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ハイカブリ(同居人×女主/王子×女主/複数/媚薬/歪/二穴)
後悔役に立たず_1
しおりを挟む"うわー……全然眠れなかった……"
小鳥の囀りを聞きながら、眠い目を擦る。あの後全く眠れなかったからか、少し気持ち悪かった。頭もボーッとする。布団の中が心地良い。此処から出たくない。
──コンコン。
「あ……はい」
「フレリア。朝ご飯ですよ」
「っ……あ、今行きます!」
慌ててベッドから飛び降りる。一瞬クラッとして倒れそうになり、ベッドへと手をついた。
「……大丈夫ですか?」
「だだだ、大丈夫! うん……! すぐ行き……行く!」
思いの外睡眠不足が重い。
「ふ……あぁ……っ」
大きな欠伸を一つして、ノロノロと着替えを始める。すぐ行く、とは言ったものの、気持ちに動作はついてこない。
"眠たい……"
何とか着替えを終え、部屋を出る。ゆっくりと階段を降り、皆の待つダイニングへと向かった。既に全員が揃っている。
「おはようフレリア。よく眠れたかい?」
「それが……ちょっと何度か目が覚めてしまって……」
「あらあら。無理するんじゃないよ。食事の後、森に果物を採りね」
「俺ついて行こうか?」
「大丈夫よ、多分」
「心配ですね」
「果物が採れる場所は、一本道?」
「あぁ、森の入り口から、一本道だよ。綺麗な橙色の丸い実がなっているから、それをお願いしたくてね」
「分かったわ」
なんとなく、なんとなく気まずい。2人についてきてもらうには。昨日の件で、聞いていたのをバレたくもないし、起きていたのはもっとバレたくもない。下手に話さない方が安心出来る。
「……フレリア。あまりお腹は空いていない?」
「ん? ううん! ちょっと、考え事をしていただけ」
「調子狂っちまうな。早く元気になれよ」
「そうですね。でも、無理せずに……ね」
「有り難う」
二人の優しさが身に染みる。
"ご飯を食べたら、森に行ってみようかな"
モソモソとゆっくりとしたペースで、食事を口に運ぶ。その間、シアとランスは何か考えているようだったが、気にしなかった。
「ご馳走様でした!」
食べたものを片付けると、ノイは家を出る準備をした。
「本当に、一人で大丈夫ですか?」
「大丈夫よ」
「俺かシア兄がついてってもいいんだぞ? なんなら二人でも」
「大丈夫だって。子どもではないのだから。道は簡単なんでしょう? 迷子になる前に、帰ってくるわ」
「……分かりました。道をまっすぐ、十分ほどで着きます。逸れると迷子になりかねません。往復でも、三十分あれば帰ってこれるでしょう。ちゃんと、道を通ってくださいね」
「実はすぐに分かるさ。四個くらい採れりゃ良いだろ。重くなってもいけないしな」
「分かった! じゃあ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい、フレリア」
「気をつけてな!」
二人に手を振り、フレリアは森へと入って行った。木々の隙間から漏れる光が、地面に影を映し出す。
葉の擦れる音が耳に気持ち良い。緑の匂いが鼻をくすぐり、髪を靡かせる風も少しひんやりとして肌に優しい。
「ふぁ……あ……のんびり散歩も悪くないわね」
歩いて十分なら、短い道のりだ。すぐに着くだろう。そう考えながら、自然を堪能しつつ道を進んでいた。幾らか歩くと、ポツポツと橙色の実がなっている木が見えた。恐らく、持って帰るのはあの実だろう。より近づいて見てみると、どうやらアレはオレンジのようだった。
ガサッ……。
「ふっ……!?」
突然の音に驚いて変な声が漏れる。
「な……何!?」
ガサッ……。
「──驚いた?」
「……へ?」
物音のした橙色の木の後ろから、男が出てきた。誰だろうか。シアとランスではない。妙にニコニコしていて、顔はカッコいいが、ちょっと気持ち悪い。
「どうしたの? いつもみたいに、罵られるかと思ったのに」
「えーっと……どな……あ……!」
この声に聞き覚えがあった。昨日、家の前で大声でランスとやり合っていた、あの男だ。
「……王子……」
「そうだよ! 君の王子。さぁ、一緒に城へと行こう!」
キラキラと目を輝かせ、その男はフレリアへと迫り寄ってきた。
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