすぞ」

 彼は言いたいことを一方的に告げると、さっさと会場から出て行ってしまった。
 問題大アリだよ! あああああ……妙なことになっちゃった……

「瑞樹、どうしよう……」
「もう、馬鹿! 一花は墓穴ぼけつ掘りすぎなんだよっ!」
「だ、だって~……」
「バラされてもいいから、行っちゃダメ! 危ない目に遭うよ。ホテルのバーなんて、絶対その後、部屋に連れて行かれる流れに決まってるじゃん! なんかあの人、妙に一花の身体ジロジロ見てたし! 絶対、身体目的だよ!」

 やっぱり、そんな流れ……?
 血の気がサァッと引く。
 いくらタイガーアイ様に似てても、それは絶対嫌――!


   ◆◇◆


 ファーストキスだってまだなのに、おどされて処女喪失なんてエロ同人でよくある展開みたいなパターンは絶対に嫌だ。バラされたとしても行かない! 
 ……と思っていたのだけど、約束の時間が近付くにつれて、高校時代オタバレした時のことがフラッシュバックして、気が付けばホテルのバーに足を踏み入れていた。
 こんな所に来たの、初めて……
 足元はフカフカの赤い絨毯じゅうたんが敷き詰められていて、ヒールだと少し歩き辛い。こういうところに行き慣れている素敵な女性なら、スマートに歩けるのだろうか。
 薄暗い暖色系の照明の店内には品のいいジャズが流れていて、バーテンダーのうしろにはたくさんのお酒が並んでいる。
 カウンターに一人で座っている男性の姿を見つけて、ドキッとする。
 うしろ姿でわかる。悔しいけど、うしろ姿もイケメンだ。
 ――タイガーアイ様がバーにいたら、こんな感じ? 妄想しだしたら止まらない。ストロベリークォーツちゃんと一緒にバーに来て……あ、まだ二人は付き合ってないって設定ね。んで、呑みすぎたストロベリークォーツちゃんが帰れないぐらい泥酔でいすいしちゃって、仕方なくホテルに泊まることに……って、そんな妄想してる場合じゃなかった。

「あ、あのー……」

 恐る恐る声をかけると、タイガーアイ様似の彼が振り向く。

「ああ、逃げずに来たか。まあ、逃げても職場に行くつもりだったけど」
「うわっ! そこまでします!?」
「する。用があるからな」

 や、やっぱり、身体目的!? もしかしてこいつ私のこと、エロ同人みたいに乱暴する気!? エロ同人みたいにーっ!

「まあ、座ってなんか頼めよ。なにがいい?」

 メニュー表を受け取ると、値段がすごくて驚く。
 一杯二千三百円!? た、高~っ! 漫画五冊買える値段なんですけど! 勿体もったいない! 払いたくない! 今すぐ帰りたい! でも、帰るわけにいかないし……

「ノンアルコールって、どれですか?」
「なに、お前、酒苦手?」
「いや、苦手ではないですけど、特別好きでもないですし、あんまり強くないので……」
「ふーん?」

 酔って部屋に連れ込まれたら嫌だし! という言葉をなんとか呑み込み、ノンアルコールのモヒートを頼んだ。
 緊張して、喉がカラカラだ。一口飲むと、ミントとライムの風味が口の中に広がる。
 美味おいしい! ――けれど、これで二千三百円かと思うと、ミントとライムの爽快感がどこかへ飛んで行ってしまう。
 うう、やっぱり高すぎ……

「あ、の……もう、いきなり言わせてもらいますけどっ!」
「なに?」
「黙っている代わりに身体を……っていうのは、絶対に嫌です! どうか勘弁してください! コスプレ趣味をバラさない代償は、なにか別のことでお願いします……!」

 頭を深々と下げてお願いすると、反応が返ってこない。
 あれ?
 恐る恐る顔を上げると、お腹を抱えて笑われた。
 な、なんで笑うの……!?

「俺の頼みが、やらせろってことだとでも思ったのか?」
「……っ……いや、だって、ホテルのバーっていうし、スリーサイズとか聞くし、そういう流れ……だと思って」

 そう答えると、また大笑いされた。
 腹立つ~……!

