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八 駅①
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日が暮れようとしていた。
急がなければならない。野原の道を急ぎ歩いた。
「おかしいね。どうしたのだろう?」
ミレイが首を傾げた。
「どうしたの? おばさん」
サチがミレイの顔を伺う。
「いや、なにね。このあたりに駅があるはずなんだけど、どういうわけかないね」
ミレイはあたりをキョロキョロとするが、駅らしきものが見当たらない。
しかし、サチが深呼吸をしながら言う。
「でも、なんだか景色がとってもいい。歩くのも悪くない。花々が咲いて、気持ちがいい」
ハヤトが前方を指さす。
「人が歩いてくる。あの人に聞いてみよう」
ハヤトの指先のほうを見てみると、小学生くらいの子供が二人が歩いて来た。
どうやら双子のようだった。
まっすぐに歩いてくる。
「坊やたち。どこから来たんだい?」
ミレイが声を掛けた。
子供は首を横に振る。
「分からない。ここ? どこ?」
「あらら。困ったね。迷子かい。駅の場所を聞くどころでないね。お父さんやお母さんは?」
「分からない。さっきまで一緒だったんだけど」
「さっきまで? どこで何をしていたんだね?」
「さっきまで車に乗っていたの」
「お父さんとお母さんとかい?」
「お墓参りに行った帰りだったの。車の中で疲れて寝ていたら、いつの間にかここを歩いていたの。」
「ずいぶん、妙なことを言うね。車の中で寝ていて、気がついたらここを歩いていた? どこのお墓に行ったのだね?」
「分からない。気がついたらここにいた」
ミレイは子供の頭をなぜた。
「ずいぶん、不思議なことを言う子だね。でも、二人とも可愛いね。私たちと一緒に行くかい? 歩いていると、お父さんやお母さんと出会うかもしれない」
しかし、子供たちは首を横に振る。
「僕たち、この道を進んで行かないといけないの」
「どうして、そう思うのかい? こちらに行っても川があって、行き止まりだよ」
少年たちは、甘えるように言う。
「まっすぐ行くと、おじいちゃんがまっているの」
「おじちゃんと連絡はとれたのかい?」
「いいえ。でも、そんな気がする」
「何か訳の分からないことをいう子供たちだね。そんな気がするだけで進んで行って、いなかったらどうするんだい?」
二人は再び首を横に振る。
「いいえ。必ず待ってくてくれます」
ハヤトは、横から言葉を遮る。
「子供たちが進みたいと行っているんだから、進ませてやればいい。どっちみち川があって、そこで行き止まりなっている。我々が返ってきたら、とりあえず家にでも連れて行けば良い」
「そうかい。でもね・・」
ハヤトは、二人の目線に腰を落として、諭すように教えた。
「坊やたち。ここをまっすぐ行ったら、川がある。おじちゃんたちは、用事を済ませたら戻ってくる.おじいちゃんに逢えなかったら、そこでしばらくまっていて」
子供たちはじっと、ハヤトを見た。
黒目が大きく、まるで白目がない。純粋な目立った。
「うん。わかった。そうする」
子供たちは、そのまま、川のほうに歩いて行った。
急がなければならない。野原の道を急ぎ歩いた。
「おかしいね。どうしたのだろう?」
ミレイが首を傾げた。
「どうしたの? おばさん」
サチがミレイの顔を伺う。
「いや、なにね。このあたりに駅があるはずなんだけど、どういうわけかないね」
ミレイはあたりをキョロキョロとするが、駅らしきものが見当たらない。
しかし、サチが深呼吸をしながら言う。
「でも、なんだか景色がとってもいい。歩くのも悪くない。花々が咲いて、気持ちがいい」
ハヤトが前方を指さす。
「人が歩いてくる。あの人に聞いてみよう」
ハヤトの指先のほうを見てみると、小学生くらいの子供が二人が歩いて来た。
どうやら双子のようだった。
まっすぐに歩いてくる。
「坊やたち。どこから来たんだい?」
ミレイが声を掛けた。
子供は首を横に振る。
「分からない。ここ? どこ?」
「あらら。困ったね。迷子かい。駅の場所を聞くどころでないね。お父さんやお母さんは?」
「分からない。さっきまで一緒だったんだけど」
「さっきまで? どこで何をしていたんだね?」
「さっきまで車に乗っていたの」
「お父さんとお母さんとかい?」
「お墓参りに行った帰りだったの。車の中で疲れて寝ていたら、いつの間にかここを歩いていたの。」
「ずいぶん、妙なことを言うね。車の中で寝ていて、気がついたらここを歩いていた? どこのお墓に行ったのだね?」
「分からない。気がついたらここにいた」
ミレイは子供の頭をなぜた。
「ずいぶん、不思議なことを言う子だね。でも、二人とも可愛いね。私たちと一緒に行くかい? 歩いていると、お父さんやお母さんと出会うかもしれない」
しかし、子供たちは首を横に振る。
「僕たち、この道を進んで行かないといけないの」
「どうして、そう思うのかい? こちらに行っても川があって、行き止まりだよ」
少年たちは、甘えるように言う。
「まっすぐ行くと、おじいちゃんがまっているの」
「おじちゃんと連絡はとれたのかい?」
「いいえ。でも、そんな気がする」
「何か訳の分からないことをいう子供たちだね。そんな気がするだけで進んで行って、いなかったらどうするんだい?」
二人は再び首を横に振る。
「いいえ。必ず待ってくてくれます」
ハヤトは、横から言葉を遮る。
「子供たちが進みたいと行っているんだから、進ませてやればいい。どっちみち川があって、そこで行き止まりなっている。我々が返ってきたら、とりあえず家にでも連れて行けば良い」
「そうかい。でもね・・」
ハヤトは、二人の目線に腰を落として、諭すように教えた。
「坊やたち。ここをまっすぐ行ったら、川がある。おじちゃんたちは、用事を済ませたら戻ってくる.おじいちゃんに逢えなかったら、そこでしばらくまっていて」
子供たちはじっと、ハヤトを見た。
黒目が大きく、まるで白目がない。純粋な目立った。
「うん。わかった。そうする」
子供たちは、そのまま、川のほうに歩いて行った。
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