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四章 転生人生三周目
4-6 救世主たちの掲示板・結婚報告 2
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喜びに沸く腐女子たちの反応を見て、チェレステもトリスタンも嬉しくなってきた。
物質的な物は何一つ送れないし、彼女たちの恩に報いる方法で思いついたのはこれしかなかったのだが、充分返礼が出来た様子に、ホッと胸をなでおろす。
―――――――――――――――
「は~堪能した~ありがとねチェルたんトリス様」
「もうね幸せいっぱい!分けてくれてありがとね」
「次のご褒美スチルテロはいつですか」
「マジでこのスレ目が離せんわ」
「次は聖果の儀じゃない?」
「成果の儀かぁ。神殿で子供授けてもらうやつね」
「フジョルトはいいな。女が犠牲にならんでもいいんだもん」
「ほんそれ」
「生理痛に排卵通、妊娠中で不安定なのに仕事に行ったり、つわりに諸々の不調、薬も飲めない、出産の痛みとダメージも女だけが負わされる、この不公平」
「それな」
「出産のダメージは全治二カ月の怪我を負った状態と同じって言われてるもんな」
「出産後もほんと大変。授乳や乳しぼりも一苦労、乳腺炎になったりもする。寝れないし心身ともにボロボロ。一方、男は気持ちよく出して終わり」
「なんか腹立ってきたw男どもめ女の辛さを思い知れ!」
「ほんそれ。出産前は手伝うとか言ってたくせに夫は育児に非協力的でサツーイすら沸いたわ。離婚するならなおさら仕事失いたくないから必死に両立したけど、妊娠出産育児の期間に各種ハラスメントに晒されるわ、苦労して築き上げたキャリアは崩れるわ、、最悪だよ」
「女の犠牲の上に成り立つ生殖。それがフジョルトには一切ない。ほんと気持ちの良い世界」
「禿同」
「フジョルトの生殖は園芸だしなw」
「園芸w誰がうまいこと言えとw」
「園芸w草はえるwwwww」
「確かにw聖なる種をもらって愛の雨を降らせば成長するんだもんね」
「え、ちょい待ち? チェルたんのいるリアルフジョルト世界も、園芸?」
「まさか男性妊娠?ねえチェルくんどうなの」
「俺のいるリアルフジョルト世界の子作りは、ほぼゲームのフジョルトと同じです。聖神石という宝珠をそれぞれ口に含み、聖果殿の『聖なる愛の杯』に捧げます。資格が充分にあれば慈雨が注ぎ、宝珠が一つになり、実ります。当然、妊娠出産はありません。この世界の人たちには当たり前のことなんですが、日本人だった俺から見たら、ファンタジーです」
「ええよなー」
「美しすぎる生殖」
「うっとりよね」
「まさに神秘」
「そんでチェルたん、近々聖果殿に行くの?」
「はい。予約を取ってあります。王都の光の神殿で、一カ月後」
「おお!」
「おめ!」
「まだ早いw」
「でも絶対実るっしょ」
「でっかい虹が出ること間違いないね」
「俺もそう思います」
「ヒューヒュー」
「皆さん、いつも応援してくださって、本当にありがとうございます。この〈時溜まりの泉〉は、王都や公爵邸から遠いので、次にいつ来れるか分かりませんが、また報告に来ます。それまでお元気で」
「チェルたんも!公爵にもよろしく!」
「今回トリス様はまだ公爵じゃないよ。三周目は父公爵の死を回避したんだもん」
「おお、そうだった!前に報告してくれてたのに忘れてた。ごめん、トリス様!」
「トリスは気にしてないので、大丈夫です。トリスが皆さんに感謝を伝えたいと言うので、投げキッスしてもらいました。画像、二枚あります。うpしたら落ちます。皆さん、お元気で」
――画像1(トリスタンが微笑んで、唇に手を当てている。投げキッスの準備)
――画像2(トリスタンがその手を、こちらに向かって差し出している。ウインクしながら投げキッス)
「ぎょはああああああああああああああああああああああああ」
「ふつくしすぎて気絶」
「GⅠFアニメ作るよろし」
―――――――――――――――
スマホを閉じた後も、彼女たちの喜ぶ声が聞こえるようだった。
チェレステとトリスタンは目を見交わして、いたずらっ子のように笑い合う。
そうして二人は手を繋いで、〈時溜まりの泉〉を後にした。
二人が去って行ったあと、〈時溜まりの泉〉は常とは違う輝きに満たされた。
灯り始める神秘的な光。それらは一つ、二つ、と数を増し、やがて九つのまばゆい光となって、辺りを美しく照らし出す。