「安心しろよ。お前の貧相な身体に興味はない」
「貧相!?」

 失礼な! 普通体型だし! 胸だってCカップはあるんだから! と言いたいのをグッとこらえ、眉間にしわを寄せて睨んだ。

「じゃあ、なんでこんな所に呼び出すんですか! 紛らわしいんですよ……」
「こういう場所のほうが落ち着いて話せると思ったからだ。あんな所で話すには差し支えのある話だったからな」
「差し支えのある話?」
「まずは俺の自己紹介からしとくか。ほい、これ名刺」
「あ、どうも……」

 名刺には『株式会社パルファム 代表取締役社長 円城寺えんじょうじすばる』と書かれていた。

「代表取締役社長!? パルファム……って、どこかで聞いたことがあるような……」
「ローズ・ミラーとか、トゥールヌソルとか、スノードロップ・ルルってブランドを知らないか?」
「知ってます」

 あ、そっか。どこかで聞いたことがあると思ったら、たくさん有名ブランドがあるアパレル会社だ。

「……って、え!? すごっ! こんなに若いのに、あの大企業の社長!? あ、もしかして若く見えるだけで、結構歳いってます?」
「三十一歳だよ。継いだばかりだからな。父親の会社なんだ」
「ほへぇ~……そうなんですか」

 なんか違う世界の人って感じだ。イケメンで代表取締役社長って、すごい……まあ、性格は最悪だけどねっ! というか、なんでこんな人がオタクイベントにいたわけ?

「お前の苗字は奥本で、下の名前は?」
「一花です。ちなみに二十六歳です」
「ふーん、デパート勤務で、なんの仕事してんの? 八越には何度か足運んでるけど、接客してるところは見たことないな。内勤?」
「女性ファッションフロアのレジ係です。接客はないので、一応内勤ですかね」
「ふーん」

 なんでこんな話に……

「あの、本題に入ってもらえますか? 頼みってなんですか? 私がオタクってことをバラさない代わりに、なにかさせるつもりなんですよね? さっさと言ってもらえますか? 死刑宣告を待ってる罪人ざいにんみたいな気分なんですけど!」

 ジロリと円城寺さんを睨むと、また笑われた。
 なんか、馬鹿にされてない~?

「じゃあ、単刀直入に言わせてもらう。お前、俺の家に住み込んで、トルソー代わりになれよ」
「……は?」
「俺が頼んだ時に、俺のデザインした服を着て見せて欲しい。それ以外は、普通に暮らしてくれて構わない。それが俺の頼み」

 はあああああああ?

「ああ、もちろん同居に期限は設ける。ずっとじゃなくて、来シーズンのデザインが固まるまで。それでどうだ?」
「いや……どうって言われても、色々突っ込みどころ満載まんさいです。第一、社長なのにデザインするんですか?」
「ああ、役職を継ぐ前は、デザイナーだったんだ。今もうちの看板ブランドのローズ・ミラーのデザインは続けてるし、他のブランドの監修もしてる」
「ほぁぁ……そうなんですか」
「なんだその間抜けな声」
「いや、なんか驚きで」

 イケメンで、社長で、デザインまでできる? なに、どれだけハイスペックなの? なんかまぶしい! 太陽直視してるみたいなんですけど! いや、太陽は直視できないけども!

「来シーズンに向けて、今までにない新しいデザインを生み出したいと思ってるんだけど、どうもインスピレーションが刺激されなくてさ。実際の人間をトルソーにできたら、いいアイディアが浮かぶんじゃないかって漠然と思ってたら、お前に出会ってさ。ビビッときた」
「ビビッとって……」

 それって私が、よほど円城寺さんの好みだった……的な!?

「いや、もう驚いた。だって理想が歩いてるんだからさ」

 なに、このシンデレラストーリー的な話!

「り、理想って、そんな……」
「十人並みの容姿と、平均を絵に描いたような体型、お前こそ俺の理想としていたトルソーだ」
「はっ倒しますよ。お断りです!」

 自分の容姿が平々凡々か、それ以下なのだろうと自覚はあったけれど、改めて言われると腹が立つ。
 なんて嫌な奴!

