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二章
そんな話をされても
しおりを挟む驚いた。
何処かで見た事があると、しばし考えて気が付いた。
自分だと。
己など、鏡でしか見る事は無いしマジマジと見る程ナルシストでは無い為、気付くのに時間が掛かったのだ。
その上、若干顔付きも目付きも違う。
斜に構えているとこんな顔付きに成るのかと、そう関心するくらいには悪そうだったのだ。
「お前、今俺を悪そうと思っただろう。言っとくがお前は俺だからな」
ふんっと鼻を鳴らす男は確かにサフィシルそっくりではある。
だが、サフィシルはその事が信じられずにいた。
「一体どういう事なんだよ。それに此処は何処なんだ……。 5次元って何なんだよ…… 」
「まぁ、確かに。知らなきゃ此処が何処かも判らんわな」
と、サフィシルそっくりの男がカカカカと笑いながら言うと、彼の後ろから、
『5ジゲンとは、異なったイつつの次元ガ重ナった事象ヲいうノでス』
と、不思議な発音と声が聞こえ、真っ黒で黒光りする長方形の箱がするすると現れた。
両脇にスリットが入りその部分を前後に動かして前に進むのだろう。
どの様な鉱物で出来ているのか、サフィシルには判らなかったが、己の知る物とは違い、高度な文明の成せる技だという事は直感で理解出来た。
「コイツはKITTって言うんだ。まぁ、アンドロイドってやつで人工知能が結構優秀に出来てる。ユーモアもあるしな、センスはねーけどよ。っと言っても今のおめーには解らんだろーな」
と言ってにやりと笑うサフィシルそっくりな男は、サフィシル以上に何か経験値が高そうだった。
「ま、そのうち解るようになる。色々とな。その色々を話す前に此処の事を話すか……。アレを見てみろよ」
そう言う男の指さす方を見てみると、四角い箱状の物が幾つも整然と並んでいる空間があった。
最初に見たあの摩訶不思議な箱状の物でその中には何かが蠢いている、あの場所だ。
遠目で見ているので蠢いているそれが、何かは解らない。
サフィシルはそれが気になって近寄って見ようとした所、もう一人の自分に肩を掴まれて止められた。
「何を!? 」
「今は待て。まだ説明が不十分だ。理解してから触れないと、次元の狭間に墜ちるぞ。繋がっているように見えるが、それぞれ独立しているんだからな……」
そう言った彼に、サフィシルは元の位置に引き戻された。
「今更、お前を探しに行くなんて御免だからな、俺は」
彼はそう言うと肩をすくめた。
「まぁ、先ず次元ってのは今解っている物であ~俺の世界限定だけどな、5次元まであって、此処に直線が在るとするだろ、前か後ろどちらかにしか行けないのが1次元。それに左右どちらかが加われば2次元。それ+上下どちらかが加われば3次元に成る。因みに、俺やお前が今まで生きて生活していた場所が、この3次元に当たる。それに奥行きを足せば4次元だ。それがあの奥行きの有る正四角形の1つになる。此処まで、言ってること解るか? 」
「うっ……、まぁ、多分」
完全には理解出来ていないサフィシルである。
当たり前と言えば当たり前か。
アドラメレクと戦って、気が付いたら此処に居た訳なのだから。
そんな彼に初耳の次元の成り立ちを紐解いても、理解には程遠い。
なんとな~くと言っても致し方なかった。
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