一際まばゆく輝く光の中に、美しい女神の輪郭が浮かび上がる。それは母なる女神フジョ神の姿だった。
物質的な物は何一つ送れないし、彼女たちの恩に報いる方法で思いついたのはこれしかなかったのだが、充分返礼が出来た様子に、ホッと胸をなでおろす。
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「は~堪能した~ありがとねチェルたんトリス様」
「もうね幸せいっぱい!分けてくれてありがとね」
「次のご褒美スチルテロはいつですか」
「マジでこのスレ目が離せんわ」
「次は聖果の儀じゃない?」
「成果の儀かぁ。神殿で子供授けてもらうやつね」
「フジョルトはいいな。女が犠牲にならんでもいいんだもん」
「ほんそれ」
「生理痛に排卵通、妊娠中で不安定なのに仕事に行ったり、つわりに諸々の不調、薬も飲めない、出産の痛みとダメージも女だけが負わされる、この不公平」
「それな」
「出産のダメージは全治二カ月の怪我を負った状態と同じって言われてるもんな」
「出産後もほんと大変。授乳や乳しぼりも一苦労、乳腺炎になったりもする。寝れないし心身ともにボロボロ。一方、男は気持ちよく出して終わり」
「なんか腹立ってきたw男どもめ女の辛さを思い知れ!」
「ほんそれ。出産前は手伝うとか言ってたくせに夫は育児に非協力的でサツーイすら沸いたわ。離婚するならなおさら仕事失いたくないから必死に両立したけど、妊娠出産育児の期間に各種ハラスメントに晒されるわ、苦労して築き上げたキャリアは崩れるわ、、最悪だよ」
「女の犠牲の上に成り立つ生殖。それがフジョルトには一切ない。ほんと気持ちの良い世界」
「禿同」
「フジョルトの生殖は園芸だしなw」
「園芸w誰がうまいこと言えとw」
「園芸w草はえるwwwww」
「確かにw聖なる種をもらって愛の雨を降らせば成長するんだもんね」
「え、ちょい待ち? チェルたんのいるリアルフジョルト世界も、園芸?」
「まさか男性妊娠?ねえチェルくんどうなの」
「俺のいるリアルフジョルト世界の子作りは、ほぼゲームのフジョルトと同じです。聖神石という宝珠をそれぞれ口に含み、聖果殿の『聖なる愛の杯』に捧げます。資格が充分にあれば慈雨が注ぎ、宝珠が一つになり、実ります。当然、妊娠出産はありません。この世界の人たちには当たり前のことなんですが、日本人だった俺から見たら、ファンタジーです」
「ええよなー」
「美しすぎる生殖」
「うっとりよね」
「まさに神秘」
「そんでチェルたん、近々聖果殿に行くの?」
「はい。予約を取ってあります。王都の光の神殿で、一カ月後」
「おお!」
「おめ!」
「まだ早いw」
「でも絶対実るっしょ」
「でっかい虹が出ること間違いないね」
「俺もそう思います」
「ヒューヒュー」
「皆さん、いつも応援してくださって、本当にありがとうございます。この〈時溜まりの泉〉は、王都や公爵邸から遠いので、次にいつ来れるか分かりませんが、また報告に来ます。それまでお元気で」
「チェルたんも!公爵にもよろしく!」
「今回トリス様はまだ公爵じゃないよ。三周目は父公爵の死を回避したんだもん」
「おお、そうだった!前に報告してくれてたのに忘れてた。ごめん、トリス様!」
「トリスは気にしてないので、大丈夫です。トリスが皆さんに感謝を伝えたいと言うので、投げキッスしてもらいました。画像、二枚あります。うpしたら落ちます。皆さん、お元気で」
――画像1(トリスタンが微笑んで、唇に手を当てている。投げキッスの準備)
――画像2(トリスタンがその手を、こちらに向かって差し出している。ウインクしながら投げキッス)
「ぎょはああああああああああああああああああああああああ」
「ふつくしすぎて気絶」
「GⅠFアニメ作るよろし」
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スマホを閉じた後も、彼女たちの喜ぶ声が聞こえるようだった。
チェレステとトリスタンは目を見交わして、いたずらっ子のように笑い合う。
そうして二人は手を繋いで、〈時溜まりの泉〉を後にした。
二人が去って行ったあと、〈時溜まりの泉〉は常とは違う輝きに満たされた。
灯り始める神秘的な光。それらは一つ、二つ、と数を増し、やがて九つのまばゆい光となって、辺りを美しく照らし出す。
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