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しおりを挟む至極当然のカイルの疑問が響いた。
巻き込まれた側としてはなんら可笑しくない質問。
だけど俺は反射的にカイルの質問を止めるように裾を小さく引いていた。
理由が気にならなかったわけじゃない。
だけどそれ以上に巻き込まれたくなかったからだ。
この場のメンバー的にも詳しく聞いちゃマズい内容な気がビンビンする。
そんな本能的な行動だったわけだが……その行動こそがマズかったらしい。
ニヤァ、と効果音が背後に見えそうな程に唇を吊り上げるスネークに心臓が嫌な音を立てる。
「ふぅん?やっぱアンタなんか気づいてる?」
その言葉に視線が幾つも俺を向いた。
しかもゼリファンたちは何やら納得の表情してるし。
「何のことです?」
「ソイツに聞いてみれば?」
……くっ、おのれスネーク。
余計なことを……っ!!
ラファエル?と澄んだ眸をレイヴァンに向けられて俺はタジタジ。
気になったらしいカイルも突いてくるし、スネークの笑みと言葉に動揺して完全に否定するタイミング逃した……。
しかも王太子殿下や宰相様もめっちゃこっち見てるし誤魔化せる雰囲気じゃねぇ。
「……もしかしたら、と思っただけですよ。そもそも私ごときが嘴を容れる内容でないでしょう」
「しっかり巻き込まれたんだから無関係ではないだろう」
苦虫を嚙み潰した表情で苦し紛れに口にすれば、ゼリファンまでが薄い唇を愉しそうに釣り上げた。
コンニャロウ……!
「巻き込んだのは貴方の部下なんですが……」
「それは素直に謝るが、言って聞く奴じゃない」
「そーそー、で?どこまで気付いてんの?」
ジトッと見ればある意味納得してしまう返答がきた。
そしてスネーク、お前はマジで反省しろっ!!
そんでもって、愉し気なゼリファンやムッとした表情で椅子の距離を詰めてくるレイヴァンが珍しいのか、近衛や王太子殿下らが驚いてこっち見てくるしね。
宰相様まで表情豊かな息子に目を丸くして凝視してくるのが居た堪れない。
レイヴァンくーん、ちょっと近くないですか?
君のお父さまがめっちゃこっち見てますケド……。
「それで?ラファエル」
俺の意識がゼリファンたちに向くのが不満なのか、腕に手を添えるようにして身を乗り出してくるレイヴァンくん。
うん、離れる気は皆無だね。
そして何だかんだと好奇心旺盛なレイヴァンだ。
純粋に事情が気になるのも本当なのだろう。
そして俺は……レイヴァンのオネダリにはすこぶる弱いんだよねー、これが。
観念して渋々口を開いた。
どうせもう俺が気付いてたことは気づかれてるわけだし。
「詳しい事情はわかりませんが、先程の捕物は予定調和ですよね。お仲間と思わしき女性をあの場に連れて行ったのも、騎士の皆さまが待機してらっしゃったのも」
言葉を切ってあの場を指揮していた騎士を見る。
「そして恐らく……あの男を取り逃がしたことも」
「どういうことですっ?!」
「あー、だよなぁ」
すぐさま騎士に再び食いつくレイヴァンと、対照的にひどく納得した様子のカイル。
目の前にいる騎士たち。
彼らはマルクさんと同じ騎士服を着用している。
つまりは近衛。
エリート集団である彼らがあんな凡ミスをするとはとても思えないんだよね。
「では貴方方の所為でラファエルは不要な傷を負ったということですか」
「大変申し訳ございません」
押し殺した声を発しながら睨むレイヴァンや俺らに真っすぐに頭を下げる騎士。
流石は近衛だ。
一切の弁明もない潔い態度に改めて感心する。
……だからこそ、そこまで下手に出られるとこっちが恐縮するんだけど。
「落ち着いて。彼らには彼らの事情があるんだよ」
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