「なんで? あ、彼氏がいるから男の家に住むのはまずいとか?」
「彼氏なんていませんけど、嫌ですっ!」

 フンッと顔をそむけて、あからさまな態度を取ってやった。

「ふーん、じゃあ、バラされてもいいのか?」

 それは困るけども、意地を張ってしまう。

「ええ! ええ! バラしたいんだったら、ご自由にどうぞ! 私には長年オタクを隠し通してきたスキルがありますから? しらばっくれてやりますよ!」
「じゃあ、直接これを聞かせれば、相手に信じてもらえるな」
『ええ! ええ! バラしたいんだったら、ご自由にどうぞ! 私には長年オタクを隠し通してきたスキルがありますから? しらばっくれてやりますよ!』

 自分の声が隣から聞こえてきたのに驚いて円城寺さんのほうを見ると、スマホを持っていた。

「なっ……ろ、録音してたんですか!?」
「なにかに使えるんじゃないかと思ってな」
「なにかっておどす道具以外ないじゃないですか! 最っ低! 卑怯ひきょう者っ! イケメンだからっていい気にならないでくださいよねっ!」
罵倒ばとうするのか、めるのか、どっちかにしろよ」

 はっ! 私ったらつい……! 悔しい!

「で、返事は?」

 円城寺さんは録音したスマホを左右に振りながら、問いかけてくる。
 本当に嫌な奴~!

「普通に暮らすって言われても、無理ですから! 他人の家なんてくつろげませんし! 私はデリケートな人間ですからっ!」
「まあ、確かに、職場でのオタバレを必要以上に怖がっているあたり変なところはデリケートそうだけど、他は図太そうに見える」
「ちょっ……どこが図太いんですか!」
「こういうところ?」

 どういうところだよ~……! もう、いちいち腹が立つ!

「まあ、一度俺の家に来て、見てから決めろよ」
「は!? い、嫌ですよ。よく知りもしない男の人の家に行くなんて!」
「襲われるとでも思ってんのか?」

 小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら尋ねられた。

『お前ごときを襲うとでも思ってんのか? 大企業の社長で女なんてり取り見取りの、この俺様が?(失笑)』

 とでも言われているような気がして、腹が立つ。

「思ってませんけどっ……」
「じゃあ、決まり。飲み終わったら行くぞ」

 ああ、変なことになってしまった……
 ――とはいえ、ひとまずついて行きはしても、あれやこれやと文句を付けて、絶対に断る方向に持っていこうと思ったのに……

「ひぇ……」

 円城寺さんの自宅は、文句の「も」の字も出ないほど素敵な三十階建ての高級マンションだった。
 マンションは駅から徒歩四分の場所にあり、コンシェルジュが二十四時間常駐していて、広いエントランスにはホテルのようにソファやテーブルが置いてある。しかも噴水まであって、口があんぐりと開いてしまう。同じ敷地内の一階にスーパーやコンビニもあり、マンション内には、住人だけが使えるジムやスパもあるそうだ。
 一生このマンションから出なくても生活できるじゃん……
 二十七階が円城寺さんの自宅で、高級感溢れる黒の玄関ドア(使われている小さな部品すらも高級そう)を開けると、広い玄関と長い廊下が広がっていた。
 あ、こんな風景、テレビ企画の芸能人のお宅訪問! みたいなヤツで見たことある。

「まず、ここがお前に使ってもらう予定の部屋だ。家具もカーテンもなにもないから、自分好みにしてくれ。特にこだわりがないって言うなら、こっちで適当に用意しておく」

 玄関から一番近い部屋の扉を開くと、私の家のリビングよりも広い部屋があった。壁やフローリングは白で統一されていて、ウォークインクローゼットまである。

「次、リビングな」

 とんでもなく広いリビングには、こんなサイズのテレビって売ってるの!? 電器屋さんでも見たことないんだけど! と言いたくなるような大きいテレビがあり、憎たらしくなるほどオシャレなガラステーブルと、その前には革張りのこれまた大きなソファが置いてある。何人座れるの? 五人? いや十人くらいはいけそう。
 このテレビでアニメを見たり、ゲームができたら、最高だろうなぁ~……

「リビングも自由に使ってくれて構わない。もちろんテレビも見たい時に好きなだけ見ていいぞ」
「いいんですか!?」

 思わず食いついてしまうと、ニヤリと笑われた。

「ああ、もちろん。トルソーになってくれるのならな」

 しまった……

「い、いえ、まだ、引き受けたわけじゃないですし」
「ふーん、まあいいや。次はキッチンな」

 次々と紹介されていく部屋の数々は、信じられないほど豪華なものばかりで、油断するとまた口があんぐり開いてしまう。
 料理教室を開くんですか? って聞きたくなるぐらい大きいキッチンに、高級ホテルみたいな大きなお風呂に、なぜか洗面台が二つあるパウダールームに、ここでなら住める~! って思えるほど広いトイレ……なにもかもがすごすぎて、目がチカチカする。

「んで、こっちがアトリエとして使ってる部屋」

 扉を開けた瞬間、今までにないぐらい自分が興奮しているのがわかった。
 広い部屋の中の大きな机には、デスクトップパソコンとたくさんのデザイン画が山積みになっている。机の隣にはトルソーがあって、部屋の至るところに布が置いてある。本棚には資料としてなのか、ファッション雑誌がたくさん並べられていて、入りきらないものは床にも溢れていた。
 すごい! これがプロのデザイナーの仕事場なんだ……!
 ここでどうやって作業してるんだろう。すごく気になる。

「お前、今日見た中で、一番いい顔してるな? コスプレの衣装を作るってことは、こういうのにも興味があるのか?」
「う……って、あれ? どうして私がコスプレの衣装を作ってるってことがわかるんですか? 話してないですよね?」

 コスプレイヤーには衣装を自分で作っている人もいれば、人に頼んで作ってもらっている人や、既製品で済ませる人もいる。コスプレイヤーだからと言って、衣装を作るとは限らないのに。

「あー……ああ、昼間イベント会場で、エンジェライトのコスプレイヤーと話してただろ。それ聞いてた」
「あっ! そっか。なるほど……」
「ちなみに興味があるなら、作業中もこの部屋に出入りしてくれて構わないぞ」
「本当に!? じゃあ、作業を見てもいいんですか?」

 思わず食いついてしまうと、円城寺さんにククッと笑いながら「構わない」と言われ、ハッと我に返る。
 し、しまった。これじゃ、契約同居に乗り気みたいじゃない! いや、かなり乗り気……というか、もうここに住んでもいいかな? って気持ちになっていたのは否定しないけど。いやいやいや、でも、ここは今日知り合ったばかりの男性の家であって、普通に考えて了承するわけが……

「ほ、本当に、来シーズンのデザインが完成するまでにしてくださいよ! 延長は絶対嫌ですからね!」
「ああ、わかってる」

 了承しちゃったよぉー……!


   ◇◆◇


 一週間後、私は期間限定で彼の家に引っ越してきた。

「すごい。余裕で収まっちゃったよ」

 私の部屋ではクローゼットの中からはみ出ていたオタクグッズたちが綺麗きれいに収まって、さらになにもない空間がかなりある。今までは物に囲まれた生活だったので、ちょっと落ち着かない。

「終わったのか?」

 閉じるのを忘れていたドアから円城寺さんが顔を出す。

「あ、はい、終わりました」
「そういやお前、この家にいる間は前に住んでた家、どうするんだ? もし退去してないんだったら、その分の家賃も払うけど」
「いえ、実家なので問題ないです」

 家賃まで負担とか、太っ腹だなぁ……さすがセレブ!

「親御さんになにも言われなかったか?」
「友達の家でしばらくルームシェアするって言ったので平気です」
「なんか、学生が彼氏んちに転がり込む時みたいな設定にしたな」
「だって、知り合ったばかりの男の人の部屋でしばらく暮らす! なんて言えるわけないじゃないですかっ!」
「まあ、それもそうか。んじゃ、改めて今日からよろしく。リアルトルソー、期待してるぞ」
「はぁ……なにしていいかわかりませんけど、よろしくお願いします。リビングのテレビ、たびたびお借りすると思うので」
「好きにしろよ」
「うるさいって言われても、深夜まで起きてるのはやめられないですよ」
「だから好きにしろって」

 苦笑する円城寺さんの顔を眺めると、綺麗きれいな顔立ちで改めて驚く。
 そしてタイガーアイ様が三次元に現れたら、きっとこんな感じなんだろうなぁと思う。そんなことを考えていた私の顔を、円城寺さんがジッと見返す。
 あ、ついジロジロ見ちゃった。
 すぐに目を逸らそうとしたところ、あごつかまれた。

「それから……」
「え?」

 綺麗きれいな顔が近付いてきて、気が付いたらチュッと唇を重ねられた。
 …………ふぁ!?

「お望みなら、こっちもサービスするけど?」

 今、キスされた……!? うん、された! 完全にされた!


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